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高齢者レクリエーション 高齢者レクリエーションのノウハウ 2023/08/25

#壁面飾り#夏のレクリエーション#認知症ケアの現場から

高齢者と一緒に作る夏の「花火」の壁面飾り【6月・7月・8月】型紙付き|認知症ケアの現場から(10)

文・写真/安藤祐介(作業療法士) thumbnail.jpg

介護施設では、利用者さんの心身の賦活や気分転換などを目的に、多くのレクリエーションが提供されます。毎回、内容が充実したレクリエーションを提供できるのが望ましいですが、施設によってはレクリエーションにさける人員が少なかったり、時間を確保するのが難しかったりする場合もありますよね。そのため、少人数の職員でも行いやすい、塗り絵やクイズプリント類の配布で対応している施設も多いかと思います。

また、楽しんでレクリエーションに取り組まれる利用者さんがいる一方で、認知症がある利用者さんのなかには、職員が個別に対応しないと集中して取り組めなかったり、途中で混乱されてしまったりする方もいらっしゃいます。そうしたケースでは、対応に苦慮することもあるのでしょう。

そこで本記事では、認知症がある利用者さんでも取り組みやすく、きれいに仕上がる塗り絵の図案の作り方と、それを活用した花火の飾りをご紹介します。

1.塗り絵で期待できる効果

  • 心身が賦活されて認知機能の維持につながる
  • 余暇時間が充実して生活の質が高まる
  • 気分転換や楽しみの機会につながる
  • 日中の活動性が向上して生活のリズムが整う
  • 活動的な座位姿勢をとることで体力の維持につながる
  • 集中して取り組むことで認知症の周辺症状が緩和される

2.失敗体験を少なくする塗り絵のポイント

塗り絵は図案と色鉛筆があれば実施できるため、介護施設で提供しやすいレクリエーションの1つでしょう。ただし、認知症があると複雑な図案で混乱が見られたり、色の使い分けが難しかったり、輪郭をはみ出して塗ったりして、結果的に失敗体験につながってしまうことも少なくありません。

失敗体験を減らすためのポイントは、図案の背景が黒色の塗り絵を用意することです。背景が白色だと、はみ出して塗った線が目立ったり、どこまで輪郭なのかがわかりにくかったりすることがあります。しかし、黒色の背景なら明暗がはっきりしているので、塗る部分がわかりやすく、はみ出して塗った線も目立ちません。

また、塗り絵の図案は夜空(黒色の背景)に輝く花火や、三角形・円形が組み合わされた図形などを選ぶのがおすすめです。リンゴやバナナを青色で塗れば違和感がありますが、花火であれば何色で塗っても違和感がない仕上がりになるからです。今回は、最終的に吊して飾ったり、壁面飾りにしたりできる花火の塗り絵を、図案から作っていきましょう。

3.花火の塗り絵の準備

①黒色の画用紙を丸く切り抜いて円形にします。パソコンが使用できる人はワード(word)などを活用して、黒色の円形を描画・印刷しても良いでしょう。



②白色の画用紙を長方形や三角形、小さな円形などに切り、黒色の円形の上に花火をイメージして貼り付けます。ここで貼り付けた白色の図形が色を塗る部分になるので、簡単なものから複雑なものまでさまざまな難易度を用意しておくと、利用者さんの適応の幅が広がります。ワード(word)などで作製する場合、黒色の円形の上に別の図形を配置してから印刷すると良いでしょう。



③出来上がった花火を、必要なサイズに印刷(コピー)すれば塗り絵の完成です。



4.花火の飾りの作製

①花火の塗り絵を利用者さんに提供して塗ってもらいます。完成した塗り絵をそのまま飾る場合は、下記2・3を省略していただいて構いません。



②塗り終わったら、黒色の円形に沿ってハサミで切ります。問題なくハサミが使える利用者さんがいれば、手伝ってもらうのも良いでしょう。



③切り抜いた花火の塗り絵を模造紙などに張り付ければ完成です。
数枚をまとめて吊るせば華やかな見た目になりますし(吊るし雛のようなイメージです)、たくさん作製して季節の壁面飾りにしてもきれいですよ。


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安藤祐介(Yusuke Ando)

作業療法士

2007年健康科学大学を卒業。作業療法士免許を取得し、介護老人保健施設ケアセンターゆうゆうに入職。施設内では認知症専門フロアで暮らす利用者47名の生活リハビリを担当し、施設外では介護に関する講演・執筆・動画配信を行っている。

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