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仕事・スキル 介護士の常識 2022/05/24

#ケアマネ

介護のアセスメントとモニタリングの違いは?実施時のポイントも

構成・文/介護のみらいラボ編集部 3.jpg

アセスメントとモニタリングは、介護・福祉業界において「利用者との面談」を表す言葉です。どちらも利用者に寄り添った介護サービスの提供には欠かせない面談のため、それぞれの目的を理解して丁寧なヒアリングを行う必要があります。

当記事では、アセスメントとモニタリングの違いや定義について解説します。それぞれの面談で押さえるべきポイントも紹介するので、介護スタッフやケアマネジャーとして働いている人は、ぜひ参考にしてください。

1.アセスメントとモニタリングは何が違う?

アセスメントとモニタリングの違いは、目的と行うタイミングです。

アセスメントとは、利用者の状態やニーズの把握を目的としたの面談です。介護サービスの利用開始前に、今後のケアプランを決定するための情報収集として行われます。

モニタリングは、ケアプラン通りの介護サービスが提供されているかどうかをチェックするための面談です。介護サービスの利用開始後、少なくとも月に1度はモニタリングが行われます。

アセスメントとモニタリングは、どちらも「ケアプランにまつわる利用者との面談」を表すため混同されやすい言葉です。しかし、アセスメントはケアプラン作成のための面談であることに対し、モニタリングはケアプランの実行を確認するための面談であり、全く異なる性質を持っています。

2.介護・福祉のアセスメントとは?

介護・福祉におけるアセスメントとは、利用者の悩みや介護サービスに対するニーズを知り、一人ひとりに合ったケアプランを立てるための面談です。

厚生労働省によるアセスメントの定義は、以下のように定められています。

課題分析とは、利用者の有する日常生活上の能力や利用者が既に提供を受けている指定居宅サービスや介護者の状況等の利用者を取り巻く環境等の評価を通じて利用者が生活の質を維持・向上させていく上で生じている問題点を明らかにし、利用者が自立した日常生活を営むことができるように支援する上で解決すべき課題を把握することであり、利用者の生活全般についてその状態を十分把握することが重要である。
なお、当該課題分析は、介護支援専門員の個人的な考え方や手法のみによって行われてはならず、利用者の課題を客観的に抽出するための手法として合理的な物と認められる適切な方法を用いなければならないものであるが、この課題分析の方法については、別途通知するところによるものである。

(引用:厚生労働省「(主として介護支援専門員による)アセスメントについて」
引用日2022/03/09

アセスメントは、もともと「評価」や「分析」などの意味を持つ英単語です。単語の意味から分かるように、アセスメントでは面談を通して利用者の現状を適切に評価・分析し、ケアプランに反映する必要があります。

アセスメントを行う際には利用者の家族にも同席してもらい、厚生労働省の定める質問項目に沿ってヒアリングを進めます。利用者と家族の思いに寄り添ったケアプランを作成するには、アセスメントでの丁寧なヒアリングが大切です。

3.アセスメントを行う際のポイント

アセスメントを行う際、何となく聞き取りを行うだけでは一人ひとりに合ったケアプランを組み立てることは難しいでしょう。利用者のニーズを汲み取ったケアプラン作成のためには、いくつかのポイントに注意してヒアリングを行いましょう。

以下では、アセスメントを行う際の3つのポイントについて解説します。

多角的な視点から情報を収集する

ケアプランを作成するにあたって、利用者の主治医や看護師、地域の包括センターなどからも情報を収集しましょう。

利用者にとって最適なケアプランを組み立てるには、現在の状況や困り事を正確に把握する必要があります。利用者本人からのヒアリングはもちろん大切ですが、利用者が客観的に見て感じられる課題も欠かせない情報です。

利用者の思いや希望を叶えるためにも、アセスメントの事前準備として多角的な視点から情報収集を行いましょう。

専門職にもヒアリングする

利用者の身体能力を正確に知るためには、理学療法士や作業療法士などの専門職にもヒアリングが必要です。

厚生労働省によって定められている質問項目には、食事や排泄などの「日常生活動作(ADL)」、外出や家事などの「手段的日常生活動作(IADL)」について評価する内容も含まれています。これらの動作はリハビリ時にも訓練として行うため、担当者は何をどの程度サポートすべきか細かく把握しています。

専門職との連携を図ることで、より利用者に寄り添ったケアプランの作成が可能です。

本人や家族の意向を汲み取る

身体能力や居住環境が同じでも、利用者によって必要なケアやサポートはさまざまです。本人や家族の意向を汲み取ることで、ニーズに合わせたケアプランの提案が可能となります。

利用者の中には「自分である程度の家事ができるようになりたい」と望む人もいれば、「リハビリは最低限にして現状維持を目指したい」と考える人もいるでしょう。アセスメントでは介護者としての意見も伝えながら、最終的には利用者と家族の希望に沿ったサポート内容を決定します。

潜在的なニーズや本音を引き出すためには、ヒアリングのスキルを身に付けることも重要です。

4.介護・福祉のモニタリングとは?

モニタリングとは、介護サービスの利用開始後に行われる現状把握のための面談です。

厚生労働省によると、モニタリングの定義は以下のように定められています。

居宅サービス計画作成後、居宅サービス計画の実施状況の把握(以下「モニタリング」という。)

(引用:厚生労働省「居宅介護支援(参考資料)」
引用日2022/03/09

利用者の身体状況は日々変化しているため、サポート内容の定期的な見直しが必要です。モニタリングは、ケアプランが正しく実行されているかを確認するだけでなく、設定した目標の達成が現実的であるか、新たな課題はないかなどを把握するための面談でもあります。

ケアプランを変更する際には、利用者と、もう一度アセスメントをするつもりで丁寧に情報収集しましょう。

5.モニタリングを行う際のポイント

介護におけるモニタリングでは、利用者の現状確認に加え、金銭面や家族関係などの踏み込んだ話も行います。利用者が話しやすい状況を作るには、質問の仕方にも注意しなければなりません。

以下では、モニタリングを行う際の3つのポイントについて解説します。

世間話から始めてリラックスした雰囲気を作る

モニタリング時は利用者の緊張をほぐすため、世間話からスタートしましょう。

顔を合わせてすぐに質問を投げかけると業務的で冷たい印象を与え、利用者が話しにくくなってしまうかもしれません。まずは日常会話でリラックスした雰囲気を作り、自然な流れで質問項目に移るのがポイントです。

また、世間話は緊張をほぐすだけでなく、コミュニケーションを通じて相手をよく知り、信頼関係を深める効果も期待できます。利用者の昔話や日々の出来事の話にもじっくり耳を傾けることで、「話しやすい人」「信頼できる人」という印象を与えられるでしょう。

デリケートな質問は聞き方に工夫を凝らす

お金や家族関係に関するデリケートな質問は、聞き方を間違えると不信感や嫌悪感につながりかねません。直接的すぎない表現を心がけたり、イエス・ノーで答えられる質問形式にしたりなど、利用者に負担をかけない聞き方を身に付けましょう。

また、質問内容によっては、利用者が家族の前では答えにくい場合もあります。反対に、家族が利用者の前では伝えにくい要望などもあるでしょう。それぞれの本音を聞き出すには、利用者と家族のどちらにも配慮が必要です。

利用者と2人きりの場や家族だけになるタイミングを見計らって、気になる点がないかをそれとなく確認するのがよいでしょう。

本人の話は否定せず同調を心がける

たとえ、介護者としての専門的な意見とは正反対であっても、まずは否定せず、利用者の話に同調するのが大切です。

利用者の考えと別の意見を伝える方法として、代替案や体験談として話すことが有効です。先に自分の考えを受け入れてもらい、その後に提案や成功談を聞くのであれば「否定されている」と感じる人は少ないでしょう。

利用者がストレスに感じないためにも、まずは同調して寄り添う姿勢を見せることが大切です。「この人なら分かってくれる」という印象を持ってもらうことで、利用者の本音を引き出すことにもつながります。

まとめ

アセスメントはケアプラン作成のための情報収集を目的とした面談であり、介護サービス利用開始前に行われます。対して、モニタリングは実際のサポートがケアプランに沿っているかどうかを確認するための面談で、介護サービスの利用開始後に毎月行われるという違いがあります。

利用者の潜在ニーズに寄り添ったケアプランの作成・見直しを行うためには、それぞれの面談のポイントや注意点を押さえてヒアリングを行うことが大切です。

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※当記事は2022年4月時点の情報をもとに作成しています

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