サービス提供責任者とは?仕事内容や必要な資格・スキルを解説
文/山本史子(介護福祉士)
サービス提供責任者は、利用者さんと訪問介護員との間に立ち、適切な介護サービスを提供する重要な役割をしています。しかし、サービス提供責任者という名称を知っていても、詳しい業務内容を知らない方もいるでしょう。本記事では、サービス提供責任者の仕事内容や給与、やりがいなどを詳しく解説しています。キャリアアップや介護業界での新たな挑戦を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
- 目次
- 1.サービス提供責任者とは
- サービス管理責任者との違い
- ケアマネジャー(介護支援専門員)との違い
- 生活相談員との違い
- 2.サービス提供責任者の仕事内容
- 利用者さんの申し込みや相談の調整
- サービス担当者会議
- 利用者さんと家族のアセスメント
- 訪問介護計画書の作成・モニタリング
- 訪問介護員の業務管理
- 訪問業務
- 訪問介護員への技術指導や指示書の作成
- 3.サービス提供責任者の1日の流れ
- 4.サービス提供責任者になるには
- 必要な資格
- 配置基準
- サービス提供責任者は兼任できる?
- 非常勤でもサービス提供責任者になれる?
- 5.サービス提供責任者の給与
- 6.サービス提供責任者のやりがい・メリットとは
- 他職種と連携して働ける
- ほかの訪問介護員の成長がみられる
- スキルアップしやすい
- 身体的な負担が少ない
- 7.サービス提供責任者に向いている人
- コミュニケーション能力が高い人
- 問題解決能力がある人
- 管理能力や調整力がある人
- ストレス耐性がある人
- 8.サービス提供責任者はきつい?注意点とは
- クレームや苦情処理がある
- 訪問介護の職員をまとめる必要がある
- 人と話すことや指示が苦手な人はあまり向いていない
- 9.サービス提供責任者からどんなキャリアアップが目指せる?
- 訪問介護事業所の管理者
- ケアマネジャー(介護支援専門員)
- 独立して訪問介護事業所を開設
- まとめ:サービス提供責任者はやりがいのある介護のキャリアを築ける
1.サービス提供責任者とは

サービス提供責任者(サ責)は、利用者さんのそれぞれの状態やニーズを把握し、適切なサービスを提供するための要となる存在です。利用者さんが安心して生活が送れるよう、利用者さんごとに計画書を作成し、モニタリングを通じて支援の内容を見直し、必要に応じて改善をする仕事を担っています。また、利用者さんの自宅に訪問し、掃除・料理などの生活援助や、入浴・排せつ介助などの身体介助をする訪問介護員(ヘルパー)と連携を図り、スムーズにサービス提供できるよう調整しています。介護の質を維持・向上させるのも、サービス提供責任者の重要な役割です。
サービス管理責任者との違い
サービス管理責任者(サビ管)は、サービス提供責任者と名称が似ているため、混同されることも多くあります。しかし、サービス提供責任者とサービス管理責任者は、働く場所や領域に違いがあります。サービス提供責任者の担当する仕事は、おもに訪問介護サービスの提供に関する業務です。一方、サービス管理責任者は、おもに障害福祉に関する仕事を行います。どちらの仕事も利用者さんの関連機関との連携や計画書の作成、職員の業務管理・指導をするという点では変わりはありません。
ケアマネジャー(介護支援専門員)との違い
ケアマネジャーとサービス提供責任者は、業務内容に似た部分がありますが、業務の目的や対象者が異なります。ケアマネジャーのおもな仕事は、利用者さんや家族の希望や状況を把握したうえで、その人に合ったケアプラン(介護サービス計画書)を作成することです。また、介護サービスを提供する事業所と利用者さんや家族とを橋渡しをする役割も行っています。これに対してサービス提供責任者の仕事は、ケアマネジャーが作成したケアプランをもとに、具体的な目標やサービス内容を訪問介護計画書として作成し、実際の介護サービスが適切に提供できるように調整することです。つまり、ケアマネジャーが介護サービスの全体像を描き、サービス提供責任者が訪問介護サービスの詳細を決定する「実際のサービス提供の調整役」といえます。
●関連記事:サービス提供責任者とケアマネはどう違う?仕事内容や給与の差も!
生活相談員との違い
生活相談員は介護福祉施設や障害福祉施設で、おもに利用者さんや家族の相談や施設生活が快適に過ごせるようサポートする役割をしています。生活相談員は利用者さんの生活全般に関する支援が中心であり、施設運営や施設内の他職種との連携も重要な仕事の一つです。また、地域の社会資源として、地域住民との交流も求められています。一方、サービス提供責任者は、訪問介護サービスの利用者さんへのサービスが適切に提供できるよう調整することが仕事です。
2.サービス提供責任者の仕事内容

サービス提供責任者は、利用者さんが適切な介護サービスが受けられるように、計画から実施・評価までの業務を調整し、サービスの質を管理します。具体的には、次のような内容です。
- 利用者さんの申し込みや相談の調整
- サービス担当者会議
- 利用者さんと家族のアセスメント
- 訪問介護計画書の作成
- 訪問介護員の業務管理
- 訪問業務
- 訪問介護員への技術指導や指示書の作成
このように、サービス提供責任者は訪問介護員によるサービス提供を通じて、利用者さんの生活を支えるために欠かせない存在です。ここから、詳しく解説します。
利用者さんの申し込みや相談の調整
サービス提供責任者は、利用者さんや家族からの相談を受け、希望や課題を把握したうえで、適切な訪問介護計画を立てています。そして、利用者さんのサービス利用申し込みや相談に関する調整業務をすることも仕事の一つです。ケアマネジャーや関係機関と連携し、サービス内容や提供スケジュールを調整する重要な役割を担っています。訪問介護のサービス内容や利用時間・費用に関する説明を行い、利用者さんが安心して暮らせるようにサポートすることが求められます。
サービス担当者会議
サービス担当者会議は、ケアマネジャーや利用者さん・家族など関係者と共に、利用者さんに提供する介護サービスの内容を話し合う場のことです。サービス担当者会議では、利用者さんの現在の状況や希望を共有し、今後の支援方針を決定します。サービス提供責任者は、訪問介護に関する具体的な内容を提案し、他職種と連携して利用者さんに最適なサービスが提供できるようにします。
利用者さんと家族のアセスメント
利用者さんの身体的・精神的な状態を把握し、生活環境や家族の介護負担を含めて、総合的にアセスメントをするのもサービス提供責任者の仕事です。アセスメントにより、利用者さんの課題やニーズを客観的に把握することで、利用者さんに最適な介護サービスを提供できます。利用者さんや家族の意向を聞き取りしながら、支援の方向性を決め、利用者さんの支援計画を作成します。
訪問介護計画書の作成・モニタリング
訪問介護計画書の作成は、サービス提供責任者の重要な業務の一つです。訪問介護計画書には、利用者さんの課題や目標、それに伴う介護サービスの内容や提供する時間・使用日数などが詳しく記載されています。訪問介護計画書の内容を利用者さんや家族に共有・説明し、目的を理解・同意してもらうことが大切です。また、利用者の状態や現状最適なケアが提供できているかなどのチェック・評価(モニタリング)も定期的に行います。モニタリングをして、利用者の状態やケア内容に変化があれば、訪問介護計画書を作り直します。
訪問介護員の業務管理
訪問介護員の業務を管理することも、サービス提供責任者の重要な役割です。サービス提供責任者は利用者さんだけでなく、訪問介護員からも情報を共有し、訪問介護計画書に基づいたサービスが提供されているか確認します。万が一、トラブルが発生した際には迅速に対応し、必要に応じて指導や研修を実施します。
訪問業務
サービス提供責任者は、専従することが基本ですが、訪問介護員として実際の業務に携わる場合もあります。訪問介護施設によってはヘルパーの人手不足で兼任する場合や、利用者さんの状態やサービス内容を把握する目的で訪問業務に携わります。
訪問介護員への技術指導や指示書の作成
訪問介護員のスキル向上を目的とした技術指導も、サービス提供責任者の役割です。新人訪問介護員には基本的な介護技術を教育し、経験のある訪問介護員には現場での具体的な課題解決の方法をアドバイスします。また、訪問介護員が現場で適切に対応できるように指示書を作成し、同行して実地指導をする場合もあります。
3.サービス提供責任者の1日の流れ

サービス提供責任者は幅広い業務に対応しています。訪問先の件数や訪問介護員の数の把握など、事業所内外の連絡や調整が多くなるため、柔軟な対応力が求められます。以下は、サービス提供責任者の1日のスケジュールの一例です。
8:30 |
・出勤 ・訪問先の把握 ・情報共有 ・朝礼 |
9:30 |
・訪問介護計画書の作成 ・事務作業 |
10:00 |
・利用者さんの自宅訪問 ・新規契約・説明 |
11:00 |
・帰所 ・書類作成 ・ケアマネジャーへ連絡 |
12:00 | 昼食・休憩 |
13:00 | ・利用者さんの訪問介護(身体介護) |
14:00 |
・帰所 ・書類作成 |
14:30 | 担当者会議 |
16:00 | 訪問介護員との情報共有・ミーティング |
16:30 | 利用者さんのモニタリング |
17:30 |
・書類作成 ・翌日のスケジュール確認 ・退勤 |
サービス業務責任者は、利用者さんの聞き取りや書類作成・関連機関との連絡がおもな業務です。場合によっては訪問介護員として利用者さんの自宅へ訪問することも少なくありません。また、情報共有や雑談を通して、訪問介護員の状況や様子を確認しておくことも大切です。気になることがあれば話を聞いたり、相談に乗ったりして訪問介護員のケアをすることで、サービスの質向上にもつながります。
4.サービス提供責任者になるには

サービス提供責任者として働くためには、一定の資格や経験が求められます。ここからは、必要な資格や配置基準・働く条件や環境について解説します。
必要な資格
サービス提供責任者は、訪問介護の専門知識や技術が求められます。そのため、次の資格が必要です。
- 介護福祉士
- 介護福祉士実務者研修
- 旧ホームヘルパー1級
- 旧介護職員基礎研修
現在はホームヘルパー1級と介護職員基礎研修が統合され、介護福祉士実務者研修になりました。そのため、ホームヘルパー1級と介護職員基礎研修のいずれかを取得しており、サービス提供責任者になりたい方は、介護福祉士実務者研修を受け直す必要があります。免除項目もあるため、受講の際に確認しましょう。また、介護福祉士実務者研修は、介護職員初任者研修の上位資格です。介護福祉士を受験するためにも必要な資格となるため、さらにキャリアを積みたい方は、受講をおすすめします。
以前は「3年以上介護業務に従事した方で、介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)取得者」も要件に含まれていましたが、2018年以降は削除されました。また、自治体によっては、看護師や准看護師であれば、サービス提供責任者として働くことが可能です。
配置基準
訪問介護事業所には、サービス提供責任者を配置する義務があります。配置基準は利用者さんの人数によって決められており、利用者さん40人に対して1人必要です。利用者数は直近3カ月の平均人数から算出しますが、新規事業所は推定数となります。
サービス提供責任者の配置基準の緩和により、次の要件をすべて満たした場合は、50人の利用者さんに対して、サービス提供責任者は1名でもかまいません。
•常勤のサービス提供責任者を3人以上配置
•サービス提供責任者の業務を主とする職員を1人以上配置
•サービス提供責任者の業務が効率的に進められている場合(例:IT化)
サービス提供責任者としての業務をメインとして働いている目安は、ひと月あたりの訪問介護員として働いた時間が30時間以内であることです。
サービス提供責任者は兼任できる?
サービス提供責任者は、管理上支障がない場合に限り、同一事業所内の職務を兼任することが認められています。そのため、同じ事業所内の居宅介護や管理者と兼任可能です。ただし、訪問介護と管理者の両方の兼務はできません。
ほかにも、同一敷地内で運営されている事業所に限り、夜間対応型訪問介護や定期巡回・随時対応型訪問介護も認められています。ただし、同じ敷地内であっても、有料老人ホームや指定居宅介護事業所では、同じ敷地内であっても兼任が認められないため注意してください。
非常勤でもサービス提供責任者になれる?
サービス提供責任者は、非常勤でも可能です。ただし、非常勤の勤務時間は「常勤の勤務時間の2分の1以上」と定められています。また、併設している事業所で兼任している場合、どちらで働いている場合でも非常勤として扱われます。
5.サービス提供責任者の給与

次の表は、サービス提供責任者と一般的な訪問介護員の給与を比較したものです。
職種 | 月収 | 年収 |
---|---|---|
サービス提供責任者 | 339,290円 | 4,071,480円 |
サービス提供責任者以外 | 282,130円 | 3,385,560円 |
一般的な訪問介護員(常勤)と比べると、約5万円もの給料の差があることがわかります。サービス提供責任者の手当は業務に応じて支給されるため、比較的高い収入が得られるでしょう。※年収計算は月収×12カ月で算出
ただし、事業所の規模や地域によって給与が平均より少なくなる可能性もあるため注意が必要です。
6.サービス提供責任者のやりがい・メリットとは

サービス提供責任者はさまざまな業務を行う必要があり、責任も大きくなります。しかし、その分やりがいやメリットも感じられるとでしょう。サービス提供責任者のやりがいやメリットは、次の4点です。
- 他職種と連携して働ける
- ほかの訪問介護員の成長がみられる
- スキルアップしやすい
- 身体的な負担が少ない
これらのやりがいやメリットを通して自分の成長が感じられると「社会の役に立っている」実感をより得られるかもしれません。次から、詳しく解説していきます。
他職種と連携して働ける
サービス提供責任者は、ケアマネジャーや訪問介護員・医療機関など、多くの職種と連携して利用者さんのケアを行います。他職種と関わることで、さまざまな視点から利用者さんの支援が可能です。また、大きな責任を感じることもありますが、他職種と意見を交換し合いながら、利用者さんに最適な介護サービスを提供できるため、多くの達成感を感じられるでしょう。
ほかの訪問介護員の成長がみられる
訪問介護員を指導・管理する立場として、他の職員の成長がみられると嬉しいものです。新人訪問介護員が少しずつスキルを身につけたり、利用者さんから信頼を得られたりしたときは、職員の成長を感じられるでしょう。また、介護員の成長は、事業所全体のサービスの質が向上しているともいえます。それに伴い、利用者さんや家族から感謝される場面も多くなるかもしれません。
スキルアップしやすい
サービス提供責任者は、利用者さんや家族とのコミュニケーション能力や計画書作成・モニタリングなど、業務は多岐にわたります。この経験は、自然にマネジメント能力や調整力が向上し、キャリアアップにつながります。たとえば、マネジメント能力や調整力を活かしたい場合、ケアマネジャーや管理者がおすすめです。また、介護福祉士実務者研修をすでに取得している場合は、国家資格である介護福祉士を目指すことも可能です。介護福祉士は利用者さんと直接関われるうえに、専門的な知識と経験が身につけられます。そのため、介護業界全体の仕組みを深く理解できるうえに、現場以外の仕事にも携われるチャンスとなるでしょう。さらなるキャリアアップの道が広がるのはサービス提供責任者のメリットです。
身体的な負担が少ない
サービス提供責任者は、訪問介護員と比べて、直接的な身体介助をする頻度は多くありません。夜勤もほとんどないため、体力的な負担が少ないというメリットがあります。年齢を問わず働けるため、長期的に働き続けやすいことも特徴です。もちろん、管理や調整業務の負担はありますが、年齢を重ねても働きやすい職場環境だといえるでしょう。
7.サービス提供責任者に向いている人

サービス提供責任者は多くの業務を調整しながら、利用者さんに適切なサービスを提供する役割をしています。そのため、以下のような人が向いています。
- コミュニケーション能力が高い人
- 問題解決能力がある人
- 管理能力がある人
- ストレス耐性がある人
次から詳しく解説します。
コミュニケーション能力が高い人
サービス提供責任者は、同じ事業所の訪問介護員だけでなく、ケアマネジャーや利用者さん・家族など、多くの人と関わります。そのため、相手の意見や気持ちを理解し、適切に伝える力が求められます。特に、利用者さんや家族との信頼関係を築くことは、良いサービス提供に欠かせない要素です。
また、利用者さん一人ひとりの身体機能やニーズに合わせたサービスを提供する必要があります。そのうえで、相手の気持ちや状況に寄り添う姿勢が重要です。共感力や配慮を含めたコミュニケーションスキルがあることで、利用者さんや家族から頼られる存在にもなれるでしょう。
問題解決能力がある人
訪問介護の現場では、利用者さんの状態変化や予期せぬトラブルが発生するケースもあります。そのため、万が一のときでも柔軟に対応し、適切に対応する力が必要です。現場では冷静な判断力と状況に応じた行動が求められるため、問題解決能力がある人はサービス提供責任者に向いています。
管理能力や調整力がある人
サービス提供責任者の仕事は、訪問介護員の指導や業務の管理だけではありません。計画書の作成や担当者会議の参加などの仕事もあるため、業務を効率的に進める必要があります。そのため、スケジュール管理や人員配置など、チーム全体の調整能力が必要不可欠です。また、複数の業務を同時に進められる「マルチタスク」が得意な人も向いているでしょう。
ストレス耐性がある人
サービス提供責任者の業務の身体的負担は少なめですが、責任の重さや緊急対応などでストレスを感じる場面も少なくありません。利用者さんや家族からの要望や苦情の対応をすることもあるため、安定したメンタルを持っていることが望ましく、どのような状況でも前向きに物事を考えられる、ストレス耐性がある人が適しています。
8.サービス提供責任者はきつい?注意点とは

サービス提供責任者はやりがいやメリットが感じられる一方で、注意点もあります。サービス提供責任者として働く前に、デメリットにみえる点についても考えておきましょう。
クレームや苦情処理がある
サービス提供責任者は、利用者さんや家族、ときには訪問介護員からのクレームや苦情の対応をする場合があります。介護サービスに関する不満やトラブルの原因を突き止め、迅速に対応する必要があります。訪問介護の仕事は、利用者さんの生活に直結しているため、責任の重さを感じやすいかもしれません。利用者さんや家族との意見が合わない場合には、冷静に相手の話を聞き、解決策を考える姿勢が求められることにストレスだと感じることもあるでしょう。
訪問介護の職員をまとめる必要がある
サービス提供責任者は、訪問介護員の指導や業務管理をする立場のため、職員間の業務調整やサポートが必要です。職員同士の意見がぶつかったときには、適切なアドバイスやフォローをすることもあるでしょう。その際、自分よりベテランの訪問介護員や年上の職員への注意しにくさから、ストレスを抱えることもあるようです。
人と話すことや指示が苦手な人はあまり向いていない
サービス提供責任者は他業種と関わる機会も多く、利用者さんや家族と話すことも少なくありません。また、指導や業務管理をする立場であることから、人に指示を出す場面も多くみられます。そのため、人と話すのが苦手な人や、自分の意見や指示を的確に伝えられない人は、負担に感じる場合もあるようです。
9.サービス提供責任者からどんなキャリアアップが目指せる?

サービス提供責任者としての経験は、介護業界においてキャリアアップを目指すことが可能です。たとえば、次のようなキャリアパスが考えられます。
- 訪問介護事業所の管理者になる
- ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格を取得する
- 独立して訪問介護事業所を開設する
それぞれの道には、さまざまなやりがいや責任がありますが、現場で培った知識と経験はどの道にも活かせます。自分の目標や働き方に合った仕事を探してみましょう。
訪問介護事業所の管理者
サービス提供責任者としての経験を積んだあとには、訪問介護事業所の管理者として働く道があります。管理者は、常勤で管理業務に従事する者と定められています。しかし、介護施設によって必要な資格や実務経験が異なるため、事前の確認が欠かせません。次の内容は、管理者の業務の一例です。
- 利用者さんの把握
- 適切なサービスが提供されているか確認する
- 面談・面接
- 人員配置や労働環境の整備
- 施設の運営
- 営業活動
- 収支管理
このように、事業所全体の運営やスタッフの指導、利用者さんとの面談など、より広範囲な業務をします。現場の状況や業務内容を把握しているため、管理者として働く際に有利だといえます。管理者になることは、より大きな責任を持つ一方で、事業所全体の方向性を決定して組織全体を動かすやりがいを感じられるでしょう。
ケアマネジャー(介護支援専門員)
サービス提供責任者としての経験をもとに、ケアマネジャーを目指す道もあります。ケアマネジャーの仕事は、利用者さんの介護サービスを計画し、事業所と利用者さんの間に立って、介護サービスを調整することです。そのため、ケアマネジャーとして働くことで、幅広い視点を持って介護に携われます。また、利用者さんのケアプランを立てる際には、現場での経験や訪問介護計画書の作成スキルが活きるため、サービス提供責任者としての実務経験は大きな強みとなるでしょう。
ケアマネジャーの資格を取得するためには、介護福祉士としての実務経験を通算5年以上かつ、900日以上従事することが必要です。
独立して訪問介護事業所を開設
自分で訪問介護事業所を開設し、経営者として働く道もあります。サービス提供責任者としての経験は、事業所を運営する際に活かせるでしょう。特に、訪問介護計画書の作成や職員の管理、利用者とのコミュニケーションなど、実務的なスキルは開業後の強力な武器となります。
事業所を開設するには事業計画の作成や行政への申請だけでなく、適切な職員配置、初期費用などが必要です。独立をすれば自由度の高い働き方を実現できる点で、魅力的な選択肢といえます。
まとめ:サービス提供責任者はやりがいのある介護のキャリアを築ける

サービス提供責任者は、訪問介護の現場でサービスの質を管理し、利用者さんと訪問介護員の架け橋となる重要な仕事です。サービス提供責任者の仕事は多岐にわたり、その責任の重さはあるものの、その分やりがいや自己成長が感じられるでしょう。
また、サービス提供責任者は、コミュニケーション能力やマネジメント力が必要です。その経験を活かしてケアマネジャーや管理者など、キャリアアップを目指せる可能性も広がっています。資格を取得したい場合は、早めに取り掛かり、計画的にスキルアップできるように準備しておきましょう。
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