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仕事・スキル 介護施設・職場 2024/11/06

#介護医療院#介護老人保健施設#特別養護老人ホーム

介護保険施設とは?3種類の施設の特徴や違い、向いている人についてわかりやすく解説

文/中村 楓(介護支援専門員・介護福祉士・介護コラムニスト) thumb_2411_6.jpg

介護保険施設とは、介護保険法に基づいた高齢者向けの入居施設のことです。介護保険施設には、特別養護老人ホームと介護老人保健施設、介護医療院の3種類があります。この3種類の施設には、どのような特徴や違いがあるのでしょうか。
本記事では、これから介護保険施設で働きたい人に向けて、介護保険施設の特徴や違い、仕事内容について、詳しくみていきましょう。

1.介護保険施設とは?

介護

介護保険施設には、特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、介護医療院の3種類があります。それぞれの特徴や入居費用の違いについて、詳しくみていきましょう。

介護保険施設の特徴とそれぞれの違い

介護保険施設は、要介護認定を受けた人が入所できる施設です。特別養護老人ホーム(以下:特養)は原則として要介護3以上、介護老人保健施設(以下:老健)と介護医療院は要介護1以上で入所できます。

介護保険施設 要介護度
特別養護老人ホーム(特養) 原則として要介護3以上
介護老人保健施設(老健) 要介護1以上
介護医療院

介護保険施設は、運営主体が社会福祉法人や医療法人などに限られており、介護保険サービスのうち施設サービスが利用できます。居住費や食費の負担軽減制度が利用できるのも、介護保険施設の特徴といえるでしょう。

介護保険施設の入所費用の違い

介護保険施設は、入所時には初期費用がかからず、毎月の利用料が発生する仕組みとなっています。施設での生活にかかる月額費用の内訳は、以下の通りです。

  • 施設サービス費
  • 居住費
  • 食費
  • 理美容代などの日常生活費

このうち、老健と介護医療院の居住費は、多床室が光熱費相当、多床室以外は室料と光熱費相当がかかります。特養は、室料と光熱費相当が居住費となります。

居住費
l 老健 l 介護医療院 多床室 光熱費相当
多床室以外 室料+光熱費相当
l 特養 室料+光熱費相当

また、食費の内訳は、食材費と調理費となっています。

各施設の1日当たりの施設サービス費(1割負担)の目安は、以下の通りです。

【特別養護老人ホーム】

利用者負担(1日あたり)
従来型個室 多床室 ユニット型個室 ユニット型個室的多床室
要介護1 573円 573円 652円 652円
要介護2 641円 641円 720円 720円
要介護3 712円 712円 793円 793円
要介護4 780円 780円 862円 862円
要介護5 847円 847円 929円 929円

引用:厚生労働省「どんなサービスがあるの?―福祉施設(特別養護老人ホーム)」

【介護老人保健施設】

利用者負担(1日あたり)
介護保険施設サービス費Ⅰ ユニット型介護保険施設サービス費Ⅰ
基本型( ⅰ) 在宅強化型(ⅱ) 基本型(ⅲ) 在宅強化型(ⅳ) 基本型(ⅰ) 在宅強化型(ⅱ) 経過的・基本型(ⅰ) 経過的・在宅強化型(ⅱ)
要介護1 714円 756円 788円 836円 796円 841円 796円 841円
要介護2 759円 828円 836円 910円 841円 915円 841円 915円
要介護3 821円 890円 898円 947円 903円 978円 903円 978円
要介護4 874円 946円 949円 1,030円 956円 1,035円 956円 1,035円
要介護5 925円 1,003円 1,003円 1,085円 1,009円 1,090円 1,009円 1,090円

引用:厚生労働省「どんなサービスがあるの?-介護老人保健施設(老健)」

【介護医療院】

利用者負担(1日あたり)
Ⅰ型介護医療院サービス費(Ⅰ) Ⅱ型介護医療院サービス費(Ⅰ)
従来型個室 多床室 ユニット型個室 ユニット型個室的多床室 従来型個室 多床室 ユニット型個室 ユニット型個室的多床室
要介護1 714円 825円 842円 842円 669円 779円 832円 832円
要介護2 824円 934円 951円 951円 764円 875円 939円 939円
要介護3 1,060円 1,171円 1,188円 1,188円 972円 1,082円 1,173円 1,173円
要介護4 1,161円 1,271円 1,288円 1,288円 1,059円 1,170円 1,271円 1,271円
要介護5 1,251円 1,362円 1,379円 1,379円 1,138円 1,249円 1,361円 1,361円

引用:厚生労働省「どんなサービスがあるの?-介護医療院」

介護保険施設入所費用の負担軽減制度

介護保険施設には、利用者さんの負担を軽減するため、以下のような制度を利用することができます。

特定入所者介護サービス費
所得や資産等が一定以下の人に対し、負担限度額を超えた居住費と食費の負担額が介護保険から支給されます。制度を利用するためには、負担限度認定を受ける必要があります。

高額介護サービス費
月々の利用者負担額(福祉用具購入費や食費・居住費等一部を除く)の合計が、所得に応じて区分された上限額を超えた場合、超えた分が介護保険から支給される制度です。自治体に申請することで利用できます。

高額医療・高額介護合算医療費制度
同じ医療保険の世帯内で、医療保険と介護保険両方に自己負担が生じた場合、合算後の負担額が軽減される制度です。決められた負担限度額を500円以上超えた場合に医療保険者に申請すると、超えた分が支給されます。

2.特別養護老人ホーム(特養)の仕事内容と向いている人

介護

特養とはどんな施設で、職員はどのような仕事を行うのでしょうか。特養の概要と仕事内容、仕事に向いている人について、詳しくみていきましょう。

特別養護老人ホーム(特養)とは?

特養とは、常に介護が必要で自宅での生活が難しい方のための入所施設です。特養では、生活における介護や機能訓練、健康管理、療養上の世話などが受けられます。一度入所すれば、入院治療などの専門的な医療的ケアが必要にならない限りは、終身にわたって生活できます。また、看取りに対応する施設もあります。

特別養護老人ホーム(特養)の仕事内容

特養の仕事内容には、以下のようなものがあります。

  • 身体介護:入浴、排泄、食事、移乗、移動、体位変換など
  • 生活支援:部屋の掃除など
  • レクリエーション、季節行事の準備、開催等
  • 健康管理:日々のバイタルチェック

特養は要介護度が高い人を対象としているため、認知症が進行している人も多く、認知症の対応も仕事の中では大きな割合を占めています。

●関連記事:特別養護老人ホームの仕事内容は?施設概要・待遇・メリットも紹介

特別養護老人ホーム(特養)の仕事に向いている

特養での仕事は、以下のような人に向いています。

体力がある人
要介護3以上が入所要件となっているため重度の利用者さんが多く、体力を必要とします。また、交代勤務や夜勤もあり、不規則な勤務となるため、体力がある人の方が向いています。

働ける時間に融通が利く人
入所施設であるため、24時間365日介護現場が休むことはありません。常勤の場合は、土日祝日関係なく働ける人や、夜勤、交代勤務ができる人の方が望まれます。

介護スキルを向上したい人
要介護度が高い人が多いため、仕事の中で介護スキルが向上しやすい環境です。基本的に数名で仕事をするため、ベテラン介護職員によるサポートも受けやすいでしょう。

利用者さんとじっくり関わりたい人
特養は長期利用が前提のため、利用者さんと生活を共にする期間が長く、じっくり関わることができます。利用者さんに寄り添っていきたい人には、ピッタリの環境といえるでしょう。

3.介護老人保健施設(老健)の仕事内容と向いている人

リハビリ

続いて、老健の概要と仕事内容、向いている人についてもみていきましょう。

介護老人保健施設(老健)とは?

老健は、基本的には在宅復帰を目指している人のための入所施設です。病院で治療を受けた後、自宅復帰を目指してリハビリを行いたい人が多く入所します。そのため、医師や看護師、リハビリ職などが配置されており、日常生活面の支援のほか、医療ケアや手厚いリハビリが受けられます。入所期間は原則として1~3年となっており、一定期間で退所することが前提となっているのが特徴です。

介護老人保健施設(老健)の仕事内容

老健での仕事内容には、以下のようなものがあります。

  • 身体介護:入浴、排泄、食事、移乗、移動、体位変換など。
  • 生活支援:部屋の掃除など
  • レクリエーション、季節行事の準備、開催等
  • 健康管理:日々のバイタルチェック

老健は要介護1の人から入居でき、自宅復帰を目指す施設であることから、特養に比べると全介助の割合は少し低い傾向があります。老健では、生活リハビリとして、普段の生活から自分でできることをしてもらえるような声掛けや促しをしていくことも仕事の一つです。

●関連記事:老健の主な業務内容とは?スケジュールから給料相場まで解説

介護老人保健施設(老健)の仕事に向いている人

老健の仕事に向いている人は、以下のような人です。

チームケアに興味がある人
老健は、介護職だけでなく医師や看護師、リハビリ職などの多くの職種が連携して仕事をします。そのため、多職種と連携して働きたい人や、チームケアに興味がある人が向いています。

医療的ケアやリハビリに興味がある人
老健では、医療的ケアやリハビリの様子を日々見ることができます。医療的なケアやリハビリ分野に興味があり、知識や経験を積みたい人にはピッタリの職場です。

介護スキルを習得したい人
老健には、要介護度が高い人も入所しているため、身体介護をする機会も多く、実践的な介護技術が学べます。認知症の人も入所しているため、認知症ケアについても学べるなど、介護スキルを習得できる環境です。

気持ちの切り替えができる人
老健は自宅復帰を目指す施設ですので、利用者さんの入れ替わりが早いという特徴があります。利用者さんと関係性が築けた頃に利用者さんが退所することも少なくないため、変化に順応できる人や、気持ちの切り替えができる人の方が向いています。

4.介護医療院の仕事内容と向いている人

問診

最後に、介護医療院の概要と仕事内容、仕事に向いている人についてみていきましょう。

介護医療院とは?

介護医療院医療的ケアと介護サービスが受けられる介護保険施設です。医療機関に併設していることが多く、医師が配置されているのが特徴です。検査や投薬、点滴などの医療ケアや喀痰吸引、経管栄養など、医療ニーズの高い人でも入所でき、看取りやターミナルケアも行っています。要介護1からの入所が可能で、介護施設では対応できない医療ケアを希望する人の受け入れができます。

介護医療院の仕事内容

介護医療院委置ける仕事内容には、以下のようなものがあります。

  • 身体介護:排泄、入浴、食事、移動、移乗の介助、体位変換等
  • 生活支援:部屋の掃除など
  • レクリエーション、季節行事など

介護医療院では医療ケアがあるため、経管栄養のボトルや吸引瓶の洗浄など、看護師の補助業務もある点が、特養や老健と異なる特徴といえます。

介護医療院の仕事に向いている人

介護医療院の仕事に向いているのは、以下のような人です。

コミュニケーション能力が高い人
医療度の高い人や医療ケアが必要な認知症の人などが生活するため、利用者さんとのコミュニケーションや多職種との連携が必要です。そのため、コミュニケーション能力が高い人が向いています。

医療ケアに興味がある人
介護医療院は医療的ケアに重点を置いているため、医療的ケアを間近で見ることができます。医療ケアを学びたい人にとっては、ピッタリの環境といえます。

看取りやターミナルケアを学びたい人
介護医療院は看取りを行う施設ですので、看取りやターミナルケアを学びたい人に適した環境となっています。

介護スキルを習得したい人
介護医療院では、要介護度が高い人が多いため、介護スキルを学ぶ機会も多いでしょう。基本的に複数の職員と仕事をするため、ベテラン職員によるサポートも受けられます。

まとめ:介護保険施設は介護スキルを学びやすい環境

介護士

介護保険施設は、介護保険法に定められた入所施設です。介護を必要とする人が多く、介護スキルが習得しやすい環境となっています。介護保険施設で経験を積んで、介護福祉士になる人もたくさんいます。介護の仕事を始めるのであれば、ぜひ介護保険施設で働くことも検討してみてはいかがでしょうか。

●関連記事:老人ホームと介護施設の違いは?種類と特徴、費用の相場を解説

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中村楓(Kaede Nakamura)

介護福祉士・介護コラムニスト

現役介護支援専門員。介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級、認知症介護実践者研修の資格を持つ。病院や通所リハビリ、デイサービスで介護福祉士として働き、生活相談員や介護認定調査員の経験も持つ。「介護の未来を明るくする」をモットーに、現場感ある記事を書く介護コラムニストとしても活動中。

中村楓の執筆・監修記事

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