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仕事・スキル 介護士の常識 2022/12/01

グループホームと特養の違いは?介護職の就職先選びのポイントも

構成・文/介護のみらいラボ編集部 2.jpg

介護士としての就職を目指す方や、転職を検討している方にとって就職先選びはとても重要です。

転職を検討するにあたって、求人サイトなどで情報を集めていると「グループホーム」や「特別養護老人ホーム(特養)」の名称を目にすることも多いと思いますが、みなさんはこの2つの違いをきちんと理解していますか?

当記事では、グループホームと特養の違いについて、施設面(入居条件、サービス内容、人員配置など)と就業面(給料、待遇、必要資格など)の両方から解説します。あわせて、それぞれの職場に向いている方の特徴も紹介するので、グループホームや特養での仕事に興味のある介護士の方は、ぜひご一読ください。

1.グループホームと特養の違い

ひと口に「介護福祉施設」と言っても、グループホームや特別養護老人ホーム(特養)をはじめ、さまざまな種類が存在します。

そのため、「これから介護職として働きたい」と考えているみなさんは、まず「どの施設が自分に合っているか」を把握する必要があります。また、すでに介護士として活躍している方のなかで、現職以外の職場への転職を希望している方も、ほかの介護福祉施設の仕事内容や人員配置、給料、待遇などについて、詳しく知っておいたほうが良いでしょう。

ここでは、さまざまな施設のなかから、特にグループホームと特養をピックアップ。それぞれの違いについて紹介していきます。

グループホームとは?

グループホームとは、認知症の高齢者に特化した小規模な介護施設のことです。正式名称を「認知症対応型共同生活介護」と言い、介護保険制度において地域密着型サービスに指定されていることから、地域社会との交流も活発です。

グループホームでは、5〜9人の認知症高齢者が1つのユニットとなり、分担された家事や外出、レクリエーションなどの時間を過ごしながら、共同生活を送ります。つまり、「なじみのメンバーで生活できること(環境の変化が少ないこと)」や、「住み慣れた町で自立した生活を送れること」が、グループホームの特徴でありメリットと言えるでしょう。

認知症高齢者のなかには、環境の変化への適用が難しい方もいるため、なじみのある入所者同士で小さなコミュニティを作ることは、認知症の方が苦手とする生活環境の変化を軽減し、心身の状態を穏やかに保つことにつながります。

特養とは?

特養とは、地方公共団体や社会福祉法人によって運営される公的施設で、正式名称は「特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)」です。

特養では、常時介護を必要とし、在宅での生活が困難な高齢者に対して、介護サービスを提供しています。公的施設のため、入居費用が比較的安く入居希望者も多いことから、申し込みから入居までの期間が長くなる傾向にあります。

特養では常時介護が必要な方が入所しているため、サービス内容は生活支援から、食事、排泄、入浴の介助、機能訓練、健康管理、レクリエーションまで多岐にわたります。

また、特養では数日単位で入所し介護を受ける「ショートステイ」や、日帰りで日中のみ介護をサポートする「デイサービス」などのサービスも提供しています。一時的な入所によって、要介護者を介護するご家族の負担を軽減できる点も、特養のメリットと言えるでしょう。

入居条件・サービス内容・人員配置の違い

まずは、グループホームと特養の入居条件から見ていきましょう。

グループホームの入居条件

・医師から認知症の診断を受けた方
・65歳以上の方
・要支援2または要介護1以上に認定された方
・施設と同じ市町村に住民票を持っている方


特養の入居条件

・65歳以上の方
・要介護3以上に認定された方
・自宅での生活が困難と判断された方

グループホームは、認知症高齢者のみが入居の対象となるのに対して、特養では、認知症の有無を問いません。また、特養の場合は、自宅の所在地と異なる市町村でも、受け入れ可能な点に特徴があります。

グループホームと特養では、サービス内容にも違いがあります。食事、排泄、入浴の介助や生活支援については、どちらも対応していますが、医療的ケアや機能訓練、栄養管理は、基本的に特養でしか提供されません。

続いて、人員配置の違いを見ていきましょう。

特養にのみ配置される人員

・医師
・栄養士
・機能訓練指導員

加えて、生活相談員や看護師なども、限られたグループホームにしか配置されていません。特養では、多岐にわたる介護サービスを提供しているため、配置が必要な専門スタッフも多くなります。

2.介護職向け|グループホームと特養の働き方の違い

介護士を目指している方、すでに介護士として活躍されている方のなかには、自分に合った介護施設が分からず、就職・転職先に悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

ここでは、介護職におけるグループホームと特養の働き方の違いについて紹介します。

仕事内容の違い

グループホームと特養において、介護士が共通して行う仕事内容は以下の通りです。

一般的な介護士の仕事内容

・食事・排泄・着替え・入浴の介助
・入居者の健康管理
・レクリエーションや体操などの実施

グループホームでは、入居者の「自立した生活」に対する支援がメインとなります。そのため、身体介護よりも、日常生活の補助や夜間の見回りなど、認知症ケアに関する取り組みが多くなるでしょう。

一方、特養では、要介護度が高い方を受け入れているため、身体介護の業務割合が多くなります。また、入居者の家族と連携を取りながらの近況報告も欠かせません。

グループホームと特養では、在籍する職種にも違いがあります。グループホームでは、介護職員の割合が多いのに対し、特養では、医師や栄養士といった専門スタッフの在籍も義務付けられています。

●関連記事:身体介護と生活援助の違いは?それぞれのサービス内容を解説!

給料や待遇の違い

介護士として、グループホームや特養への就職・転職を考える場合、給料や待遇の違いも気になるポイントでしょう。以下は、勤続年数別に集計したグループホーム、特養における介護スタッフの平均給与額です。

【2021年度 介護スタッフの平均給与額】

グループホーム 特養
勤続1年 139,030円 137,400円
勤続3年 132,710円 127,580円
勤続5年 147,000円 129,150円
勤続10年 139,300円 139,970円

(出典:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」

グループホームと特養で平均給与額に大きな違いはなく、勤続年数による金額の変動もあまりありません。そのため、「勤続年数が長くなっても、昇給が見込めないのでは?」と不安に感じる方もいるかもしれませんが、介護スタッフの給料は、資格を保有しているかどうかで大きく変わってきます。

続いては、グループホームと特養における介護スタッフの平均給与額を、保有資格別に比較してみましょう。

【2021年度 保有資格別の平均給与額】

グループホーム 特養
介護福祉士 306,430円 356,310円
社会福祉士 397,800円 378,110円
ケアマネジャー 353,730円 410,230円
介護職員初任研修 282,880円 332,640円
資格なし 247,700円 293,060円

(出典:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」

以上のことから、社会福祉士やケアマネジャーなど、難易度が高い資格を保有しているほど、介護報酬が上乗せされる傾向にあることがわかります。

必要資格の違い

グループホーム、特養のどちらで働く場合も、必須となる資格はありません。ただし、給与アップや業務範囲の拡大を目指す場合は、資格を取得したほうが有利でしょう。

グループホームでは、認知症の方と接する機会が多くあります。そのため、認知症介護のスペシャリストを養成する「認知症介護実践者研修」を修了すれば、より質の高いケアが実践できるでしょう。

一方の特養では、介護度の高い方が多く入居しています。介護の分野で唯一の国家資格である「介護福祉士」を取得すれば、施設管理者などへのキャリアアップも目指せるでしょう。

介護に関する資格は、転職にも有利に働くため、積極的に挑戦することをおすすめします。

3.グループホームと特養はどんな方におすすめ?就職先を選ぶポイント

「介護職として働きたい」「転職したい」と考えるみなさんのなかには、「グループホームと特養のどちらで働くのが自分に合っているのだろう」と悩む方もいるでしょう。

ここでは、それぞれの職場に向いている方の特徴を3つずつ紹介します。

グループホームがおすすめの方の特徴

・コミュニケーションが得意
・臨機応変に対応できる
・積極的に専門知識を身に付けられる

グループホームでは、入所者の方同士の共同生活をサポートするため、日々多くの入所者さんと触れ合います。また、認知症の方は、思いもよらない行動を取ることが予想されます。そのためグループホームは、さまざまなケースを予測して動ける方におすすめの職場と言えます。

特養がおすすめの方の特徴

・体力に自信がある
・メンタルが強い
・入所者の方と長期的に向き合いたい

特養では、身体介護が必要な方の支援に加えて、看取りも実施しているため、体力だけでなくメンタルの強さも必要です。

ただし、上記の「向いている方の特徴」に当てはまらない場合でも、働きながら適性を身に付けることは可能です。まずは、自分自身のキャリアパスについて考え、それに合った職場を優先的に選択するのが良いでしょう。

まとめ

グループホームが「認知症の高齢者の生活をサポートする施設」である一方、特養は「自宅での生活が困難な要介護者の方に向けて、介護サポートを行う施設」です。それぞれの職場では、入居条件や人員配置にも違いがあります。

どちらの職場においても、資格の有無で給料や待遇は変わってきます。また、資格は転職時にも有利に働くため、積極的に取得を目指しましょう。

「介護のみらいラボ」では、グループホームや特養などの介護施設に関する情報以外にも、介護職の方に向けてさまざまなお役立ち情報を掲載しています。介護の知識を深めたい方は、ぜひ「介護のみらいラボ」を参考にしてください。

※当記事は2022年8月時点の情報をもとに作成しています

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