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介護職系資格について

介護福祉士とは?取得方法から資格を活かすポイントまで

介護福祉士とは、介護サービスの中心的役割を担う国家資格です。介護職員初任者研修・実務者研修の上位に位置し、持てば転職にも有利です。介護福祉士の仕事は、「直接的に介護を行う身体介護」「家事や身の回りの世話を行う生活支援」「介護を必要とする当事者とその家族からの相談に応じる相談・助言」の3種類があります。また、施設内での介護計画の作成に加え、訪問介護ではヘルパーの指導も行うため、現場で働く介護職全体のリーダー的存在と言えるでしょう。

介護福祉士になるためには4つの方法があります。まず介護福祉士を養成する専門学校等を卒業する「養成施設ルート」、次に実務経験を積んで受験資格を得る「実務経験ルート」、さらに福祉系高校の卒業者を対象にした「福祉系高校ルート」、そして経済連携協定(EPA)によって介護福祉士資格取得を目指すインドネシア人やフィリピン人、ベトナム人を対象とした「経済連携協定(EPA)ルート」の4種類です。その中でも一般的な「養成施設ルート」と「実務経験ルート」の2種類について見ていきましょう。


■養成施設ルート

国家試験を受験せずに介護福祉士になるためには、介護福祉士を養成する専門学校を卒業しなくてはいけません。高卒や一般大学卒業の場合は2年制の専門学校、福祉系大学や社会福祉士、保育士の専門学校卒業であれば1年制の専門学校を卒業すると、無試験で介護福祉士になることができます。

しかし、平成19年の法改正により、平成29年度からは養成施設卒業であっても国家試験に合格しなければ介護福祉士を名乗れなくなりました。

ただし、平成33年度末までに卒業する場合には、卒業後5年連続で介護に従事し介護福祉士として登録すれば、試験を受けることなく介護福祉士になることができます。平成34年度卒業からは、国家試験を受験して合格しなければ介護福祉士になることはできません。


■実務経験ルート

養成施設に通わずに介護福祉士になるには、まず3年以上の実務経験を積む必要があります。そして、介護福祉士実務者研修を修了することではじめて、介護福祉士国家試験の受験資格を得ることができるのです。

以前行われていた介護職員基礎研修修了だけでは介護福祉士国家試験の受験資格はありません。しかし、喀痰(かくたん)吸引等研修も修了すれば、介護福祉士実務者研修を修了していなくても受験資格を得ることができます。

介護福祉士の資格を取得するには、まず国家試験の受験費用15,300円がかかります(平成30年現在)。また、介護福祉士の資格取得費用は、専門学校に行くか、介護福祉士実務者研修を受講するかによって、大きく変わります。


■専門学校の費用

2年制の専門学校の場合、年間で120~150万円かかるところが多く、2年間で約300万円が必要となります。
しかし、各都道府県の福祉人材センター・福祉協議会などが貸与している介護福祉士等就学資金貸付制度という奨学金を利用すれば、おおまかにいって2年間でおよそ160万円の奨学金を受け取ることができます。卒業後該当する自治体で5年間介護業務等に従事すれば全額返還免除となるため、専門学校への進学を考えている場合には、奨学金も選択肢のひとつに加えると良いでしょう。


■介護福祉士実務者研修の費用

介護福祉士実務者研修の場合は、現在保有している資格によって受講費用に違いがあります。無資格の場合はおよそ20万円ほどかかりますが、介護職員基礎研修修了者であれば3~5万円程度で受講することができます。また、介護職員初任者研修やホームヘルパー2級を保持している場合は、6~15万円が相場となっています。

介護福祉士は、あらゆる福祉の現場で活躍することができます。病院や介護施設、デイサービスや訪問介護など、福祉に関わる現場では引く手あまたの資格と言えるでしょう。職場では介護のリーダー的役割を担うことも多く、介護主任などの役職につくこともできます。また、将来的にケアマネジャーを目指す場合には、介護福祉士の実務経験が必要です。介護福祉士は福祉の仕事を続けていくうえで、活用の幅が広い資格であり、活躍の場も広がります。キャリアアップを考える場合でも、介護福祉士の資格は最初のステップとしておすすめです。

介護職員に就く際に求められる資格には、介護福祉士・介護職員初任者研修・介護福祉士実務者研修などがあります。そうした介護系資格の中で、介護福祉士は唯一の国家資格です。介護福祉士の資格に合格して登録を行うと、「国家に認定された介護職員」であるとみなされます。

介護福祉士の資格を取得するためには、どのような方法があり、資格を持っているとどのような利点があるのでしょうか。 この記事では、介護福祉士の取得方法から、取得した資格を活かして働くポイントまで詳しく解説します。

監修:馬淵敦士
「ベストウェイケアアカデミー」学校長。介護福祉士・社会福祉士・介護支援専門員(ケアマネジャー)・公認心理師。

1.介護福祉士とは

介護福祉士とは、介護サービスの中心的役割を担う国家資格です。介護職員初任者研修・介護福祉士実務者研修の上位に位置し、取得していれば転職で有利に働きます。
介護福祉士の仕事は、

  • 1.専門的知識及び技術をもって、身体上または精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護を行う。
  • 2.利用者またはその介護者(家族等)に対して介護に関する指導を行う。
と定められています。

例えば、訪問介護(ホームヘルパー)であれば、利用者に対する入浴介助・食事介助・排泄介助などの身体介護や、調理・洗濯・掃除などの家事援助のほか、利用者の家族に対して、利用者の身体に負担のかからない介助方法を指導なども行います。特別養護老人ホームなどの介護施設では、入所者への身体介護やレクリエーションなど、施設内で必要な日常生活にかかる世話などを行います。

また、訪問介護ではヘルパーの指導も行うため、現場で働く介護職員全体のリーダー的存在といえるでしょう。

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2.介護福祉士の資格を取得するメリット

国家資格である介護福祉士は、介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修とは異なり、特別養護老人ホームなどの介護保険施設や障害者支援施設への就職時や転職時には非常に有利です。同時に、資格保持者に対しては、介護職員初任者研修修了者や無資格者と比較して、より高度な技術や専門的知識が要求されるでしょう。

ここでは、介護福祉士の資格を取得することで得られる3つのメリットについて、解説します。

2-1.仕事の幅が増える

介護福祉士の資格は、介護専門職唯一の国家資格です。そのため、高齢者や障害者向けの施設で管理職を配置する場合に、介護福祉士の資格保持者が任命されることが多い傾向にあります。

ヘルパーを指導する立場となり、通常のヘルパーでは経験できないような責任ある仕事を任されるようになるため、仕事の幅が広がります。

2-2.好待遇で雇用してもらえる

介護福祉士の資格を取得することで、待遇面での改善も期待できます。最初に雇用されるときの給与水準が高い上に資格手当が付き、管理職となった場合には当然役職手当も追加されるでしょう。

施設によって、介護福祉士に対する給与は異なりますが、例として無資格者と比べて1ヶ月で5万円、年間で60万円程度の差が生じることがあります。

2-3.社会的にも信頼を獲得できる

介護福祉士は、介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修とは異なり国家資格のため、周囲からの信頼度が異なります。また、介護保険に関する事業者や施設では介護福祉士の配置割合で加算が付く(介護報酬が変わる)ため、介護福祉士は高く評価されます。

今後の介護業務において必須の資格として、ますます重要な位置を占める可能性が高く、介護福祉士は取得しておいて損はない資格です。

3.介護福祉士の合格率

介護福祉士の国家試験は、筆記試験が毎年1月最終日曜日、実技試験が毎年3月第1日曜日に行われます。最大で年間15万人以上が受験したこともありますが、近年の受験者数は10万人前後です。

第1回の合格率は20%程度でしたが、徐々に上昇し、ここ数年は70%前後となっています。国家資格の中には合格率が一桁の資格もあるため、その中では介護福祉士の資格は比較的高い合格率であるといえるでしょう。

出典:厚生労働省「第31回介護福祉士国家試験合格発表

しかし、問題の中には回答に戸惑うようなものもあり、年によって試験内容の難易度が異なります。事前の受験対策や試験勉強をしっかりと行って、受験に取り組みましょう。

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4.介護福祉士の取得方法

介護福祉士の資格を取得するためには、「実務経験ルート」「養成施設ルート」「福祉系高等学校ルート」「経済連携協定(EPA)ルート」の4ルートがあります。それぞれに取得する流れや必要となる実務経験などが異なるため、自分に合ったルートで取得しましょう。

ここでは、4つのルート別に介護福祉士の資格取得方法を解説します。

4-1.実務経験ルート

実務経験者ルートは、養成施設に通わずに介護福祉士となるための方法です。養成施設に通わずに介護福祉士となるためには、まず3年以上の実務経験を積む必要があります。
そして、介護福祉士実務者研修を修了することではじめて、介護福祉士試験の受験資格を得ることが可能です。

注意しなければならないのは、以前行われていた介護職員基礎研修を修了しただけでは、介護福祉士試験の受験資格を得ることができません。しかし、介護職員基礎研修と喀痰(かくたん)吸引等研修の両方を修了していれば、介護福祉士実務者研修を修了していなくても受験資格を得ることができます。

4-2.養成施設ルート

養成施設ルートは、高校卒業後に介護福祉士養成施設を修了し、試験を受けることで介護福祉士を目指す方法です。

2016年度の卒業者までは、介護福祉士養成施設を卒業すれば、介護福祉士国家試験を受験せずに介護福祉士に登録することができていました。しかし、法改正により、2017年度以降に介護福祉士養成施設を卒業する者は、介護福祉士国家試験に合格しないと、介護福祉士に登録することができなくなりました。

ただし、経過措置として、2017年度から2026年度に介護福祉士養成施設を卒業する者は、介護福祉士国家試験に合格しなくても卒業後5年間は介護福祉士の期限付き登録が認められます。かつその5年間継続して介護福祉士として勤務した者についてはその期限付きがとれ、介護福祉士国家試験を受験することなく介護福祉士に登録することができます。実務経験がない者や2027年度以降に介護福祉士養成施設を卒業した者は、介護福祉士国家試験に合格しないと登録することができません。

4-3.福祉系高等学校ルート

福祉系高校や福祉系特例高学などを卒業して、介護福祉士の資格取得を目指すルートです。福祉系高校と福祉系特例高校は、取得する教科や単位数が異なりますので、受験資格を得るまでのプロセスが若干異なります。まず、2009年度以降に福祉系高校へ入学して卒業した場合には、卒業と同時に受験資格が得られ、実技試験も免除されます。
また、2008年度以前に福祉系高校へ入学して卒業した場合、卒業と同時に受験資格を得ることができますが、実技試験は免除されません。実技試験の免除を受けるためには、介護技術講習を修了する必要があります。

さらに、福祉系特例高校へ入学して卒業し、9ヶ月以上介護等の業務従事した場合、受験資格を得ることができますが、実技試験は免除されません。実技試験の免除を受けるためには、介護技術講習を修了する必要があります。

4-4.経済連携協定(EPA)ルート

EPA介護福祉士候補者が、介護福祉士の資格取得を目指すルートです。日本の介護福祉士資格の取得を目指して、介護の講習や業務を行うインドネシア・フィリピン・ベトナムなどEPA連携している国の人をEPA介護福祉士候補者と呼びます。

3年の実務経験後、受験資格を取得できます。また、介護福祉士実務者研修や介護技術講習を修了することで、実技試験が免除されるコースも選択することも可能です。

5.介護福祉士の受講・受験資格

介護福祉士の受験資格は、取得するルートによって異なります。実務経験が必要な場合もあれば、介護福祉士実務者研修の修了が求められる場合もあります。
ここでは、介護福祉士を取得するための4ルートから、受験資格について紹介します。

■養成施設ルート
介護福祉士養成施設を卒業して、介護福祉士国家試験の受験資格を取得する場合は、下記のいずれかの方法によります。また、養成施設ルートでは、筆記試験のみで実技試験は免除されます。(筆記試験の受験については、2026年度の卒業生まで経過措置があります。)

  • ・介護福祉士養成施設(2年以上)を卒業する。
  • ・福祉系大学・社会福祉士養成施設・保育士養成施設を卒業し、介護福祉士養成施設(1年以上)を卒業(または修了)する。

■実務経験ルート
介護福祉士国家試験の受験資格を取得できる学校を卒業しない場合は、介護等の業務の実務経験が求められます。介護福祉士国家試験で求められる実務経験とは、「従事期間3年以上かつ従事日数540日以上」を指します。具体的には、特別養護老人ホームやヘルパーステーションなどの、介護等を提供する事業者や施設などに3年以上在籍し、かつ540日以上勤務する(介護等の業務を提供する)ことで、介護福祉士国家試験の受験資格を取得できます。
また、実務経験ルートでは、介護福祉士実務者研修の修了が必須です。ただし、介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修の両方を修了している場合には、介護福祉士実務者研修の修了は必要ありません。

養成施設ルートと同様に、実務経験ルートでも筆記試験のみで実技試験は免除されます。

・3年以上の従事期間かつ従事日数540日以上+実務者研修

■福祉系高等学校ルート
福祉系高校や福祉系特例高等学校などを卒業して介護福祉士となる場合、入学年度によって受験資格が異なります。

  • ・2009年度以降に、福祉系高校に入学した場合:卒業と同時に受験資格取得(筆記試験のみ)
  • ・2008年度以前に、福祉系高校に入学した場合:卒業と同時に受験資格取得(筆記試験+実技試験)
  • ・福祉系特例高等学校に入学した場合:卒業+9ヶ月以上の実務経験で受験資格取得

■経済連携協定(EPA)ルート
日本の介護福祉士を目指すインドネシア人、ベトナム人、フィリピン人のためのルートです。介護施設で3年以上就労・研修を行うことで受験資格が得られます。

・3年以上の実務経験

出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「[介護福祉士国家試験]受験資格(資格取得ルート図)

介護福祉士 資格

6.介護福祉士のカリキュラム

ここでは、介護福祉士養成施設における科目・カリキュラムと、そのねらいを記します。

◎人間と社会

教育内容 ねらい
人間の尊厳と自立 「人間」の理解を基礎として、人間としての尊厳の保持と自立・自律した生活を支える必要性について理解し、介護場面における倫理的課題について対応できるための基礎となる能力を養う学習とする。
人間関係とコミュニケーション 介護実践のために必要な人間の理解や、他者への情報の伝達に必要な、基礎的なコミュニケーション能力を養うための学習とする。
社会の理解 ① 個人が自立した生活を営むということを理解するため、個人、家族、近隣、地域、社会の単位で人間を捉える視点を養い、人間の生活と社会の関わりや、自助から公助に至る過程について理解するための学習とする。
② わが国の社会保障の基本的な考え方、歴史と変遷、しくみについて理解する学習とする。
③ 介護に関する近年の社会保障制度の大きな変化である介護保険制度と障害者自立支援制度について、介護実践に必要な観点から基礎的知識を習得する学習とする。
④ 介護実践に必要とされる観点から、個人情報保護や成年後見制度などの基礎的知識を習得する学習とする。
選択科目 養成施設ごとに選択し、科目の時間を設定

◎介護

教育内容 ねらい
介護の基本 「尊厳の保持」「自立支援」という新しい介護の考え方を理解するとともに、「介護を必要とする人」を、生活の観点から捉えるための学習。また、介護における安全やチームケア等について理解するための学習とする。
コミュニケーション技術 介護を必要とする者の理解や援助的関係、援助的コミュニケーションについて理解するとともに、利用者や利用者家族、あるいは多職種協働におけるコミュニケーション能力を身につけるための学習とする。
生活支援技術 尊厳の保持の観点から、どのような状態であっても、その人の自立・自律を尊重し、潜在能力を引き出したり、見守ることも含めた適切な介護技術を用いて、安全に援助できる技術や知識について習得する学習とする。
介護過程 他の科目で学習した知識や技術を統合して、介護過程を展開し、介護計画を立案し、適切な介護サービスの提供ができる能力を養う学習とする。
介護総合演習 実習の教育効果を上げるため、介護実習前の介護技術の確認や施設等のオリエンテーション、実習後の事例報告会または実習期間中に生徒が養成施設等において学習する日を計画的に設けるなど、実習に必要な知識や技術、介護過程の展開の能力等について、個別の学習到達状況に応じた総合的な学習とする。
介護総合演習については、実習と組み合わせての学習とする。
介護実習 ① 個々の生活リズムや個性を理解するという観点から様々な生活の場において個別ケアを理解し、利用者・家族とのコミュニケーションの実践、介護技術の確認、多職種協働や関係機関との連携を通じてチームの一員としての介護福祉士の役割について理解する学習とする。
② 個別ケアを行うために個々の生活リズムや個性を理解し、利用者の課題を明確にするための利用者ごとの介護計画の作成、実施後の評価やこれを踏まえた計画の修正といった介護過程を展開し、他科目で学習した知識や技術を統合して、具体的な介護サービスの提供の基本となる実践力を習得する学習とする。

◎こころとからだのしくみ

教育内容 ねらい
発達と老化の理解 発達の観点からの老化を理解し、老化に関する心理や身体機能の変化の特徴に関する基礎的知識を習得する学習とする。
認知症の理解 認知症に関する基礎的知識を習得するとともに、認知症のある人の体験や意思表示が困難な特性を理解し、本人のみならず家族を含めた周囲の環境にも配慮した介護の視点を習得する学習とする。
障害の理解 障害のある人の心理や身体機能に関する基礎的知識を習得するとともに、障害のある人の体験を理解し、本人のみならず家族を含めた周囲の環境にも配慮した介護の視点を習得する学習とする。
こころとからだのしくみ 介護技術の根拠となる人体の構造や機能及び介護サービスの提供における安全への留意点や心理的側面への配慮について理解する学習とする。

◎医療的ケア

教育内容 ねらい
医療的ケア 医療的ケアを安全・適切に実施するために必要な知識・技術を修得する。

出典:厚生労働省「介護福祉士養成課程 新カリキュラム 教育方法の手引き

7.介護福祉士取得費用の相場

介護福祉士国家試験の受験料は15,300円です(2021年度)。また、受験資格を得るためのプロセスについては、介護福祉士養成施設等を卒業するか、実務経験を積み、介護福祉士実務者研修を受講するかなどによって、大きく変わります。

■介護福祉士養成施設の費用
2年制の介護福祉士養成施設の場合、年間で120万~150万円程度が相場となっており、2年間で約300万円が必要となります。

各都道府県の社会福祉協議会などが貸与している介護福祉士就学資金貸付制度を利用すれば、入学準備金として200,000円、修学資金として就学中は月額50,000円、就職準備金として200,000円などを借りることができます。さらに、介護福祉士国家試験受験対策費用も40,000円まで借りることができます。しかも、卒業後該当する自治体で5年間介護業務に従事すると全額返還免除となるため、介護福祉士養成施設への進学を考えている場合には、貸付制度も選択肢の一つに加えると良いでしょう。

■介護福祉士実務者研修の費用
介護福祉士実務者研修の場合は、現在保有している資格によって受講費用に違いがあります。無資格の場合はおよそ10万円~20万円かかりますが、介護職員基礎研修の修了者であれば3万~5万円で受講することができます。また、初任者研修やホームヘルパー2級を保持している場合は、6万~15万円が相場となっています。

介護福祉士実務者研修を受講する際にも貸付制度(介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度)があり、200,000円までの貸付を受けることができます。これは研修施設に支払う授業料や実習費・教材費のみではなく、参考図書、学用品、交通費及び国家試験の受験費用等に必要な費用も含まれています。
この貸付制度では、対象の社会福祉施設等で介護福祉士として引き続き2年間「返還免除対象業務」に従事することで、返還が免除になります。介護福祉士の資格を取得し、引き続き仕事を続けようと考えている人にはおすすめの制度です

8.介護福祉士を仕事で活かす

介護福祉士は、あらゆる介護の現場で活躍することができます。病院や特別養護老人ホーム、デイサービス、訪問介護のホームヘルパーなど、介護に関わる現場では人気の高い資格といえるでしょう。職場では現場のリーダー的役割を担うことが多く、介護主任などの役職に就くことができます。

また、将来的にケアマネージャーを目指す場合には、介護福祉士としての実務経験が必要です。介護福祉士は介護の仕事を続けていく上で、活用の幅が広い資格であるといえます。キャリアアップを考える場合も、介護福祉士国家資格の取得は最初のステップとしておすすめです。

まとめ

介護福祉士は、介護に関する資格の中で唯一の国家資格です。そのため、介護の現場での信頼度は高く、キャリアアップを図る場合には必須である資格であるといえます。

介護福祉士の資格取得を目指すためには、4つのルートがあります。養成施設・福祉系高校を卒業するルートや、EPAルートのほかに、実務経験を積むルートが一般的です。

現在、資格を持っていないものの、介護の仕事に興味のある場合は、無資格・未経験ではじめられる介護の仕事を探すことをおすすめします。現場で実務経験を積みながら、介護福祉士の資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。

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プロフィール

馬淵 敦士(まぶち あつし)

「ベストウェイケアアカデミー」学校長。介護福祉士・社会福祉士・介護支援専門員(ケアマネジャー)・公認心理師

馬淵敦士さん

(株)ベストウェイ代表取締役社長。奈良教育大学大学院教育学研究科修了。ホームヘルパー・在宅介護コーディネーター・ケアマネジャーを歴任し、「かいごのがっこう ベストウェイケアアカデミー」を設立。 修士(教育学)・介護福祉士・社会福祉士・介護支援専門員・公認心理師・小学校教諭及び特別支援学校専修免許状を持つ。多くの介護関連資格の受験勉強をし合格してきたため、試験のポイントを熟知している。介護現場から起業して社長となり、10年以上経営、人材育成に力を注ぐ。 福祉系受験対策講座を全国で行い、『ケアマネジャー試験 過去問解説集2021(中央法規出版)』『ケアマネに合格する人はなぜ質問をするのか(三恵社)』など執筆。

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