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仕事・スキル 介護資格 2022/10/13

介護食アドバイザーとは?向いている方の特徴や資格の取得方法!

構成・文/介護のみらいラボ編集部 2.jpg

すでに介護職として働いている方や介護職を目指している方のなかには、介護関連の資格取得を検討している方も多いのではないでしょうか。

数多く存在する介護関連の資格には、利用者さんのQOLを支える「食事」に関する資格もあります。その1つである「介護食アドバイザー」は、介護施設・医療施設で調理に関わりたい人や、利用者さんのためにおいしくて食べやすい食事を作りたい人におすすめの資格と言えるでしょう。

当記事では、介護食アドバイザーの仕事内容や求められる役割、資格取得のメリットについて解説します。介護食アドバイザーの将来性や向いている方の特徴、資格取得の方法も併せて紹介するので、興味のある方は必見です。しっかり確認して、介護職としてのスキルアップ・キャリアアップを目指しましょう!

1.介護食アドバイザーとは?求められる役割

介護食アドバイザーは、栄養学や高齢者の身体的特徴・心理に関する知識をもとに、栄養バランスや安全性などに配慮した介護食作りを行う「介護食のスペシャリスト」です。

介護食アドバイザーの主な役割は、咀嚼力や嚥下機能、食欲などが低下し、食事量も減りがちな高齢者に対して、適切な食事メニューを作成・提供することです。介護施設などにおいては、高齢者の生理機能や心理状態に配慮しつつ、季節感や栄養バランスに配慮した介護食作りが求められるでしょう。

また、介護食アドバイザーは、食品メーカーや介護福祉関連企業などにおいて、介護食の新商品の開発や既存商品の改良に携わる場合もあります。そうした場合も、高齢者の身体的な特徴や心理、栄養学の知識を十分に発揮することが期待されるでしょう。

介護食アドバイザーと関連する資格の違い

介護食アドバイザーと同じく介護食に関連する資格に、「介護食コーディネーター」や「介護食士」があります。では、介護食アドバイザーとそれらの資格には、どのような違いがあるのでしょうか。

介護食コーディネーターと介護食アドバイザーの比較
介護食コーディネーターは介護食アドバイザーと同様に、介護食に関する知識・スキルを習得していることを示す資格です。

介護食コーディネーターが高齢者に向けた介護食全般の知識を学ぶのに対して、介護食アドバイザーは、嚥下障害がある方にも対応できるように、ソフト食・軟菜食を中心に学習する点に特徴があります。

介護食士と介護食アドバイザーの比較
介護食アドバイザーは、栄養バランスが良く、高齢者に適した安全な介護食のレシピ作成を求められますが、介護食士は実際の調理技術が問われる資格(介護に携わる方の調理技術向上を目的とした資格)です。

加えて、受講資格にも違いが見られます。介護食アドバイザーは誰でも受講可能ですが、介護食士には1級~3級までの等級があり、1級においては年齢制限や実務経験に関する要件が設けられています。

介護食アドバイザーを取得するメリット

介護食のレシピ・献立作成の業務に携わる際に、介護食アドバイザーの資格が必須というわけではありません。しかし、介護職として活躍している方や介護職を目指している方が介護食アドバイザーを取得することには、多数のメリットが存在します。

■介護職が介護食アドバイザーの資格を取得するメリット

・利用者さんの状態をより注意深く観察できるようになる
介護食作りの知識が身に付くのはもちろん、食事を通じて利用者さんの状態をより注意深く観察できるようになります。食事の偏りや栄養状態に課題があれば、介護食を改善・アレンジするなどして、利用者さんの健康維持・向上につなげることもできるでしょう。

・介護業界における就職・転職で有利になる
介護食に精通している介護スタッフは意外に少ないため、専門知識を持っている介護食アドバイザーは、介護食を提供する施設において重宝されるでしょう。資格を所持していることで、就職・転職を有利に進められる可能性もあります。職場によっては、資格手当によって給与アップが見込めることもあるでしょう。

2.介護食アドバイザーの将来性は?今後の需要

高齢化社会が進行する日本では、今後も総人口に占める高齢者の割合(高齢化率)が増加していくと考えられます。そうしたなかで介護の需要もさらに高まると予想され、それにあわせて介護食アドバイザーのニーズも高まっていくでしょう。

(出典:内閣府「令和4年版高齢社会白書(概要版)第1章 高齢化の状況」
(出典:厚生労働省「今後の高齢者人口の見通しについて」

また、厚生労働省の補助金制度を活用して行われた調査事業によると、「多くの高齢者が『なるべく普通食に近い形態の食事を楽しみたい』という気持ちを持っている」という結果が出ています。

それを踏まえると、「介護食ならではの食べやすさ」と「普通食と変わらないおいしさ」を併せ持った食事を考案・提供する介護食アドバイザーのスキルは、介護現場において欠かせないものになりそうです。

(出典:厚生労働省「在宅高齢者の口から食べる楽しみの支援の在り方に関する調査研究事業 報告書」
(出典:厚生労働省「資料4-1 高齢者にとっての「食べること」の意義」

3.介護食アドバイザーに向いている方の特徴!

介護食アドバイザーは、今後の介護現場で大いに活躍することが期待される資格です。ここでは、介護食アドバイザーの資格取得に向いている方の特徴を解説しましょう。

■介護食アドバイザーの資格取得に向いている方の特徴

・介護業界や食品業界で働きたい方
介護食アドバイザーの資格は、介護業界だけでなく高齢者向けの食品を開発・改良している食品メーカーでも役立ちます。介護職として働いている方やこれから介護職を目指す方、食品メーカーへの就職を考えている方は、資格取得を検討してみると良いでしょう。

・おいしい食事で多くの高齢者を笑顔にしたい方
介護食アドバイザーの資格を取得することで、高齢者が楽しく食べられる食事や、健康に配慮した食事を考案・調理するスキルが身に付きます。したがって、「高齢者と接することが好き」「食べることや調理・料理が好き」という方も、資格取得に向いているでしょう。

・食事介助の方法や口腔ケアの知識・スキルを習得したい方
介護職として働いている方やこれから介護職を目指す方、高齢者を自宅で介護している方のなかには、食事介助や口腔ケアの知識を深めたい方も多いのではないでしょうか。介護食アドバイザーは介護食の考案・調理だけでなく、口腔機能トレーニングや食事介助についても学ぶため、そうした知識・スキルを実際の介護現場でも役立てられます。

4.介護食アドバイザーの資格取得方法!

介護食アドバイザーは、一般財団法人日本能力開発推進協会(JADP)が認定する民間資格です。

介護食アドバイザーの資格を取得するには、資格JADPが指定する認定教育機関で「介護食アドバイザー資格習得講座」を受講・修了した後、検定試験に合格することが必要です。なお、講座は年齢・職歴・学歴に関係なく受講可能。通信講座もあるため、社会人でも検定試験に向けた勉強がしやすいでしょう。

■介護食アドバイザーの検定試験の概要・試験内容

技能審査の目的 高齢者の心理、病気、栄養学において正しい食の基礎知識を持つ介護食のスペシャリストを育成し、食の大切さの認識と介護食に関する知識レベルの程度を審査し、証明することにより、職業能力の向上と社会的経済的地位の向上に資することを目的とします。
技能審査の対象 高齢者心理、栄養学、病気、介護食に関する基礎知識、食材に関する基礎知識などを審査の対象とします。
合格者に付与する称号 介護食アドバイザー資格
受験資格 当協会指定の認定教育機関等が行う教育訓練において、その全カリキュラムを修了した者。
試験日程・会場 カリキュラム修了後、随時、在宅にて受験いただけます。
履修内容(学習範囲) ・高齢者の心理
・栄養学の基礎知識
・介護食の基礎知識
・高齢期の病気と食生活
上記の範囲を認定教育機関にて履修いただきます。
受験料 5,600円(税込)
試験申込・合否の判定・通知 認定教育機関での全カリキュラムを修了後、協会ホームページの『検定試験申込』にて、必要記載事項を入力しお申込のうえ、認定校の教材に同封の振込用紙にて受験料をお支払いください。
「認定教育機関での課題修了確認、協会ホームページからの『検定試験申込』、受験料のお支払い」すべてが確認でき次第、試験問題の発送をいたします。
合否判定は得点率70%以上を合格とし、合否結果は答案受付後、約1ヶ月で送付いたします。

(引用:日本能力開発推進協会「介護食アドバイザー」

まとめ

介護食アドバイザーとは、「介護食作りのスペシャリスト」としてのスキルを身に付けていることを示す資格です。介護需要の高まりや高齢者自身の食事に対する考え方から、介護食アドバイザーの需要は、今後高まっていくと考えられます。誰でも取得を目指せる資格であり、通信講座も用意されているため、介護職の方や介護に興味を持つ方は取得を検討してみてはいかがでしょうか。

「介護のみらいラボ」では、介護の現場で活躍する方や介護職を目指したい方をサポートする情報を多数掲載しています。介護に関する理解を深めたい時には、ぜひ「介護のみらいラボ」をご覧ください。

※当記事は2022年7月時点の情報をもとに作成しています

参考:
通信教育講座・資格のキャリカレ「介護食アドバイザー資格取得講座」

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