介護保険施設とは?4つの種類・施設での仕事が向いている人の特徴も

介護保険施設は介護保険法に基づいて、介護保険サービスを利用できる施設です。具体的には、特別養護老人ホーム(特養)・介護老人保健施設(老健)・介護医療院・介護療養型医療施設の4種類があります。
この記事では、介護保険施設とはどのような施設であるのかについて、詳しく解説します。また、どのような方が介護保険施設での仕事に向いているのかについても取り上げるので、介護の仕事に興味のある方は、ぜひご覧ください。
目次
1. 介護保険施設とは?
介護保険施設とは、介護保険法に基づき、介護保険のサービスを利用できる公的な入居施設です。介護保険施設は大きく分けて、特別養護老人ホーム(特養)・介護老人保健施設(老健)・介護医療院・介護療養型医療施設の4種類があります。
介護保険施設を利用できるのは、要介護認定を受けた方です。月額費用負担は民間の老人ホームと比べて割安となっていますが、ユニット型個室を利用する場合は多床室よりも利用者負担額が高くなる傾向にあります。なお、入居金など入所時の初期費用は発生しません。
いずれの施設も、利用者さんが安全に生活できるよう、医療的ケアや介護サービスを提供しています。介護保険施設は、介護が必要な方にとって安心して過ごせる場を提供しつつ、家族の負担を軽減する役割も果たす施設です。
(出典:厚生労働省「介護保険施設等の概要」
/
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/05/dl/s0531-13d_0020.pdf)
(出典:厚生労働省「介護保険3施設の概要」
/
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/iryouhoken15/dl/zimu11-1-1.pdf)
(出典:厚生労働省「介護医療院公式サイト」
/
https://www.mhlw.go.jp/kaigoiryouin/)
(出典:大阪市「介護保険で利用できる施設サービス」
/
https://www.city.osaka.lg.jp/fukushi/page/0000370346.html)
2. 介護保険施設の種類
介護保険施設には、利用者さんの状態やニーズに応じてさまざまな種類があります。以下では、特別養護老人ホーム(特養)・介護老人保健施設(老健)・介護医療院・介護療養型医療施設の4つについて詳しく解説します。それぞれの特徴や提供されるサービスを把握し、最適な施設選びに役立ててください。
2-1. 特別養護老人ホーム(特養)
特別養護老人ホーム(特養)は、病気や障害などで長期にわたり介護を必要とする高齢者を受け入れ、日常生活の介護サービスを提供する施設です。
特養は、要介護高齢者のための生活施設として、食事・入浴・排せつの介助やリハビリテーション、健康管理・療養上の世話などのサービスを提供します。また、定員29人以下の小規模で特養と同様のサービスを提供する、地域密着型の特養もあります。
特養を利用できるのは、基本的に要介護度3以上の高齢者です。やむを得ない理由がある場合には、要介護1・2の方でも入所が認められることがあります。ただし、入居希望者・入居待機者数が非常に多く、待機期間が長くなる傾向のある施設です。
特養は、特に長期的な介護が必要な高齢者が安心して生活するために、重要な役割を果たす施設です。利用者さんの生活の質を向上させるためのさまざまなサービスを提供し、家族の負担を軽減する一助となっています。
(出典:厚生労働省「どんなサービスがあるの? ・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」
/
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group14.html)
2-2. 介護老人保健施設(老健)
介護老人保健施設(老健)は、病院を退院した後、自宅での生活に不安がある高齢者を対象に、在宅復帰を目指してリハビリテーションや医療ケアを提供する施設です。
老健では、理学療法士や作業療法士、看護師などの専門スタッフが、利用者さんの状態に合わせたケアプランに基づきリハビリテーションを行います。介護職員による食事・入浴・排せつの介助なども提供されます。また、診察や投薬、検査などの医療ケアも受けられ、利用者さんの健康管理が徹底されている施設です。
老健の入所条件は、要介護度1以上の高齢者です。要支援1・2の高齢者は入所できません。在宅復帰を目指す施設であるため、利用者さんの状態が改善し、在宅での生活が可能と判断された時点で退所を求めます。このため、長期的な入所を望む方には適していません。
老健は、地域包括ケアの一環として、在宅復帰や在宅療養支援のための地域拠点としても位置づけられている施設です。医療とリハビリを組み合わせた支援により、利用者さんの自立を支え、地域での生活を実現するための大きな役割を果たしています。
(出典:厚生労働省「どんなサービスがあるの? ・介護老人保健施設(老健)」
/
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group15.html)
2-3. 介護医療院
介護医療院は、長期的な医療ケアが必要な高齢者のための施設で、医療と介護の両方のサービスを提供します。
介護医療院は、介護保険法の改正により2018年4月に新設された施設です。入所対象者は、要介護1以上の認定を受けた方で、長期的な施設療養が必要な高齢者です。要支援1・2の方は利用できません。介護医療院はⅠ型とⅡ型に分かれており、Ⅰ型は慎重な身体管理が必要な方や認知症高齢者向け施設、Ⅱ型はⅠ型よりも比較的容体が安定した方が入所する施設です。
介護医療院の目的は、療養上の管理・看護・医学的管理のもとで介護や機能訓練を提供し、利用者さんが安心して過ごせる環境を整えることです。主なサービス内容には、食事・入浴・排せつの介助やリハビリテーション、専門的な医療ケアに加え、看取りやターミナルケアも含まれます。
介護医療院では、入所者の意思や人格を尊重し、入所者の立場に立ったサービスの提供が求められます。介護医療院は、医療と介護のニーズを併せ持つ高齢者にとって、安心して生活できる施設です。
(出典:厚生労働省「どんなサービスがあるの? ・介護医療院」
/
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group26.html)
2-4. 介護療養型医療施設
介護療養型医療施設は、医療と介護の両方が必要な高齢者のための長期療養施設です。 ただし、医療費の増大や療養型病院との区別が曖昧であることなどを理由に、2024年3月末で廃止されました。
介護療養型医療施設の入所対象者は、要介護1以上の方のみで、要支援1・2の方は対象外です。
主に慢性疾患を持ち、長期的な療養が必要な高齢者を対象としていた施設です。そのため医療的なケアやリハビリテーションが充実しており、食事・入浴・排せつの介助など日常生活支援サービスや介護サービスも提供されていました。また、ターミナルケアも含まれており、利用者さんの最期のときまで支援する体制が整えられていた施設です。
このように、介護療養型医療施設は、医療と介護の複合的なニーズを持つ高齢者にとって重要な施設でしたが、今後は介護医療院がその役割を引き継ぐ形となります。
(出典:厚生労働省「介護療養型医療施設」
/
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000663474.pdf)
3. 介護保険施設の仕事がおすすめの人
介護保険施設は、特に以下のような意欲やスキルのある方に向いている仕事です。
・高度な介護技術を身につけたい方
・利用者さんに長期的なケアを行いたい方
・利用者さんの在宅復帰をサポートしたい方
・コミュニケーション能力に優れた方
・チームでのケアに興味がある方
たとえば、特養は高い介護技術を身につけたい方に適しています。特養の利用者さんは介護度が高く、身体介助の機会が多いためです。長期的なケアを通じて、利用者さんと深い信頼関係を築ける方にも、特養などの施設は向いています。
また、老健は利用者さんの在宅復帰をサポートしたい方に適しています。老健では、リハビリテーションや医療ケアを通じて、利用者さんが回復していく過程を見守ることができます。コミュニケーション能力が高く、短期間で信頼関係を築ける方や、チームでのケアに興味がある方も老健で活躍できるでしょう。
介護保険施設での仕事は、さまざまなニーズに応えられる方に向いています。各施設の特徴を十分に理解して、自分の特性やスキルに合った職場を選ぶことが大切です。
まとめ
介護保険施設は介護保険法に基づく施設で、利用者さんが安心・安全に生活できるように医療的ケア・介護サービスを提供しています。老健や特養といった施設の種類によって異なった特徴があるため、これらの施設で働く場合は自分のスキルや希望に合った施設を選択することが大切です。
マイナビ介護職では、介護保険施設への就職・転職を目指す方に向けて、キャリアアドバイザーによるサポートを提供しております。キャリアアドバイザーによるサポートを受けながら、介護の仕事でキャリアアップを目指したい方は、ぜひマイナビ介護職をご利用ください。
※当記事は2024年7月時点の情報をもとに作成しています
介護・福祉業界の転職事情|仕事の種類・平均給与・おすすめの資格
関連記事

働き方
| 公開日:2025.04.15 更新日:2025.04.15 |
未経験でも訪問介護で働ける?仕事内容・必要な資格を解説
訪問介護は高齢者や障害のある方の生活をサポートする重要な仕事です。未経...(続きを読む)

働き方
| 公開日:2025.04.15 更新日:2025.04.15 |
ホームヘルパーのやりがいは?仕事の魅力や向いている人の特徴
ホームヘルパー(訪問介護員)は、高齢者や障害を持つ方々の暮らしを支える...(続きを読む)

働き方
| 公開日:2025.04.15 更新日:2025.04.15 |
介護の夜勤専従は掛け持ちできる?メリット・デメリット・注意点も
介護の夜勤専従として働くことは、安定した収入を得たり、経験を積んだりで...(続きを読む)

働き方
| 公開日:2025.04.15 更新日:2025.04.15 |
ホームヘルパーの仕事内容とは?1日の流れを分かりやすく解説
ホームヘルパー(訪問介護員)は、高齢の方や障害のある方が自宅で生活でき...(続きを読む)