【なぞり書き百人一首】春の歌⑤ もろともに あはれと思へ 山桜 花よりほかに 知る人もなし
構成・文/介護のみらいラボ編集部
春の歌の第5回目にピックアップしたのは、前大僧正行尊の作品。歌意や作者の解説なども掲載しておきますので、情景や詠み手の思いを感じながら、ゆっくりと文字をなぞってみましょう。

歌の意味と作者について
歌番号66番は、僧侶であり歌人でもある前大僧正行尊の作品。俗世間を離れ、孤独で厳しい山岳修行に励んでいた作者が、山奥で思いがけず桜の花を見つけた際の感動(胸の高なり)を詠んだ一首です。
もろともに あはれと思へ 山桜
花よりほかに 知る人もなし
小倉百人一首 歌番号(66番) 前大僧正行尊
歌意
山桜よ、私がおまえを見ていとおしく思うように、おまえも私をいとおしんでおくれ。この山奥では、ほかに知り合いもいないのだから。
ことば
●もろともに:「一緒に」という意味
●あはれと思へ山桜:「あはれ」は感動をあらわす言葉で「いとおしい」という意味。山桜を人になぞらえて、「私と一緒にいとおしんでおくれ」と呼びかけています
●花:山桜を指す言葉
●知る人もなし:「知る人」は「自分を理解してくれる人」という意味
作者
前大僧正行尊(さきのだいそうじょうぎょうそん):平安時代の公卿である源基平の息子。12歳のときに園城寺で出家し、17歳からは諸国を遍歴。その後、大僧正にまでのぼりつめました。歌道だけでなく管弦や書道にも秀でていたとか。
[参考]
『全訳読解古語辞典 第五版』(三省堂)
『百人一首(全) ビギナーズ・クラシックス 日本の古典』(角川ソフィア文庫)
『解説 百人一首』 (ちくま学芸文庫)
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