介護士の仕事内容｜1日のスケジュールや勤務先・やりがいを紹介

介護業界で活躍している方や、これから介護職を目指す方の中には、介護関連の資格に興味がある方も多いでしょう。介護関連の資格はいくつか存在しますが、将来的に介護職としてキャリアアップしたい場合には、「介護福祉士」を目指すことも1つの方法です。

当記事では、介護士の基本的な仕事内容や1日のスケジュールと仕事の流れについて解説します。介護士が活躍できる職場ややりがいも紹介するため、介護の仕事に興味がある方はぜひ当記事を参考にしてください。

1.　介護士とは？

介護士とは、事業所の種類や職種を問わず、介護を行う仕事をしている方の総称です。

介護士の仕事に就くためには、特別な資格を取る必要はありません。ただし、専門知識やより高い介護を提供するために役立つ上位資格があります。

上位資格を取得することで、介護の質を高められるだけでなく、一定の職種や地位につけるようになり将来のキャリアアップにつながる可能性が高まります。また、転職の際にも有利に働く場合があるでしょう。

ここでは、介護士の中でも、介護福祉士の資格について解説します。介護士としてのキャリアパスを描く際の参考にしてください。

1-1.　唯一の国家資格「介護福祉士」とは？

介護福祉士とは、介護や福祉に関する高い専門知識・熟練したスキルをもって、介護を必要とする人に介護サービスを提供できる職種・資格を指します。介護福祉士は介護関連資格で唯一の国家資格であり、介護福祉士国家試験に合格すると「介護福祉士」を名乗ることができます（名称独占資格）。

介護福祉士の資格を取得することは、介護現場で働くための必須条件ではありません。しかし、介護福祉士の資格を取得すれば「従事できる業務の幅が広がる」「責任のある立場に就ける」などの可能性が高まります。また、就職や転職、昇進などに有利に働く場合も多いことを押さえておきましょう。

（出典：厚生労働省「介護福祉士の概要について」
/ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/shakai-kaigo-fukushi1/shakai-kaigo-fukushi4.html）

2.　介護士の基本的な仕事内容

介護士の仕事内容は、大きく身体介護と生活援助の2種類に分かれます。身体介護は、直接利用者さんの体に触れ、食事や入浴などの介護・介助を行う仕事です。介護というと、一般的に身体介護をイメージする方も多いでしょう。一方、生活援助は利用者さんの体には触れず、洗濯や掃除といった家事を中心に、身の回りのサポートを行う仕事です。

ここでは、基本的な介護士の仕事内容について、身体介護や生活援助をさらに具体的に掘り下げて解説します。くわえて、国家資格である介護福祉士が担当する仕事についても取り上げます。

2-1.　身体介護

身体介護とは、入浴介助や食事介助、排泄介助など、介護を必要とする人の身体に直接触れる必要がある介護ケアのことです。

無資格の介護士は訪問系サービスにおいて身体介護を担当できません。介護職員初任者研修を修了すれば、1人で身体介護に携われるようになります。高度な専門的知識と熟練したスキルを持つ介護福祉士は、より細やかで相手に寄り添ったケアができるでしょう。

（出典：厚生労働省「訪問介護及び訪問入浴介護（参考資料）」
/ https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000170289.pdf）

2-2.　生活援助

生活援助とは、食事の準備（買い物・調理など）や掃除、洗濯といった、日常生活を送る上で必要な家事を手助けする介護サービスのことです。日常生活における作業・動作は要介護者のリハビリにもなるため、様子を見守りながら、利用者さんにとって難しい作業・動作をサポートすることが介護職の役割となります。

（出典：厚生労働省「訪問介護及び訪問入浴介護（参考資料）」
/ https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000170289.pdf）

2-3.　レクリエーションの企画・運営

多くの介護施設では、身体機能の維持・向上や生活の質（QOL）の向上、利用者さん同士の交流などを目的としたレクリエーションが実施されています。施設内で行われるレクリエーションを企画し実行することも、介護職の仕事の1つです。

介護福祉士の資格がある場合は、より専門的な観点からレクリエーションの目的や目標を設定し、企画運営を進めることが求められます。専門的な知識を生かしながら、利用者さんの状況や季節、地域の文化などに合ったレクリエーションを取り入れていくことが大切です。

2-4.　相談への対応

施設の利用者さんやその家族からの相談に対応することも、介護士の重要な仕事の1つです。介護福祉士は利用者さんや家族の悩み・不安を聞く傾聴スキルや、介護福祉に関する専門的知識を持っているため、より適切な助言や対応を行えるでしょう。

また、介護福祉士は、利用者さんや家族に適した福祉用具の選定・提案、使用方法の説明・用具の調節なども行えます。相談に乗るだけでなく、用具などによる具体的な解決を図れることも、介護福祉士が現場で頼りにされる理由の1つとして挙げられるでしょう。

2-5.　チームのマネジメント

介護福祉士の場合、介護に関する高度な専門知識・熟練したスキルを持つとして、職場内で介護職のリーダー的な役割を任されることも珍しくありません。身体介護や生活援助など基本的な介護業務に加えて、介護職・介護スタッフ全体の業務管理や教育・指導が求められます。

チームのリーダーとして介護職を管理する立場になると、責任も業務負担も大きくなりますが、その分やりがいを感じられる機会も多くなります。キャリアアップに必要な知識・スキル、経験を身につけられるでしょう。

3.　1日のスケジュールから見た介護福祉士の仕事内容

介護士の仕事について理解を深めるためには、具体的な仕事内容とともに、1日のおおまかなスケジュールを知ることも大切です。ここでは、特別養護老人ホームに勤務する介護福祉士の例をもとに、介護福祉士の1日の仕事の流れをご紹介します。

■介護福祉士の1日の流れ（例：特別養護老人ホーム）

時刻	担当職員	主なスケジュール
6：00	夜勤	【利用者起床】 起床した利用者さんの更衣介助・洗面介助を行います。
7：00		【朝食】 食堂−居室間の移動介助や食事の配膳・下膳などを含む食事介助を行います。服薬が必要な利用者さんには服薬介助も行います。
9：00	日勤	【朝礼】 日勤者が夜勤者から引き継ぎを受けます。 【バイタルチェック】 利用者さんの健康チェック（血圧や脈拍、体重の測定など）を行います。
10：00		【レクリエーション】 さまざまなレクリエーションを企画し、実施します。 【シーツ交換・施設内の清掃など】 レクリエーション中などにシーツ交換や居室の清掃を行います。
12：00		【昼食】 朝食時と同様に、必要な介助を行います。
13：00		休憩
14：00		【入浴介助】 お風呂への移乗介助や更衣介助も併せて入浴介助を行います。
15：00		【おやつ】 利用者さんの状態によっては食事の際と同様の食事介助を行います。
17：00		【引き継ぎ】 夜勤者が日勤者から引き継ぎを受けます。
18：00	夜勤	【夕食】 朝食時・昼食時と同様に、必要な介助を行います。
20：00		【就寝準備】 ベッドへの移乗介助や更衣介助・排泄介助など、就寝に向けた準備を行います。
21：00		【消灯】 消灯後は、利用者さんからのコール対応を行いながら、居室の巡回や記録の作成を行います。
0：00		【仮眠】 夜勤の場合、交代で2時間程度の仮眠をとります。

（出典：厚生労働省「介護・福祉　プロの仕事を知ろう！」
/ https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000525888.pdf）

1日のスケジュールは、勤務する施設の種類によって異なる場合があります。それぞれの施設形態における働き方を確認した上で、希望する働き方ができる施設を選びましょう。

4.　介護士が活躍する職場7選

介護士が活躍できる代表的な場所としては、次の7つの施設が挙げられます。

■介護士が活躍する主な施設

（出典：厚生労働省「介護・福祉　プロの仕事を知ろう！」
/ https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000525888.pdf）

介護士として就職・転職を目指す際には、それぞれの施設の特徴を理解しておくことが大切です。自分に合った施設形態・勤務先を選び、介護職としてのキャリアアップを目指しましょう。

5.　介護士の給与はどの程度？

厚生労働省が発表した「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」によると、令和4年における介護士の平均月給は次の通りです。

職種・資格	平均月給（円）
介護士(介護職員)全体	318,230
保有資格なし	270,530
資格保有者全体	321,120

（出典：厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」
/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/22/dl/r04gaiyou.pdf）

令和4年12月時点で、常勤の介護士全体の平均月給は318,230円でした。介護士全体のうち、保有資格のない方の平均月給は270,530円、資格保有者全体は321,120円です。無資格と比べると、資格保有者の平均月給は約5万円高くなります。

次に、保有資格別の平均月給を見てみましょう。

職種・資格	平均月給（円）
介護福祉士	331,690
社会福祉士	352,560
介護支援専門員	376,240
実務者研修	302,500
介護職員初任者研修	302,910

（出典：厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」
/ https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/22/dl/r04gaiyou.pdf）

実務者研修と介護職員初任者研修は、資格保有者の中でもっとも平均月給が低い部類であるものの、保有資格がない場合と比べると約3万円高い水準です。

また、介護福祉士の平均月給については資格保有者全体の平均よりも高く、保有資格がない場合より約6万円高い状態です。介護士として働く場合、介護福祉士の資格を持っていたほうがより高収入となります。

6.　介護士のやりがい

介護士の仕事には、介護の現場ならではのさまざまなやりがいがあります。ここでは、介護士のやりがいやメリットをピックアップして紹介します。介護士を目指す方や介護士になるかどうか悩んでいる方はぜひ一読し、介護士の仕事をイメージする際に役立ててください。

6-1.　感謝の言葉をもらえる

介護士は、利用者さんや家族の方と直接接する機会が多い仕事です。利用者さんや家族の方の反応を直接目の当たりにすることも多く、「いつもありがとう」「助かったよ」などと感謝の言葉をかけてもらえる機会も少なくありません。

介護士の仕事は、利益や売上のように成果を数字などではっきり表せるものではありません。しかし、利用者さんたちから声をかけてもらえると、仕事の成果ややりがいを実感しやすくなるでしょう。

6-2.　利用者さんの変化を間近で見られる

利用者さんに徐々によい変化が起きる様子を間近で見られるのが、介護士の特権です。

介護士の仕事の目的は利用者さんのQOL（生活の質）を向上させることです。単に快適に暮らしてもらうだけでなく、利用者さんの身体機能や自立した生活の維持を支援します。

そのため、サービスを利用し始めた当初と比べると、サポートを通じて利用者さんにできることが増えていく場合があります。できることが増え、担当する利用者さんが笑顔や活力を取り戻す様子を間近で見られると、介護士自身のモチベーションアップにもつながるでしょう。

6-3.　人生の先輩からさまざまなことを学べる

介護を担当することの多い高齢の利用者さんは、経験が豊富な人生の先輩です。介護士は、利用者さんを一方的にサポートするだけでなく、豊富な経験から培った人生観などを通じて、さまざまなことを学ぶ機会を得られます。

利用者さんたちは、年齢によっては戦争や災害、日本の変化など、今の働き盛りの世代が教科書でしか知らないような時代を乗り越えています。利用者さんはお話し好きの方も少なくありません。利用者さんとの何気ない会話から、元気や生きる知恵、困難の乗り越え方など、今後の人生の財産になるようなお話が聞けるかもしれません。

7.　介護士の仕事に向いている人は？

介護士の仕事に向いている人の特徴は、次の通りです。

介護士は人と接する機会が多いうえ、介護士との会話を楽しみにしている利用者さんも多いため、コミュニケーションを取るのが好きな人が向いています。介護の現場では、利用者さんや家族の方との信頼関係を築くのが大切です。利用者さんや家族の方とスムーズにコミュニケーションが取れると、話しやすい・相談しやすいと感じてもらえ、信頼関係も構築しやすいでしょう。

介護は排せつや入浴など、かつては利用者さんが自分でできていたことをサポートする仕事です。やり方によっては、相手の自尊心を傷つける恐れもあるため、介護士には言葉のやり取りだけでなく、利用者さんの気持ちに寄り添った対応が求められます。利用者さんの気持ちに寄り添える方であれば、日頃のコミュニケーションの中からでも利用者さんに適した介護を行うヒントを得られ、介護の質向上にもつながるでしょう。

また、介護は体力勝負の仕事で、利用者さんは不安や不調を抱えた状態でケアを受けます。利用者さんに寄り添い、元気に過ごしてもらうには、気持ちが前向きで体力が充実している方が向いています。

くわえて、介護士は専門性が高く、資格を取得すると給与が上がりやすい仕事です。勉強次第ではスキルアップやキャリアアップが望めます。より高い収入を望む方であれば、勉強が好きなほうが向いているでしょう。

介護士は専門性が高いだけでなく、高齢化社会が一層進むことが予想される中で需要が高い職業です。介護士の経験があると現場で重宝されるため、手に職を付けたいと考えている方はより活躍が期待できます。

まとめ

介護士は、高齢者や障害をもつ方など、介護が必要な方に身体介護や生活援助を行います。介護施設やデイサービス、訪問介護などさまざまな場所で活躍できますが、具体的な仕事内容や1日のスケジュールは職場によっても異なります。職場を選ぶときは、自分に合った施設を選ぶことが大切です。

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※当記事は2024年6月時点の情報をもとに作成しています

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