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仕事・スキル 介護資格 2024/11/01

#介護事務

介護事務とは?仕事内容や必要なスキル・働く場所について紹介

文/中村 楓(介護支援専門員・介護福祉士・介護コラムニスト) thumb.jpg

介護事務は、介護事業所に欠かせない職種の一つで、介護事業所の事務全般を担っています。縁の下の力持ち的な仕事である介護事務は、どのような仕事をするのか気になっている人もいるのではないでしょうか。
本記事では、介護事務の仕事内容や1日の仕事の流れなどについて、詳しくお伝えします。

1.介護事務とは

パソコン作業をする手元

介護事務とは、介護施設の事務全般を担当する職種です。小さな事業所の場合は、介護補助業務をするケースや、介護職との兼任となっていることもあります。兼務があるかどうかは、求人票や面接の際に確認しておきましょう。

介護事務の雇用形態

介護事務の雇用形態には、正社員とパート、契約社員などがあります。厚生労働省によると、介護事務は女性が多く働いており、パートや契約社員の比率が高いのが特徴です。年齢層で見ると、40~50代が多く活躍しています。主婦がパートとして働いているケースも少なくありません。

介護事業所の中には、24時間運営しているところもありますが、勤務形態は、基本的に日勤で夜勤はありません。ただし、繁忙期には残業が生じることが多いでしょう。

参考:介護事務 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))|厚生労働省

2.介護事務の仕事内容

女性

介護事務は、介護報酬請求業務(レセプト作成)を中心に、以下のような業務を担当します。

介護事務の仕事内容

●窓口業務
●電話対応
●職員の出退勤管理
●職員の社会保険等の手続き
●会計処理
●事業所の備品の管理・発注
●連携機関の連絡
●提出書類の作成
●利用者さんへの請求書の発行
●利用料の徴収
●事務文書の作成


利用者さんへの請求業務については、利用者さんごとの負担割合に応じて請求書を発行するため、一人ひとりの金額が異なります。請求額を間違えてしまうと、大きなクレームにつながってしまうため、丁寧に確認しながら行わなければなりません。

●関連記事:介護事務の仕事はつらい?つらい理由ややりがい・転職のポイントを紹介

3.介護事務の1日の仕事の流れ

笑顔の女性

続いて、介護事務の1日の仕事の流れについて、デイサービスを例に詳しく見ていきましょう。

介護事務の日々の業務

デイサービスにおける介護事務の一般的な仕事の流れは以下のとおりです。

(例)デイサービスにおける介護事務の1日の仕事の流れ

8:30 朝礼、申し送り
9:00~9:30 メール、FAXの連絡等をチェック
9:30~10:00 来所した利用者さんの対応の手伝い
10:00~12:00 ●関係機関との連絡
●来客対応
●家族からの問い合わせ対応
●職員の出勤状況の確認
12:00~13:00 休憩
13:00~16:00 ●事業所の備品管理
●必要な備品の買い出し
●利用希望者の応対
●日々の会計事務
●レセプトの準備
16:00~16:30 利用者さんの送り前の手伝い
16:30~17:30 ●翌日への申し送り事項のまとめ
●日報の記入

時間帯ごとの仕事内容について、詳しく見ていきましょう。

【8:30~9:30】
介護事務の1日の仕事は、申し送りから始まります。事業所の多くは、朝礼を実施しており、各職種からの申し送り事項や連絡があります。申し送りを終えた後は、事務所に戻り関係機関や他の事業所からのメールやFAX等の連絡をチェックします。

【9:30~10:00】
9時過ぎになると、利用者さんが事業所に順次到着します。基本的には、介護職員や看護師が利用者さんの対応を行うものの、人手が足りないときには、事務員も利用者さんの対応の手伝いをします。利用者さんを席に案内したり、来所時のお茶の準備をして配ったりなど、デイサービスの職員の補助的役割を担います。

【10:00~12:00】
利用者さんの対応が終わると、再び事務所に戻り、事務作業の続きや電話対応、来客対応をします。具体的には、関係機関との連絡や、家族からの問い合わせ対応、利用希望者の案内などがあります。その他、職員の出勤状況の確認作業も行っています。

【12:00~13:00】
お昼休憩の時間は、事業所によって異なります。デイサービスの職員の休憩と一緒に行う場合もあれば、休憩をずらして入る場合もあります。フルタイム勤務であれば、休憩は1時間取ることができます。

【13:00~16:00】
休憩後は、午後の仕事に取り掛かります。午前中の仕事の続きや、事業所の備品管理を行い、必要な備品があれば買い出しに出かけたり、発注をかけたりします。また、日々の会計事務、介護報酬請求の準備も行います。

【16:00~17:30】
16時過ぎには、利用者さんが帰宅する時間となるため、再び利用者さん対応の手伝いをします。また、利用者さんが全員帰られた後、施設内の掃除を手伝うこともあります。
デイサービスの手伝いが終わると、翌日の申し送り事項をまとめ、日報の記入をして1日の仕事が終わります。

介護事務の月末月初の業務

介護事務の主な仕事である介護報酬請求は、月末締めの翌月10日までの請求となるため、介護事務は月末の2~3日と月初の1週間ほどが繁忙期となります。

【月末の業務】
月末の2~3日は、利用者さんの利用状況の実績を確認して提供票に記入します。利用者さんの担当ケアマネジャーが在籍する居宅介護支援事業所に実績を手渡し、もしくはFAXやメール等で送信し、実績の突き合せ作業を行います。

【月初の業務】
突き合せ作業が終わり、実績が確定したら、月初に介護請求ソフトを利用して介護給付費明細書(レセプト)を作成します。でき上がったレセプトは、事業所を管轄する都道府県の国民健康保険団体連合会にインターネット経由で提出し、介護報酬請求を行います。

4.介護事務に必要なスキルや資格にはどんなものがある?

本とパソコン

介護事務の仕事をするうえで、必要なスキルや関連するスキルにはどのようなものがあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

パソコンスキル

介護事務は、レセプトや在庫管理等をパソコンで行うため、パソコンスキルは必須となります。基本的なタイピングスキルと、Word・Excelを使用した書類作成、フォルダ・ファイル管理は、最低限できるようにしておきましょう。「マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)」などのパソコンスキルを証明する資格があると、選考の際に自己アピールしやすいでしょう。

臨機応変に対応できるスキル

介護事務は来客や電話対応が多く、対応する相手は、居宅介護支援事業所のケアマネジャーや医療機関の関係者、役所の高齢者担当部署など、多岐にわたります。特に、来客対応では、管理者につなぐ場合もありますが、その場で事務職員が対応するケースも多く、臨機応変に対応するスキルが求められます。

コミュニケーションスキル

利用者さんが利用する入所施設や通所施設の場合、来訪者に最初に対応するのが事務職員というケースも多く、介護事務の職員の対応次第で、介護施設の印象が変わる可能性もあります。そのため、介護事務は、社会人としてのマナーや社会常識だけでなく、コミュニケーション能力が必要とされる職種ともいえるでしょう。

介護職の経験

必須ではないものの、介護職としての経験も持っていると良いスキルです。介護事務では、介護保険制度に関する知識だけでなく、現場を手伝うこともあるため、介護現場の経験は重宝されるでしょう。

その他、業務の種類が幅広く、期限が定められている業務もあるため、複数の業務を同時にこなす能力や、スケジュール管理がしっかりできる能力も求められます。

介護事務に関連する資格

介護事務に関連する資格には、以下のようなものがあります。

介護事務に関連する資格

●介護事務管理士
●ケアクラーク
●介護報酬請求事務技能検定
●介護保険事務士
●介護事務実務士
●介護保険事務管理士


上記のうち、介護実務管理士とケアクラーク、介護報酬請求事務技能検定は、資格要件がなく誰でも受験できます。介護保険実務士、介護事務実務士、介護保険事務管理士は、資格の運営母体が指定する学校や法人等で学ぶ必要があり、取得のハードルは少し高いでしょう。

介護事務にはさまざまな民間資格があるものの、資格取得は必須ではありません。しかし、資格は専門知識を習得している証明となります。そのため、転職の際には他の応募者との差別化が図れるでしょう。

小さい事業所の場合、介護事務単体の募集ではなく、介護職との兼任となっているケースや、現場を手伝うこともあります。そのため、初任者研修や実務者研修、介護福祉士など、介護に関する資格があると、転職時に有利になりやすいでしょう。

●関連記事:介護事務におすすめの資格は?取得に向けた勉強方法も解説

5.介護事務が活躍できる勤務先とは?

室内

介護事務は、介護に関する事務を主に行うため、活躍できる勤務先は介護事業所となります。具体的には、以下のような事業所で介護事務として働くことが多いでしょう。

介護事務の勤務先と特徴

特徴
●介護老人保健施設
●特別養護老人ホーム
介護現場との兼務が少なく、事務職員も複数名いることが多いでしょう。
●デイサービスセンター
●グループホーム
事務職員が1名のことが多く、介護現場を手伝うことが多かったり、初めから現場と兼務になっていたりするケースもあります。
●訪問介護事業所
●訪問看護ステーション
職員が利用者さん宅に訪問していることが多いため、電話対応や職員への連絡などが多く発生します。
●居宅介護支援事業所 通常の介護事務業務のほか、ケアマネジャーの補佐を行うこともあります。

このほか、介護付き有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、福祉用具事業者等で、介護事務として働いている人もいます。

介護事務が一人の事業所の場合、自分のペースで仕事をしやすいのがメリットでしょう。しかし、業務上で不明点やトラブルなどが起こった場合は、自分一人で解決する必要があります。そのため、介護事務として働くのであれば、知識や経験、理想の働き方などを考慮したうえで、勤務先を選ぶのがおすすめです。

また、介護事務の給料について知りたい方は、以下も参考にしてみてください。
介護事務の求人・給料を見る

まとめ:介護事務は介護事業所に欠かせない存在

スーツ姿の女性

介護事務は、表に出る仕事ではないものの、介護事業所を運営するうえで必要不可欠な仕事です。事業所の事務全般を少人数で担当するため、多忙なことが多く、特に月末と月初はレセプトで忙しくなります。その分、やりがいも感じる仕事です。介護職との兼務のケースもあるため、実際に介護事務の仕事につこうと考えている場合には、兼務または専任についてしっかり確認しておきましょう。

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中村楓(Kaede Nakamura)

介護福祉士・介護コラムニスト

現役介護支援専門員。介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級、認知症介護実践者研修の資格を持つ。病院や通所リハビリ、デイサービスで介護福祉士として働き、生活相談員や介護認定調査員の経験も持つ。「介護の未来を明るくする」をモットーに、現場感ある記事を書く介護コラムニストとしても活動中。

中村楓の執筆・監修記事

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