介護職系資格について

認知症介護実践者研修とは?取得するメリット・難易度・受講方法

認知症介護実践者研修とは、質の高い認知症介護を行う専門職員を養成するための研修です。実際に介護現場で働く介護職員を対象とし、実践的な認知症介護の知識や技術を習得します。研修の主催者は各都道府県や政令指定都市で、研修は自治体によって年数回~20回開催されており、例えば東京都では講義・演習が6日間、職場実習が2週間あります。最終日には実習内容をまとめたレポートを発表し、全日程を終えると修了証書が発行される仕組みです。
認知症に関わる施設などでは、認知症介護実践者研修の修了者を配置する義務があり、そのほかの施設でも、修了者がいることで認知症加算を取れることがあるため、施設側にとっても注目度が高く、就職にも有利な資格と言えるでしょう。認知症介護実践者研修は経験のある介護職員にとっては、取っておきたい資格の一つです。

認知症介護実践者研修は、認知症介護に関する実践的な知識と技術を身につける研修であり、受講するためには次のような条件があります。例として東京都では

・介護福祉士と同程度の身体介護に関する知識や技術を持っている
・認知症高齢者の介護実務経験が2年程度以上
・各施設・事業所において介護・看護のチームリーダー(主任・副主任・ユニットリーダーなど)の立場にあるか、近い将来そうなることが具体的に予定されていること

認知症介護実践者研修は、認知症介護を現場で実践できる人材育成という側面もあり、リーダー的立場であるという条件がいらない場合があったり、上記の受講条件を満たしていても、職場からの推薦がなければ研修を受けることができなかったりします。推薦人数は所属する施設の種類等によって異なるため、受講を希望する場合には必ず職場に確認しましょう。
推薦をもらえても応募者多数の場合は、配置義務を有する施設に所属している人が優先的に受講できるように設定されています。申し込みが終了したからといって、確実に受講できるものではないことを、頭に入れておきましょう。

認知症介護実践者研修の費用の相場は25,000円程度が一般的です。しかし、地域によって大きく異なり、東京では無料で受講できるのに対し、山口県では35,000円と、それぞれに必要な費用が変わります。また、別途教材費がかかる自治体もありますので、受講にかかる費用については受験要綱などで確認しておきましょう。

認知症介護実践者研修は、修了したからといって手当がつくといった給与面に影響する資格ではありません。
しかし、施設によっては配置義務や加算の取れる資格のひとつであるため、求人情報の資格要件に挙げている会社もあり、転職の際には有利になる資格の一つと言えるでしょう。
また、介護現場によっては、資格保有者として介護リーダーや管理者などに任命されることもあります。さらに実務経験を積み重ねれば、認知症介護実践リーダー研修や認知症介護指導者研修といった上位資格へステップアップも可能です。認知症介護のエキスパートを目指すのであれば、認知症介護実践者研修は受講しておきましょう。

超高齢社会を迎えている現代では、認知症の患者さんも増加傾向にあると言われています。今後はさらにこの流れが進むことが予想されるため、認知症のケアについて把握することは重要です。

認知症介護実践者研修は、認知症を専門として深く学ぶことができる研修です。介護職の仕事をするうえでは、取得すると有利になることが考えられるため、事前に情報を知っておきましょう。

今回は、認知症介護実践者研修の概要を解説します。介護職でスキルアップ・キャリアアップを目指す方や、認知症介護実践者研修の受講を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

1.認知症介護実践者研修とは

認知症介護実践者研修とは、認知症の方やご家族が安心して日常生活を送れるようにケアをする、認知症介護の専門職を養成することを目的とした研修です。国が定めている研修であるため、修了することができれば周囲からの信頼度は高くなるでしょう。

受講対象者は、特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの介護施設やヘルパーステーションなどで介護の仕事をしている職員が中心となりますが、細かい受講要件などはありません。自治体によっては介護経験の年数や、別の研修を修了していることが受講条件として定められていることもあります。自分の自治体の要項を確認してみましょう。
また、資格取得に関しては試験があるわけではなく、カリキュラムを全て修了することで認知症介護実践者研修の資格が取得できます。

1-1.認知症介護実践者研修以外で認知症ケアを学べる研修

認知症ケアには、レベルに合わせて4つの研修体系があります。ここでは、その中でも認知症介護実践者研修以外の3つの研修に関する概要を解説します。自身のキャリアプランや職場の状況に合わせて選択しましょう。

〇認知症介護基礎研修
受講対象者は、介護保険施設や事業所などで認知症ケア業務に従事する介護職員で、医療・介護の資格を有しない人などです。
認知症介護に関する基礎的な内容を広く普及させる目的があるため、受講に際して必要となる資格はありません。

認知症についての基礎知識や、認知症の方の生活支援技術などを学ぶ、初心者でも受講可能な研修内容となります。

〇認知症介護実践リーダー研修
受講対象者は、認知症介護実践者研修を修了し、かつ1年以上経過している介護職員。介護保険施設や事業所などで、介護業務に5年以上従事した経験を有し、ケアチームのリーダーまたはリーダーになる予定の職員です。

認知症介護のリーダーを養成する目的があるため、ケアチームのリーダーとなる介護職員向けの研修です。
リーダーとして、チームでの認知症ケアについて学び、職場で認知症の正しい理解が広がるよう、教育・指導方法などが研修内容に含まれます。

〇認知症介護指導者養成研修
認知症介護指導者養成研修を受講するには、認知症介護実践者研修・認知症介護実践リーダー研修を修了し、かつ一定の国家資格を有している、指導的立場にある、などの条件を満たす必要があります。

認知症介護指導者は、全国で行われる認知症介護実践研修などの企画・立案に携わり、講義や実習を担当します。人材育成に加え、地域の認知症介護の取り組みを推進するなど、指導者として活躍する専門職員です。

2.認知症介護実践者研修を修了するメリット

認知症介護実践者研修は、修了するとさまざまなメリットがあります。介護職としてのキャリアを積むうえで有利な点がたくさんあるため、内容を確認しておきましょう。

ここでは、認知症介護実践者研修を修了するメリットを4つ解説します。

2-1.感覚に頼らない認知症ケアができる

認知症介護実践者研修では、認知症介護についてより深く体系的に学ぶことができます。
高いレベルでの介護サービスを提供することが可能となる点は、大きなメリットです。

認知症介護について、認知症ケアやケアプランの作成などの業務をスムーズにこなすことができ、業務効率の向上やミスの低減も期待できます。

対象者それぞれに適した、感覚に頼らない認知症ケアの実施ができ、自身の介護技術も向上します。

2-2.施設によっては資格手当が支給される

施設や事業所によっては、認知症介護実践者研修の修了者を配置しなくてはなりません。そのため、研修の修了者は優遇される条件になっているケースも見受けられます。
また、資格手当が支給される施設や事業所もあるため、取得して損のない資格と言えるでしょう。

施設・事業所側も、研修の修了者がいることで認知症加算を取れる場合があります。資格を有していることで「求められる人材」となるうえに、給与アップにつなげることも可能です。

2-3.認知症介護のプロとしてステップアップできる

認知症介護実践者研修以外にも、認知症ケアを学べる研修があります。特にリーダーや指導者を目指す場合は、認知症介護実践者研修の修了が条件です。
認知症介護実践者研修の修了者は、今後ますます重要性が増す認知症介護のプロフェッショナルとして、さらにステップアップをすることができます。

認知症介護に携わりステップアップを図るためには、認知症介護実践者研修の修了は必須と言えます。

2-4.転職活動を有利に進められる

認知症介護実践者研修は、施設や事業所によっては手当が支給される資格であり、施設・事業所側も研修の修了者を採用するメリットがあります。研修の修了者であれば、施設内で責任のあるポジションを任されたり、やりがいのある業務の担当となったりする可能性もあるでしょう。

介護職の求人は多く、さまざまな条件で求人が出されています。その中でも、より自分に合った良い条件の求人を選ぶことが可能となる点は、大きなメリットです。

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3.認知症介護実践者研修の合格率

認知症介護実践者研修の難易度は、それほど高くありません。

認知症介護実践者研修は、自治体にもよりますが実施回数が年に数回しかない場合もあり、スケジュールを調整しなくてはなりません。募集定員は、受講希望者が多い場合は選考や抽選となります。

また、働きながら受講する点も念頭に置いて申し込みをしましょう。研修内容については、専門的な内容を多く含むため、現場で役に立つ内容が多いです。

4.認知症介護実践者研修の取得方法

認知症介護実践者研修の取得方法に関する詳細は、各都道府県によって異なります。
詳細は、各都道府県のホームページなどから研修施設ごとに確認できるため、事前にチェックしておきましょう。

ここでは、認知症介護実践者研修の受講資格やカリキュラムについて解説します。

4-1.認知症介護実践者研修の受講資格

認知症介護実践者研修を受講するためには、各都道府県によってさまざまな条件があります。例えば、東京都で受講する場合の条件は下記のとおりです。

  • 介護福祉士と同程度の身体介護に関する知識や技術を持っている
  • 認知症高齢者の介護実務経験が2年程度以上である
  • 各施設・事業所において介護・看護のチームリーダー(主任・副主任・ユニットリーダーなど)の立場にあるか、近い将来そうなることが具体的に予定されている

認知症介護実践者研修は、認知症介護を現場で実践できる人材の育成という側面があります。そのため、リーダー的立場という条件を満たさなくても受講できることもあれば、上記の受講条件を満たしていても、職場からの推薦がなければ研修を受けることができない場合もあります。
推薦人数は所属する施設の種類などで異なるため、受講を希望する場合は必ず職場に確認しましょう。

推薦をもらえても応募者多数の場合は、配置義務を有する施設に所属している方が優先的に受講できるように設定されています。申し込めば確実に受講できるものではないことを頭に入れておきましょう。

4-2.カリキュラムを受講して報告書を提出する

認知症介護実践者研修の受講内容に関して、標準カリキュラムは設定されているものの、研修期間はそれぞれの研修施設により異なります。

標準カリキュラムは、「認知症の基本理解」と「具体的なケアの実践や介護技術」に大きく分けることが可能です。認知症の基本理解においては、認知症ケアの基本観点と理念・倫理から、認知症の方や家族介護者への理解と対応、権利擁護といった内容までを学びます。

具体的なケアの実践や介護技術で学ぶ内容は、主に生活支援や、アセスメントとケアの実践の基本などです。

演習などはグループワークを行う場合が多く、ほかの参加者の意見などを聞いて学ぶことで自身の知見も広がるでしょう。認知症介護実践者研修は、指定された全てのカリキュラムを受講して報告書を提出すれば修了証が交付されるため、修了試験はありません。

5.認知症介護実践者研修取得費用の相場

認知症介護実践者研修の費用の相場は、25,000円~が一般的です。しかし、費用相場は地域によって大きく異なる場合もあります。

東京都では無料で受講できるものの、山口県では38,000円と、自治体で必要な費用が変わります。また、別途教材費がかかる自治体もあるため、受講にかかる費用については受験要綱などで確認しておきましょう。

6.認知症介護実践者研修を仕事で活かす

認知症介護実践者研修は、ほとんどの場合、修了した場合でも手当がつくといった給与面に影響する資格ではありません。しかし、施設によっては配置義務があるほか、加算が取れる資格の1つであるため、求転職の際には有利になる資格と言えるでしょう。

また、介護現場によっては、資格保有者として介護リーダーや管理者などに任命されることもあります。実務経験を積み重ねれば、認知症介護実践リーダー研修や認知症介護指導者研修といった上位資格へステップアップも可能です。

認知症介護のエキスパートを目指すのであれば、認知症介護実践者研修は受講しておきましょう。

まとめ

今回は、認知症介護実践者研修の概要に関して、取得するメリットや難易度などを解説しました。

認知症介護実践者研修は、転職の際に有利に働くだけでなく、認知症ケアのエキスパートとして活躍の場も広がります。仕事をしながらの受講は大変ではあるものの、介護の現場で働く職員にとっては積極的に取得したい資格の1つです。

認知症介護実践者研修を修了することができれば、職場で高く評価されるほか、利用者や家族からも頼りにされる存在となるでしょう。

プロフィール

馬淵 敦士(まぶち あつし)

「ベストウェイケアアカデミー」学校長。介護福祉士・社会福祉士・介護支援専門員(ケアマネジャー)・公認心理師

馬淵敦士さん

(株)ベストウェイ代表取締役社長。奈良教育大学大学院教育学研究科修了。ホームヘルパー・在宅介護コーディネーター・ケアマネジャーを歴任し、「かいごのがっこう ベストウェイケアアカデミー」を設立。 修士(教育学)・介護福祉士・社会福祉士・介護支援専門員・公認心理師・小学校教諭及び特別支援学校専修免許状を持つ。多くの介護関連資格の受験勉強をし合格してきたため、試験のポイントを熟知している。介護現場から起業して社長となり、10年以上経営、人材育成に力を注ぐ。 福祉系受験対策講座を全国で行い、『ケアマネジャー試験 過去問解説集2021(中央法規出版)』『ケアマネに合格する人はなぜ質問をするのか(三恵社)』など執筆。