●腹部膨満

ふくぶぼうまん
腹部膨満とは、消化器系内臓の疾患、機能低下、食べ過ぎ、精神心理的な要因等により「お腹が張る」状態をいいます。運動不足などの機能的要因のほか、イレウス（腸閉塞）など重大な疾患や、服薬の副作用が原因となっている場合もあるので、認知症がある人や高齢者では、訴えや症状に注視して、医療につなげることが重要です。

●便秘（下剤・緩下剤）

便秘とは、便通が長期間継続する状態です。２～３日に1回しか排便がない場合でも、大便の状態により、排便に困難を生じない場合は便秘とは呼ばずに「便秘症」と表します。消化器系疾患がない場合は、運動や腹部マッサージ、食物繊維の多い食事などの予防も重要となります。頑固な便秘に対し、下剤や緩下剤を投与することもありますが、習慣化することのないよう、予防を重視します。

●摘便

●浣腸

かんちょう
浣腸とは、肛門から直腸に、薬剤や液体を直接注入して、腸の内容物を強制的に排出する方法です。排便が滞り便秘の状態にある人に対し行います。浣腸により溜まっていた内容物がいっぺんに排出されると、血圧の変動を誘発しやすいため、高血圧症や循環器疾患のある人、虚弱な人では医師の指示の下で行うなど注意が必要です。また使用が習慣化することを避けるため、市販品の安直な使用には注意します。

●尿失禁・便失禁

●頻尿

頻尿とは、排せつ障害のひとつで、排尿の回数が通常よりも増えた状態です。通常の排尿回数は、昼間で４～６回、夜間で０～１回程度とされ、膀胱炎、過活動膀胱、神経性膀胱などの疾患を原因とするほか、加齢による排せつ機能の低下や服用薬の副作用による場合もあります。原因に応じた介護や介助が重要です。

●乏尿・無尿・尿閉

乏尿・無尿・尿閉は、排せつ障害のひとつです。「乏尿」は１日の排尿量が著しく少ない状態で400ml以下、「無尿」は膀胱に尿が溜まらない状態で１日の尿量100ml以下、「尿閉」は膀胱に溜まった尿を自力で排尿できない状態をいいます。腎臓の疾患や膀胱炎、男性では前立腺の疾患、服用薬の副作用、水分摂取量が少ないなど、様々な原因に応じた治療、介護や介助が重要です。薬剤による排尿誘導のほか、尿閉では膀胱に直接管（カテーテル）を挿入して膀胱内の尿を排出する方法もあります。

●導尿

●バルーンカテーテル法（膀胱留置カテーテル法）

●ポータブルトイレ

ポータブルトイレとは、自然排せつを誘導する簡易なトイレです。寝台のそばなどに配置します。おむつに頼らず、排せつの自立をできるだけ継続するため、排せつの自覚があるけれどトイレまで移動できない、間に合わない人が使用します。汚物を受ける部分がある持ち運び便器で、椅子型など室内に配置してもできるだけ室内に違和感を生じない形状のものや、据置型で排水（下水）機能を有するものもあります。工事を伴わないものは、介護保険による特定福祉用具販売・購入の対象です。

●オストメイト

オストメイトとは、人工肛門、人工膀胱、またはそれらを使用している人を指します。疾患などで消化管や尿路の障害により、肛門や尿道口から排せつができなくなった人が使用します。人工的に作った便や尿の排せつ口を「ストーマ」と呼びます。消化管ストーマを「人工肛門」、尿路ストーマを「人工膀胱」、または「ウロストミー」と呼びます。オストメイトに対応した多目的トイレが交通機関や公共施設に整備され、外出もしやすくなっているものの、緊急時の医療機関や訪問看護ステーションなどへの連絡体制に留意することも重要となります。

●便の形態（硬便、軟便、泥状便、水様便）

排便された便の形状は、健康状態の確認や内臓疾患、感染症罹患などに気づくことができる重要な情報源です。便の中に混入した血液で、大腸がんを早期に発見したり、便の色により、胃など上部消化管からの出血か、大腸など下部消化管からの出血かなど確認することができます。健康な便はバナナ状で水分量が70～80％とされますが、「硬便」は水分量が少ないコロッとした固い便、「軟便」は通常より少し柔らかい便の水分量が80～90％、便の水分量が90％を超えると「泥状便」から「水様便（下痢便）」となります。

●尿路感染症

尿路感染症とは、腎臓から尿道までの尿路に感染性の炎症が起こる症状の総称です。大腸菌などが原因となる場合が多く、尿路感染から発症する腎盂腎炎や膀胱炎が代表的です。感染部位によって症状が異なり、上部では発熱や疼痛が特徴的で、下部では局所不快感や排尿障害などになりやすいです。高齢者では、膀胱留置カテーテルの管理不足が原因の発症が多いので、排せつのケアでは注意が必要です。