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仕事・スキル 介護士の常識 2025/01/27

介護保険制度とは?基本から簡単にわかりやすく解説

文/山本史子(介護福祉士) 250105_thumb.jpg

介護保険制度とは、介護が必要になっても、自分らしい生活を続けるために、社会全体で費用を負担しあう仕組みです。しかし、実際の制度内容はやや複雑なため、経験の浅い介護職員のなかには「介護保険制度をもっと簡単に教えてほしい」と思う方もいらっしゃるかもしれません。本記事では、介護保険制度の基礎からわかりやすく解説します。介護保険の仕組みやサービス内容を理解しておくことで、利用者さんにより適切なサービス利用を提案できるようになるでしょう。

1.介護保険制度とは

介護保険制度とは

介護保険制度とは、2000年に導入された社会保険制度で、介護にかかる費用を社会全体で負担しあう仕組みです。40歳以上は介護保険料を支払う義務(40〜64歳・65歳以上で介護保険料の徴収方法などが異なる)があります。支援を受ける場合は、要介護度に応じたケアプランを作成し、サービスを利用できます。

かつては家族による介護が一般的でしたが、社会全体での意識や状況の変化に伴って、家族だけで介護を続けるのが難しくなってきました。そこで、社会全体で高齢者を支える仕組みとして、2000年4月に導入されました。
介護保険制度は、高齢者が可能な限り自立した生活を送れるように、必要なサービスを提供することで、本人や家族の負担を軽減し、生活の質を向上させることを目指しています。

介護保険料の支払い方法

介護保険制度を支えているのが、国民が納める介護保険料です。上述したように、介護保険は40歳以上が加入対象者です。介護保険料は年齢によって種類が区分され、65歳以上の第1号被保険者と、40歳から64歳までの医療保険加入者である第2号被保険者から保険料を徴収し、その保険料と税金から介護サービス料が支払われます。なお、介護保険料の金額は、加入者の年齢や収入・住んでいる市区町村によって異なります。

40歳から64歳までの第2号被保険者は、満40歳の誕生日月から支払いが開始され、医療保険料といっしょに徴収されます。給与所得者であれば給与から天引きされますが、個人事業主の方は自分で納付しなければなりません。65歳以上の方は、健康保険とは別に支払い、原則、保険料は年金から天引きされます。ただし、他の市区町村から転入した方や年度の途中で65歳になった方など、移転をした際や初回の支払いは例外的に納付書などで支払うことになる場合があります。64歳から65歳になったときは、自動的に第1号被保険者に切り替わるため、手続きは不要です。

介護保険のサービス利用対象者

介護保険制度により、徴収された介護保険料を活用して、国民は介護保険サービスを安価で利用できます。ただし、すべての人が利用できるわけではありません。

介護保険サービスは、介護保険の加入者が利用できるものです。具体的には、以下のような条件があります。

65歳以上 要介護認定を受け、要支援・要介護が認定された方
40歳から64歳 要介護(要支援)の状態が、脳血管障害や末期がんなど特定疾病に由来する方

65歳以上の方は原因を問わず、要介護認定を受けた方が介護保険サービスを利用できます。
40歳から64歳までの方は、特定疾病に該当している方が介護サービスを利用できるようになります。特定疾病とは、加齢に伴う心身の変化と医学的に関係があると認められている疾病です。厚生労働省の挙げる要件によると、65歳以上の高齢者に多くみられるほか、40歳以上64歳以下の年齢層においても発生が認められる疾病で、罹患すると長期間にわたって要介護状態になる疾病とされており、以下の16種類の疾病が該当します。

【特定疾病】
1.末期がん
2.関節リウマチ
3.萎縮性側索硬化症
4.後縦靭帯骨化症
5.骨折を伴う骨粗鬆症
6.初老期における認知症
7.進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
8.脊髄小脳変性症
9.脊柱管狭窄症
10.早老症
11.多系統萎縮症
12.糖尿病神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
13.脳血管疾患
14.閉塞性動脈硬化症
15.慢性閉塞性肺疾患
16.両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症


介護保険証の受け取り方法

介護保険サービスを利用するためには、介護保険証が必要です。
65歳になると、自動的に市区町村から介護保険証が郵送されますが、介護が必要でない場合には、保管のみで構いません。
40歳から64歳の第2号被保険者は特定疾病に該当する場合に限り、介護保険証が発行されます。この場合、市区町村に介護保険証の発行を申請する必要があります。

介護保険サービスの種類

介護保険制度内で利用できる介護保険サービスは、対応できる範囲や介護度によって利用できる上限額が決まっています。
多くのサービスがありますが、利用者さんの生活環境や状態に応じて、さまざまな形で提供されます。大きく分けると自宅での生活を支援する「居宅サービス」と、施設での生活を支える「施設介護サービス」に分かれます。

介護保険サービスの種類をまとめると、以下のようになります。

ケアプラン作成 居宅介護支援
自宅で暮らす方のサービス 自宅に訪問するサービス ・訪問介護 ・訪問入浴 ・訪問看護 ・訪問リハビリ ・夜間対応型訪問介護 ・定期巡回・随時対応型訪問介護
通所系サービス ・デイサービス ・通所リハビリ(デイケア) ・地域密着型通所介護 ・療養通所介護 ・認知症対応型通所介護
短期滞在型サービス ・短期入所生活介護(ショートステイ) ・短期入所療養介護
訪問・通所・宿泊を組み合わせたサービス ・小規模多機能型居宅介護 ・看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)
施設で暮らす方のサービス ・特別養護老人ホーム(特養) ・介護老人保健施設(老健) ・特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム・ケアホームなど) ・介護医療院
地域に密着したサービス ・認知症対応型共同生活介護(グループホーム) ・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 ・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 ・地域密着型特定施設入居者生活介護
福祉用具に関するサービス 福祉用具貸与
特定福祉用具販売

参考:介護事業所・生活関連情報検索|厚生労働省

介護保険の対象外となるサービス

介護状態でも住み慣れた地域で生活できるように、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される、地域包括ケアシステムの構築を進めています。地域社会で助け合うサービスの1つに、介護保険外サービスがあります。

介護保険サービスは、利用できる対象者やサービス内容が限られており、庭の草むしりやペットの散歩には対応していません。介護保険外サービスにはサービスに制限がないため、利用者さんの細かいニーズに応えられるものです。介護保険外サービスは全額自己負担になるものの、介護保険と併用することが可能なため、より自分の趣味や好みに合ったサービスが選択できます。

介護保険外サービスも市区町村の窓口やケアマネージャーに相談することで、必要なサービスを探しやすくなります。また、介護度の区別がないため、介護認定を受けてない方や家族の方でも利用できる点が介護保険外サービスのメリットだといえるでしょう。

【関連記事】介護保険外サービスとは?具体的なサービス例やメリット・デメリットを解説

2.介護保険サービスにかかる費用

介護保険サービスにかかる費用

65歳以上の第一号被保険者が介護保険サービスを利用する際、全体の9割が介護保険から支給され、残りの1割を利用者さんが負担します。ただし、一定の所得がある方は2割、または3割になる場合があります。40~64歳の第二号被保険者は所得に関わらず1割負担となります。介護施設を利用している方は、介護サービス費に加えて居住費や食費・日常生活費が別途必要です。
また、介護保険を利用して受けられるサービスには、要介護度に応じた支給限度額が設定されています。この限度額を超える部分の費用は、全額自己負担です。支給限度額は、利用者の介護度が高くなるほど支給額も多く設定されています。

次の表は、居宅サービスを利用する際の1カ月の支給限度額です。予防給付に該当する要支援1・2については後述しています。

要介護1 167,650円
要介護2 197,050円
要介護3 270,480円
要介護4 309,380円
要介護5 362,170円

出典:介護事業所・生活関連情報検索|厚生労働省※2024年10月時点

この支給限度額内であれば、介護保険範囲のサービスが受けられますが、限度額を超えた場合は全額自己負担です。

3.利用者さんの負担が軽減される制度

利用者さんの負担が軽減される制度

介護保険サービスを利用しても1カ月の費用負担が大きくなってしまう方や所得が低い方には、負担を軽減させる制度があります。利用時の自己負担額が大きくならないよう、次の3つの負担軽減制度が設けられています。

1. 高額介護サービス費
2. 高額医療・高額介護合算療養費
3. 特定入所者介護サービス費補足給付

これらの軽減措置を活用することで、介護サービスの利用にかかる自己負担を軽減できるでしょう。

高額介護サービス費

高額介護サービス費は、月ごとの自己負担額が一定の上限を超えた場合、超過分が介護保険から支給される仕組みです。月の負担上限額は世帯の所得によって異なります。支給を受けるためには、市区町村へ申請する必要があります。

高額医療・高額介護合算療養費

同じ世帯内で、医療費と介護保険で1年間のうちに自己負担した合計金額が、負担限度額を超えた場合に、医療保険に申請することで限度額を超えた金額が支給される制度です。高額医療・高額介護合算療養費の負担限度額の上限は、世帯年収と年齢で分けられているため、申請時に詳しく確認しましょう。

特定入所者介護サービス費補足給付

負担限度額を超えた居住費と食費の負担額が介護保険から支給される制度です。補足給付の対象者は、世帯の所得や資産・利用している施設の種類から判断して、上限金額が決められます。負担額認定が必要となるため、市区町村の窓口で申請してください。

4.介護サービス利用までの流れ

介護サービス利用までの流れ

介護サービスを利用するには、まず市区町村へ申請し、要介護認定を受ける必要があります。介護サービスを利用するまでに、次のような流れで進むのが一般的です。

1. 市区町村へ申請する
2. 認定調査を受ける
3. 一次判定
4. 二次判定
5. 介護度の決定
6. ケアプラン(サービス計画書)の作成
7. 介護サービスの利用開始

順番に解説します。

市区町村へ申請する

介護サービスを受ける前に、まずは市区町村の窓口に申請し、介護度を確認してもらいます。本人または、家族による申請が可能です。

申請時には、次の書類を準備しておくと、手続きがスムーズに進められます。

  • 要介護認定申請書(市町村のホームページ、もしくは介護保険窓口で入手)
  • 介護保険被保険者証(65歳以上の方)
  • マイナンバーカード
  • 本人確認書類
  • かかりつけの病院の連絡先(診察券)
  • 認印
  • 健康保険被保険者証(40歳から64歳の方)

ただし、市区町村によって必要なものは異なるため、事前にホームページや窓口で確認しておくと安心です。代理人が申請する場合は、代理人の本人確認書類も準備しましょう。

認定調査を受ける

申請が受理されると、市区町村の職員や委託された調査員が、利用者の自宅や施設に訪問して認定調査をします。調査では、介護サービスの利用を希望する方の日常生活の様子や身体機能をチェックするほか、本人や家族の希望などを聞き取りします。認定調査には一定の基準が設けられており、調査員はそれを基に判断します。

要介護認定は、基本調査項目(74項目)に基づき、算出します。また、8つの生活場面ごとの「介護にかかる時間」を「要介護認定等認定基準時間」に当てはめて計算されます。

【8つの生活場面】
• 食事の介助
• 移動の介助
• 排泄の介助
• 清潔保持の介助
• 間接の介助
• BPSD(認知症の行動・症状)の介助
• 機能訓練の介助
• 医療関連の介助

【要介護認定等基準時間】
• 非該当:25分未満
• 要支援1:25分以上32分未満
• 要支援2:32分以上50分未満
• 要介護1:32分以上50分未満
• 要介護2:50分以上70分未満
• 要介護3:70分以上90分未満
• 要介護4:90分以上110分未満
• 要介護5:110分以上

この基準値に従って、要介護度が判定されます。

【介護状態区分別の状態像】

非該当 ・歩行や立ち上がりなどの日常生活の動作が自立している
・服薬や電話の利用など、手動的日常生活動作ができる
要支援1 ・日常生活動作がほぼ自分でできる
・手段的日常生活動作をする際に、なんらかの支援が必要
要支援2 ・将来介護が必要になる可能性が高い
・支援により予防可能な段階
要介護1 ・日常生活動作を自分一人で行うのは難しい
・介助が必要
要介護2 要介護1の状態に加えて、日常的生活動作に部分的な介助が必要
要介護3 ・要介護2の状態に加えて、日常的生活動作と手段的生活動作の低下がみられる
・全面的な介助が必要
要介護4 ・要介護3の状態に加えて、動作能力の低下がみられる
・介助なしで日常生活を営むのは難しい
要介護5 ・要介護4の状態より、動作能力が低下している
・介護なしで日常生活を営むことはほぼ不可能


一次判定

認定調査の結果に基づき、一次判定が行われます。一次判定では、認定調査のデータと主治医意見書の内容をコンピューターに入力し、介護度の判定が行われます。主治医意見書は市区町村が主治医に依頼するものです。主治医がいない場合は、市区町村の指定医による診察が必要です。

二次判定

一次判定の結果を基に、二次判定では介護認定審査会が開かれます。審査会は、医師や介護専門家などからなる委員会で、一時判定の結果や主治医の意見書を基にして、要介護度が決定します。

介護度の決定

二次判定が終了すると、介護度が申請者に通知されます。介護度は、要支援1・2と要介護1から5までの7段階と非該当に分類されます。

介護認定の有効期間は、原則として初回は6カ月(状態に応じて3カ月から12カ月)、2回目以降は原則12カ月(状態によっては3カ月から24カ月まで)ごとに更新されます。高齢者は身体の状態が変化しやすいため、有効期間中でも要介護認定の変更申請が可能です。

ケアプラン(サービス計画書)の作成

介護度が決定したら、ケアプラン(サービス計画書)の作成をします。ケアプランの作成は、要支援者と要介護者とで作成場所が異なります。
要介護者は、ケアマネージャー(介護支援専門員)が中心となり、利用者さんと家族と話し合いながら、介護サービスの種類や利用頻度を計画します。要支援と認定された方は、介護予防支援事業者と契約し、介護予防ケアプランを作成することになります。なお、ケアプランは利用者の状態や希望に応じて柔軟に変更されるもので、定期的に見直しされます。

介護サービス利用開始

ケアプランが完成すると、介護保険のサービスの利用が開始します。サービス提供事業者と契約を交わし、プランに基づいた介護サービスが受けられます。介護サービス提供中に利用者さんの様子に変化がみられた場合は、すみやかに家族やケアマネージャーへ連絡することが大切です。利用者さんの状態に合ったケアプランを作成されるため、適切な介護サービスが提供できるでしょう。

5.介護保険の一部である「予防給付」は要支援が対象

介護保険の一部である「予防給付」は要支援が対象

予防給付とは、介護保険制度の一部で、要介護認定で要支援1・2の認定の方が受けられます。日常生活を支援しながら、身体機能や健康状態を維持・改善することを目的としています。介護度がまだ軽度な段階でサービスを受けることで、要介護状態への進行を防ぎ、自立した生活をできるだけ長く維持することを目的に利用されます。

予防給付のサービス対象者

予防給付の対象者は、要支援1および要支援2に認定された方が対象です。

要支援1 日常生活において一部の動作に支援が必要ですが、基本的には自立している状態
要支援2 日常生活の動作で手助けが必要な場面が増え、将来的に介護が必要なる状態

要支援1と2には、上記のような違いがあるものの、使えるサービスの差はあまりありません。利用を希望する場合には、地域包括支援センターでケアプランの作成を依頼しましょう。

予防給付者のサービス内容

予防給付のサービス内容は、おもに利用者さんの健康状態の維持・改善を目的としています。要支援1・2の方が受けられるサービスは次の通りです。

ケアプラン作成 地域包括支援センター
自宅で暮らす方のサービス 自宅に訪問するサービス ・訪問入浴 ・訪問看護 ・訪問リハビリ
通所系サービス ・通所リハビリ(デイケア) ・認知症対応型通所介護
短期宿泊型サービス ・短期入所生活介護(ショートステイ) ・短期入所療養介護
訪問・通所・宿泊を組み合わせたサービス ・小規模多機能型居宅介護
施設で暮らす方のサービス ・特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム・ケアホハウスなど)
地域に密着したサービス ・認知症対応型共同生活介護(グループホーム) ※要支援1は利用できない
福祉用具に関するサービス 福祉用具貸与
特定福祉用具販売

参考:介護事業所・生活関連情報検索|厚生労働省

介護予防では、住宅改修費の支給を受けることも可能です。また、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)では、要支援2の方からしか入居できません。

6.介護給付と予防給付の違い

介護給付と予防給付の違い

予防給付の目的は、要介護状態に進行する前に、支援を提供して自立生活を維持・改善することです。それに対して、介護給付は、すでに要介護認定を受けた方に対して、日常生活を支えるためのサービスを提供することを目的としています。介護保険を用いて利用できる介護サービスのことを介護給付と呼びます。
混同しやすいポイントとして、その違いを理解しておきましょう。

対象者の違い

予防給付は、要支援1または要支援2に判定された方を対象としています。一方、介護給付は、要介護1~5に認定された方が対象です。要介護度が重いほど、より手厚い支援やサービスが提供されます。

サービス内容の違い

予防給付は、運動機能や生活機能の維持・改善を目的とした支援が中心です。そのため、介護給付対象者が利用できる「施設で暮らす方向けのサービス」の多くは利用できません。一方、介護給付では、食事や排泄・入浴など、日常生活全般をサポートするサービスが提供されます。介護給付では、より日常的な介護が必要な場面に対応するため、訪問介護や特養への入居など、長期的な介護を見越したサービスが提供されます。

給付限度額の違い

利用者さんが負担する割合は、要介護者と変わらず、原則1割負担です(一定以上の所得者の場合、2割または3割)。予防給付にも介護給付同様に、支給限度額が設定されています。居宅介護における1カ月のサービスの利用限度額は次の通りです。

要支援1 50,320円
要支援2 105,310円

出典:介護事業所・生活関連情報検索|厚生労働省

この表からでもわかるように、要支援1と2でも給付される負担額が異なります。このように、介護が必要な程度によって支給される金額が大きくなります。

7.介護予防・日常生活支援総合事業

介護予防・日常生活支援総合事業

介護保険法の改正により、2017年から介護予防・日常生活支援総合事業が創設されました。この事業は、市町村が主体となり、地域住民や民間事業者が協力してサービスを提供するもので、地域の実情に応じた柔軟な支援をするものです。
要支援認定を受けていない方も対象として、包括的な支援の枠組みを構築することを目的としています。
例えば、民間企業やボランティア・NPOが主体となり、掃除や洗濯などの訪問サービス、機能訓練やサロンなどの通所型サービスの提供、配食サービスや一人暮らしの高齢者の見守りサービスなど。介護予防の目的と生活支援の両方がカバーされる点が特徴です。
総合事業を実施することで、介護状態の進行を予防し、高齢者の生活を維持や、身体機能の向上によって、長期的に地域で自立した生活を送れると考えられています。

8.介護保険制度の今後と課題

介護保険制度の今後と課題

介護保険制度は、2000年の導入以来、約3年ごとに改正が行われています。改正されるたびに、介護サービスの向上を進めつつ、介護保険の維持を目指していました。しかし、少子高齢化が急速に進み、2024年時点で65歳以上の人口は約3,500万人を超え、2040年には約3,900万人のピークを迎えると予測されています。今後ますます介護保険制度における介護サービスの需要が急増し、さらなる介護医療費の増大が懸念されています。

そうした背景のなかで、2018年には自己負担割合の拡大が行われました。この法改正では一定以上の所得がある高齢者には負担割合を1割から3割に引き上げられています。
また、介護職員の人材不足が深刻な問題となっており、介護職員の処遇改善の法改正も行われています。超高齢社会を迎えた日本では、介護保険制度を充実する必要がありますが、現状、財源負担の問題と介護職員の人材確保が課題となっています。

まとめ:介護保険制度とは簡単にいうと高齢者の生活を支える制度

まとめ:介護保険制度とは簡単にいうと高齢者の生活を支える制度

介護保険制度は、介護が必要になった方が、住み慣れた場所で生活するために欠かせない制度です。介護保険を使用することで、利用者さんの負担を軽減し、質の高いサービスが提供できます。介護職員は介護保険の仕組みやサービス内容を理解し、利用者さんのニーズに応じた支援ができるように努めることが大切です。

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山本史子(Fumiko Yamamoto)

介護福祉士

デイサービスで約20年現場職員として経験。2007年に介護福祉士の資格を取得。「この施設にいると楽しい、また行きたい」と笑顔で帰ってもらえるデイサービスにしたいという思いで20年間利用者様のケアをしている。知的障害のある自閉症の息子がいるため、介護現場で働きながら、母親の立場から障がい者福祉にも関わっている。

山本史子の執筆・監修記事

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