超強化型老健とは?算定要件の詳細と老健の種類など徹底解説
構成・文/介護のみらいラボ編集部介護老人保健施設(老健)は、従来、在宅復帰率などに応じて3つの区分に分類されていました。しかし、2018年の介護保険法改正に伴って区分が細分化され、現在は「超強化型」「在宅強化型」「加算型」「基本型」「その他型」の5種類に分類されています。
当記事では、5種類ある老健のなかで最上位に位置する超強化型老健について、その概要や算定要件、働くメリットなどを詳しく紹介します。その他4つの類型についても、概要や算定要件を解説するので、介護現場で働いている方や介護職に関心のある方は、最後までご覧になってください。
1.超強化型老健とは?
「老健」とは、介護老人保健施設の略称であり、介護が必要な高齢者の在宅復帰を支援するための施設です。主に医療法人や社会福祉法人が運営しており、医師や看護師、理学療法士などのサポートのもと、日常の医療・介護ケアからリハビリテーション、食事や入浴までさまざまなサポートが提供されています。
なお、老健は「利用者さんの在宅復帰」を目的としているため、多くの場合は1カ月程度の短期入所となります。加えて、在宅復帰率やベッド回転率などの要件から、5つの施設区分に分類されていることも、老健の大きな特徴といえるでしょう。
「超強化型老健」は5つの区分の中で最上位に位置しており、利用者さんの在宅復帰への貢献度が特に高いと評価された施設です。超強化型老健に区分されるには、厳しい算定要件を満たす必要があり、その分報酬水準も高くなります。
超強化型老健の割合は年々増えており、2018年5月時点では老健全体の7.4%だった施設数が、2019年11月時点では20.6%にまで増加しました。
超強化型老健の算定要件
老健の類型は、下記の5つの算定要件から判定されます。
在宅復帰・在宅療養支援等指標 | 在宅復帰率、ベッド回転率など10個の評価項目のポイントを足した数値が、区分ごとの基準を満たしていること |
---|---|
退所時指導 | 退所時に利用者さんとその家族に対して退院指導を行い、在宅復帰後にも所定のサポートを継続していること |
リハビリテーションマネジメント | 理学療法士などの専門職種によるリハビリテーションを実施し、内容を適宜評価していること |
地域貢献活動 | 地域に貢献する活動を実施していること |
充実したリハビリ | 最低でも週3回程度のリハビリテーションを行っていること |
超強化型老健として申請できるのは、在宅復帰・在宅療養支援等指標における10項目のポイント合計が70以上であり、その他すべての算定要件を満たした施設です。
2.超強化型老健以外の老健とは?4つの種類を紹介
在宅復帰・在宅療養支援等指標の算定基準には10個の評価項目があり、それぞれにポイント配分の基準が定められています。具体的な評価項目の内容とポイント配分は下記の通りです。
在宅復帰・在宅療養支援等指標: 下記評価項目(①~⑩)について、項目に応じた値を足し合わせた値(最高値:90) |
||||
①在宅復帰率 | 50%超 20 | 30%超 10 | 30%以下 0 | |
②ベッド回転率 | 10%以上 20 | 5%以上 10 | 5%未満 0 | |
③入所前後訪問指導割合 | 30%以上 10 | 10%以上 5 | 10%未満 0 | |
④退所前後訪問指導割合 | 30%以上 10 | 10%以上 5 | 10%未満 0 | |
⑤居宅サービスの実施数 | 3サービス 5 | 2サービス 3 | 1サービス 2 | 0サービス 0 |
⑥リハ専門職の配置割合 | 5以上 5 | 3以上 3 | 3未満 0 | |
⑦支援相談員の配置割合 | 3以上 5 | 2以上 3 | 2未満 0 | |
⑧要介護4又は5の割合 | 50%以上 5 | 35%以上 3 | 35%未満 0 | |
⑨喀痰吸引の実施割合 | 10%以上 5 | 5%以上 3 | 5%未満 0 | |
⑩経管栄養の実施割合 | 10%以上 5 | 5%以上 3 | 5%未満 0 |
ここでは、超強化型老健以外の老健について、概要と算定要件、施設数の推移などを詳しく解説します。
在宅強化型老健
最上位区分である超強化型の次に要件が厳しい類型です。加算型老健の要件に加えて、リハビリテーション回数に関する要件を満たす必要があります。詳しい算定要件は下記の通りです。
在宅復帰・在宅療養支援等指標 | 60以上 |
---|---|
退所時指導 | 要件あり |
リハビリテーションマネジメント | 要件あり |
地域貢献活動 | 要件あり |
充実したリハビリ | 要件あり |
また、在宅復帰・在宅療養支援等指標においては、在宅復帰率50%以上、ベッド回転率10%以上などの厳しい基準が定められています。
在宅強化型老健の割合は2018年5月時点の8.1%から多少増減したものの、2019年11月時点では8.9%となっており、推移はほぼ横ばいです。現在(2022年8月時点)は、全国各地に187件の在宅強化型老健があります。
加算型老健
在宅強化型の要件には満たないものの、在宅復帰・在宅療養支援等指標の在宅復帰率などが、一定の基準を満たしている類型です。詳しい算定要件は下記の通りです。
在宅復帰・在宅療養支援等指標 | 40以上 |
---|---|
退所時指導 | 要件あり |
リハビリテーションマネジメント | 要件あり |
地域貢献活動 | 要件あり |
充実したリハビリ | 要件なし |
加算型老健の割合は徐々に増えており、2018年5月時点の26.6%から、2019年11月時点には34.5%まで増加しています。
基本型老健
5つの類型のうち、下から2番目に位置する施設が基本型老健です。他の類型に比べると在宅復帰率などが高くないため、報酬水準も低くなります。詳しい算定要件は下記の通りです。
在宅復帰・在宅療養支援等指標 | 20以上 |
---|---|
退所時指導 | 要件あり |
リハビリテーションマネジメント | 要件あり |
地域貢献活動 | 要件なし |
充実したリハビリ | 要件なし |
基本型老健の割合は減少傾向にあり、2018年5月時点には老健全体の半分以上(54.4%)を占めていた施設数が、2019年11月時点では32.0%となっています。
その他
超強化型老健から基本型老健まで、どの類型にも当てはまらない老健は、その他に分類されます。
例えば、在宅復帰・在宅療養支援等指標のポイントが19以下となる施設や、20以上であっても退所時指導やリハビリテーションマネジメントで要件を満たさない施設などがこの類型にあたります。
その他の割合は、2018年5月時点で3.4%。2018年7月には7.9%まで増えたものの、2019年11月時点には4.0%となっています。
3.超強化型老健で働くメリット2つ
超強化型老健で働くメリットとして、他の老健で働くよりも高い収入を見込めること、自身のスキルアップが期待できることなどが挙げられます。
超強化型老健は老健における5つの類型のうち、最も厳しい要件をクリアした施設だけが申請できる区分です。算定要件が厳しい一方で報酬水準が高くなるため、他の老健で働くよりも高めの給与が期待できるでしょう。
また、超強化型老健では、「在宅復帰サポート」という役割を果たすために質の高いサービス提供が必須となります。施設で働く職員には高い技術が求められるため、介護士としてのスキルアップを実現できる可能性も高いでしょう。超強化型老健に区分される施設では、職員向けの研修制度を設けているケースもあります。
まとめ
超強化型老健とは、5種類ある老健の区分のなかで最上位に位置する類型です。超強化型老健に区分されるには、在宅復帰・在宅療養支援等指標のポイントが70以上であることに加え、在宅復帰率やベッド回転率など複数の要件を満たす必要があります。
なお、老健の類型には、超強化型の他にも基本型や加算型などがあり、基準が厳しいほど報酬水準が高くなる点に特徴があります。
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※当記事は2022年8月時点の情報をもとに作成しています
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