介護と看護の違いとは?役割・仕事内容・資格について解説
構成・文/介護のみらいラボ編集部
介護施設などでは、介護職と看護師が互いに協力して業務をこなす光景は珍しくありません。当然ですが、介護職は介護を、看護師は看護を行います。それでは、介護施設の利用者などに対して提供される介護と看護との間には、どのような違いがあるのでしょうか。
ここでは、役割や意味の面から見た介護と看護の違いや、それぞれの具体的な仕事内容、主要資格の特徴などについて詳しく解説します。介護と看護の用語の違いについて興味のある方は、ぜひ参考にしてください。
1.介護と看護の違いとは?意味・役割から解説
介護も看護も、高齢者や障害のある方の日常生活をサポートする点で共通しています。ただし、現場で求められる役割は同じではありません。ここでは、介護と看護の意味や役割の違いについて解説します。
●介護とは
介護とは「日常生活で不自由を感じている方に対し、安全で快適な生活を営めるようサポートすること」です。利用者一人ひとりが自分らしく生きられるように手助けをします。
介護の役割は「身体介助や生活援助などを通し、利用者を自立支援すること」です。身体介助とは利用者に触れて直接行うサポート業務のことで、入浴介助や食事介助などがあります。生活援助は掃除や買い物、料理など身体に触れることなく行う支援のことです。利用者・家族の相談に乗り、適切なアドバイスをすることも介護の役割に含まれます。
なお、介護業界では資格がなくても一部のサービスを提供することは可能です。介護福祉士や介護支援専門員(ケアマネジャー)などの有資格者になると、業務範囲が広がります。
●看護とは
看護とは「医療的なサポートをすること」です。病気や怪我をしている方や高齢者などを対象に、医療知識を駆使してサポートを行います。
看護の役割は、「病人や怪我人などを観察し、最適な健康状態へと回復するよう支援すること」です。病気の予防指導や自立に向けた指導を行ったり、家族の相談に乗ったり、患者さんや利用者の精神状態をケアしたりすることも看護の役割に含まれます。
サービスを提供するのは看護師や保健師などの医療の専門資格を保有している人です。
2.介護と看護の「仕事内容」の違い
意味や役割の違いから、介護と看護では具体的な業務内容に違いがあります。高齢者施設では一見同じような仕事をしていることもありますが、実際には作業の目的や詳細は同じではありません。
ここでは、介護と看護の仕事内容について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
介護の仕事内容
まず、介護の仕事内容を主な職種別に紹介します。
・施設介護員
介護施設の入居者や通所者に対し、自立した生活が送れるよう援助するのが主な仕事です。入浴・食事・排泄・歩行など生活のあらゆるシーンで利用者を見守り、必要とする援助を行います。
どこまで援助するかは、利用者の自立の度合いによって異なります。手助けを必要とする部分はサポートしつつ、利用者自身でできることは自分でしてもらうことも大切です。入所生活が楽しくなるように、「レクリエーションを計画する」「周囲と円滑にコミュニケーションがとれるよう働きかける」ことも行います。
・訪問介護員
要介護認定を受けている高齢者や障害支援区分の認定を受けている障害がある人の家を訪れ、介助や家事を行うのが主な仕事です。たとえば、食事・寝返り・入浴・排泄・更衣などの介助を行います。調理・洗濯・掃除・買い物などの代行も仕事に入ることがあります。行政分野や医療分野、保健分野の職員とチームを組んで働くことも少なくありません。
(出典:厚生労働省 職業情報提供サイト「訪問介護員/ホームヘルパー」)
・介護支援専門員(ケアマネジャー)
介護が必要な人を対象に、どのような介護サービスが必要かを判断してケアプランを作成するのが主な仕事です。作成したケアプランに基づきデイサービスなどの事業者に依頼するほか、定期的に要介護者のもとへ訪問して状況を把握し、必要に応じてケアプランの変更も行います。
市町村から要介護認定調査を委託されたときは、調査を実施して結果を報告するのも大切なケアマネジャーの仕事です。
看護の仕事内容
続いて、看護の仕事内容を職種別に紹介します。
・病棟看護師
24時間交代制で入院患者さんの対応にあたりケアをするのが主な仕事です。病棟では、医師の指示に従って検査・注射・点滴管理・投薬などを行います。食事や入浴、排泄の補助も仕事のうちです。患者さん本人や家族の話を聞き、精神面でのケアをすることも仕事に含まれます。
(出典:公益社団法人 日本看護協会「病棟看護師」)
・訪問看護師
利用者の自宅を訪れ、ケアを行うのが主な仕事です。患者さんによってケアの内容は異なりますが、一般に健康状態のチェックや医療指導、身体介護などを行い、日常生活を無理なく送れるよう援助します。本人や家族の相談に乗り、アドバイスをすることも大切な仕事です。日常的に医療ケアが必要な子どもから寝たきりの高齢者まで、利用者の年齢層は多岐にわたります。
(出典:公益社団法人 日本看護協会「訪問看護師」)
・介護施設で活躍する看護師
施設に入居している利用者の健康管理や投薬管理を行うことが主な仕事です。介護職と連携し、医療の立場から利用者をサポートします。利用者の状態によって創傷処置や経管栄養を実施したり、医師の指示に従って点滴や採血などの医療行為を行ったりすることも仕事のうちです。誤嚥の恐れがある利用者には食事介助をしたり、場合によっては入浴介助をしたりもします。
(出典:公益社団法人 日本看護協会「特養で働く」)
3.介護と看護の「資格」の違い
介護職は福祉職であり、看護師は医療職です。それぞれの役割が異なるため、求められる資格の種類や資格の必要度にも違いがあります。たとえば、介護の場合は一定の業務に就く際には必要となるものの、資格がなくても働けるケースもあります。
一方、看護の場合は、基本的に無資格で働くことはできません。資格がなければ、できる仕事は看護助手のような専門的な判断を必要としない業務に限られます。
介護に関する4つの資格
介護業務に関する代表的な資格を4つ挙げ、特徴を紹介します。
・介護職員初任者研修
介護の基本的な業務を遂行する上で必要な最低限の知識や技術を習得したことを証明する公的資格です。講義と実技演習からなる130時間の研修を受けたのち、修了試験に合格すれば取得できます。
取得すれば、訪問介護を含むあらゆる現場で介護スタッフとして働けるようになります。取得にかかる期間は平均3か月程度で、数多くある介護資格の中でももっとも取りやすい資格です。
・実務者研修
幅広い利用者を対象に、基本的な介護サービスが提供できる知識や技術の習得を目指す研修です。実務者研修を修了すれば、痰の吸引や経管栄養などの処置もできるようになります。
研修時間は合計で450時間にも及びますが、介護職員初任者研修などの資格を保有している場合、カリキュラムが免除されるケースもあります。
(出典:厚生労働省「介護福祉士の資格取得方法の見直しの延期について 」)
・介護福祉士
「社会福祉士及び介護福祉士法」で定める介護に関する専門的な国家資格です。専門知識と技術を生かして利用者の心身の状況に応じた介護を行うほか、介護現場のリーダーとしてスタッフの指導も行います。介護福祉士資格を取得するには、受験資格を満たしたのち国家試験を受けて合格することが必要です。
・介護支援専門員(ケアマネジャー)
要介護者や要支援者の介護度に応じ、必要な支援が受けられるようにケアプランを作成したり、介護サービス事業者や施設との連絡調整を行ったりします。
取得するには、介護支援専門員実務研修受講試験に合格後、介護支援専門員実務研修の課程を修了することが必要です。また、受験するには一定の実務経験があるなどの条件を満たす必要があります。
看護に関する2つの資格
看護業務に関する代表的な資格を2つ挙げ、特徴を紹介します。
・看護師
看護師は、病院などの医療施設や老人ホームなどの福祉施設で診療補助や療養上の世話を行います。看護師資格を得るには、所定の課程を修了して国家試験に合格し、免許を受けることが必要です。
・准看護師
准看護師は、医師や看護師の指示に従って看護を行います。自らの判断で業務を行えない点が、看護師とは異なります。准看護師免許を取得するには、所定の課程を修了後、都道府県試験を受けて合格することが必要です。2年制の看護師養成所で学び、国家試験に合格すれば、看護師にもなれます。
まとめ
介護も看護も、高齢者や障害のある方の日常生活をサポートする点では同じです。ただし、それぞれの役割は異なります。介護の役割は介助によって利用者の自立を支援することであり、看護の役割は医療的なサポートによって患者さんの健康状態の回復を支援することです。違いを明確に理解して、適切な介護が行えるようになりましょう。
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※当記事は2022年3月時点の情報をもとに作成しています
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