介護実習とは?内容・注意点など徹底解説!
構成・文/介護のみらいラボ編集部
介護福祉士は、介護・福祉に関する国家資格です。資格を取得するルートはいつくかありますが、高等学校等を卒業した後に厚生労働省が認めた介護福祉養成施設(専修学校、短大、大学等)で学ぶ「養成施設ルート」と、福祉系の高校に入学して介護福祉士を目指す「福祉系高校ルート」では、450時間以上の介護実習がカリキュラムとして組み込まれています。
介護福祉士を目指す方のなかには、「養成施設ルート」や「福祉系高校ルート」のカリキュラムに介護実習が組み込まれていること自体は把握しているものの、どのようなことを学ぶのかについてはあまり理解できていないという方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、介護実習の概要や狙い、実習で注意するべきポイントについて紹介します。介護実習を行う予定のある方は、ぜひ参考にしてください。
1.介護実習とは?
介護福祉士の資格を取得するには、福祉系高校で学ぶ「福祉系高校ルート」、高等学校等を卒業した後に厚生労働省が認めた専修学校、短大、大学等の介護福祉士養成施設で学ぶ「養成施設ルート」、実務経験を積んだ後に研修を受ける「実務経験ルート」などのルートあります。
(出典:厚生労働省「介護福祉士の資格取得方法」)
このうち、「養成施設ルート」の介護福祉士養成施設および「福祉系高校ルート」の福祉系高校では、介護実習が必修科目となっています。実習先は、特別養護老人ホームなどの老人福祉施設や障害者施設、医療関連施設などさまざまです。期間は学校によって異なりますが、2~5週間の介護実習を3~4回に分けて行うのが一般的です。
介護実習を行う最大の目的は、「学校の授業だけでは得られない技能を身に付けること」です。介護の現場には、実際に体験しなければ養えない「現場ならではのスキル」があります。実習を通じてそれらを身に付けることで、介護福祉士として働く際に自信をもって業務にあたることができるでしょう。
(出典:厚生労働省「介護福祉士養成課程新カリキュラム教育方法の手引き」)
介護実習で学ぶ内容
介護実習の実施には2つの「狙い」があります。介護実習に参加する際には、下記を意識して学ぶことが大切です。
【狙い1】 コミュニケーションや生活支援を行う基礎的な能力を習得する |
実際の介護現場では、体の不自由な高齢者や気持ちを言葉にして伝えられない障害者など、あらゆる利用者さんに寄り添うことが大切です。また、利用者さん本人だけでなく、そのご家族とやりとりするケースも数多くあります。介護実習で実際に利用者さんと関わることによって、利用者さんの生活を理解するとともに、コミュニケーションの能力や、生活支援を行うための基礎的能力を養うことができます。 |
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【狙い2】 多職種と連携しながら介護過程を実践する能力 |
介護実習では、介護サービスを提供する多職種が集まって今後のサービス提供を検討する「カンファレンス」や、「サービス担当者会議」に参加する場合もあります。このような多職種連携の集まりに参加することで、現場における介護福祉士の立ち位置や多職種との連携方法、多職種と協働しながら介護過程を実践する能力を養うことができるでしょう。 |
また、介護実習は自身の得意・不得意を客観的に見つめ直す機会にもなります。介護実習を行うことによって、ビジネスマナーやコミュニケーション技術も鍛えられるでしょう。加えて、今後の進路を決めるのに役立ったり、何を重点的に学ぶべきかを判断できたりといったメリットもあります。
2.「求められる介護福祉士像」とは?
時代の変化に伴い、介護福祉士の需要も変わりつつあります。そのため、2019年からは順次、介護福祉士養成課程の新カリキュラムが導入され、新たな「求められる介護福祉士像」も示されました。介護実習の指導内容やポイントも、この「求められる介護福祉士像」を踏まえた内容に変更されています。
(新カリキュラムにおける)求められる介護福祉士像 |
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(1)尊厳と⾃⽴を⽀えるケアを実践する (2)専門職として自立的に介護過程の展開ができる (3)身体的な支援だけでなく、心理的・社会的支援も展開できる (4)介護ニーズの複雑化・多様化・高度化に対応し、本人や家族等のエンパワメントを重視した支援ができる (5)QOL(生活の質)の維持・向上の視点を持って、介護予防からリハビリテー ション、看取りまで、対象者の状態の変化に対応できる (6)地域の中で、施設・在宅にかかわらず、本人が望む生活を⽀えることができる (7)関連領域の基本的なことを理解し、多職種協働によるチームケアを実践する (8)本人や家族、チームに対するコミュニケーションや、的確な記録・記述ができる (9)制度を理解しつつ、地域や社会のニーズに対応できる (10)介護職の中で中核的な役割を担う |
+
⾼い倫理性の保持 |
介護実習に取り組む際は、上記の「求められる介護福祉士像」を念頭に置いておきましょう。
3.介護実習で注意するべきポイント2つ
介護実習は、多くの知識・技術を学習できる貴重な機会です。ただし、受け入れる施設のスタッフや利用者さんに迷惑をかけることがないよう、あらゆる点に注意しなければなりません。
そこで最後に、介護実習で注意するべきポイントを2つ紹介します。介護実習を行う予定のある方は、ぜひ参考にしてください。
実習生も1人の介護職員と見なされることを認識する
実習生のなかには、介護実習が初めての社会経験という方もいるでしょう。また、「実習」という名目で介護施設を訪れている上に、他の実習生もいることから、「介護の現場にいる」という自覚や責任感を忘れてしまうことがあるかもしれません。
しかし、たとえ実習生であっても、利用者さんにとっては「1人の介護職員」です。そのため、実習中は不適切な言動を慎み、実習生として責任と礼節のある態度を心がけましょう。
身だしなみに配慮する
前述の通り、実習生であっても利用者さんからは、1人の介護職員として見なされます。また、実習は遊びの場ではなく、仕事内容への理解をしっかり深めるための場です。したがって、身だしなみにも常に配慮するようにしてください。
特に注意したいのは、夏場の服装です。実習では、基本的に動きやすい服装が推奨されますが、気温が高く汗をかきやすい季節だと「通気性の高いノースリーブや短パンを着ていきたい」と思うこともあるでしょう。しかし、それらは実習生としてふさわしい服装とはいえません。TPOに適した服装をしなければ、悪い評価を受ける可能性もあります。
周囲の信頼が得られ、なおかつ良い評価をもらうためにも、実習中の服装は、動きやすさと清潔感を兼ね備えたポロシャツやTシャツ、スラックス、ジャージなどがおすすめです。また、髪の毛が長い場合は1つにまとめるようにしましょう。利用者さんの安全を第一に考え、TPOをわきまえた身だしなみをすることが大切です。
●関連記事:キャリア10年の介護福祉士が語る、介護に適した服装・着てはいけない介護服とおしゃれを楽しむコツ
まとめ
介護実習とは、介護福祉士資格の取得を目指せる福祉系高校や養成施設における必修科目です。450時間以上の介護実習がカリキュラムとして組み込まれており、2~5週間の実習が3~4回に分けて行われるのが一般的です。実習場所は老人福祉施設や障害者施設など多岐にわたります。
介護実習では、学校の授業では学べない実践的なスキルが身に付きます。積極的な気持ちで参加すれば、より多くのスキルを取得できるでしょう。
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※当記事は2022年6月時点の情報をもとに作成しています
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