高齢者の脳トレにおすすめの計算問題6選【無料】
有料老人ホームや介護老人保健施設といった高齢者向け施設では、利用者さんが毎日をより楽しく、有意義に過ごせるように、さまざまなレクリエーション活動が行われています。「計算問題」もその一つで、計算レクリエーションは、脳トレ・認知機能訓練を目的に、計算ドリルやオリジナル問題のプリントを用いて行われるのが一般的です。
当記事では、高齢者向け計算問題の例題から、レクリエーションを利用者さん全員に楽しんでもらうコツまで、詳しく解説します。
1.計算レクリエーションの例題6タイプ
高齢者向け計算問題は、脳トレ・認知機能訓練におすすめのレクリエーションです。脳トレは「認知的トレーニング」とも呼ばれ、認知症の予防にもつながるとされています。
計算問題と聞いてすぐに思い浮かぶのは、プリントやテキストなどを配布して、利用者さんが1人で取り組むタイプのものではないでしょうか。しかし、計算問題を使ったレクリエーションには、ホワイトボードやカードを使って集団で楽しめるものもあります。
ここからは、高齢者向けの計算レクリエーションにおける6つのタイプを紹介します。併せて例題も掲載しますので、問題を作成する際の参考にしてください。
四則計算
四則計算(四則演算)とは、足し算(+)・引き算(-)・掛け算(×)・割り算(÷)を使用した計算のことです。
足し算だけ、または引き算だけのシンプルな問題や、足し算と引き算を組み合わせた問題は、難易度はそれほど高くありません。しかし、掛け算や割り算となると難易度がやや高くなります。
さらに、足し算と掛け算、引き算と割り算という具合に、複数の計算方法を組み合わせると、問題の難易度がよりいっそう高くなります。
<四則計算の出題例(難易度低→高)>
問題 | 答え |
---|---|
2+8+3= | 13 |
5+7-4= | 8 |
8÷2= | 4 |
5×7-3= | 32 |
四則計算の計算レクリエーションでは、上記のような問題の他、高齢者にもなじみのある「九九」にチャレンジしてもらうのもおすすめです。
なお、利用者さんのなかには、計算問題の苦手な方がいるかもしれません。四則計算の計算レクリエーションを実施する際は、シンプルな足し算の問題からスタートし、その後利用者さんの様子をうかがいながら、徐々に難易度を上げることをおすすめします。
また、段数に応じて難易度が異なる、ピラミッド形式の計算問題を実施するのも良いでしょう。
足し算ピラミッド
3段
問題1、
問題2、
問題3、
問題4、
問題5、
問題6、
問題7、
問題8
4段
問題1、
問題2、
問題3、
問題4、
問題5、
問題6、
問題7、
問題8
虫食い計算
虫食い計算(虫食い算)は、いくつかの数字や計算記号(+、-、×、÷など)が伏せられた計算式を完成させるレクリエーションです。パズルやクイズの要素もあるため、単純な計算問題に苦手意識がある方にもおすすめです。
<虫食い計算の出題例(難易度低→高)>
問題 | 答え |
---|---|
20+□=32 | 12 |
□+10-4=16 | 10 |
5□3□2=30 | × |
難易度が中くらいの問題も難なくこなせる利用者さんには、虫食い部分が複数あるような複雑な問題を出すのも良いでしょう。
虫食い計算
記号編
問題1、
問題2、
問題3、
問題4、
問題5、
問題6、
問題7、
問題8、
問題9、
問題10、
問題11、
問題12、
問題13
数字編
問題1、
問題2、
問題3、
問題4、
問題5、
問題6、
問題7、
問題8、
問題9、
問題10、
問題11、
問題12、
問題13
お金の計算
日常生活を送る上で欠かせない「お金の計算」も、高齢者向け計算レクリエーションにおすすめです。暗算が難しい利用者さんには、お金のイラストが描かれたプリントやおもちゃのお金を用意し、それらを使って計算してもらうと良いでしょう。下記の出題例のように、スーパーのチラシを利用して問題を出すのもアイデアです。
<お金の計算の出題例(パターン別)>
問題 | 答え |
---|---|
Aくんは両親から500円のお小遣いをもらい、駄菓子屋で220円を使いました。また、その帰り道に自動販売機で120円のジュースを買いました。手元に残ったお金はいくらでしょう? | 160円 |
財布を開けてみると、次のものが入っていました。すべてあわせると、金額はいくらでしょう? ● 1,000円札×3枚 ● 500円玉×1枚 ● 100円玉×3枚 ● 50円玉×1枚 ● 10円玉×4枚 |
3,890円 |
(スーパーのチラシを利用者さんに見せ、買いたい食材を複数選んでもらった上で)買い物のお会計はいくらで、5,000円札を出した場合のおつりはいくらでしょう? | (利用者さんの選んだ食材の種類・数によって解答は異なる) |
お金の計算は普段の生活でも役立ちます。利用者さんには、できるだけ日常生活に即した問題を出すようにすると良いでしょう。
時間の計算
脳機能が低下し始めている高齢者のなかには、単純な数字の計算は難なくこなせても、時間の計算に対して苦手意識を感じる人が少なくありません。しかし、お金の計算と同様に、時間の計算も日常生活に不可欠です。高齢者向けレクリエーションに積極的に取り入れてみましょう。
<時間の計算の出題例>
問題 | 答え |
---|---|
Aさんは、午前9時に自宅を出て、家から15分の場所にあるスーパーで20分間買い物をしました。帰りは少し遠回りをして、25分かけて自宅へ戻りました。帰宅した時の時刻は何時何分? | 午前10時 |
問題が複雑になると、たとえ若い方であっても、頭のなかで計算するのは難しくなります。そのため、紙などで作った簡易的な手作り時計を用意し、時計の針を実際に手で動かしながら考えてもらうのも良いでしょう。
【集団レク】サイコロゲーム
サイコロゲームは、集団で計算問題に取り組めるレクリエーションです。集団で取り組むことで利用者さんのコミュニケーションを促すことができます。また、サイコロを振る動きは手指の機能訓練効果が期待できます。
サイコロゲームにはさまざまな種類がありますが、ここでは、ホワイトボードを使用した遊び方を紹介します。
<必要なアイテム>
● ホワイトボード・ボードマーカー
● サイコロ(参加人数×2個)
● 紙コップ(参加人数分)
<進め方>
(1) | レクリエーション担当者は、ホワイトボードに「2~12」の数字を書いておく。利用者さん全員に紙コップ1個とサイコロ2個を渡す |
---|---|
(2) | 利用者さんを1人選んだら、紙コップに2つのサイコロを入れて振ってもらい、出た目の合計数を発表してもらう |
(3) | ホワイトボードに記載した数字のなかから、(2)で発表してもらった合計数と一致する数字を選び、丸で囲む |
(4) | (2)(3)をくり返し、ホワイトボードに書かれたすべての数字を丸で囲めたら終了 |
上記のようにホワイトボードに記載した数字を消していく方法では、最後に残った数字とサイコロの目の合計数がなかなか合わず、ゲームが長引くことがあるかもしれません。その場合は、利用者さん全員でいっせいにサイコロを振り、協力し合いながら最後の数字を消すという方法もおすすめです。
【集団レク】数字当てゲーム
数字当てゲームとは、レクリエーション担当者が出題者となって「数字に関する問題」を出し、利用者さんが正解の数字を当てるレクリエーションです。数字当てゲームにはさまざまなやり方がありますが、ここでは、数字カードを使ってチーム戦を行う方法について説明します。
<必要なアイテム>
● 画用紙10枚1セット(人数分用意)
● ペン
<進め方>
(1) | 画用紙に0~9の数字を1つずつ書く。これを1セットとし、ゲームに参加する利用者さんの人数分用意しておく。利用者さんをチーム分けする |
---|---|
(2) | 下記の出題例を参考にしながら、レクリエーション担当者は0~9のいずれかの数字が正解となる問題を出す |
(3) | 利用者さんは、正解だと思う数字の画用紙を上げる。各チームは、正解した人数×1点の勝ち点を獲得し、最終的に勝ち点の多いチームが勝利 |
<出題例>
問題 | 答え |
---|---|
5+3は? | 8 |
プロ野球の試合は1チーム何人で行われる? | 9 |
「こどもの日」は5月何日? | 5 |
Aチームは赤色の画用紙、Bチームは青色の画用紙という具合に色分けしておくと、チーム分けがより明確になります。チーム全員が正解の数字カードを出せた時は、「すごい!」「そろっていますね!」など、積極的に声かけをすると良いでしょう。
2.高齢者に計算レクリエーションを楽しんでもらうコツ
高齢者向け施設の利用者さんのなかには、計算問題に苦手意識をもつ方もいます。なるべく多くの利用者さんに楽しんでもらえるように、計算レクリエーションを行う際は下記のコツを押さえておきましょう。
● 利用者さんのレベルに合った計算問題を選ぶ
● 積極的にほめる
● 無理強いしない
ここからは、それぞれのコツについて詳細を説明します。
利用者さんのレベルに合った計算問題を選ぶ
高齢者向け計算レクリエーションを行う上で最も大切なのは、利用者さんのレベルに合った計算問題を選ぶことです。難しすぎる計算問題を出されると、利用者さんはやる気や集中力を維持できません。問題を選ぶ際は、「小学生レベル」を基準にすることをおすすめします。
しかし、利用者さんによっては、簡単すぎることでかえって自尊心が傷付き、意欲をなくす可能性もあります。そのため、小学生レベルの計算問題をベースにしつつ、やや難易度の高い問題も準備しておくと良いでしょう。
また、難易度の低い・高いにかかわらず、計算の基本的な解き方やルールについては、利用者さんにあらかじめきちんと説明しておくことが大切です。
積極的にほめる
利用者さんがより積極的に計算レクリエーションに取り組むようにするには、レクリエーション担当者の積極的な声かけが欠かせません。
ほめる際は漠然とした言い方ではなく、「今日はいつもよりもスムーズに解けていますね!」「このままミスなくいけそうですね!」など、具体的かつやる気の出る言葉をかけると良いでしょう。
また、なかなか正解にたどり着けない利用者さんに対しては、どこでつまずいているかを聞き、ヒントを出したり、協力したりするなどのフォローも重要です。
無理強いしない
前述したように、利用者さんのなかには計算レクリエーションに苦手意識をもつ方もいます。「どうしても計算だけはできない、やりたくない」という利用者さんに対しては、決して無理強いをせず、やさしく見守ってあげることが大切です。
また、そうした場合はただ見学してもらうのではなく、計算レクリエーション以外のレクリエーションに取り組んでもらうのも一案です。別のレクリエーションに取り組んでもらう場合でも、定期的に声かけをし「ともに参加している」と思ってもらえる環境を整えましょう。
まとめ
高齢者向け計算レクリエーションは、コミュニケーションの活性化に加えて、脳トレ・認知機能訓練としてもおすすめできるレクリエーション活動です。
四則計算や時間計算といったプリント・テキストに個人で取り組むタイプ以外にも、サイコロゲームや数字当てゲームといった集団で楽しめるタイプもあるため、利用者さんの好みや状況に合わせて実施すると良いでしょう。
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※当記事は2022年5月時点の情報をもとに作成しています
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