介護のおむつ交換の方法!必要な準備とスムーズに行うコツ
構成・文/介護のみらいラボ編集部
排せつ介助を適切に行うことは、身体機能が低下した高齢者に尊厳ある生活を維持してもらうために不可欠な要素です。そのため、おむつ交換の基礎知識や応用テクニックを身に付けることは、介護の現場で働く上で必須のステップと言えるでしょう。
当記事では、介護の現場で働き始めて間もない方に向けて、おむつ交換の基本的な手順とスムーズに行うためのコツ、注意点を紹介します。介護施設の介護職員または訪問介護員(ホームヘルパー)としての専門性を磨きたい方は、ぜひ参考にしてください。
1.介護おむつの選び方は?
介護おむつには、パンツタイプとテープタイプの2種類があります。パンツタイプは身体能力の衰えが軽微で、自力でトイレに行ける方に向く商品です。寝たきりや尿失禁の回数が多い方を介護する場合は、横漏れや背中漏れしにくいテープタイプを選択すると良いでしょう。テープタイプの介護おむつのなかから利用者さんに合った商品を選ぶ際には、特にサイズや機能性に注目してください。
【1】サイズ
体の大きさに合わせて選びます。介護おむつをはき、テープを止めた状態で、足・ウエスト部分に指1本もしくは手の平が入る程度のすき間ができる商品を選択しましょう。
【2】機能性
動きやすさや快適性を求める場合は、薄型の商品がおすすめです。背中や足部分からの漏れが気になる場合は横漏れ・背中漏れ防止機能付きの商品を選択しましょう。
2.介護のおむつ交換に必要な準備
おむつ交換を行う際には、排せつ物が衣服に付着することを防止するため、使い捨ての介護用エプロンを着用すると安心です。作業中に使用する手袋も同様の理由から、使い捨てを準備すると良いでしょう。その他、おむつを交換する際に準備するものは以下の通りです。
途中で必要な物品を取りに行ったりすることがないように、きちんと準備しましょう。
・介護おむつ、尿とりパッド
・トイレットペーパーまたはティッシュ
・陰部洗浄用のボトル、洗浄剤
・陰部清拭(せいしき)用のタオル
・新聞紙やケアシーツ
・ビニール袋
・塗り薬や保湿クリーム(必要な場合のみ)
トイレットペーパーやティッシュは、排便があった場合、陰部を拭くために使用します。陰部洗浄用のボトルには、38〜39度程度のお湯を入れておきましょう。新聞紙・ケアシーツはベッドやシーツに排せつ物が付着するのを防ぐために必要です。塗り薬や保湿クリームは、おむつかぶれによる肌トラブルを改善するために使用してください。
おむつ交換時のにおい対策
排せつ物のにおいが部屋にこもると、利用者さんの自尊心を傷つける恐れがあります。利用者さんの気持ちに配慮した介護を実践するためにも、事前準備として十分なにおい対策を行いましょう。
使用済みおむつのにおいに対処するには、用意した新聞紙で使用済みおむつを包み、すぐにビニール袋に入れて処分するようにしてください。おむつ交換の効率性を重視する場合は、介護おむつ専用のビニール袋を用意すると良いでしょう。
部屋全体のにおいについては、介護用消臭剤で対処します。床などに置くタイプの介護用消臭剤は利用者さんに配慮して、見えにくい場所に設置しましょう。一般的な消臭剤の中には、尿のにおいに対する効果が薄かったり、香りが強すぎたりするものもあります。おむつ交換時のにおいに効果的な商品を選択するためにも、「介護用消臭剤」であることを確認しましょう。
3.【介護】おむつ交換の手順&スムーズに進めるコツ
おむつ交換は、介護を受ける側にとっても心身の負担が大きい作業です。基本の流れをあらかじめ把握し、安心感を与えることで、心理的な抵抗を軽減しましょう。
以下では、テープタイプの商品を使用して、おむつを交換する手順を解説します。
(1)介護おむつと尿とりパッドを準備する |
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交換用の介護おむつを開いて両端を持ち、左右に2〜3回伸ばすことで、ギャザーを立てます。尿とりパッドも同様の方法でギャザーを立て、介護おむつの内部にセットしましょう(組み立てが必要な、男性用の尿とりパッドを使用する場合は不要です)。介護おむつのギャザーにしっかりと尿とりパッドを入れ込むと、ずれを防止することができます。 |
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(2)おむつ交換に適した環境を整える |
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使用済みおむつを包むための新聞紙を床に敷き、ビニール袋を広げておきます。ベッドの高さは自分自身が、無理のない姿勢を取れるように調整しましょう。毛布や布団は折り畳み、利用者さんの足下に置いてください。 |
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(3)陰部を洗浄・清拭する |
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利用者さんの腰の下にケアシーツや新聞紙を広げたら、使い捨て手袋を装着。使用済みおむつのテープを外して、陰部を洗浄・清拭してください。洗浄は上から下、清拭は性器から肛門に向かって行うと、感染症の予防につながります。 |
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(4)使用済みのおむつを外す |
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利用者さんのお尻の下側が排せつ物から離れるように意識しつつ、体位を仰向けから横向き(側臥位)に変えてください。次に、横向きのまま体を持ち上げ、使用済みおむつを半分に丸めてお尻の下に挟み込みます。 |
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(5)新しいおむつを付ける |
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新しいおむつを丸め、使用済みの横に並べた状態で、お尻の下に挟み込みます。次に、利用者さんを寝返りさせ、使用済みのみを抜き取ったら、新しいおむつを広げましょう。新しいおむつは山折りにした後、両足の間から通すと、排尿口にしっかりと当てることができます。その後、そけい部に沿わせることを意識しつつ、左右のギャザーを広げます。 ・組み立てが必要な男性用の尿とりパッドを使用する場合 男性用の尿とりパッドをろうと状に組み立てた後、男性器を内部に収納してください。 |
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(6)テープを貼る |
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足・ウエスト周りに余計なすき間ができないように意識しつつ、下のテープは斜め上、上のテープは斜め下方向に貼り付けます。体の細い方の場合は、上下のテープを交差させて貼る方法も良いでしょう。 |
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(7)仕上がりを確認する |
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「介護おむつの中心と利用者さんの体の中心があっているか」や、「足・ウエスト周りがきついもしくはゆるい状態になっていないか」などを確認します。 |
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(8)後処理する |
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おむつ交換の最後は以下の処理を行い、においなどに対処します。 ・シーツやパジャマの汚れを確認し、必要に応じて交換する ・ベッドの高さやサイドレールを元の状態に戻す ・石鹸で手を洗う ・使用済みのおむつを片付ける ・部屋の扉や窓を開けて、換気する シーツやパジャマの交換や換気を怠ると、気になるにおいを発生させる原因になってしまいます。本人の不快感を和らげるためにも、適切な後処理を行ってください。 |
なお、上記の手順はあくまで基本の流れとなります。使用中に漏れる、ずれるなどの問題が頻発する場合は、尿とりパッドや介護おむつの付け方を見直すことも必要でしょう。
また、尿とりパッドや介護おむつの付け方は、商品によって多少異なる場合もあります。基本の手順を把握した上で、勤務先が使用している商品に合わせた臨機応変な対応を心がけましょう。
4.おむつの付け方のポイントとNG例
介護おむつの付け方を誤ると、利用者さんに不快感を与えて、使用を拒否されるケースもあります。よくあるおむつ交換の失敗パターンを把握することで、利用者さんの不快感を軽減し、スムーズな介護を実現してください。
以下は、おむつ交換でよくあるNG例と対処法です。
・おむつの中心がずれている
おむつの中心がずれると、漏れや食い込みなどのトラブルを引き起こすリスクがあります。おむつ交換を行う際には、介護おむつの中心線を利用者さんの体の中心に合わせましょう。
・テープを平行に貼っている
左右のテープを平行に貼ると、足の動きが妨げられてしまいます。テープを貼る際は、「下は斜め上・上は斜め下方向」のルールを守りましょう。
・おむつが体にフィットしていない
おむつが体にフィットしていないことも、漏れや食い込みの原因となります。足側は下のテープ、ウエスト周りは上のテープで調整し、しっかりとフィットさせてください。
まとめ
おむつ交換は、必要な物品を準備した上で、環境整備・陰部の清浄と清拭・おむつの取り替え・後処理の順番で進めます。おむつを交換した後は、「おむつの中心がずれていないか」「きつかったり、ゆるかったりしていないか」などを確認し、体にフィットした状態に仕上げましょう。
なお、介護業界で活躍するためには、排せつ介助以外の基礎知識もしっかり身に付けて、仕事の幅を広げることが大切です。介護のみらいラボでは、介護の現場で役立つさまざまな基礎知識・応用テクニックを紹介しています。利用者さんに信頼される人材として介護業界で活躍したい方は、ぜひ介護のみらいラボを参考にしてください。
※当記事は2022年6月時点の情報をもとに作成しています
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