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仕事・スキル 介護職のスキルアップ 2025/01/20

介護現場でよく使う介護用語と略語一覧

文/中村 楓(介護支援専門員・介護福祉士・介護コラムニスト) 250101_thumb.jpg

介護の仕事を始めたばかりの人の悩みとして、同僚が使う介護用語や略語の意味が理解できないことが挙げられます。介護用語や略語の意味がわかるようになると、職員間のコミュニケーションがとりやすくなり、仕事が覚えやすくなるでしょう。そこで、本記事では介護現場でよく使う介護用語と略語の意味を一覧にして紹介します。それぞれの用語や略語の意味を一緒にみていきましょう。

1.介護に関する職種や施設に関する介護用語・略語

介護に関する職種や施設に関する介護用語・略語(イメージ図)

まずは、介護に関する職種や施設に関する介護用語と略語をみていきましょう。

職種に関する介護用語・略語

介護用語・略語 意味
介護支援専門員(ケアマネジャー・ケアマネ) 介護を必要としている高齢者に対し、適切な介護サービスが利用できるよう計画書を作成し、サービス事業者への橋渡しを行う職種。
理学療法士(PT) リハビリ専門職のうち、運動療法や物理療法などを用いてリハビリテーションを行う職種。
作業療法士(OT) 食事や入浴など生活面における応用的な動作を中心としたリハビリや、精神的な面からアプローチしたリハビリを行う専門職。
言語聴覚士(ST) 言葉によるコミュニケーションや嚥下など、話すこと・聞くこと・食べることに重点を置いたリハビリ職。
生活相談員(SW) 介護事業所や施設などに配置され、利用者さんの相談や援助を行う職種。
サービス提供責任者(サ責) 訪問介護事業所にて、計画作成や利用申し込みなどの調整、訪問介護員等の指導や管理業務などを行う職種。
ホームヘルパー 訪問介護事業所に在籍し、利用者さん宅を訪問して生活援助や身体介護などを行う職種。


施設に関する介護用語・略語

介護用語・略語 意味
特別養護老人ホーム(特養) 介護保険施設のうち、日常生活の支援や機能訓練などを24時間体制で受けられる施設。原則、要介護3以上の高齢者が対象。
介護老人保健施設(老健) 自宅への復帰を目指し、医師の指示の下で看護や介護のケアや、リハビリ専門職のリハビリが受けられる。要介護1以上の高齢者が対象。
介護医療院 日常的に医学管理が必要な高齢者が長期療養できる介護保険施設。ターミナルケアや看取りも行い、終身利用が可能。
デイサービス(通所介護) 自宅から日帰りで施設へ通い、入浴や食事などの日常生活上の世話や機能訓練などを受けられる施設。
デイケア(通所リハビリ) 自宅から日帰りで通い、看護や介護のサービスだけでなく、専門職からのリハビリが受けられる施設。
ショートステイ(SS) 介護保険施設に短期間泊まり、介護や生活支援などを受ける介護保険サービス。


2.介護現場で使う介護用語・略語

介護現場で使う介護用語・略語(イメージ図)

介護現場でよく使う介護用語・略語を4種類にわけてみていきましょう。

健康管理に関する介護用語・略語

介護用語・略語 意味
バイタルサイン(バイタル) 生きていることを表すしるしのことで、体温・呼吸・脈拍・血圧などを指す。
KT/BT(体温) 体温のこと。36.6~37.2℃が平均であるが、高齢者はやや低め。
BP(血圧) 血圧のこと。目標値は65~74歳で140/90未満、75歳以上で150/90未満。
P(脈) 脈拍のこと。成人の場合、加齢とともに、脈拍数は少なくなる。
R(呼吸数) 呼吸数のこと。相手に測ることを意識させずに測定する必要がある。
SPO2(酸素飽和度) 動脈の赤血球のヘモグロビンのうち、酸素と結合しているヘモグロビンの割合のこと。
BS(血糖値) 血液中に存在する糖質の値のこと。
KOT(排便) 排便のこと。排便があった場合は+、排便がない場合は-1と表記。後ろの数字は、日にちを表す。
GE(浣腸) グリセリン浣腸のこと。
悪寒 気温に関係なく寒気を感じて、部屋や体を温めても一向に収まらない寒気。熱が出る前や出ているときなどに起こる。
膀胱留置カテーテル 膀胱にカテーテルを入れて尿が持続的に出るようにする装置。
人工肛門 手術によってお腹に新しくつくられた便の排泄口。


姿勢に関する介護用語・略語

介護用語・略語 意味
仰臥位(ぎょうがい) 仰向けの姿勢。
側臥位(そくがい) 横向きの姿勢。向きによって右側臥位、左側臥位という。
腹臥位(ふくがい) うつぶせの状態。
座位 座っている姿勢。
長座位 足を伸ばした状態で座っている姿勢。
ファーラー位 仰臥位で足を水平にしたまま、上半身を約45°程度上げた座った姿勢。
臥床(がしょう) ベッドなどの寝具に横たわった状態。
体位変換 自分で体の向きを変えられない人に対し、介護者が定期的に体の向きを変えること。
ギャッジアップ 介護用ベッドの背もたれやひじの角度の調整を行うこと。


日々のケアに関する介護用語・略語

介護用語・略語 意味
拘縮(こうしゅく) 色々な原因により、関節の動きが制限されて十分に動かせない状態。
発赤 境界線がなく皮膚が赤くなっている状態。
褥瘡(じょくそう) 長期間にわたり寝たきりなどになって、皮膚が圧迫されて傷ができること。
経管栄養 栄養を補うために鼻や胃ろうなどからチューブを使って栄養をいれること。
喀痰吸引(かくたんきゅういん) 吸引装置を使用して、口腔内や鼻腔内、気管カニューレ内部にたまった痰や唾液などを取り除くこと。
嚥下(えんげ) 食べ物な飲み物、唾液などを飲み込む一連の動作。
誤嚥(ごえん) 飲み込もうとした唾液や飲み物、食べ物が、気道や肺に入ってしまう状態。
クロックポジション 食卓に置かれた箸やスプーン、食器などの位置を、時計の文字盤の数字の位置に例え説明すること。
IVH カテーテルを通して心臓近くの静脈に高カロリー栄養剤を点滴で注入する方法。
胃ろう 腹部から胃に栄養を注入する栄養補給法。
ポータブルトイレ(P-WC) 簡易的なトイレ。トイレまでの移動ができない人や間に合わない人が使用。
失禁 トイレ以外の場所で、排泄してしまう状態。
除圧 除圧マットの使用や体位変換などを行って、身体にかかっている圧力を軽減する方法。
ポジショニング 枕やクッションなどを活用し、姿勢を安定させて体重を分散させる方法。
トランスファー 利用者さんの体を別の場所に移すこと。移乗のこと。
ボディメカニクス 人の関節や筋肉、骨が動く際の力学的関係を利用した介護技術。
脱健着患(だっけんちゃっかん) 着替えの介助の手順。服を脱ぐときは健側から、着るときは患側から行う。
健側(けんそく) 問題なく動かせる側。
患側(かんそく) 麻痺や拘縮があり、思うように動かせない側。
個浴 在宅にあるような浴槽。一人ずつ入れる。
機械浴 寝たままや座ったままの姿勢で入浴できる浴槽。
清拭 体の清潔を保つために、温かいタオルで体をきれいに拭くこと。
部分浴 手や足など、体の一部をお湯で洗うこと。


認知症に関する介護用語・略語

介護用語・略語 意味
見当識障害 時間や場所、周囲の人との関係性が正確に認識できなくなる状態。
長谷川式認知症スケール 認知症の可能性を判断するためのスクリーニング検査。日本で広く活用されている。
MMMS 認知症スクリーニングテストの一つ。アメリカ発祥の検査で、日本でも広く活用されている。
徘徊 目的もなくうろうろと歩き回る行動。認知症の高齢者によくみられる。
ろう便 便を手で触ったり壁に擦り付けたりする行動。
異食 食べ物ではないものを食べてしまうこと。
せん妄 一見起きているようにみえるが、ぼんやりしている状態。幻覚や妄想などにより、興奮や錯乱、活動性の低下などが起こる。高齢者の入院中などによくみられる。
中核症状 認知症で起こる脳の障害による症状。記憶障害や見当識障害、理解力・判断力の低下などが該当する。
行動・心理症状(BPSD) 中核症状に環境や対応、性格などが影響して起こる行動や心理の症状。中核症状に対して二次的に起こる。
軽度認知障害(MCI) 認知症の診断基準は満たさない状態だが、物忘れなどの症状があること。日常生活への支障は少ない。


3.そのほかの知っておきたい介護用語・略語

そのほかの知っておきたい介護用語・略語(イメージ図)

そのほかにも、知っておきたい介護用語・略語があります。詳しくみていきましょう。

介護用語・略語 意味
ADL 人間が毎日の生活を送るための基本的動作のこと。身の回りの動作や移動動作、生活関連動作などが該当。
IADL 買い物や食事の準備など、ADLより応用的で複雑な動作と判断が求められる行動のこと。
QOL 生活の質もしくは人生の質などと訳される。その人の生活や人生の豊かさを示す際の指標となるもの。
アセスメント 利用者さんに必要なケアを行うために、悩みや要望、心身状態など詳しい情報を集めて分析すること。
モニタリング ケアプランに沿った介護サービスが正しく提供されているかを定期的に確認すること。
担当者会議 ケアプラン作成にあたり、利用者さんと家族、各サービス事業所が集まってプランの内容や方向性を決定する会議。
要介護度 介護が必要な状態のこと。自立から要介護5まである。
要介護認定 介護サービスを使いたい人に対し、どの様な介護・介助がどれくらい必要かを判定すること。
ターミナルケア 無理な延命治療を行わずに最期を迎えることを支えるための医療やケアのこと。
残存機能 病気やけがなどで障害を負った人に残された機能のこと。
フレイル 加齢により心身が老い衰えた状態。健康と要介護の中間にある状態。
廃用症候群(はいようしょうこうぐん) 体の活動性が落ちた状態が続くことで、肉体的、精神的な機能低下が起こり、その結果として現れる症状の総称。筋力低下や関節拘縮、褥瘡、誤嚥性肺炎など症状はさまざま。
関節可動域 関節が生理的に運動できる範囲のこと。
自立支援 介護が必要になっても、利用者さんの意思や希望を尊重して自立した生活ができるように支援すること。
バリアフリー 社会のなかにあるさまざまなバリアを取り除くこと。
ユニットケア 施設内で少人数のグループによる個別ケアを行い、利用者さんの個性や生活リズムに沿ったケアを提供すること。
ケアプラン 介護保険サービスを利用するための計画書。利用者さんが直面している課題や支援方法、介護保険サービスの内容がまとめてある。
ヒヤリハット 危険なことが起こったが、幸いにも事故に至らなかった出来事。ヒヤリハットを共有することで、事故を未然に防ぐ。


まとめ:現場でよく使う介護用語や略語を覚えて仕事に役立てよう

現場でよく使う介護用語や略語を覚えて仕事に役立てよう(イメージ図)

介護用語や略語は、介護現場ではよく飛び交っている言葉です。頻繁に使われる介護用語や略語を覚えれば、仕事の内容や先輩の指示がわかるようになるでしょう。とはいえ、その種類はとても多く、一度に覚えるのは大変です。職場によって用語の使用頻度も異なるため、業務のなかで少しずつ覚えていくとよいでしょう。

●こちらもおすすめ:これだけは知っておきたい介護職向け基本用語

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中村楓(Kaede Nakamura)

介護福祉士・介護コラムニスト

現役介護支援専門員。介護福祉士、福祉住環境コーディネーター2級、認知症介護実践者研修の資格を持つ。病院や通所リハビリ、デイサービスで介護福祉士として働き、生活相談員や介護認定調査員の経験も持つ。「介護の未来を明るくする」をモットーに、現場感ある記事を書く介護コラムニストとしても活動中。

中村楓の執筆・監修記事

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