旧暦における月の名前とは?和風月名の12か月について解説
構成・文/介護のみらいラボ編集部日本では、明治5年まで旧暦(太陽太陰暦)が使用されており、旧暦では月の名称に「和風月名(わふうげつめい)」というものが使われていました。
和風月名は現在のような数字ではなく、1月が「睦月」、2月が「如月」といった具合に、季節の行事や風習、季節感などに合わせた名称です。いまも、カレンダーなどに掲載されている場合があるので、みなさんのなかにも「見たことがある」「聞いたことがある」という方は多いのではないでしょうか。
この記事では、旧暦における12か月それぞれの名前と由来について解説します。各月の名前は、介護施設でのクイズレクなどにも利用できるので、この記事を読んでぜひ覚えてください。
1.旧暦における12か月の名前は「和風月名」
前述したように、「和風月名」とは旧暦で用いられた月の呼び名のことです。暦は7世紀頃に中国から伝わりその後幾度となく改修されていますが、天保時代から明治時代まで使用された天保暦が、一般にいわれる旧暦にあたります。
当時の暦は「太陽太陰暦」と呼ばれるもので、月の満ち欠けで1か月を定めていました。ちなみに、月の満ち欠けの周期は約29.5日のため、旧暦の1か月は29日もしくは30日となります。しかし、それだと1年が354日となり、少しずつ暦と季節にずれが生じてくるため、旧暦では約3年に1度、閏月(うるうづき)を設け、1年が13か月になるようにして調整していました。
一方、現在使われている新暦は太陽の動きをベースとしている暦(太陽暦)であるため、1年は365日。こちらは4年で24時間(1日分)のずれしか発生しないため、4年に一度、閏年を設ければ修正できる計算です。
さて、話を和風月名に戻しましょう。和風月名は季節の行事や風習をもとにしているために、睦月、如月、弥生など、とても風情のある名前が並んでいます。その起源は古く、日本最古の書籍といわれる「日本書紀」では、すでに4月に「うげつ」、2月に「きさらぎ」という読み方が使われていたそうですよ。
ここからは、12か月それぞれの和風月名を取り上げ、その由来を紹介しましょう。
2.和風月名の月の名前とその由来
和風月名の由来には諸説あり、異称もいくつか存在します。1月から順に解説していきますので、それぞれの季節感や行事、風習を思い浮かべながら読んでみてください。
1月:睦月
和風月名では、新しい年のはじまりにあたる1月を「睦月(むつき)」といいます。なお、旧暦の1月は現在の1月下旬から3月上旬頃にあたります。
睦月の由来はいくつかありますが、お正月に親族一同が集まり、仲睦まじくすることを指す「睦び月(むつびつき)」が睦月に転じたという説が有力です。そのほか、稲の実をはじめて水に浸す月であることから「実月(むつき)」と呼ばれるようになったという説もあります。
また、1月には睦月以外に、「初春月(はつはるつき)」「新春(しんしゅん)」「早緑月(さみどりづき)」などの異称もあります。
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2月:如月
2月は「如月(きさらぎ)」です。如月という漢字は、中国の月名をそのまま転用したもので、中国最古の辞書にも「2月を如となす」と記述があるとか。ただし、如月を「きさらぎ」と読むのは日本だけです。
「きさらぎ」との由来として代表的なのは、まだ寒さが残っていて、衣を重ね着することを指す「衣更着(きさらぎ)」が語源だという説です。そのほか、陽気がさらによくなるという意味の「気更来(きさらぎ)」や、草木が生えはじめることを意味する「生更木(きさらぎ)」が由来だとする説もあります。
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3月:弥生
旧暦における3月の名称は「弥生(やよい)」です。弥生は、現在の3月下旬から5月上旬頃の季節を指します。
弥生は、「木草(きくさ)弥(いや)生(お)ひ茂る月」という言葉が語源だとされています。「弥(いや)」には、ますます・いよいよという意味があり、3月=暖かな陽気で、草木がますます生い茂る月というわけです。
3月の異称には、十二支を12か月に当てはめた「辰月(しんげつ)」や、古代中国で3月3日に禊(みそぎ)を行っていたことに由来する「禊月(けいげつ)」などがあります。また、花が咲く季節であることを意味する「花見月(はなみづき)」や「桜月(さくらづき)」も3月を指す呼び名です。
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4月:卯月
4月の和風月名は「卯月(うづき)」です。旧暦では、卯月からが夏であり、この時期に衣替えをしていたとされています。
卯月の由来は諸説ありますが、「卯の花が盛りになる月」であることからそう呼ばれるようになったという説が有力です。また、稲の苗を植える作業を指す「植え月」が語源だとする説もあります。
そのほかの異称として知られているのは、「卯の花月(うのはなづき)」や「夏初月(なつはづき)」などです。麦の収穫時期を意味する「麦秋(ばくしゅう)」や、空が晴れてすがすがしい様子を指す「清和(せいわ)」などの呼び名もあります。
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5月:皐月
旧暦の5月は「皐月(さつき)」と呼ばれます。皐月の時期を新暦に置き換えると、5月下旬から7月上旬頃です。
「さつき」という読み方は、田植えを指す「早苗月(さなえつき)」を略したものだという説が有力ですが、田植えを意味する接頭語である「さ」に由来するともいわれています。なお、「皐」という漢字の意味は、さわや水ぎわ、水田などです。
5月には、皐月のほかにも「稲苗月(いねなえづき)」や「田草月(たぐさつき)」など、田植えに関する異称が存在します。また、夏の真ん中を表す「仲夏(ちゅうか)」や、梅雨に由来する「雨月(うげつ)」などもあります。
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6月:水無月
6月の和風月名は「水無月(みなづき)」です。水無月の「無」は「ない」という意味ではなく、助詞の「の」を意味するもので、田んぼに水を張る季節であることから「水の月」になったという説が有力です。
このほか、田植えという大仕事を終える月であることから、皆やり尽くしたという意味の「皆仕尽(みなしつき)」が転じて水無月になったという説や、文字通り「水が干上がる暑い季節」だからという説も存在します。
水無月以外の異称として挙げられるのは、「風待月(かぜまちづき)」「鳴神月(なるかみづき)」「松風月(まつかぜづき)」などです。
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7月:文月
7月は「文月(ふみづき)」です。旧暦の7月は、現在の暦の8月頃といわれています。
文月の由来として有力なのは、その昔、七夕の夜に書物を開いて夜風にさらすことで、書の上達を祈る風習があったことから、そう呼ばれるようになったとする説です。もとは「文披月(ふみひらきづき・ふみひろげづき)」と呼ばれていましたが、それが転じて文月になったのだそうです。
そのほか、稲穂が実る頃を指す「穂含月(ほふみづき)」や「含月(ふふみづき)」が文月に変化したとする説もあります。
加えて、「七夕月(たなばたづき)」や「秋初月(あきはづき)」などの異称もあります。
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8月:葉月
8月は「葉月(はづき)」と呼ばれます。旧暦の8月は、現在の8月下旬から10月上旬頃です。
葉月という名称は、秋に入って葉が落ちること「葉落月(はおちづき)」に由来するという説が有力です。ほかに、稲の穂が張る季節「穂張月(ほはりづき)」が転じたとする説や、雁が到来することに由来する「初雁月(はつかりづき)」が転じたとする説もあります。
葉月以外の異称は、「仲秋(ちゅうしゅう)」「燕去月(つばめさりづき)」などです。
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9月:長月
9月は「長月(ながつき)」です。旧暦の9月は、現在の10月頃にあたります。
長月の起源は明らかになっていませんが、秋の夜長を表す「夜長月(よながづき)」に由来するという説が有力です。このほか、秋の長雨(ながめ)が語源だとする説や、「稲刈月(いねかりづき)」が転じて長月になったという説も知られています。
9月の異称には「紅葉月(もみじづき)」「菊月(きくづき)」などもあります。
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10月:神無月
10月の和風月名は「神無月(かんなづき)」です。神無月の「無」も、水無月と同様「なし」ではなく助詞の「の」を意味しています。旧暦の10月は収穫祭が行われ、農作物の実りを神に感謝する月であったため「神の月」という呼び名になりました。
なお、島根県の出雲地方では、古くから神無月のことを「神在月(かみありづき)」と呼びますが、これは10月になると出雲大社に八百万の神が集まるとされているためです。そのため、出雲では旧暦の10月頃に、神様を迎える神事が多く行われています。
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11月:霜月
11月は「霜月(しもつき)」と呼ばれます。旧暦の11月は現在の12月頃であり、この時期になると霜が降りるため、その名がつきました。
霜月以外の異称に「神帰月(かみきづき)」「神来月(かみきづき)」などもありますが、これは10月に出雲に集まった神々が、それぞれの神社に戻ることに由来する名前です。また、神に歌舞を奉納する「神楽」が盛んに行われるため、「神楽月(かぐらづき)」と呼ばれることもあります。
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12月:師走
1年の最後である12月の和風月名は「師走(しわす)」です。師走の語源についても、いくつかの説があります。
よく知られているのは、「師」が「馳せ走る」ほど忙しいことを指しているという説です。「師」は、僧侶や神社で参拝客の世話をする「御師(おんし)」と呼ばれる人を指し、12月は僧を迎えてお経を読んでもらったり、神社や寺を参拝したりする人が増えることから、師走と呼ばれるようになったそうです。
このほか、年の終わりを意味する「歳極(としはつ)」「年果つ(としはつ)」が由来だとする説や、四季の終わりの月である「四極(しはつ)月」が語源だという説もあります。
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まとめ
日本の旧暦である太陽太陰暦では、1年のそれぞれの月を数字ではなく行事や風習、季節感に由来する和風月名で呼んでいました。睦月、如月、弥生、卯月、皐月、水無月、文月、葉月、長月、神無月、霜月、師走......。それぞれの名称に込められた意味を知り、月ごとの行事のアイデアやクイズレクに生かしてみてはいかがでしょうか。
介護のみらいラボでは、12か月それぞれの行事や風習に合わせた、高齢者向けのレクリエーション・イベントの事例を紹介しています。介護職のためのスキルアップ情報や各種ニュースなどのコンテンツも多数掲載しておりますので、ぜひ日々の活動にお役立てください。
※当記事は2024年4月時点の情報をもとに作成しています
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