介護福祉士実務者研修は働きながら取得可能!スクール選びや両立するメリットを解説
文/渡口将生(介護福祉士・ケアマネジャー)
介護福祉士を目指す上で欠かせないのが、「介護福祉士実務者研修」の取得です。介護福祉士の国家試験を受けるためには、必ず護福祉士実務者研修を受講しなければいけません。しかし、みなさんのなかには「仕事と勉強を両立できるのか不安」と感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、実務者研修の概要から受講期間やメリット・デメリット、スクール選びのコツを解説します。ぜひ参考にしてみてください。
1.介護福祉士実務者研修は働きながら取得できる?
現在、介護の仕事をしている方はもちろん、これから介護職を目指す方も、仕事と両立しながら介護福祉士実務者研修(以下、実務者研修)を取得することは可能です。
実務者研修は、そもそも「仕事を続けながら資格を取りたい」という方を支援するために設けられた制度。厚生労働省の方針に基づき、特定の資格を持っている場合は、一部のカリキュラムが免除されます。
また、「通信学習と通学を組み合わせたコース」では、学習内容の約9割を自宅で進められるため、忙しい方でも無理なく受講できます。
2.働きながら実務者研修を取得するために必要な期間
実務者研修は、20科目で450時間(6か月以上)のカリキュラムが設定されていますが、保有資格に応じて一部の科目が免除されるため、受講時間は以下のようになります。
<資格別の実務者研修の受講時間>
保有資格 | 必要な受講時間 | 受講期間目安 |
---|---|---|
介護職員初任者研修 | 320時間 | 4か月 |
訪問介護員研修1級 | 95時間 | 2か月 |
訪問介護員研修2級 | 320時間 | 4か月 |
訪問介護員研修3級 | 420時間 | 6か月 |
介護職員基礎研修 | 50時間 | 1か月 |
認知症介護基礎研修 | 450時間 | 6か月 |
無資格 | 450時間 | 6か月 |
3.働きながら取得するメリット
介護の現場では資格の重要性が高く、働く方の資格取得を積極的にサポートしてくれる職場も少なくありません。
ここでは、仕事と並行して実務者研修を受けるメリットについて見ていきましょう。
収入を確保しながら学べる
仕事を辞めて研修に専念すると、収入がなくなって生活が苦しくなる可能性があります。その点、働きながら学べれば、収入を維持できるため生活の安定を保ちつつスキルアップを図れます。
知識をすぐに実践できる
現場で働きながら実務者研修を受講すると、研修で学んだ知識をすぐに実践できます。研修で得た学びを生かしながら働けば、細かな内容も理解しやすくなるでしょう。実際に働いているからこそ感じられる気づきも多く、確実に成長につながるはずです。
自己管理力が身につく
実務者研修と仕事を両立するには、時間の使い方を工夫する必要があります。スケジュールを調整し、効率的に研修と仕事をこなすうちに、自然と自己管理力や時間管理能力が鍛えられるでしょう。
時間の管理は今後の社会人生活にも役立つスキルで、自分の仕事だけでなくチームのマネジメントにも生かせます。
4.実務者研修を受講する上でのデメリット
仕事と資格取得を両立することには、メリットが多い一方でデメリットもあります。どのような課題があるのかを事前に把握して、適切に対処しましょう。
時間的な余裕が限られる
働きながらスクールに通うとなると、どうしても時間のやりくりが難しくなります。
ただし、スクールのなかには、平日夜間や土日に開講していたり通信制を選べたりするところもあるので、まずは自分のライフスタイルに合った学び方ができるかを確認しましょう。
また、職場によっては、スケジュールの調整に協力してもらえることもあります。一度相談してみるとよいでしょう。
費用負担の問題
研修にかかる費用は決して安くないため、経済的な負担を感じる方も多いでしょう。その場合は、次に紹介する各種支援制度の活用を検討してみてください。
<支援制度例>
支援制度 | 概要 |
---|---|
一般教育訓練給付金制度 | 受講料の20%(上限10万円)を支給 |
実務者研修受講資金貸付制度 |
最大20万円を無利子で借りられる ※自治体によって金額が異なる |
勤務先の支援制度 | 各事業所の規定による |
(出典:厚生労働省「教育訓練給付制度」)
(出典:大阪府社会福祉協議会「令和6年度 介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度 募集要領」)
5.スクール・講座を選ぶ際のポイント
スクールごとにカリキュラムやスケジュール、費用、講師の質、就職支援の有無などが異なるため、実務者研修を受ける際は、自分に合った学び方を選ぶ必要があります。
ここでは、スクール選びのポイントを5つ紹介します。
通いやすい立地かどうか
実務者研修では、平均7〜10回ほどスクールに通います。仕事をしながら受講する場合は、自宅や職場の近くにあるスクールを選ぶと、移動の負担が減らせるでしょう。
特に夜勤がある方は、長距離の移動が負担になりやすいため、できるだけアクセスがいいスクールを選ぶのがおすすめです。
自分のスケジュールに合う開講日程か
仕事と両立しながら受講する場合、通学できる曜日が限られることもあるため、希望する曜日に受講できるかどうかを事前に確認してください。
スクールによっては、平日コース・土日コース・週1回コースなど、複数の選択肢が用意されている場合もあります。固定曜日で受講できるコースを選べば、仕事の予定を調整しやすくなるでしょう。
講師の質やスクールの雰囲気
資格取得に必要な知識・技術を身につけるにあたっては、指導者の力が大きく影響します。講師の指導力やスクールの雰囲気も事前にチェックしておきましょう。
指導力や雰囲気がわかっているという点では、初任者研修を受講してから、同じスクールで実務者研修を受けるのもよい方法です。
料金が適正かどうか
実務者研修の受講には費用がかかるため、料金が適正かどうかも大切なポイントです。実務者研修の一般的な費用相場は「10~20万円(保有資格によって変動)」ですが、費用が高いからサポートが充実しているということではありません。受講スタイルや学習サポート、費用などを比較検討した上で、自分に合ったスクールを選びましょう。
スクールによっては、資格保有者向けの割引制度や就業支援つきで実質無料になるコースもあるので、費用を抑えたい方は確認してみてください。
就業支援があるかどうか
実務者研修を取得した後に、転職やキャリアアップを考えている方は、就職サポートが充実しているスクールを選ぶのがおすすめです。無料で転職支援が受けられるスクールなら、資格取得と同時に希望の職場を見つけることもできます。
6.仕事と資格取得をうまく両立させるコツ
仕事と両立しながら勉強を進めるには、時間の使い方や学習方法を工夫することが大切です。ここからは、社会人が効率よく資格を取得するための3つのポイントを紹介します。
勉強時間を確保するためにスケジュールを管理する
社会人は日々忙しく、勉強に使える時間が限られているため、休日に学習時間を確保したり、スキマ時間を上手に活用したりすることが大事です。
具体的には、次の時間帯が勉強にあてやすいといえます。
活用例 | 詳細 |
---|---|
朝の時間 | 朝は、仕事や家事の影響を受けにくい「自分だけの時間」が作れます。睡眠によって脳がリフレッシュされているため、集中もしやすいでしょう。 |
通勤時間を有効活用 | 通勤中のちょっとしたスキマ時間を活用することも大事です。1回10分の勉強を1日3回行えば、それだけで30分の学習時間を確保できます。ここでは、音声教材を活用したりスマホで単語帳をチェックしたりするなど、短時間でも効率的に学べる方法がおすすめです。 |
夜の時間 | 人間の脳は睡眠中に記憶を整理するため、寝る前に学んだ内容は、記憶として定着しやすいといわれています。そのため、夜の時間は参考書を読んだり、新しい知識を覚えたりするのに活用するとよいでしょう。 |
休日のまとまった時間 | 休日は、勉強に集中できる貴重な時間。ポモドーロ・テクニック(25分勉強+5分休憩をくりかえす)などの時間管理術を活用して、集中力を維持しながら学習を進めましょう。 |
自分に合った学習スタイルを選ぶ
学習スタイルは大きく3つに分かれます。資格の難易度やライフスタイルに合わせて、無理なく続けられる方法を選びましょう。
独学 | 通学型スクール | 通信講座・ オンライン学習 |
|
---|---|---|---|
向いている方 |
・比較的難易度が低い資格を取得したい方 ・自分で計画を立ててコツコツ勉強できる方 |
・短期間で資格を取得したい方 ・直接講師に質問しながら学びたい方 |
・仕事や家事と両立しながら学びたい方 ・通学する時間が取れない方 |
メリット | ・費用が安く、自由な時間に勉強できる |
・難易度の高い資格にも対応している ・仲間と一緒に学ぶことでモチベーションを維持しやすい |
・自宅で学習できるので自由度が高く、費用も比較的安い ・難易度の高い資格にも対応している |
デメリット |
・モチベーションを維持するのが難しい ・わからないことを質問できない |
・費用が高め ・通学の時間や手間がかかる |
・自己管理が不可欠 ・モチベーションを維持するのが難しい |
まとめ
実務者研修は、働きながらでも無理なく取得できる資格です。現場で働きながら学ぶことで、知識と実践力が同時に身につくのも大きな魅力といえるでしょう。
「キャリアアップを目指したい」と考えている方にとって、実務者研修は未来を切り開く第一歩となります。自分に合ったスクールや学習スタイルを見つけて、資格取得への一歩を踏み出してみてください。
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