精神保健福祉士は、精神科に特化した相談業務を行うための国家資格です。1997年(平成9年)に誕生した比較的新しい資格ですが、1950年代から精神科で活躍してきた精神科ソーシャルワーカーが基盤となっています。精神保健福祉士は、精神科に入院している患者さんのサポートを行うのが主な仕事です。生活支援サービスや福祉行政機関でも働いています。家族の相談に応じたり、医療スタッフやリハビリなどの治療チームの調整役を務めたりといった、さまざまな役割を担っています。精神障害者の福祉向上が叫ばれている現在、精神保健福祉士はニーズが高まっている資格のひとつです。
精神保健福祉士になるためには、年一回行われる精神保健福祉士試験に合格しなければなりません。福祉系4年制大学で指定科目を学んでいれば、国家試験の受験資格が得られます。しかし、卒業する学校や学んだ年数、持っている資格によっては、実務経験を求められたり養成施設で学んだりする必要があります。
・実務経験のみで受験できる場合
福祉系短大で指定科目を学んだ人は、実務経験のみで受験資格を得られます。必要な実務経験年数は、3年制の短大で1年、2年制の短大で2年となっています。
・短期養成施設等で学ぶ必要がある場合
同じ福祉系大学でも基礎科目のみ修了している場合は、短期養成施設等で最低6カ月学ぶ必要があります。福祉系大学から、そのまま短期養成施設等に入学することも可能です。しかし、短大の場合は指定科目修了者の受験資格と同様の実務経験が求められます。また、社会福祉士を取得している場合は、実務経験なしで入学が可能です。
・一般養成施設等で学ぶ必要がある場合
一般養成施設等で1年以上学ぶ必要があるのは、一般大学や短大を卒業した人および実務経験のみが4年以上ある人です。一般大学卒業の場合、実務経験は必要ありません。しかし、一般短大の場合は実務経験が必要となります。必要な実務経験年数は、3年制短大で1年、2年制短大では2年となっています。
精神保健福祉士の取得費用には、国家試験の受験費用と通う学校の学費の2種類があります。
まず、国家試験の受験費用は以下の3パターンに分かれています。
・精神保健福祉士のみ受験 17,610円
・社会福祉士と同時受験 28,140円(精神保健福祉士14,160円+社会福祉士13,980円)
・精神保健福祉士の共通科目免除による受験 14,080円
次に、学校別の学費の目安は下表の通りです。なお、2018年現在、精神保健福祉士の受験資格を得ることができる短大はありません。
また、どの学校であっても、奨学金や教育ローンの利用は可能です。養成施設の多くは、専門実習教育訓練給付制度の対象になっており、条件が合えば利用するのもよいでしょう。学費が心配な場合は、奨学金や各種制度の利用も視野に入れておきましょう。
精神保健福祉士の活躍の場は、精神科を代表する病院などの医療施設が代表的です。そのほか、保健所や精神保健センターといった行政での仕事もあります。最近では教育機関などでも就業しています。行政機関への就職は公務員として安定した職を得ることができるため、人気が高い職場と言えるでしょう。また、最近では子供や高齢者の精神福祉の分野でもニーズが高まってきていることから、教育機関や老人保健施設などへの就職も増えています。精神面をサポートする相談援助のプロとして、これから活躍が期待される資格と言えるでしょう。
精神保健福祉士(PSW)は、精神障害者やその家族に対して相談・助言を行ったり、適切な訓練を行ったりする、介護関連の国家資格です。精神科の患者のサポートや、行政機関での支援、地域との調整役など、あらゆる場面で活躍できる資格です。精神保健福祉士は介護関連資格の中でも登録者数が少なく、今後も高い需要が見込まれています。
当記事では、精神保健福祉士の資格に関する知識をわかりやすく解説します。資格を取得するメリットや、試験の合格率のほか、国家試験の試験概要も紹介しますので、精神保健福祉士の資格取得を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
「ベストウェイケアアカデミー」学校長。介護福祉士・社会福祉士・介護支援専門員(ケアマネジャー)・公認心理師。
目次
1.精神保健福祉士とは
精神保健福祉士とは、精神障害者やその家族などに対して相談業務を行うための国家資格です。1997年に誕生した比較的新しい資格ですが、1950年代から精神科で活躍してきた精神科ソーシャルワーカーが基盤となっています。
精神保健福祉士の主な仕事は、精神科に入院している患者のサポートです。生活支援サービスや福祉行政機関で働くケースもあります。
家族の相談に応じたり、医療スタッフやリハビリなどの治療チームの調整役を務めたりといった、さまざまな役割を担っています。
精神障害者が病院や地域で生活していく中で、その相談支援を行っていく精神保健福祉士はニーズが高まっている資格のひとつです。
1-1.精神保健福祉士と「社会福祉士・介護福祉士」の違い
社会福祉士と介護福祉士は、精神保健福祉士とよく比較される資格です。いずれも介護に関する国家資格ですが、支援対象や仕事内容が異なります。
精神保健福祉士・社会福祉士・介護福祉士の違い | |||
---|---|---|---|
精神保健福祉士 | 社会福祉士 | 介護福祉士 | |
対象者 | 精神障害者やその家族などで相談援助や訓練が必要な人 | 生活困窮や高齢、障害、ひとり親などで相談援助が必要な人 | 介護を必要とする高齢者や障害者など |
仕事内容 |
・利用者や家族への相談援助業務 ・利用者の状況に応じた自立訓練 ・公的支援制度の紹介 ・就労支援や実習指導 ・職場への定着訓練などの社会復帰支援 |
・利用者や家族への相談と助言 ・関係機関への調整や連絡 ・自立訓練や就労支援 ・そのほか、支援対象者の悩みや目的に応じて社会参加を支援 |
・利用者の身体介助や生活援助 ・利用者に対するレクリエーション ・家族への相談や助言 ・介護現場でのマネジメント業務 ・状況に応じた日常生活訓練 |
職場 | 精神科や心療内科、特別養護老人ホームや有料老人ホーム、デイケアなどの高齢者介護施設、精神保健福祉センター、障害者支援施設、企業、教育機関など | 医療機関、児童相談所、介護施設、障害者福祉関連施設など | 特別養護老人ホームや有料老人ホーム、デイケアなどの高齢者介護施設、障害者支援施設、ヘルパーステーションなど |
それぞれの資格によって得意分野が異なり、精神保健福祉士は精神障害者やその家族に特化した資格という位置づけです。障害者総合支援法などに基づき、精神的な障害を抱えた人たちへの相談支援を行うことが業務の中心となります。
対して、介護福祉士は精神障害者だけでなく、身体障害者や知的障害者、高齢者支援を行います。また、社会福祉士は心身の障害の有無にかかわらず、さまざまな事情で日常生活が困難な人全てが対象となります。
精神保健福祉士の資格だけでなく、関連する介護資格を取得しておくことで、より幅広い分野で障害者や高齢者の支援が可能となります。
2.精神保健福祉士を取得するメリット
精神保健福祉士の有資格者には、精神保健および精神障害者の福祉を取り巻く環境の変化に適応するため、知識や技能の向上の責務が課せられています。精神障害者やその家族への援助や、関連機関との連携など、精神保健福祉士の役割はさまざまです。
精神保健福祉士は求められる責務や役割が大きい資格ですが、資格取得のメリットも数多くあります。
ここでは、精神保健福祉士を取得するメリットについて詳しく解説します。
2-1.将来性の高い資格を得られる
介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士の3つの介護関連資格の中では、精神保健福祉士はもっとも登録者数が少ない資格です。
2021年3月時点で、介護福祉士は1,754,486人、社会福祉士は257,293人が登録されています。一方、精神保健福祉士は93,544人に留まり、需要に対して登録者数が少ない現状です。
介護福祉士の登録者は、2020年から2021年の1年間で約6万人増加していますが、同じ期間の精神保健福祉士の登録者数は約4,400人で約14分の1です。
出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「登録者の資格種類別ー年度別の推移」
日本は超高齢社会へ突入しており、高齢者支援施設でも精神保健福祉士の需要が高まっています。メンタルヘルスの専門家である精神保健福祉士は、認知症患者の支援も対応可能です。また最近では、精神疾患を抱えていない人の間でも、メンタルサポートに注目が集まっており、企業や学校などで活躍する精神保健福祉士も増えています。
精神保健福祉士の需要は今後ますます拡大していくと予想され、将来性が高い資格といえます。
2-2.働ける職場・業界の幅が広がる
精神保健福祉士の資格を取得することで、就職先や業界の幅が広がります。
厚生労働省の資料によると、2019年9月末時点で国内の精神保健福祉士の登録状況は86,703人です。職場ごとの配置状況は企業や教育機関が60,187人ともっとも多く、ほかにも医療機関や福祉施設など、さまざまな場で活躍することができます。
精神保健福祉士が働くことのできる職場 | ||
---|---|---|
職場 | 配置状況 | 仕事内容 |
医療施設 | 11,530人 | 精神科の専門病院や総合病院の精神科、心療内科クリニックなどで勤務します。医師や地域と協力し、精神障害を抱える患者の社会復帰に向けた支援を行う仕事が中心です。 |
行政機関 | 1,511人 | 精神保健福祉センターや保健所、社会福祉事務所などの行政機関に勤務し、主に相談業務を行います。また、地域住民への啓発活動や、関係機関との連携も仕事のひとつです。 |
福祉施設 | 13,475人 | 福祉施設の場合は、就労継続支援事業所や地域活動支援センターなどに勤務し、精神障害者の就労支援や生活サポートを行う仕事です。グループホームや児童養護施設などに勤務し、自立支援や作業訓練を行うケースもあります。 |
企業・教育 機関 |
60,187人 | 企業や教育機関で働く場合、職場や学校などのストレスケアなどを行うソーシャルワーカーとして活躍します。 |
出典:厚生労働省「精神保健福祉士資格取得後の継続教育や人材育成の在り方について」
このように、精神保健福祉士は精神障害を抱える本人だけでなく、家族への支援や将来の資格取得者の育成など、幅広い分野での活動が可能です。精神障害者が社会生活を送りやすい環境を作るために、精神保健福祉士の存在は欠かせません。
2-3.介護職の中でも比較的高い給与をもらえる
精神保健福祉士は、介護職の中でも比較的給与が高い職業といえます。
厚生労働省による障害福祉サービス等従事者の平均給与の状況では、精神保健福祉士の平均給与額は、介護福祉士、社会福祉士と比較して低く見えますが、平均勤続年数に1〜2年の差があります。単純比較は難しいと考えますが、少なくとも勤続年数が同年の介護福祉士よりは多い給与がもらえているのではないでしょうか。
また本調査は、障害福祉サービス等従事者を対象としているものです。そのため、企業や教育機関、病院、公務員として行政機関で働く精神保健福祉士などは対象外です。
福祉・介護職員の平均給与額(2020年2月) | |
---|---|
介護福祉士 | 338,750円 (平均勤続年数8.9年) |
社会福祉士 | 355,200円 (平均勤続年数8.0年) |
精神保健福祉士 | 338,740円 (平均勤続年数7.0年) |
出典:厚生労働省「令和2年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査(臨時調査)結果の概要」
もちろん、勤務先によって給与額は変わりますが、民間企業や福祉施設より、行政機関や医療機関のほうが給与面で優遇されているケースが多い傾向です。また、精神保健福祉士の資格は国家資格のため、国家公務員の給料が基準となっていることが多く、手当や賞与が高い傾向にあります。
精神保健福祉士は経験が重視される仕事なので、キャリアを積むことでさらに高い年収が期待できるでしょう。
社会福祉士は介護福祉士と比べて人数が少なく、増え続ける需要に対して資格保有者が足りていません。今後、社会福祉士の需要はさらに高まることが予想されており、給与や待遇がさらに改善される可能性も十分にあるといえます。
3.精神保健福祉士の合格率
精神保健福祉士は、介護職の中では比較的難易度が低い国家資格です。
厚生労働省の資料によると、2020年度の精神保健福祉士国家試験の合格率は64.2%でした。同年の社会福祉士試験の合格率はわずか29.3%に留まり、精神保健福祉士のほうが圧倒的に合格率が高くなっています。
出典:公益財団法人社会福祉振興・試験センター「第33回社会福祉士国家試験合格発表」
2020年(第23回)精神保健福祉士国家試験の結果 | ||
---|---|---|
受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
6,165人 | 3,955人 | 64.2% |
出典:公益財団法人社会福祉振興・試験センター「第23回精神保健福祉士国家試験合格発表について」
合格率は概ね62%前後を推移しており、過去5年間の精神保健福祉士試験の合格率は下記の通りです。
合格率の年次推移の傾向 | ||||
---|---|---|---|---|
第19回 | 第20回 | 第21回 | 第22回 | 第23回 |
62.0% | 62.9% | 62.7% | 62.1% | 64.2% |
出典:厚生労働省「精神保健福祉士国家試験の受験者・合格者の推移」
ただし、精神保健福祉士の資格試験では、総得点の60%程度を基準にした合格点があり、2020年度の合格点は、163点満点中94点(免除ありの場合は80点満点中44点)となりました。
その年によって合格点が変わるため、総得点の6割を安定して取れるような試験対策を行うことがおすすめです。
4.精神保健福祉士の取得方法
精神保健福祉士の登録状況は、2021年3月末時点で93,544人です。精神保健福祉士を取得するためには、国家資格の受験資格を満たし、試験に合格する必要があります。
出典:厚生労働省「精神保健福祉士資格取得後の継続教育や人材育成の在り方について(概要)」
ここでは、精神保健福祉士の国家試験を受験し、国家資格を取得するまでの試験の流れを解説します。
4-1.精神保健福祉士の受験資格を満たす
精神保健福祉士になるためには、年に1回行われる精神保健福祉士国家試験に合格しなければなりません。
・卒業のみで受験できる場合
保健福祉系の4年制大学で指定科目を学んで卒業できれば、国家試験の受験資格が得られます。
・保健福祉系大学・短大卒業+相談援助に関する実務経験で受験できる場合
保健福祉系短大などで指定科目を学んで卒業した人は、相談援助実務を経験することで受験資格を得られます。必要な実務経験の年数は、3年制の短大で1年、2年制の短大で2年となっています。
・短期養成施設などで学ぶ必要がある場合
保健福祉系大学などで基礎科目のみ修了している場合は、短期養成施設などで6ヶ月以上学ぶ必要があります。4年制であれば、そのまま短期養成施設などに入学することも可能です。
しかし、短大の場合は、指定科目修了者の受験資格と同様の相談援助に関する実務経験(3年制の短大で1年、2年制の短大で2年)を積まないと、短期養成施設などへは入学できないことになっています。また、社会福祉士の資格を取得している場合は、学歴は関係なく、相談援助の実務経験がなくても短期養成施設などへの入学が可能です。
・一般養成施設などで学ぶ必要がある場合
一般大学や短大を卒業した人、あるいは学歴に関係なく相談援助に関する実務経験が4年以上ある人の場合、一般養成施設などで1年以上学ぶ必要があります。4年制の一般大学卒業の場合、実務経験は必要ありませんが、一般短大などの場合は実務経験(3年制の短大で1年、2年制の短大で2年)が必要となります。
4-2.精神保健福祉士国家試験に合格する
下記は、2022年2月に実施される予定の第24回の試験を例に、精神保健福祉士国家試験の概要を紹介します。
2021年度精神保健福祉士国家試験の試験概要 | |
---|---|
受験申込書の受付期間 | 9月9日から10月8日(例年9月上旬から10月上旬) |
試験日 | 2月5日・6日(例年2月上旬) |
合格発表 | 3月15日(例年3月中旬) |
試験会場 | 北海道・宮城県・東京都・愛知県・大阪府・広島県・福岡県 |
試験科目 | 16科目(共通科目11・専門科目5) |
受験資格 |
・4年制大学で指定科目を修めて卒業した人 ・2年制(または3年制)短期大学などで指定科目を修めて卒業し、指定施設において2年以上(または1年以上)相談援助の業務に従事した人 ・精神保健福祉士短期養成施設(6月以上)を卒業(修了)した人 ・精神保健福祉士一般養成施設(1年以上)を卒業(修了)した人 |
出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「精神保健福祉士国家試験(試験概要)」
精神保健福祉士の試験は、16科目の試験科目のうち11科目が共通科目、5科目が専門科目です。試験範囲が広いため、テキスト学習などの国家試験対策を十分に行うことをおすすめします。
既に社会福祉士の資格を保有している場合は、国家試験で共通科目が免除されます。社会福祉士の資格保有者は、短期養成施設などで6ヶ月以上学ぶ必要がありますが、試験科目の大半が免除されるため有利です。
精神保健福祉士と社会福祉士を同時に受験することも可能で、この場合も共通科目は免除されます。どちらの資格も介護現場で大いに役立つため、社会人として働きながらダブル受験を目指す人も多くいます。
精神保健福祉士の試験科目 | |
---|---|
共通科目(11科目) |
人体の構造と機能および疾病 心理学理論と心理的支援 社会理論と社会システム 現代社会と福祉 地域福祉の理論と方法 福祉行財政と福祉計画 社会保障 障害者に対する支援と障害者自立支援制度 低所得者に対する支援と生活保護制度 保健医療サービス 権利擁護と成年後見制度 |
専門科目(5科目) |
精神疾患とその治療 精神保健の課題と支援 精神保健福祉相談援助の基盤 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 精神保健福祉に関する制度とサービス、精神障害者の生活支援システム |
出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「精神保健福祉士国家試験 試験科目別出題基準」
試験は全て筆記試験で行われ、マークシート形式で出題されます。1問1点で、16科目全てを受験する場合、163点満点のうち総得点の60%程度が合格ラインです。また、合格基準を満たしていても、16科目群全てにおいて1点以上得点しなければ合格とはなりません。
ただし、社会福祉士の資格を所持している場合は専門科目のみの受験となるため合格ラインが変わります。80点の総得点に対し、40点以上の得点が合格基準の目安です。また、合格基準を満たしていても、5科目群全てにおいて1点以上得点しなければ合格とはなりません。
精神保健福祉士の合格率は近年60%〜65%で推移しています。しかし、大学や専門機関で勉強していても、受験者の35〜40%程度は不合格と考えると、しっかりとした試験対策が必要でしょう。
5.精神保健福祉士取得費用の相場
精神保健福祉士の取得費用には、国家試験の受験費用と学費の2種類があります。
国家試験の受験費用は、下記の3パターンに分かれています。
試験内容 | 受験費用 |
---|---|
精神保健福祉士のみ受験 | 17,610円 |
社会福祉士と同時受験 |
28,140円 精神保健福祉士:14,160円 社会福祉士:13,980円 |
精神保健福祉士の共通科目免除による受験 | 14,080円 |
また、学校別の学費の目安は下記の通りです。
学校 | 学費 |
---|---|
保健福祉系大学 |
昼間コース:約220万~ 夜間コース:約360万~ |
一般養成施設・短期養成施設など | 約30万~ |
学費が心配な場合は、奨学金や各種制度の利用も視野に入れておきましょう。
どの学校であっても、奨学金や教育ローンの利用は可能です。養成施設の多くは、専門実践教育訓練給付制度の対象となっているため、条件が合えば利用するとよいでしょう。
6.精神保健福祉士を仕事で活かす
精神保健福祉士の活躍の場は、精神科を代表する病院などの医療施設が代表的です。そのほか、保健所や精神保健センターといった行政での仕事もあります。最近では教育機関などに就業する人も多くいます。
行政機関への就職は、公務員として安定した職を得ることができるため、人気が高い職場といえるでしょう。また、子どもや高齢者の精神保健福祉分野でもニーズが高まってきていることから、教育機関や福祉施設などへの就職も増えています。
精神保健福祉士は、精神面をサポートする相談援助のプロとして、これから活躍が期待される資格といえます。
まとめ
精神保健福祉士の資格は、介護関連資格の中でも専門性が高く、さまざまな職場で活かせます。精神障害者の支援や社会復帰のサポートを行うだけでなく、家族からの相談や、資格取得者の養成、企業でのメンタルヘルスケアなど、仕事内容も豊富です。
介護の資格の中では平均給与も高く、今後も需要が拡大していくことが予想される、将来性のある資格といえるでしょう。
精神保健福祉士の資格取得は、いくつものルートが存在する点が特徴です。学んだ学校や実務経験、社会福祉士の資格の有無などによって受験資格や試験科目は異なります。
ぜひ当記事で紹介した内容を参考に、精神保健福祉士を目指してください。
馬淵 敦士(まぶち あつし)
「ベストウェイケアアカデミー」学校長。介護福祉士・社会福祉士・介護支援専門員(ケアマネジャー)・公認心理師
(株)ベストウェイ代表取締役社長。奈良教育大学大学院教育学研究科修了。ホームヘルパー・在宅介護コーディネーター・ケアマネジャーを歴任し、「かいごのがっこう ベストウェイケアアカデミー」を設立。 修士(教育学)・介護福祉士・社会福祉士・介護支援専門員・公認心理師・小学校教諭及び特別支援学校専修免許状を持つ。多くの介護関連資格の受験勉強をし合格してきたため、試験のポイントを熟知している。介護現場から起業して社長となり、10年以上経営、人材育成に力を注ぐ。 福祉系受験対策講座を全国で行い、『ケアマネジャー試験 過去問解説集2021(中央法規出版)』や『ケアマネに合格する人はなぜ質問をするのか(三恵社)』など執筆。