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仕事・スキル 介護士の常識 2022/07/12

【作業療法士監修】臥床介助とは?就寝介助・起床介助との違いや重要性、実践のポイント

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介護の現場では、「臥床介助」という専門用語が頻繁に使われています。一方で、就寝介助・起床介助・離床介助などの似た用語もあり、どの言葉がどの介助を表しているか把握できていない方もいるかもしれません。

この記事では、臥床介助の概要や就寝介助・起床介助・離床介助との違い、臥床介助が重要である理由を解説します。臥床介助を行う際の基礎知識も紹介するので、正しい知識を身に付けて介護サービスに役立てましょう。

1.臥床介助とは?

臥床介助とは、利用者が臥床状態になる際に行う身体介助です。「臥床」は「がしょう」と読み、ベッドや布団などに体を横たえる動作、もしくは横になった状態を表す言葉です。

介護現場で行われる、おむつ交換、休憩、就寝などのために利用者にベッドに横になってもらう介助は、すべて臥床介助にあたります。

就寝介助・起床介助・離床介助との違い

介護現場でよく使用され、臥床介助とよく似ていて混同しやすい言葉に、「就寝介助」「起床介助」「離床介助」があります。それぞれの介助内容は下記の通りです。

就寝介助
就寝介助とは、利用者が夜就寝する際に行う介助全般を指します。歯磨き・排泄・パジャマへの着替え・服薬・臥床など、寝る前の準備を含めた一連の動作を手伝うことが就寝介助です。利用者がベッドに体を横たえる際にサポートする臥床介助は、就寝介助に含まれます。

起床介助
起床介助とは、利用者が朝起きる際に行う介助全般を指します。覚醒を促す声かけ・体調確認・離床・洗顔・排泄・日常服への着替えなど、起床して活動を始めるための一連の動作を手伝うことが起床介助です。

離床介助
離床介助とは、利用者を寝た状態から起きた状態にする身体介助を指します。起床介助の際に利用者を起こすだけでなく、食事・排泄・入浴などで体を起き上がらせたり、ベッドから離れたりする際の介助は、すべて離床介助です。

基本的には、利用者が朝起きる際の介助は起床介助、それ以外のベッドから体を起こす・離れる際の介助は離床介助という認識で問題ありません。そして、利用者が夜寝る際の介助は就寝介助、それ以外でベッドに横になる際の介助は臥床介助と呼ばれます。

ただし、介護施設によっては独自の解釈で使用することもあるため、一度確認しておくと良いでしょう。

●関連記事:【作業療法士監修】移乗介助の正しい方法―コツや注意点も

2.臥床介助が重要である理由

脳卒中や骨折といった病気、けがの具合によっては、臥床状態で安静にすることが求められます。しかし、臥床状態が長期化すると、心身の機能が低下して「廃用症候群」を引き起こす可能性があるため、注意しなければなりません。

廃用症候群とは、安静を保ちすぎて活動量が極端に少なくなることが原因で引き起こされる心身障害の一つです。筋力、心肺機能、認知機能の低下を招いたり、うつ状態になったりするなど、数多くの症例が報告されています。廃用症候群を発症すると、自立生活を送れない寝たきり状態に進行しやすくなり、さらに障害が悪化する悪循環が懸念されます。

加齢によって身体機能が低下する高齢者は、心身の機能回復に時間がかかることが多く、若い人よりも廃用症候群を引き起こしやすい傾向にあります。そのため、安静状態の過度な継続を避けるとともに、臥床介助では利用者にも自力で動いてもらう、適切な臥位を取ってもらう、定期的に体位交換を行うなどの工夫が大切です。

(出典:福島県立医科大学医学部「閉じこもり予防・支援マニュアル」
(出典:国立長寿医療センター「介護の理念に立った専門性の確立」

3.臥床介助を行う際の基礎知識

臥床介助は、一見すると簡単な動作に見えますが、きちんとポイントを押さえておかないとトラブルに発展することがあります。介助者の腰痛や故障につながるだけでなく、利用者の病状やけがが悪化することもあるため、正しい知識を身に付けた上で介助を行いましょう。

以下では、臥床介助を行う際の基礎知識を解説します。

臥位の種類

利用者の臥床状態を表す言葉に、「臥位(がい)」があります。臥位は体が横になった姿勢の総称であり、体の向きなどによって呼び方が変化します。

まずは、主な臥位の種類を理解しておきましょう。

臥位の種類 読み仮名 意味
仰臥位
背臥位
ぎょうがい
はいがい
体をあお向けにし、脚を伸ばした姿勢を指します。
背殿位 はいでんい 体をあお向けにし、膝を立てた姿勢です。腰痛予防や腹部の緊張緩和が期待できます。
側臥位 そくがい 体を横向きにした姿勢です。腕を前に引き出して圧迫されないようにします。真横を向かせる場合は支持面が狭く不安定になりやすいため、胸の前にクッションを置き、両手で抱えてもらうなどして体位を安定させましょう。
半側臥位 はんそくがい 体を横向きにし、体幹の傾斜角度を45度前後に保つ姿勢です。褥瘡予防や背中・仙骨部などにできた褥瘡部分の除圧を目的とします。不安定になりやすいため、背中や足に支えとなるクッションを入れましょう。
屈曲側臥位 くっきょくそくがい 体を横向きにし、胎児のように身体を丸める姿勢です。側臥位よりも支持面が広くなり、安定感があるい姿勢でもあります。
伏臥位
腹臥位
ふくがい うつぶせで腹部を下にする姿勢です。高齢者の場合、胸郭や腹部が圧迫されて窒息のリスクが高まることがあるので、ベッドと体の間にクッションを入れたり、短時間で他の姿勢に体位変換したりする必要があります。
半腹臥位 はんふくがい 腹臥位から臀部を横に出した姿勢で、腹臥位よりも胸郭や腹部が圧迫されにくくなります。体が斜めになり、ねじれが起こりやすい姿勢でもあるので、手足の位置を調整したり、クッションで体を支えたりする工夫が必要です。

病気やけがなどで、高齢者が長時間の臥床を必要とする場合、こまめに体位を変更しないと腰痛や褥瘡(床ずれ)などを起こしかねません。高齢者が適切な頻度で寝返りを打てないときは、介助者による定期的な体位変換が必要となります。介助を行う際は、高齢者の状態や体調によって、適切な臥位を選択することが大切です。
利用者の適切な臥位がわからなかったり、不安があったりする場合は、医師や看護師、リハビリテーション専門職に意見を聞いたうえで行いましょう。

臥床介助の流れ

以下では、利用者を車椅子などからベッドへ移乗させた後に、全介助で臥床介助する流れを解説します。

(1)利用者の体勢を整える
胸の前で両腕の手首を交差させ、手のひらを体に押し当ててもらいます。このときに軽く前傾する姿勢を取ると、腕がねじれたり下敷きになったりしにくくなります。座位が浅すぎると転げ落ちる危険があるため、深く腰かけてもらうこともポイントです。恐怖心が強い利用者の場合は、介助者に掴まってもらうなどの工夫を行いましょう。

(2)介助者の体勢を整える
介助者は枕側の膝をベッドに乗せ、体重をかけて体を安定させます。同じく枕側の腕を利用者の側頭部付近から差し入れて背中に回し、手のひらを当てて支えましょう。

(3)利用者の体を横たえる
介助者の肩や上腕で頭を支えながら、利用者の動きに合わせてゆっくりと体を倒します。膝が浮いたところでもう片方の腕を膝裏部分へ差し入れ、お尻を軸に回転させるようにして、利用者の両脚をベッドの上に持ち上げましょう。

(4)利用者が休みやすい臥位に調整する
完全に横たえたら、体調や病状に合わせて適切な臥位を選択します。利用者の体が完全に臥床するまで、力を抜かず支え切ることが大切です。

安全のため、臥床介助が終わるまではベッドを昇降させないようにしましょう。

実践のポイント

臥床介助を行う際は、以下の点に注意しましょう。

利用者にも可能な範囲で動いてもらう
介護や介助では、高齢者の残存能力を損なわせないことが大切です。利用者が自分の力でできることまで介助してしまうと、筋力を衰えさせたり、やる気を奪ったりすることにもなりかねません。例えば、移乗する際にゆっくりでも立ったり座ったりしてもらうと、手足の筋力維持につながるでしょう。

介助者は無理な姿勢を取らない
介助する際、中腰になったり中途半端に体をひねったりしたまま力を込めると、腰や手足の関節を痛めかねません。利用者の体を支える際は、できるだけ背筋を伸ばした状態で介助すると、介助者の負担が軽減できます。

体全体で支えるようにする
腕力だけで利用者の体を動かそうすると、体重を支え切れずに体勢を崩すことがあります。利用者の転倒や落下を防ぐためにも、できるだけ体の密着度を上げ、体全体で支えるようにしましょう。

臥床介助を行う際は、利用者の能力低下を防ぐのと同時に、介助者の負担を減らしたり、双方の安全性に配慮したりすることが大切です。

まとめ

臥床介助は、利用者をベッドなどに横たわらせる身体介助を指します。臥床介助を行う際は、利用者の意思や身体機能に配慮しつつ、病状や体調に合った体位を選びましょう。

「介護のみらいラボ」では、臥床介助以外にもさまざまな介助のコツ、注意点が分かる記事や、介護職の仕事に有益な情報を多数掲載しています。介護職として活躍する力をさらにつけたいと考えている人は、ぜひ「介護のみらいラボ」をご活用ください。

※当記事は2022年4月時点の情報をもとに作成しています

▼監修者からのアドバイス

中重度者が多い介護事業所では、臥床介助は行う機会が多い介助だと思います。全介助レベルの方を無事に臥床介助できると「ちゃんと寝かせられてよかった~」とほっと一息つき、さて次の利用者さんに...と行きたいところですが、ここで忘れたくないのが臥床した利用者さんの姿勢です。足が曲がったまま布団に着かず、体が大変そうな方がいないでしょうか。枕の高さが合わず、苦しそうに呼吸している方がいないでしょうか。臥床介助は寝かせて布団をかければOKかと言われれば、それだけでは足りないのです。
そこで大切になるのが、利用者さんが安楽に休めるためのポジショニングです。その質によって、浅い眠りとなるか深い眠りとなるか、起きた時に体が動かしやすいか、動かしにくいかまで変わることがあり、適切なポジショニングは、利用者さんだけではなく私たちの介護も楽にしてくれます。記事にある臥位の種類などを参考に、寝ている時に利用者さんが楽に呼吸できているか、手足が過度に緊張していないか、体の重さが1点に集中せずベッドに広く分散できていかなど確認して頂ければ幸いです。

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監修者プロフィール

安藤祐介さん

作業療法士

安藤祐介さん

2007年健康科学大学を卒業。作業療法士免許を取得し、介護老人保健施設ケアセンターゆうゆうに入職。施設内では認知症専門フロアで暮らす利用者47名の生活リハビリを担当し、施設外では介護に関する講演・執筆・動画配信を行っている。
著書『利用者に心地よい介護技術/中央法規出版』
YouTube安藤祐介チャンネル(登録者2万名/総再生数400万回)

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