長寿祝いは何歳で行う?介護施設でお祝い・プレゼントする方法も解説
構成・文/介護のみらいラボ編集部長寿祝いとは、長寿を祝福するとともに、まわりの人たちが長寿にあやかるための儀礼です。60歳の還暦からはじまり、節目となる年齢ごとにお祝いをするのが一般的で、もともとは中国の風習を取り入れたものだとされています。一般家庭はもちろん介護施設にも、多くの人が集まって盛大なお祝いをするところが多いでしょう。
とはいえ、みなさんのなかには「長寿祝いという言葉は知っているけれど、何歳のときに祝うのかは把握していない」「どのような祝い方をするのかよく分からない」という方がいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、長寿を祝う年齢や介護施設におけるお祝いの方法、長寿祝いに喜ばれるプレゼント・避けるべきプレゼントなどについて詳しく紹介します。賀寿を迎える利用者さんに向けて、「どのようなイベントを開催すべきか知りたい」という介護職の方は、ぜひご覧ください。
1.長寿のお祝いは何歳のときにする?
長寿祝いは、60歳から120歳までの節目に行われます。長寿祝いを総称して「賀寿」と呼ぶことが多く、節目ごとに独自の名称が付けられているのも大きな特徴です。
60歳から120歳までの長寿祝い(賀寿)の種類は、下記の通りです。
【賀寿の一覧】
年齢 | 名称 | 読み方 | 由来 |
---|---|---|---|
60歳 | 還暦 | かんれき | 干支が60年で一巡することに由来(暦が還る=還暦)。新たなサイクルの始まりを意味する言葉でもあります。 |
66歳 | 緑寿 | ろくじゅ | 66歳を「緑々寿(ろくろくじゅ)」と見立てたことに由来。「緑」は自然の象徴でもあります。 |
70歳 | 古希 | こき | 中国唐代の著名な詩人が「人生七十古来稀なり(70歳まで長生きする者は、古来から稀である)」と詠んだことに由来。 |
77歳 | 喜寿 | きじゅ | 「喜」の草書体である「㐂」が、「七十七」と読めることに由来。 |
80歳 | 傘寿 | さんじゅ | 「傘」の俗字・略字である「仐」を分解すると「八十」と読めることに由来。 |
88歳 | 米寿 | べいじゅ | 「米」の漢字を分解すると「八十八」になることに由来。 |
90歳 | 卒寿 | そつじゅ | 「卒」の俗字である「卆」を分解すると「九十」になることに由来。 |
99歳 | 白寿 | はくじゅ | 「百」という漢字から「一」を引くと、「白」になることに由来(100-1=99)。 |
100歳 | 百寿 | ももじゅ・ひゃくじゅ | 100を漢字で書くと「百」なので、そのまま名称に使用。100年=1世紀を示すことから「紀寿(きじゅ)」と呼ばれることもあります。 |
108歳 | 茶寿 | ちゃじゅ | 「茶」の漢字を分解すると「十・十・八十八」となることに由来(すべてを合計すると108)。 |
110歳(以降) | 珍寿・椿寿 | ちんじゅ | 「これほどの長寿は非常に珍しい」という意味から「珍寿」と名付けられたとされています。「椿寿」は中国に伝わる伝説上の大木「大椿(だいちん)」が、長寿の象徴であったことに由来。 |
111歳 | 皇寿 | こうじゅ | 「皇」の漢字を分解すると「白・一・十・一」となることに由来(「白」を99と見立て、すべてを合計すると111)。 |
120歳 | 大還暦 | だいかんれき | 2回目の還暦を迎えることに由来。 |
このように、賀寿には多くの種類がありますが、すべての賀寿を必ず祝わなければならないというルールはありません。家庭によっては10年ごとにしか祝わないケースもあるでしょう。
とはいえ、祝われた側にとっては非常にうれしい思い出となるため、介護施設ではできる限り多くの賀寿を祝うのがよいでしょう。
長寿祝いは数え年と満年齢のどちらが正しい?
長寿祝いは、伝統的に数え年で行われていました。しかし、現在の日本では満年齢が使われていることから、近年は満年齢で祝うことが多くなっています。
ちなみに、満年齢は誕生時点を0歳とみなし、誕生日を迎えるたびに1歳ずつ増える数え方、数え年は誕生時点を1歳とみなし(胎内で過ごす十月十日の時間を年齢に加算)、正月を迎えるたびに1歳ずつ増える数え方です。
介護施設において、複数の利用者さんに対して長寿祝いをするときは、満年齢で祝うのか、数え年で祝うのかを決めたうえで、年齢を間違えないように注意しましょう。
下記は、2024年に長寿祝いを行う場合の満年齢の生まれ年・数えの生まれ年をまとめた表です。ぜひ参考にしてください。
【2024年の長寿祝い年齢早見表】
長寿祝い | 祝う年齢 | 満年齢の生まれ年 | 数えの生まれ年 |
---|---|---|---|
還暦 | 満60歳(数え年61歳) | 1964(昭和39)年 | 1964(昭和39)年 |
緑寿 | 66歳 | 1958(昭和33)年 | 1959(昭和34)年 |
古希 | 70歳 | 1954(昭和29)年 | 1955(昭和30)年 |
喜寿 | 77歳 | 1947(昭和22)年 | 1948(昭和23)年 |
傘寿 | 80歳 | 1944(昭和19)年 | 1945(昭和20)年 |
米寿 | 88歳 | 1936(昭和11)年 | 1937(昭和12)年 |
卒寿 | 90歳 | 1934(昭和9)年 | 1935(昭和10)年 |
白寿 | 99歳 | 1925(大正14)年 | 1926(大正15・昭和元)年 |
百寿 | 100歳 | 1924(大正13)年 | 1925(大正14)年 |
茶寿 | 108歳 | 1916(大正5)年 | 1917(大正6)年 |
皇寿 | 111歳 | 1913(大正2)年 | 1914(大正3)年 |
大還暦 | 満120歳(数え年121歳) | 1904(明治37)年 | 1904(明治37)年 |
2.介護施設で長寿祝いをする方法
介護施設における長寿祝いでは、部屋に飾り付けをして、表彰式や食事を楽しむのがおすすめです。
長寿祝いという特別なイベントを盛り上げるためには、お祝いの会場となる多目的室や食堂をきれいに装飾し、お祝いムードを盛り上げることが大切です。賀寿によってはテーマカラーが決まっているため、テーマカラーを生かした飾り付けをすれば、より雰囲気が出るでしょう。
長寿祝いの当日は、表彰式から始まるケースが多く見られます。表彰式では、賀寿を迎えた利用者さん1人ひとりに表彰状を用意し、記念品とともに渡しましょう。こうしたお祝いには、職員一同やほかの利用者さんだけでなく、長寿祝いの対象となる方のご家族が参加することもあります。
表彰式後の食事では、普段とは違った特別な行事食やお祝い御膳を提供します。尾頭付きの鯛やえび、小豆といった縁起のよい食材を使った食事を提供すれば、お祝いの場がより華やかになるでしょう。表彰式の最中や食事中には写真撮影も行い、後日フォトフレームとともに利用者さんにプレゼントすると喜ばれます。
なお、食事をつくる際は、参加する方たちの体調に気を配ることも大事です。メニューや見た目の演出もさることながら、健康状態に合わせた食事の提供を心がけてください。
3.長寿祝いで喜ばれるプレゼントと避けるべきプレゼント
前述の通り、賀寿にはそれぞれテーマカラーが存在します。介護施設で長寿祝いを行うときは、ぜひテーマカラーを取り入れてみてください。
長寿祝い | 色 |
---|---|
還暦 | 赤 |
緑寿 | 緑 |
古希 | 紫 |
喜寿 | 紫 |
傘寿 | 黄・金茶 |
米寿 | 黄・金茶 |
卒寿 | 白・紫 |
白寿 | 白・紫 |
百寿 | なし(白・桃色など) |
還暦祝いは赤色、米寿祝いは黄色または金茶色、白寿祝いは白色または紫色など、賀寿によってテーマカラーは多種多様です(緑寿はその名称から「緑」を使うケースが多く見られますが、正式なテーマカラーはありません)。
ただし、お祝いのときに必ずしもテーマカラーを取り入れなければならないということはありません。利用者さんに長寿祝いのギフトを贈る場合は、テーマカラーでなく利用者さんが好きな色を選ぶのもおすすめです。
ちなみに、長寿祝いのプレゼントには、避けたほうがよいプレゼントもあります。最後に、長寿祝いに向いているプレゼントと避けたほうがよいプレゼントについて紹介しましょう。
長寿祝いに向いたプレゼント
長寿祝いに向いているプレゼントの代表格は、「健康グッズ」「お菓子」「箸」の3つです。
●健康グッズ
健康グッズは、「これからも元気に長生きしてほしい」という願いが伝わりやすいため、多くの利用者さんに喜ばれるでしょう。片手で使えるマッサージ器など、手軽に使用できる健康グッズがおすすめです。
●お菓子
甘いものが好きな利用者さんには、長寿祝いのプレゼントとしてお菓子がおすすめです。長寿祝いにお菓子を選ぶときは、カステラやどら焼き、まんじゅうなど高齢の方でも食べやすいやわらかいものにしましょう。メッセージ入りのお菓子であれば、より思い出に残るはずです。
●箸
箸は食事の際に必ず使用するアイテム。「1日でも健康に長生きしてほしい」という願いを込めた長寿祝いのプレゼントにもぴったりです。名前やメッセージが入った箸を贈れば、特別感がさらに増します。
贈り物を渡す際に、日頃の感謝を込めたメッセージカードや小さなフラワーギフトを添えると、より喜ばれるでしょう。フラワーギフトには、賀寿のテーマカラーにちなんだ花や、お手入れの簡単なプリザーブドフラワーがおすすめです。
名前入りの品物は、注文から発送までに1~2週間程度の期間を要するため、長寿祝いの開催日に間に合うよう、早めに注文を済ませておきましょう。
長寿祝いで避けるべきタブーのプレゼント
「年を取ったと感じさせるもの」や「縁起が悪いもの」は、長寿祝いのプレゼントとして避けたほうがよいでしょう。
●年を取ったを感じさせるもの
老眼鏡やつえ、補聴器など、「老い」を感じさせるような品物は、人によって悲しい気持ちになることも考えられます。長寿祝いのプレゼントとしては、選ばないほうが無難でしょう。
●縁起がよくないとされるもの
伝統的な風習として、「苦(く)」や「死(し)」を連想させる櫛や、死を連想させる白い布(葬儀のとき遺体にかけるため)、弔辞・香典返しとしても使用される「日本茶」などを贈るのは避けたほうがよいとされています。
なお、上記のような「縁起がよくないとされるもの」をある程度理解しておけば、NGにあたるプレゼントを選んでしまうことはほとんどありません。
プレゼントを選ぶときの基本は、相手を思いやること。「利用者さんが本当に喜ぶ品物は何か?」を考えて、相手の性格や好み、生活スタイルなどに合ったプレゼントを選びましょう。そうすれば、きっと心に残る長寿祝いになるはずです。
まとめ
長寿祝いは、60歳から120歳までの節目に行われる特別なイベントです。かつては数え年で祝うのが基本でしたが、近年は満年齢で行うことも増えており、数え年・満年齢のどちらで祝っても問題ありません。
長寿祝いは賀寿とも呼ばれ、それぞれにテーマカラーがあるため、お祝い会場の演出やプレゼントにテーマカラーを取り入れるのもよいでしょう。ただし、プレゼントには「避けたほうがよいもの」もあるため、失礼にあたらない品物、あるいは利用者さんが本当に喜ぶ品物を選ぶことが大切です。
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