【介護職向け】便の拭き方の流れ|排せつ介助の注意点も解説
構成・文/介護のみらいラボ編集部
排せつ介助とは、介護施設や訪問介護の現場において、自分自身で排せつしたり、事後の処理を行ったりするのが難しい状態の高齢者を支援することです。また、おむつを利用している高齢者の便を拭いたり、皮膚を清潔に維持したりすることも排せつ介助に含まれます。
排せつ介助は、人間の尊厳にも関わる重要度の高い業務であるため、ケアの進め方やポイントをふまえた上で、正しく実践することが必要です。当記事では、排せつ介助に苦手意識を持つ方や介護業界に関心を持つ方のために、便の拭き方の基本と実践する際の注意点を解説します。
1.【介護職向け】排せつ介助における便の拭き方
おむつを利用している方への排せつ介助は、おむつ交換する作業と便を拭き取る作業の2つの工程で行われます。排せつ介助をスムーズに行うには、以下に挙げた「おむつ交換に必要な物品」と「便の拭き取りに必要な物品」の両方を事前にそろえておくことが大切です。
おむつ交換に必要な物品 |
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・新しいおむつ、尿とりパッド ・新聞紙 ・ケアシーツ ・ビニール袋 ・トイレットペーパー ・使い捨ての手袋 |
便の拭き取りに必要な物品 |
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・陰部洗浄ボトル ・トイレットペーパーもしくはティッシュ ・タオルもしくはお尻拭き |
常温の水や冷水が陰部にかかると高齢者が驚いてしまう可能性があるため、陰部洗浄ボトルには38〜40度程度のお湯を入れておきましょう。暖かいお湯を使うことで、便を拭き取りやすくなるというメリットもあります。
また、排せつ介助に必要な物品は、なるべく高齢者の顔から離れた位置に準備しましょう。必要な物品をそろえた後は床に新聞紙などを敷き、汚物を置く場所を確保します。その後、使い捨て手袋を着用して、排せつ介助を行ってください。
以下では、おむつ着用の場合を例に便の拭き取りのポイントと、おむつ交換の流れを解説します。
おむつで便を拭う
便の拭き取りには、まず使用済みのおむつを利用します。使用済みおむつの汚れていない部分を使って、固形の便や目立つ汚れを拭いましょう。使用済みおむつを使用する理由は、大きく分けて次の2点です。
・水分を多く含む汚れもきれいに拭える
・効率的に作業できる
おむつは吸水性の高い素材で作られているため、トイレットペーパーやティッシュに比べて水分を多く含む汚れを効率的に拭えます。高齢者のストレスを軽減するためにも、使用済みおむつを活用しながら手早く作業を行いましょう。
前から後ろに便を拭う
便を拭う前の準備として、トイレットペーパーやティッシュを数枚重ねたものを数セット作り、手の届く範囲に置きます。
まずは、体の前面の汚れを拭き取ります。その後、体を横向きに変えて、お尻の「前から後ろ」(尿道側から肛門)の方向に拭ってください。拭う方向を誤ると陰部に汚れが入り込み、尿路感染症や膀胱炎などの病気を招く原因になりかねません。
拭った後のトイレットペーパーなどは、汚れた面を下にして、あらかじめ用意しておいた汚物置き場に置いてください。使用済みのティッシュやトイレットペーパーを決まった場所に置かないと、便がほかの場所に付着するリスクが高まるので注意しましょう。
お湯で洗い流す
拭って落ちない汚れを取り除くには、お湯による洗い流しが必要です。陰部洗浄ボトルを使ってお湯をかけ、タオルもしくはお尻拭きで、水分を拭ってください。以下は、お湯で洗い流す際の注意点です。
・体の真上から真下方向にお湯をかける
・皮膚が重なっている部分は指を入れ込んで、汚れを落とす
鼠蹊部(そけいぶ)や陰のう部は皮膚が重なっているため、汚れがたまりやすくなります。指を入れ込んで十分に洗い流すことで、しっかり汚れを落としてください。タオルやお尻拭きで水分を拭う際には1回ごとに使用する面を変え、きれいな面で拭くことが大切です。乾燥したタオルなどは肌との摩擦を起こしやすいため、強くこすることを避けて、押さえ拭きしましょう。
なお、必要に応じて泡洗浄も行ってください。
新しいおむつに交換する
高齢者の使用しているおむつの種類によって、交換方法は異なります。以下は、テープタイプのおむつを使用している場合の基本的な交換手順です。
【1】高齢者の姿勢を横向きに変える
【2】おむつの中心を持ち、背骨に当てる
【3】背骨に当てた部分のおむつを手で押さえて、左右に広げる
【4】腰の下におむつの片側を差し込み、残りの部分はベッドの上に広げる
【5】高齢者の姿勢を仰向けに変え、【4】で差し込んだおむつを引き出す
【6】足の間からおむつを引き出して広げ、股ぐりに沿わせる
【7】鼠蹊部に合わせて、左右に1回ずつおむつを引く
【8】おむつの中心と、高齢者の体の中心が合うようにする
【9】股関節の曲がる部分におむつがかからないように意識しつつ、腰の下に差し込む
【10】上下のテープをクロス止めにする
クロス止めとは、上のテープを斜め下向き、下のテープを斜め上向きに貼る止め方です。体が細い高齢者の場合は、上下のテープを交差させるように貼りましょう。テープを止めた後は仕上げとして、ウエストや足周りがきつすぎたり、ゆるすぎたりしないことを確認しましょう。いずれの部位も、指1本もしくは手の平が入る程度の余裕がある状態が適切です。
2.排せつ介助を行う際のポイント
排せつ介助では、おむつ交換や便の拭き取りなど、高齢者の羞恥心をあおりやすい支援を提供することになります。排せつ介助のやり方を誤ると、高齢者との心理的な距離が広がってしまう恐れがあるので注意しましょう。以下では、高齢者に寄り添った介護を実践するために把握しておきたい、排せつ介助のポイントを解説します。
高齢者の気持ちに配慮する
多くの高齢者は排せつ介助を受けることに、抵抗感を持っています。排せつ介助を行う際には高齢者の立場になって行動し、自尊心を傷つけるような発言は控えましょう。なかでも、以下のような発言は控えるべきです。
・便の臭いや量に言及する
・排せつの失敗を責める
2人部屋や4人部屋で生活している方の場合は、「排せつに関する話題を他の方に聞かれたくない」という気持ちにも配慮する必要があります。排せつに関する会話はできるだけ避け、日常会話をしながら高齢者が不安や不満を抱かない排せつ介助を行いましょう。
声かけを忘れずに行う
排せつ介助をスムーズに進めるには、高齢者との信頼関係が欠かせません。お湯をかけたり使用済みのおむつを外したりする際には忘れずに声かけし、高齢者の不安を和らげるようにしてください。
以下に、高齢者に声かけする際の注意点やコツをまとめました。
・「拭いていきますね」「足を持ち上げますね」など、高齢者が驚かないよう先回りして伝える
・やや大きめの声で、ゆっくり話す
・明るい笑顔で話しかける
・スピーチロックを行わない
スピーチロックとは、相手の行動を抑制したり対応を強要したりする声かけのことです。排せつ介助においては、「動いてはいけません」「じっとしてください」などと伝えることがスピーチロックにあたるため、使用を避けましょう。
臭いに配慮する
排便臭や尿臭が室内に充満すると高齢者の気分を害したり、生活の質を低下させたりするリスクがあります。排せつ介助後は十分な臭い対策を行い、高齢者に対する影響を最小限に抑えましょう。以下に、排せつ介助後に実践できる臭い対策の例を示します。
・窓や扉を開けて、室内を換気する
・臭い除去機能付きの空気清浄機、換気扇などを活用する
・排せつ物の付着したベッドシーツや衣類を放置しない
・置き型の消臭剤を設置する
室内を換気する時間は1回あたり、5〜10分程度が適切です。効率的に臭い対策するためには、2カ所以上の窓を開けるなど、空気の通り道を意識した換気を行いましょう。置き型の消臭剤を活用する場合は、介護用に開発された商品を選ぶことが大切です。通常の消臭剤では、排便臭や尿臭に対処できないケースがあるので注意しましょう。
まとめ
排せつ介助において便を拭く際は、まず使用済みのおむつで大方の汚れを拭います。その後は、ティッシュペーパーなどで前から後ろに汚れを拭い、お湯で洗い流す作業を行いましょう。なお、排せつ介助を行う際には、高齢者の気持ちに配慮する、適時声かけするなどの注意点を必ず守ってください。
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※当記事は2022年6月時点の情報をもとに作成しています
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