認知症対応型通所介護とは?サービス内容や働く場合の仕事内容を紹介
構成・文/介護のみらいラボ編集部介護分野におけるサービスの一つに「認知症対応型通所介護」があります。認知症対応型通所介護は、認知症ケアに特化した通所介護サービスであり、入浴、食事といった身体介護や機能訓練を提供しています。
しかし、介護分野のサービスは多種多様なため、認知症対応型通所介護の役割や仕事内容を十分に理解できていない方もいるのではないでしょうか。
当記事では、認知症対応型通所介護の基本的内容や、具体的な仕事内容などを解説します。認知症支援に関する理解を深めたい方や、これから介護の現場で働こうと思っている方は、ぜひ参考にしてください。
1.認知症対応型通所介護とは
認知症対応型通所介護とは、その名の通り「認知症高齢者の支援に特化した通所介護サービス」のことです。認知症対応型通所介護では、認知症の方を対象に、自宅でできるだけ自立した生活を送るための生活機能の維持・向上や、社会的孤立感の解消を目指します。
一般の通所介護でも認知症の方が通うことは可能ですが、認知症の方は大勢の人がいる場所を嫌がったり、知らない人との交流が苦手だったりすることが珍しくありません。そのため、一般通所介護では利用者さんが環境になじめず、ストレスを感じてしまうケースもあります。
一方、認知症対応型通所介護には、認知症に関する高い知識や技術を持った職員がそろっており、認知症特有の症状に合わせた専門的なサービスを受けることが可能です。加えて、介護職員一人当たりの利用者数も少ないため、認知症の方は心穏やかに過ごすことができるでしょう。
なお、認知症対応型通所介護では、利用者さんの日常を手厚くサポートすると同時に、ご家族の介護負担を軽減することも大きな目的となっています。
●認知症対応型通所介護の利用条件
認知症対応型通所介護の利用条件は、「要介護1以上」かつ「対象施設と同一の市区町村に居住していること」です。原則として居住地の施設しか利用できないのは、管轄の自治体が各施設を指揮監督しているためです。
要介護認定が、要支援者1または要支援者2の場合は、受けられるサービスが介護予防サービスとなるため、「介護予防認知症対応型通所介護」を利用することになります。
認知症対応型通所介護を提供する施設の種類
認知症対応型通所介護を提供する施設は、下記の3種類に分けられています。
・特別養護老人ホームや介護老人保健施設などに併設されている「併設型施設」
・認知症対応型デイサービスとして設置されている「単独型施設」
・グループホームの共用スペース(リビングや食堂)を用いた「共用型施設」
利用者さんは、上記から自分のニーズに合った施設を選んで利用することになります。
いずれの施設においても、1日の利用者数は12名以下となっており、小規模で運営されている分、アットホームな雰囲気の施設が多く見られます。また、サービスには自宅から事業所までの送迎も含まれています。
認知症対応型通所介護のサービス内容
認知症対応型通所介護は、「地域密着型サービス」の一つとして位置づけられています。
地域密着型サービスというのは、「認知症の高齢者や要介護の高齢者が、住み慣れた地域に安心して住み続けるために、地域主体で提供される介護サービス」のこと。そのため、地域と連携したサービスを提供している点も、認知症対応型通所介護の大きな特徴です。
具体的なサービスとしては、「入浴、排せつ、食事など日常生活の介護」「機能訓練」などが挙げられ、他にも地域や施設ごとに必要なサービスを提供しています。
2.認知症対応型通所介護の利用者負担
認知症対応型通所介護の利用者負担は、原則として1割です。ただし、一定以上の所得がある利用者さんについては、負担割合が2割または3割となります。
詳しい利用料は、施設の形態や加算状況によっても異なりますが、参考として下記に厚生労働省および健康長寿ネットが公開している、1回あたりの負担料金を紹介します。なお、送迎費用は料金に含まれていますが、食費やおむつ代などの日常生活費は別途負担となっています。
【厚生労働省】※単独型施設を、7時間以上8時間未満利用した場合
要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | |
---|---|---|---|---|---|
利用者負担 | 985円 | 1,092円 | 1,199円 | 1,307円 | 1,414円 |
【健康長寿ネット】
単独型施設の場合の自己負担額(1割の場合) | |||||
---|---|---|---|---|---|
要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | |
3時間以上4時間未満 | 540円 | 594円 | 650円 | 705円 | 759円 |
4時間以上5時間未満 | 566円 | 623円 | 681円 | 738円 | 795円 |
5時間以上6時間未満 | 853円 | 945円 | 1,035円 | 1,127円 | 1,219円 |
6時間以上7時間未満 | 875円 | 969円 | 1,061円 | 1,156円 | 1,250円 |
7時間以上8時間未満 | 989円 | 1,097円 | 1,204円 | 1,312円 | 1,420円 |
8時間以上9時間未満 | 1,021円 | 1,132円 | 1,242円 | 1,355円 | 1,465円 |
併設型施設の場合の自己負担額(1割の場合) | |||||
---|---|---|---|---|---|
要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | |
3時間以上4時間未満 | 489円 | 538円 | 586円 | 636円 | 685円 |
4時間以上5時間未満 | 512円 | 563円 | 615円 | 666円 | 717円 |
5時間以上6時間未満 | 767円 | 849円 | 931円 | 1,011円 | 1,094円 |
6時間以上7時間未満 | 786円 | 871円 | 955円 | 1,037円 | 1,122円 |
7時間以上8時間未満 | 889円 | 984円 | 1,081円 | 1,177円 | 1,272円 |
8時間以上9時間未満 | 917円 | 1,015円 | 1,115円 | 1,215円 | 1,314円 |
共用型施設の自己負担額は、3種類ある施設のなかで最も低くなっており、単独型施設の半額程度が相場です。ただし、上記の金額はあくまで目安であるため、詳細についてはそれぞれの認知症対応型通所介護に確認する必要があります。
3.認知症対応型通所介護のサービス人員の体制
認知症対応型通所介護における人員の配置基準は、施設の種類によって異なります。併設型、単独型、共用型の必要な人員は、それぞれ下記の通りです。
【併設型および単独型】
・管理者:厚生労働大臣が定める研修の修了者1人(常勤専従)
・生活相談員:1人以上(サービス提供時間に応じて配置)
・看護職員または介護職員:2人以上(サービス提供時間に応じて配置)
・機能訓練指導員:1人以上
【共用型】
・管理者:厚生労働大臣が定める研修の修了者1名(常勤専従)
・従業員:共用される事業所ごとに規定されている基準以上の人数
※生活相談員や看護職員・介護職員、機能訓練指導員は必須ではありません
4.認知症対応型通所介護で働く場合の仕事内容
認知症対応型通所介護での仕事内容は、一般的な通所介護と似ています。ただし、定員が少ないため、利用者さん一人ひとりの状態やペースに合わせてサービスを提供することが可能です。
・自宅と施設間の送迎
・入浴介護
・食事介護
・排せつ介護
・機能訓練
・レクリエーションの企画や実施
・おやつの提供
・利用者さんそれぞれの記録作成
通所介護であるため、夜勤が発生することはなく、朝に出勤して夕方に退勤する勤務形態が一般的です。
介護スタッフは、入浴や食事、排せつといった日常生活のサポートだけでなく、レクリエーションや送迎などの業務も担当します。送迎中は、利用者さんやご家族とじっくり話せるため、利用者さんの状態を把握したり、ご家族との信頼関係を構築したりする良い機会になるでしょう。
また、認知症対応型通所介護で働くことは、認知症に対する深い知識や理解を身に付けることにもつながります。認知症の方をサポートしたい、あるいは認知症支援の経験を積みたいと考えている方は、認知症対応型通所介護で働くことを視野に入れてみてはいかがでしょうか。
まとめ
認知症対応型通所介護は、生活機能向上や社会的孤立感の解消、ご家族の負担軽減などを目的とする、認知症の人に特化した通所介護サービスです。基本的な仕事は一般の通所介護と似ていますが、少人数制のため、利用者さん一人ひとりに合わせた手厚いサービスを提供することができます。
認知症の専門的な知識が求められるため、認知症支援の経験を積みたい方は、認知症対応型通所介護に向いているといえるでしょう。
なお、認知症にかかわらず、日頃の介護業務で知りたいこと、困ったことがある場合は、「介護のみらいラボ」を利用するのがおすすめです。「介護のみらいラボ」では、介護現場に生かせるノウハウや情報を発信しているため、ぜひ参考にしてください。
※当記事は2022年6月時点の情報をもとに作成しています
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