介護職系資格について

社会福祉主事とは?資格取得方法・メリットを解説!

社会福祉主事とは、福祉事務所で家庭訪問や面談、生活指導などを行う職員として働く場合に必要な任用資格です。社会福祉の資格の中でも最も古いものの一つとして知られています。
もともとは、行政の福祉担当部署や福祉事務所に勤める公務員が専門的な相談を行うために設けられており、2018年現在は、福祉事務所に社会福祉主事の配置が義務付けられています。また公務員だけでなく、社会福祉施設の相談員や生活指導員への就職にも有利な資格です。

社会福祉主事の資格を得るためには、主に次の3つの方法があります。
・大学や短大において厚生労働大臣の指定する社会福祉に関する科目を3科目以上修めて卒業した者
・厚生労働大臣の指定した専門学校で指定の過程を修了した者
・社会福祉士、精神保健福祉士の資格を持つ者
他に都道府県の講習会を修了する、通信教育で資格認定通信課程を修了する、などの方法もあります。
社会福祉主事は、学校の卒業後に受け取る成績証明書もしくは卒業証明書、該当資格保持者は資格証明書によって証明されます。また、過去には、社会福祉事業従事者試験に合格した者も社会福祉主事の資格を得ることができましたが、2018年現在、この試験は行われていません。

社会福祉主事を取得するためには、大学や短大、専門学校に通う必要があります。社会福祉主事は学部に関係なく、指定された科目を履修すれば取得できるため、学費は学部によって大きく差があります。
1年間の学費で見てみると、4年制大学の場合、私立の場合では例として約115~200万円、国公立では約65~110万円。短大では約95~145万円、専門学校では約55~135万円くらいで考えるといいでしょう。
また、通学だけでなく通信課程を持つ学校もあり、学費は通信課程のほうが安くなります。自分にあった学校選びをすることが大切と言えるでしょう。

社会福祉主事の活躍する場所として最も知られているのが、都道府県や市に設置されている福祉事務所です。福祉事務所は、福祉六法と言われる生活保護法・児童福祉法・母子及び寡婦福祉法・老人福祉法・身体障害者福祉法・知的障害者福祉法に定められた援護等の事務を行う社会福祉行政機関。生活支援の相談窓口としての役割を果たしており、現業員は社会福祉主事の資格を持つ者に限られています。福祉事務所以外では、公的な社会福祉施設で相談員や指導員として働くこともできます。
また、公務員以外でも老人福祉施設や障害者施設の生活相談員として働いている人も多くいます。このように、社会福祉主事は公務員だけでなく、民間でも活躍する相談援助の専門家と言えるでしょう。

福祉サービスに関わる職業で働きたい場合に、社会福祉主事任用資格は役立つ資格です。福祉施設では社会福祉主事任用資格の取得者を歓迎・優遇するケースがあるため、興味を持っている人も多いのではないでしょうか。

今回は社会福祉主事の概要や資格を取得するメリットを解説します。また、資格の取得方法や合格率、活躍できる場所についても紹介します。社会福祉主事任用資格を取得することで、働き方にも幅が生まれます。興味がある人はぜひ参考にしてください。

監修:馬淵敦士
「ベストウェイケアアカデミー」学校長。介護福祉士・社会福祉士・介護支援専門員(ケアマネジャー)・公認心理師。

1.社会福祉主事とは

社会福祉主事とは、福祉事務所で家庭訪問や面談、生活指導などを行う職員として働く場合に必要な任用資格です。社会福祉の資格の中でも最も古いもののひとつとして知られています。

もともとは、行政の福祉担当部署や福祉事務所に勤める公務員が、専門的な相談を行うために設けられた資格でしたが、現在は公務員に限らず、福祉事務所には社会福祉主事の配置が義務付けられています。また、公務員だけでなく、社会福祉施設の相談員や生活指導員への就職にも有利な資格です。

「主事」とは、公的機関・法人・団体などに設置される事務担当者を意味します。つまり社会福祉主事とは、福祉事務所が社会福祉法に基づいて行う各種事務の担当者です。

福祉事務所の職員として働くためには、社会福祉主事任用資格を取得していることが条件となっています。「任用資格」とは、特定の職業・職位に任用される場合に必要となる資格です。
社会福祉主事任用資格を取得することで、福祉事務所で勤務するための条件を1つ満たすことができます。

ただし、社会福祉主事任用資格とは「社会福祉主事として働ける資格者である」ことを示す資格であり、任用資格の取得だけで社会福祉主事を名乗ることはできません。
資格取得者が公務員試験に合格し、福祉事務所などで働くことにより、初めて社会福祉主事を名乗ることができます。

1-1.社会福祉主事と「社会福祉士・介護福祉士」の違い

社会福祉主事と似ている職業に、社会福祉士と介護福祉士があります。いずれも福祉・介護系の職場で活躍する職業であるものの、活躍する職場や仕事内容は異なるため、違いを正しく把握しましょう。

下記は、それぞれの違いを比較した表です。

社会福祉主事 社会福祉士 介護福祉士
主な職場 ・行政の福祉事務所
・行政の各種相談所
・行政の福祉事務所など
・社会福祉協議会
・高齢や障害者、児童などの施設
・病院
・介護が必要とされている人が入所している施設
・病院
・ヘルパーステーション
業務の対象者 社会生活を送ることが困難な人 支援を必要とする高齢者・障害者・児童など 介護を必要とする高齢者や障害者など
主な仕事内容 ・利用者の相談対応
・生活保護の申請受付
・現業員(ケースワーカー)の指導監督
・利用者の相談対応
・助言や生活指導
・援助の実施
・利用者への介護業務
・介護計画の立案
・家族への介護指導

社会福祉主事と名乗るためには公務員である必要があり、就職先の多くは公的施設であることが特徴です。社会福祉士や介護福祉士に比べると事務的な業務が多いものの、社会福祉の現場を支える重要な職業といえます。

社会福祉士とは

介護福祉士とは

2.社会福祉主事任用資格を取得するメリット

社会福祉主事が働ける職場は豊富にあります。福祉事務所の査察指導員や現業員として働く以外にも、各種相談所の福祉司になったり、社会福祉施設の生活相談員として働いたりすることが可能です。

ここでは、社会福祉主事に興味がある人に向けて、社会福祉主事任用資格を取得する3つのメリットを紹介します。

2-1.社会福祉主事になるための条件を満たせる

社会福祉主事任用資格を取得することで、社会福祉主事になるための条件を満たすことができます。社会福祉主事は働ける職場が多く、社会福祉に関わる職務の経験を積める仕事です。
公務員として公的施設で勤務することにより、比較的安定した収入が得られることや、一般的な介護職よりリストラの心配が少ない点もメリットといえます。

また、日本では生活保護受給者数が多く、生活保護の申請受付などを行う社会福祉主事は将来性も高い仕事です。生活保護被保護実人員数の推移を2014年度・2017年2月・2020年3月で比較すると、下記の通りとなっていました。

2014年度 2017年2月 2020年3月
2,165,895人 2,141,881人 2,066,660人

出典:厚生労働省「生活保護制度の現状について

社会福祉主事は社会福祉に助けを求める人と向き合う仕事であり、職業需要は今後も高いことが見込まれています。

2-2.キャリアパスが明確になる

福祉事務所で働く社会福祉主事は、主に現業員または査察指導員の職務に就きます。査察指導員は現業員を監督する職種であり、査察指導員になるには現業員としての経験が必要です。
つまり社会福祉主事になることで、現業員として働いて査察指導員を目指す、といったキャリアパスが明確になります。

現業員の主な仕事内容は、生活保護の受給申請者に対応することです。福祉事務所を訪れる相談者は高齢・障害・病気などによって生活に困難を抱えているため、現業員は相談内容に応じて必要となる支援を行います。
相談内容によっては医師などの医療関係者・医療機関や、介護福祉施設とも連携を取り、相談援助業務を行わなければなりません。

一方、査察指導員の仕事内容は、現業員の指導監督を行うことです。主な仕事内容としては、現業員に対する専門的助言や業務の進行管理などがあり、福祉事務所の業務を滞りなく進行させる役割を担っています。
査察指導員として働くためには、現業員としての勤務経験・キャリア以外に、職場における指導力・リーダーシップも必要です。

2-3.一般的な介護職よりも高給を得られる

社会福祉主事は、一般的な介護職よりも高給を得られるメリットがあります。まず、社会福祉主事の給与について見てみましょう。

社会福祉主事として働く場合、地方自治体の一般職もしくは福祉職として採用されます。そのため、社会福祉主事が受け取る給与額は、公務員給与規定の一般行政職に沿って計算された額です。

以上を踏まえて、公務員の一般行政職が受け取る平均給与月額を見てみると、2020年度で約36万円となっていました。つまり、自治体ごとの特別手当などがあるので一概には言えませんが、社会福祉主事の平均給与月額も約36万円に自治体ごとの変動を加えた、近い数値になるのではないかと推定できます。

出典:総務省「令和2年地方公務員給与実態調査結果等の概要

一方で、介護職員が受け取る平均給与月額は、2020年2月時点で約32万円となっていました。社会福祉主事と介護職員の平均給与月額を比較すると、社会福祉主事が含まれる公務員一般行政職のほうが約4万円高いことが分かります。

出典:厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要

社会福祉主事は公務員であるため、福祉・介護系職業の中でも高給で働けることが魅力です。現業員として経験・キャリアを積み、査察指導員に任命されることで給与額の向上も期待できます。

社会福祉に携わりながら、より高い収入を得たい人は、社会福祉主事任用資格の取得を目指してもいいのではないでしょうか。

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3.社会福祉主事の合格率

社会福祉主事任用資格は、介護福祉士資格などと違って国家資格ではなく、取得するための試験がありません。養成機関で指定科目を修学して卒業したり、社会福祉士などの他資格を取得したりすることで取得できる任用資格です。そのため、合格率のデータもありません。

社会福祉主事任用資格の取得難易度は、取得方法として選んだルートによって異なります。
一例として、専門学校の通信課程で取得を目指した場合は、教育内容をしっかり理解することで取得できる程度です。一般的に、介護系国家資格よりも取得しやすいといわれています。

4.社会福祉主事任用資格の取得方法

社会福祉主事の資格を得るためには、主に次の3つの方法があります。

  • 大学や短大において厚生労働大臣の指定する社会福祉に関する科目を3科目以上修めて卒業する
  • 厚生労働大臣の指定した専門学校で指定の課程を修了する
  • 社会福祉士・精神保健福祉士の資格を取得する

上記の他にも、「都道府県の講習会を修了する」「通信教育で資格認定通信課程を修了する」といった方法もあります。

社会福祉主事の資格は、学校の卒業後に受け取る成績証明書もしくは卒業証明書、該当する資格の保持者は資格証明書によって証明されます。

社会福祉主事として働くためには、社会福祉主事任用資格を取得した後に、地方公務員試験を受ける必要があります。地方公務員試験はいくつかの種類があり、社会福祉主事になる場合は地方公務員上級の試験を受けることが一般的です。
地方公務員試験に合格し、福祉事務所等に採用されることで、社会福祉主事として働くことができます。

資格要件や試験日程は自治体によって異なるため、社会福祉主事を目指す人は希望する自治体の試験案内を確認しておきましょう。

5.社会福祉主事取得費用の相場

社会福祉主事を取得するためには、大学や短大、専門学校に通う必要があります。
社会福祉主事は学部に関係なく、指定された科目を履修すれば取得できるため、学費は学部によって大きく差があります。

下記は、1年間の学費の一例を学校別にまとめた表です。

学校 学費
4年制大学・私立 約100万~
国公立 約60万~
短大 約40万~
専門学校 約100万~

なお、通学だけでなく通信課程を持つ学校もあり、学費は通信課程のほうが安くなります。自分に合った学校選びをすることが大切といえるでしょう。

6.社会福祉主事を仕事で活かす

社会福祉主事が活躍する場所として最も知られているのが、都道府県や市に設置されている福祉事務所です。福祉事務所は、福祉六法といわれる、生活保護法・児童福祉法・母子及び父子並びに寡婦福祉法・老人福祉法・身体障害者福祉法・知的障害者福祉法に定められた援護などの事務を行う社会福祉行政機関です。
社会福祉主事は、福祉事務所では生活支援の相談窓口としての役割を果たします。

福祉事務所以外では、公的な社会福祉施設で相談員や指導員として働くこともできます。

また、公務員以外でも老人福祉施設や、障害者施設の生活相談員として働いている人も多くいます。社会福祉主事は公務員だけでなく、民間でも活躍する相談援助の専門家といえるでしょう。

まとめ

社会福祉主事は福祉事務所などに勤務する公務員であり、日常生活や社会生活を送ることが困難な人の相談業務を行う、やりがいある仕事です。社会福祉主事は需要が高い仕事であり、キャリアパスが明確になる、一般的な介護職よりも高い収入を得られるといったメリットもあります。

社会福祉主事になるためには、社会福祉主事任用資格の取得が必要です。地方公務員試験に合格する必要もあるため、勉強はしっかり行わなくてはなりません。社会福祉主事は活躍できる場所が多いため、介護・福祉業界で働きたい人は取得を目指してみてください。

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プロフィール

馬淵 敦士(まぶち あつし)

「ベストウェイケアアカデミー」学校長。介護福祉士・社会福祉士・介護支援専門員(ケアマネジャー)・公認心理師

馬淵敦士さん

(株)ベストウェイ代表取締役社長。奈良教育大学大学院教育学研究科修了。ホームヘルパー・在宅介護コーディネーター・ケアマネジャーを歴任し、「かいごのがっこう ベストウェイケアアカデミー」を設立。 修士(教育学)・介護福祉士・社会福祉士・介護支援専門員・公認心理師・小学校教諭及び特別支援学校専修免許状を持つ。多くの介護関連資格の受験勉強をし合格してきたため、試験のポイントを熟知している。介護現場から起業して社長となり、10年以上経営、人材育成に力を注ぐ。 福祉系受験対策講座を全国で行い、『ケアマネジャー試験 過去問解説集2021(中央法規出版)』『ケアマネに合格する人はなぜ質問をするのか(三恵社)』など執筆。