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老健の主な業務内容とは?スケジュールから給料相場まで解説

公開日:2023.09.11 更新日:2023.09.11
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病院と自宅介護の中間施設としての役割を持つ「介護老人保健施設(老健)」には、身体介助をはじめとしたさまざまな業務があります。老健は基本的に24時間体制(日勤と夜勤)で、業務の流れや手順が異なることが特徴です。

当記事では、老健の概要や仕事内容を3つ解説するほか、日勤・夜勤別で老健で働く場合のスケジュール例、介護職員が老健で働くメリット・デメリットも紹介します。スキル・キャリアパスを視野に入れた老健の福利厚生と給料相場が知りたいという方も、ぜひご一読ください。

1.介護老人保健施設(老健)とは

介護老人保健施設は病院と自宅介護の中間施設としての役割を持ち、「入院の必要度は高くないが、まだ自宅に帰れる身体状況ではない」という方が入所する施設です。厚生労働省では、以下のように定義しています。

介護老人保健施設とは、要介護者であって、主としてその心身の機能の維持回復を図り、居宅における生活を営むことができるようにするための支援が必要である者に対し、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設。
(介護保険法第8条第28項)

(引用:厚生労働省「介護老人保健施設(参考資料)」/ https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000174012.pdf /引用日2022/09/28)

主にリハビリを目的として入所することになるため、介護スタッフ以外にも理学療法士や作業療法士のような専門職とともに働くことになります。また医療的なケアが必要な人のために、24時間体制で医師や看護師が常駐しています。

2.老健の主な業務内容3つ

老健には、医療ケアのために医師や看護師、リハビリのために理学療法士や作業療法士がいて、さまざまな職種の人が一緒に働いています。また、支援相談員やケアマネジャーもいます。そこで、老健で働く場合は、違う役割を担う他職種の人と連携し協働する意識を持つことが大切です。

ここでは、介護職員が担当する主な仕事内容を3つ取り上げて解説します。

2-1.身体介助

身体介助には大きく4つの種類があります。それぞれの主な業務内容は以下の通りです。

食事介助 自力で食事することが難しい利用者に対し、食べやすいようサポートする業務です。利用者の状態に合わせてトロミ食やきざみ食を用意し、口元まで運びます。口腔ケアも業務に含まれます。
入浴介助 1人ではお風呂に入るのが難しい利用者に対し、入浴をサポートする業務です。身体を洗ったり湯舟に浸かる際に支えたりするだけでなく、入浴前の体調チェックや脱衣所・浴槽を暖めて環境を整えることも、大切な業務のうちです。
移動介助 居室からトイレ、リビングから浴室など、利用者が移動する必要があるときにサポートする業務です。杖が必要か、車いすが要るかなど、状態に合わせ適切な介助をすることが求められます。
排泄介助 利用者が排泄する際、運動機能や身体状況に合わせてサポートする業務です。トイレまで誘導する、オムツを交換する、陰部の清拭を行うなど、利用者により必要なサポートは異なります。

2-2.介護記録作成

介護記録は、利用者の過ごし方や体調の変化、実施した介護ケアやリハビリなどについて書き記したものです。

記録を残しておくことで、利用者の日々の様子や変化を職員間で正確に共有できます。ケアプランの見直しや、利用者のご家族に日々の様子や提供したサービスを伝える際にも役立ちます。

記録を作成する際は、以下4点をもらさず記入しましょう。

  • ・介護を実施した日時と場所
  • ・介護の具体的な内容
  • ・利用者の状態
  • ・介護実施担当者の署名

介護を実施した日時は、時間も正確に記すようにします。利用者の状態は、主観を交えず客観的な視点で事実を書くことが大切です。

2-3.レクリエーション

レクリエーションの企画・実施も、重要な業務の1つです。介護施設では以下のようなさまざまなタイプのレクリエーションが実施されます。

  • ・クイズ、パズル、間違い探し、漢字の読み書きなど頭を使うもの
  • ・ちぎり絵や折り紙、お手玉などの手遊び
  • ・ラジオ体操やリズム運動など身体を使うもの
  • ・好きな音楽を聴いたり歌ったり、楽器を演奏したりするもの
  • ・散歩や買い物などの外出
  • ・近隣の幼稚園や保育園の子どもたちと交流する(思い出話をしてもらうといったレクリエーションをする施設もある)

老健でレクリエーションを実施する主な目的は、「心身のリフレッシュ」「認知機能や身体機能の維持・回復」です。

日々の生活にメリハリをつける役割を担い、考えたり体を動かしたりすることで脳の活性化や身体機能の維持・向上をはかります。

3.【日勤・夜勤別】老健で働く場合のスケジュール例

老健は24時間体制が基本のため、日勤と夜勤とがあり、それぞれ業務の流れが異なります。施設によって勤務時間は前後しますが、以下のようなスケジュールで動くことが一般的です。

日勤
9:00 出勤 夜勤者より申し送りを受ける
10:00 バイタルチェック・入浴介助 利用者の健康状態を確認し、問題なければ入浴をサポートする
11:00 昼食の準備
12:00 昼食の食事介助
12:30 交代で昼休憩
13:00 利用者の見守り・介助
14:00 リハビリの付き添い・サポート 機能訓練指導員によるリハビリに付き添い、必要に応じてサポートする
16:00 介護記録作成など 介護記録の作成など事務作業を行う
17:00 夕食の準備・配膳
18:00 退勤

夜勤
17:00 出勤 日勤者から申し送りを受ける
18:00 夕食の食事介助
19:00 口腔ケア
就寝準備
食後に口腔ケアを行う。その後、ベッドへの誘導や着替え、排泄介助などを行い寝る準備を整える
21:00 消灯
事務作業や施設内の巡回
消灯後は事務作業を行う。1~2時間置きに巡回して利用者を見守る
05:00 起床介助 着替えや洗顔、排泄介助を行う
07:00 朝食準備
08:00 朝食の食事介助
09:00 日勤者への申し送り
10:00 退勤

4.介護職員が老健で働くメリット・デメリット

老健で働く主なメリット・デメリットについて解説します。主なメリットは、以下の2点です。

・医療ケア・リハビリに関する知識が得られる
老健での業務は医療ケアやリハビリをサポートする機会が多いことが特徴で、他職種の専門分野に関する知識や経験が得られます。介護の幅を広げることにもつながり、やりがいが感じられるでしょう。


・医療の専門スタッフがいるため介護業務に集中できる
看護師など医療の専門職が常駐しているため、利用者に万が一のことがあっても任せられ、介護職員は介護業務に集中できます。

主なデメリットとしては、以下の2点が挙げられます。


・サービスの中心が医療寄りになりやすい
老健では利用者が自宅で生活できるようになることを目標としています。そのため、機能回復を目指すリハビリやケアの割合が高く、提供するサービスが医療寄りになりがちです。身体介護などの介護業務に専念したい人には、物足りない可能性があります。


・基本的に長期的な介護は行わない
終身利用が基本となる特養などと比べ、在宅復帰を目指す老健の入所期間は原則として3か月と短期間です。利用者が短期間で入れ替わるため、一人ひとりと深く関わり長期的に介護したいと考えている人には向きません。

5.老健の福利厚生と給料相場

介護施設は基本的に社会保険完備です。その他、以下のような福利厚生がよく見られます。

通勤手当
職場までかかる交通費の一部もしくは全額を雇用者が負担します。
食事補助
利用者に提供している料理と同じものを安く食べられる制度を設けているところがあります。
特別休暇制度
法律で定められた休日(法定休日)以外に、誕生日休暇やリフレッシュ休暇などの特別な休暇制度を設けているところもあります。
社員寮・住宅手当
職員が低価格で住める寮が用意されていたり、家賃の一部を負担する住宅手当が支給されたりする施設もあります。
資格取得支援制度
介護業務に必要な資格の取得費用の一部もしくは全額を雇用者が負担する制度です。

厚生労働省の資料によると、老健で働く介護職員の平均給与は2021年9月時点で323,770円でした。他施設で働く介護職員と比較してみましょう。

施設名 給与額
介護老人保健施設 323,770円
介護老人福祉施設 328,120円
介護医療院 290,140円
訪問介護 286,920円
通所介護 275,670円
通所リハビリテーション 326,940円
特定施設入居者生活介護 313,160円
小規模多機能型居宅介護 267,470円
認知症対応型共同生活介護 287,670円

(引用:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/21/dl/r03gaiyou.pdf)

(内部リンク:老健 給料)

介護業界の中では、上位に入る金額です。

6.老健のスキル・キャリアパス

介護老人保健施設には、ケアの質を向上させるための委員会を設置する義務があります。加えて定期的な研修を行う義務もあるため、褥瘡(じょくそう)や拘束、介護技術などに関連した専門的な研修を受けることができます。介護の仕事を続けていく上で必要となる技術や、知識を数多く学べるでしょう。

また介護老人保健施設では、ケアプランの作成は現場で働く介護スタッフが行います。施設によってはモニタリングやアセスメントまで任されることもありますが、将来的にケアマネージャーを目指している場合は実践的な知識を学べる良い機会です。

そのほか、介護老人保健施設ではリハビリ職から専門的なレクリエーションを学ぶことができたり、利用者数の多さゆえに、業務のスピード向上を自然に身につけたりできるといった利点があります。

7.老健で働くことのよさや向いている人

介護老人保健施設には24時間医師や看護師がいるため、緊急時の判断をすぐに専門職に委ねることができます。迅速な処置もその場で行うことができるため、安心して仕事にあたることができるでしょう。

また将来的にケアマネージャーを目指す人や、介護に関する知識や技術をどんどん高めていきたい人、給料面を重視する人にとって、介護老人保健施設はモチベーションを維持しやすい職場と言えるでしょう。

まとめ

介護老人保健施設(老健)とは、「入院の必要度が低く、自宅に帰れる身体状況ではない」という方が入所する施設です。老健の仕事内容には身体介助、介護記録作成、レクリエーションがあり、日勤と夜勤では業務の流れが異なります。

老健には医療専門スタッフがいるため介護業務に集中できる一方、サービスが医療寄りになりやすく介護業務に専念したい人には物足りなく感じる場合があります。老健で働く介護職員の平均給与は介護業界の中でも高い傾向があり、キャリアパスも視野に入れた働き方ができます。

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※当記事は2022年9月時点の情報をもとに作成しています

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