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高齢者レクリエーション 高齢者レクリエーションのノウハウ 2022/12/08

高齢者レクリエーションの意義は?介護士が企画する際のポイントも

構成・文/介護のみらいラボ編集部 4.jpg

多くの介護施設では、利用者さんに向けてさまざまなレクリエーションを実施しています。ところで、みなさんはそうしたレクリエーションに、どういった目的や意義があるのかをご存じですか?

高齢者レクリエーションのいちばんの意義は、利用者さんの身体機能の向上や脳の活性化、コミュニケーションの促進を図ることだとされています。

この記事では、高齢者レクリエーションの意義を4つの視点から述べた上で、高齢者レクリエーションの種類や、レクリエーションを企画する際のポイントを詳しく紹介します。施設で働くなかで、「高齢者レクリエーションはなぜ必要なのだろう」「何に気を付けて行えばいいのだろう」などの疑問や悩みを抱いている介護士の方は、ぜひ参考にしてください。

1.高齢者レクリエーションの意義は?

先に紹介した通り、老人ホームやデイサービスといった介護施設で、高齢者レクリエーションを実施する意義は、身体機能の向上や脳の活性化、コミュニケーションの促進だとされています。

そして、高齢者レクリエーションの目的や意義を正しく理解することは、楽しく効果的なレクリエーションを企画することにもつながります。「高齢者レクリエーションの目的がよくわからない」「高齢者レクリエーションで何をやればいのかわからない」という方は、まずこの点を理解することから始めてみてはいかがでしょうか。

以下では、高齢者レクリエーションの意義について、4つの観点から解説します。

身体機能向上のため

高齢者レクリエーションの大きな意義の1つが、身体機能の維持・向上です。

高齢化によって運動機能が低下すると、外出の機会や身体を動かす機会が減ってしまいます。そして、身体を動かさないでいると、健康に影響が出たり、精神的なストレスにつながったりすることになりかねません。だからこそ、日常生活動作に加えて適度な運動や体操を行い、身体機能や運動機能の維持・向上を目指すことが大事なのです。

高齢者向けレクリエーションを企画する際も、「楽しみながら身体機能を維持・向上させる」という考え方を基準にすると良いでしょう。

(出典:厚生労働省「認知症ケア法-認知症の理解」

脳の活性化のため

高齢者レクリエーションの2つ目の意義は、脳の活性化です。クイズやゲームなどのレクリエーションは、普段と違う脳の使い方をするため、脳が活性化すると言われています。

高齢者向けレクリエーションでは、いわゆる「脳トレ」も使われます。脳トレは正式名称を「脳を活性化させるトレーニング」と言い、継続的に行うことによって、脳の機能低下を防ぐ効果が期待されています。詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

●関連記事:脳科学者篠原菊紀さんに聞く/高齢者が「脳トレ」に取り組むメリットと効果的な実施方法とは?

コミュニケーション促進のため

高齢者レクリエーションの3つ目の意義は、コミュニケーションの促進です。高齢になると、身体機能の低下や意欲の低下によって、他者との交流を楽しめない方も増えます。

そのため、ゲームや運動を通じて、他の利用者さんやスタッフと交流する機会を生み出すことも高齢者レクリエーションの大きな役割となります。高齢者レクリエーションによって、コミュニケーションの楽しさを思い出すことは、社会性の向上や孤独感の減少だけでなく、生活への張り合いや生きがいにも結びつくでしょう。

また、社会参加や対人交流の増加は、認知症発症リスクの減少につながるとも言われています。高齢者向けレクリエーションで交流の機会を増やすことは、心身の健康の維持・向上に役立つという考え方がある点も覚えておきましょう。

(出典:厚生労働省「認知症ケア法-認知症の理解」

QOL向上のため

高齢者レクリエーションの意義で欠かせないのが、QOLの向上です。QOLは「Quality of Life」の頭文字で「生活の中で、生きる喜びや価値をどれだけ見出しているか?」という概念を表す言葉です。介護サービスを考えるにあたっては、とても重要な考え方と言えるでしょう。

厚生労働省の調査では、「一人暮らしや友人とほとんど会わない高齢者は、他者と週1回会話する高齢者に比べると認知症の発症リスクが8倍になる」とされています。他者と関わることでQOLを高め、認知症の発症リスクを抑えることも、高齢者レクリエーションにおける重要な意義と言えるでしょう。

(出典:厚生労働省「認知症ケア法-認知症の理解」

ここまで、高齢者レクリエーションの効果について解説してきましたが、心身の健康の維持・向上を目指すには、運動、食事、脳トレ、コミュニケーションなど、さまざまな要素を複合的に組み合わせることが重要です。

その点に留意しながら、工夫を凝らした高齢者レクリエーションを計画・実施しましょう。

2.高齢者レクリエーションの種類

高齢者向けレクリエーションには、さまざまな種類があります。そのため、「どのレクリエーションを実施すればいいのか分からない」という介護士の方も多いのではないでしょうか。

ここでは、代表的な4種類の高齢者向けレクリエーションの活動内容について、効果・ポイントを交えながら紹介します。

身体を動かすレクリエーション

体操や運動といった「身体を動かすレクリエーション」は、チームが作りやすいので、集団レクリエーションにおすすめです。運動不足の解消に加えて、利用者さん同士のコミュニケーションを促進することにもつながるでしょう。

風船バレー ● 椅子に座りながら、風船を使ってパスを回す。
● 上半身の筋力維持のほか、動体視力や空間認知機能の維持・向上も期待できる。
玉蹴り ● サッカーボールより大きいサイズのゴムボールなどを使い、相手の方向にボールを蹴る。
● ボールの動きに合わせて足を動かすため、足の筋肉をしっかり使える。
コグニサイズ ● 国立長寿医療センターが開発した認知症予防プログラム。
● 前後左右にステップを踏みながら3の倍数で手をたたく、足踏みした後に肩を触るなど、運動と認知課題を同時に行い、心身機能の維持・向上を目指す。

●関連記事:【医師が教える】認知症予防プログラム「コグニサイズ」の効果と実施のポイント

手先を動かすレクリエーション

手先を動かすレクリエーションには、塗り絵や折り紙などがあります。個人で行うだけでなく、グループで行う集団レクリエーションとしても実施可能です。

塗り絵 ● 集中力が必要な活動で、脳を活性化するとも言われている。毎月のカレンダーを塗り絵にすると、季節の変化も楽しめる。
● 陰影や彩色を考える・自由に塗るなど、塗り方を利用者さんのレベルに応じた難易度に設定するのがポイント。
折り紙 ● 「作品を作る」というゴールを設定した上で創作する。
● 指先の細かい動きが、脳の活性化や身体機能の維持・向上に役立つとされる。
● 完成品や作成過程を共有するときに、他者との交流が生まれる。
手芸・工作 ● 経験者・未経験者とも、それぞれの活動レベルに応じて楽しむことができる。
● 他者との交流のきっかけにもなる。

脳を使うレクリエーション

脳を使うレクリエーションには、クイズやゲーム、脳トレなどがあります。利用者さんに合った難易度を選び、わいわいと楽しみながら行いましょう。

間違い探し 2つの絵を見比べながら、異なる箇所を探す。
クロスワード ヒントをもとに、タテ・ヨコのマス目に言葉を当てはめる。
虫食い計算 空欄に数字や計算記号を入れ、正しい計算式を完成させる。

気分転換になるレクリエーション

身体能力や脳機能の活性化を目指したレクリエーションの他に、ストレス解消や気分転換につながるレクリエーションもあります。代表的なものとして、下記のように音楽や歌を使う活動が挙げられます。

  • カラオケ
  • 合唱・輪唱
  • 楽器の演奏

カラオケは、歌うことが好きな方にとって、効果的な気分転換となります。他の参加者さんの歌を聴いても楽しむこともできるため、誰でも気軽に参加できるレクリエーション活動と言えるでしょう。

3.介護士が高齢者レクリエーションを企画する際のポイント

高齢者向けレクリエーションにおいては、意義・効果を踏まえつつ、利用者さんが楽しく参加できる企画が必要です。そして、「楽しさ」と「意義・効果」が両立するレクリエーションを企画するためには、押さえるべきポイントが3つあります。

ここからは、高齢者向けレクリエーションを企画する際の3つのポイントを、詳しく解説していきます。

スタッフも一緒に楽しめるものを考える

高齢者向けレクリエーションでは、施設のスタッフと利用者さんが一緒に楽しむことが重要です。

デイサービスや老人ホームなどの介護施設には、介護スタッフを含む職員がたくさんいます。すべてのスタッフが楽しめるレクリエーションを実施すれば、介護施設全体の雰囲気が良くなり、利用者さんもより楽しく参加できるでしょう。また、施設全体の雰囲気が明るくなれば、職場環境も自然と良くなるはずです。

主役となる利用者さんはもちろん、全スタッフが楽しく参加できるレクリエーションを企画しましょう。

高齢者の自尊心を傷つけない

利用者さんの自尊心を傷つけないことも、高齢者レクリエーションを企画する際の大事なポイントです。例えば、子ども向けのレクリエーションを参考にしたりすると、参加した方の自尊心が傷つくことにもなりかねません。

自尊心が傷つくことで、ストレスや自信喪失につながる可能性もあるため、利用者さんの自尊心を尊重し、敬意を払ってレクリエーションを企画するようにしましょう。

参加を無理強いしない

高齢者レクリエーションでは、参加を無理強いしないように注意しましょう。利用者さんの心身の状態によっては、レクリエーションへの参加が難しい場合もあります。なかには、運動や歌が苦手な方もいるでしょう。

また、他の利用者さんとうまくコミュニケーションが取れないため、レクリエーションに参加したくないという利用者さんもいます。参加したくないのに参加を無理強いされると、利用者さんにとって大きなストレスとなるため、そうしたケースでは、「参加者同士で話をするきっかけ」を作ることから始めてみましょう。

お互いの距離が縮まれば、自然とレクリエーションに関心を持ってもらえるはずですよ!

まとめ

介護施設で高齢者レクリエーションを行う意義として、身体機能向上、脳の活性化、コミュニケーション促進、QOL向上などが挙げられます。そうした意義を意識しながら、身体を動かすレクリエーションや気分転換となるレクリエーションを実施すれば、利用者さんはより楽しく、充実した時間を過ごすことができるでしょう。

レクリエーションを実施する際は、介護スタッフも一緒に楽しめるものや、利用者さんの尊厳を傷つけないものを選ぶようにしましょう。利用者さんに参加を無理強いするのも禁物です。

「介護のみらいラボ」では、介護職のスキルアップやお悩み解消に役立つコンテンツを多数掲載しています。レクリエーションのアイデアや例題なども豊富にそろっているので、ぜひご活用ください。

※当記事は2022年10月時点の情報をもとに作成しています

●関連記事:介護施設のレクリエーション32選!高齢者が盛り上がるレク例と企画のコツ

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