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仕事・スキル 介護士の常識 2022/08/21

介護の研修・資格にはどんな種類がある?スキルアップを目指すには?

構成・文/介護のみらいラボ編集部 4.jpg

介護施設スタッフとして働く際、研修を受けたり資格を取得したりしておくと、スムーズに仕事をスタートできます。ただし、研修や資格といっても複数の種類があり、目指したいキャリアや身につけたい専門知識によって、選ぶべきものが異なります。また、受験するにあたって条件がある研修・資格もあるため、事前によく確認することが大切です。

当記事では、業務に役立つ研修やスキルアップを目指せる資格について解説します。それぞれの研修・資格の概要をつかみ、自分に合うものがあれば、ぜひ挑戦してみてください。

1.業務に役立つ!介護関連の主な研修・資格6種類

介護保険に関する研修には、介護の基礎知識・スキルを証明するものから、たん吸引や経管栄養などの実践的なスキルが身に付くものまで、さまざまな種類があります。自分の状況やキャリアプランを踏まえて、必要な研修を受けると良いでしょう。

以下では、介護関連の主な研修・資格の概要や受講内容について紹介します。

介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)

介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)とは、業務遂行に必要な最低限の知識やスキル、実践プロセスを身に付け、介護業務を行えるようにするための研修です。介護の業務経験がなくても受講でき、資格を取得すると介護施設や訪問介護サービスで介護スタッフとして活躍できるようになります。

資格を取得するには、介護の基本や認知症の理解など合計130時間の研修を受け、筆記試験による修了試験にパスする必要があります。なお、万が一不合格になった場合でも、補講を受けて再度挑戦することが可能です。

(出典:厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について」

介護福祉士実務者研修(旧ホームヘルパー1級)

実務者研修(ホームヘルパー1級)とは、幅広い利用者さんに対する介護提供能力の修得に加えて、医療的ケアに関する知識や技能の習得を目的とした研修です。介護福祉士実務者研修を取得すると、サービス提供責任者として働くことができる他、たんの吸引(口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部)や経管栄養(胃ろう、腸ろう、経鼻経管栄養)などの実践的な知識・スキルを身に付けることができます。

研修時間は450時間に及び、介護職員初任者研修よりも専門的で深い知識を学ぶことになります。また、介護福祉士実務者研修は介護福祉士国家試験を受験するための必須資格となっているため、介護福祉士を目指す方は必ず受講・修了しましょう。

(出典:厚生労働省「介護福祉士の資格取得方法の見直しの延期について」

喀痰(かくたん)吸引等研修

喀痰吸引等研修とは、たんの吸引と経管栄養を実践できるようになるための研修です。研修は50時間の講義と、たんの吸引、経管栄養の演習を行う「基本研修」、実際に施設や在宅などで利用者さんへのケアを行う「実地研修」があります。

研修では最初に講義を行い、その後、知識が修得できているかを筆記試験で確認。9割以上正答した合格者のみ、演習に進むことが可能です。また、演習は一連の流れが問題なくできるようになるまで行います。基本研修が済むと、看護師の指導のもとで実地研修を行うことになります。

(出典:厚生労働省「喀痰吸引等研修」

認知症介護実践者研修

認知症介護実践者研修とは、認知症介護に最低限必要な知識・スキルを修得することを目的とした研修です。受験要件は自治体によって異なり、認知症の方の介護に関する経験が2年程度以上あることが受講要件となっているケースもあります。

研修内容は、「認知症ケアの基礎的理解」と「認知症の方への具体的支援方法と展開」、実践上の留意点を学ぶ「演習」で構成され、指定されたカリキュラムを受講して報告書を提出すれば修了証が交付されます。

認知症介護実践者研修を修了すれば、さらに実務経験を重ねて、認知症介護実践リーダー研修、認知症介護指導者研修とステップアップしていくことも可能です。

(出典:厚生労働省「認知症施策推進大綱」
(出典:厚生労働省「認知症介護基礎研修、実践研修等のあり方およびその育成に関する調査研究事業報告書」

同行援護従業者養成研修

同行援護従業者養成研修とは、視覚障害によって移動が困難な障害者をサポートできるようになるために、必要な知識やスキルを学ぶ研修です。同行援護の主なサービス内容は、代筆・代読を含む視覚的情報の支援、移動の援護、外出時における排せつ、食事などの介護となります。

受験のために必要な条件などはなく、研修では同行支援や視覚障害者について理解を深める講義と、移動支援のスキルを修得する実習講習を行います。研修時間は合計20時間で、カリキュラムをすべて修了すれば、修了証明書を取得できます。

(出典:厚生労働省「同行援護について」

行動援護従業者養成研修

行動援護従業者養成研修とは、知的障害や精神障害、発達障害を持つ方の外出時のサポートを行えるようになるために、必要な知識やスキルを学ぶ研修です。行動援護従業者養成研修は、介護の資格や実務経験の有無にかかわらず誰でも受講することができます。

研修では、強度行動障害に関する10時間の講義と、行動障害がある方とのコミュニケーションなどについて学ぶ14時間の演習を行います。試験はなく、講義と演習を修了すれば修了証明書が交付されます。なお、行動援護従事者として業務を行うには、養成研修を修了し、1年以上の実務経験があることが必須事項となっています。

2.スキルアップにも!介護関連の主な資格6種類

介護関連の資格には、スキルアップや給料アップにつながるものや、採用時に有利になるものもあります。なかには受験資格に条件がなく、介護初心者でも受けられる資格もあるため、これから介護業界で活躍したい方は要注目です。

以下では、介護に関連する資格の種類と仕事内容・受講資格について紹介します。

介護福祉士

介護福祉士とは、身体や精神に障害を持った方の介護を行うための国家資格です。介護福祉士を取得するには、養成施設ルート、実務経験ルート、福祉系高校ルート、経済連携協定(EPA)ルートの4つの方法があります。ちなみにEPAルートは、日本で研修・就労をしているフィリピン人、インドネシア人、ベトナム人が資格取得を目指すルートです。

各ルートによって資格取得までの期間も異なりますが、いずれも国家試験に合格することが資格取得の条件です。働きながら資格を取得する場合は、3年以上の実務経験に加え、実務者研修や介護職員基礎研修などを修了する必要があります。

(出典:厚生労働省「介護福祉士の概要について」
(出典:厚生労働省「介護福祉士の資格取得方法」

介護支援専門員(ケアマネジャー)

介護支援専門員(ケアマネージャー)とは、要介護者・要支援者の相談やケアプランの作成、市町村や施設などとの連絡調整を行う専門職員のことです。訪問介護サービス、デイサービス、介護付有料老人ホームなど、介護サービス全般で活躍できます。

介護支援専門員になるには、保健医療福祉分野における5年以上の実務経験が必須です。その後、介護支援専門員実務研修受講試験に合格し、介護支援専門員実務研修の課程を修了することで、介護支援専門員証の交付が受けられます。

(出典:厚生労働省「介護支援専門員(ケアマネジャー)」

福祉用具専門相談員

福祉用具専門相談員とは、介護保険サービスを利用している方が福祉用具を選定する際に、適切なアドバイスを行う専門職員のことです。福祉用具とは要介護者などが自立した生活を送れるように補助する用具のことで、車いすや手すり、歩行器などさまざまな種類があります。

資格取得のためには指定講習を受講し、筆記試験に合格する必要があります。試験の難易度は「知っている」「概説できる」というレベルを想定しているため、きちんと講習を受けていれば、それほど難しくないでしょう。

(出典:厚生労働省「福祉用具専門相談員について」

福祉住環境コーディネーター

福祉住環境コーディネーターとは、高齢者や障害者に対して、安全かつ快適に暮らせる住環境を提案するアドバイザーです。東京商工会議所が主催する資格で、超高齢化社会における現代では、少しずつ需要が高まっています。

2・3級は誰でも受験でき、オンラインで自宅のパソコンから受験することが可能です。統一試験の1級に関しては、2022年度から会場で受験する方式に移行し、2級試験の合格要件が廃止されました。そのため、1級は2級の合格実績に関わらず誰でも受けることができます。いずれの級も、100点満点中70点以上で合格です。

(出典:東京商工会議所「福祉住環境コーディネーター検定試験とは」

児童発達支援管理責任者

児童発達支援管理責任者とは、児童福祉法に定められた施設において、障害児の発達を支援したり、療育の企画・管理を行ったりするための資格です。児童発達支援管理責任者の資格があると、障害のある子どもたちの療育・支援などを行っている施設で働くことができます。

児童発達支援管理責任者になるためには、5年以上の実務経験に加え、「児童発達支援管理責任者基礎研修」と「相談支援従事者初任者研修」を受講し、修了する必要があります。

(出典:一般社団法人 児童発達支援管理責任者協会「一般社団法人 児童発達支援管理責任者協会」

レクリエーション介護士

レクリエーション介護士とは、高齢者向けのレクリエーションを提供するための企画力・実行力を身に付けられる資格です。経済産業省の「多様な『人活』支援サービス創出事業」をもとに、日本アクティブコミュニティ協会によって創設されました。

レクリエーション介護士には2級と1級があり、2級は指定講座を受講すれば受験できます。1級を受験するためには、2級の有資格者であることが条件です。2級の修了試験は筆記試験と課題提出による評価、1級の場合は実技試験や現場実習も行われます。

(出典:日本アクティブコミュニティ協会「レクリエーション介護士とは」

まとめ

介護の研修や資格には複数の種類があり、誰でも受講できるものから一定年数の実務経験が必要なものまでさまざまです。現在のキャリアや身に付けたい介護技術をふまえて、受講できそうな研修・資格からチャレンジしてみましょう。

「介護のみらいラボ」では、各資格の詳細や当記事では紹介できなかった資格など、介護における有益な情報を多数掲載しています。介護業界についてさらに理解を深めたい方は、ぜひ「介護のみらいラボ」を参考にしてください。

※当記事は2022年5月時点の情報をもとに作成しています

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