デイケアとデイサービスの違い|それぞれに向いている人の特徴も

公開日:2023.08.03 更新日:2025.12.22
デイケアとデイサービスの違い|それぞれに向いている人の特徴も

デイケアもデイサービスも、利用者さんの生活をサポートする通所サービスです。同じ通所サービスですが、目的や人員基準、サービス内容は異なります。そのため、それぞれの施設を利用する方や働く方は、違いを意識することが大切です。

この記事では、デイケアとデイサービスの違いについて、目的や人員基準、サービス内容を中心に解説します。また、デイケアとデイサービスの仕事に向いている方の特徴についても紹介するので、介護の仕事に興味のある方は、ぜひご覧ください。

1. デイケアとデイサービスの違いとは?

デイケア(通所リハビリテーション)とデイサービス(通所介護)は、どちらも利用者さんの生活をサポートする通所サービスです。しかし、目的や人員基準、サービス内容は異なります。

特に「医師の常駐が義務付けられているか否か」が大きな違いとして挙げられます。デイサービスは医師の常駐が義務付けられていませんが、デイケアは1名以上の専任常勤医師の常駐が義務付けられています。医師の常駐義務の違いが、施設の利用目的やサービス内容の違いにも影響しています。

1-1. 目的の違い

まずはデイケアとデイサービスの目的の違いについて解説します。

デイケア デイサービス
・身体機能回復・維持
・日常生活の自立
・健康管理
・他者との交流・孤立感の解消
・家族の身体的・精神的負担の軽減
・生活機能向上・維持
・他者との交流・孤立感の解消
・心身機能の維持
・家族の身体的・精神的負担の軽減

デイケアは理学療法や作業療法などのリハビリテーションを行って身体機能の回復・維持を目指すことをメインとしています。一方でデイサービスは、利用者さんの健康維持を目指し、他者との交流や生活機能維持・向上などをメインの目的としています。

そのため、医療ケアを受けたい場合はデイケア、非医療的なケアを受けたい場合はデイサービスを利用するのが一般的です。

1-2. 対象者の違い

デイケアは要支援・要介護のどちらの認定を受けていても利用できますが、デイサービスは要介護認定を受けた方のみが対象です。原則として要支援の方は含まれません。

デイケアの対象者は、要支援1・2または要介護1~5の認定を受けていて、主にリハビリや医療的ケアを必要とする方です。医師の指示に基づいた機能訓練などが行われるため、医療的管理のもとで支援を受けられます。

一方、デイサービスの対象者は、日常生活において介護を必要とする要介護1~5の認定を受けた方です。要支援1・2の方は、介護保険のサービスではなく、自治体が実施する地域支援事業の通所型サービスを利用します。

1-3. 人員基準の違い

ここでは、デイケアとデイサービスの人員基準の違いを表にして紹介します。それぞれ利用者さんの利用目的が異なるので、人員基準も異なるものが定められています。

【デイケア(通所リハビリテーション)の人員基準】

医師 専任の常勤医師1以上
(病院、診療所と併設されている事業所、介護老人保健施設、介護医療院では、当該病院等の常勤医師との兼務で差し支えない。)
従事者
(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、准看護師、介護職員)
単位ごとに利用者10人に1以上
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士 上の内数として、単位ごとに利用者100人に1以上
(所要時間1~2時間では適切な研修を受けた看護師、准看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ師で可)

(引用:厚生労働省「通所リハビリテーション(改定の方向性)」
/ https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001160788.pdf 引用日2025/7/3)

デイケアはリハビリテーションを行うことを目的としており、専任の常勤医師を1人以上配置しなければならないという人員基準があります。また、設備基準としては、リハビリテーション専用の部屋を設けなければならないという決まりがあります。

【デイサービス(通所介護)の人員基準】

生活相談員 事業所ごとにサービス提供時間に応じて専従で1以上
(生活相談員の勤務時間数としてサービス担当者会議、地域ケア会議等も含めることが可能。)
看護職員(※) 単位ごとに専従で1以上
(通所介護の提供時間帯を通じて専従する必要はなく、訪問看護ステーション等との連携も可能。)
介護職員(※) ① 単位ごとにサービス提供時間に応じて専従で次の数以上
 ア 利用者の数が15人まで 1以上
 イ 利用者の数が15人を超す場合 アの数に利用者の数が1増すごとに0.2を加えた数以上
② 単位ごとに常時1名配置されること
③ ①の数及び②の条件を満たす場合は、当該事業所の他の単位における介護職員として従事することができる
機能訓練指導員 1以上
生活相談員又は介護職員のうち1人以上は常勤

※定員10名以下の地域密着型通所介護事業所の場合は看護職員又は介護職員のいずれか1名の配置で可

(引用:厚生労働省「通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護(改定の方向性)」
/ https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001161271.pdf 引用日2025/7/3)

デイサービスは日常生活の介護サービスがメインであるので、生活相談員を事業所ごとに専従させなければなりません。ただし、医師の常駐は義務付けられていません。

1-4. サービスの違い

デイケアとデイサービスの主なサービス内容は、以下の通りです。一見するとほとんど同じサービスのように思えますが、利用者さんのサービス利用目的が異なるので、それぞれメインとなる提供サービスが異なります。

デイサービスは利用者さんの生活介護サービスがメインであるのに対して、デイケアは生活介護サービスだけでなく、リハビリテーションの補助も行います。

【提供するサービス内容の違い】

デイケア デイサービス
・リハビリテーションの補助
・バイタルチェック
・入浴介助
・食事介助
・レクリエーション
・トイレ介助
・送迎サービス
・バイタルチェック
・入浴介助
・食事介助
・レクリエーション
・トイレ介助
・送迎サービス

1-5. 費用の違い

デイケアとデイサービスでは提供時間やサービス内容などに応じて費用が異なりますが、一般的にデイケアのほうがデイサービスよりも1回あたりの自己負担額が高い傾向にあります。

デイケアにおける通常規模の事業所では、6時間以上7時間未満の利用で、1割負担・1回あたりの費用が要介護1で715円、要介護5では1,290円です。また、要支援1の場合は月額2,268円、要支援2では4,228円となっています。

一方、デイサービスにおける通常規模の事業所では、7時間以上8時間未満の利用で、1割負担・1回あたりの費用が要介護1で658円、要介護5で1,148円です。両サービスとも、送迎費は基本的に含まれていますが、食費やおむつ代などの日常生活費は別途必要です。

(出典:厚生労働省「どんなサービスがあるの? - 通所リハビリテーション(デイケア)」
/ https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group8.html

(出典:厚生労働省「どんなサービスがあるの? - 通所介護(デイサービス)」
/ https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group7.html

2. デイケア・デイサービスの仕事内容

デイケアとデイサービスでは、利用者さんへの支援内容に違いがあります。ここでは、それぞれの仕事内容や特徴について具体的に解説します。

2-1. デイケアの仕事内容

デイケアでは、リハビリテーションを中心に、日常生活の支援や介助、レクリエーションなど幅広い業務を担います。主な仕事内容としては、理学療法士や作業療法士による歩行訓練や筋力トレーニングなどのリハビリのほか、食事・入浴・排泄の介助、利用者さんの送迎や見守りなどがあります。

また、バイタルチェックなどの健康観察や、体操・工作・音楽などのレクリエーションを通じて心身の活性化も図ります。介護職員としては医師やリハビリ専門職と連携しながら、利用者さんが自立した生活を目指せるように日々支援を行います。施設によっては、リハビリの補助に入ることもあり、多職種との連携が求められる現場です。

2-2. デイサービスの仕事内容

デイサービスでは、利用者さんの生活支援を中心に、送迎・食事・入浴・排泄などの身体介助やレクリエーションの提供が主な業務です。利用者さんの自宅までの送迎、到着後のバイタルチェック、入浴や排泄、食事などの身体介助を行います。特に誤飲・誤嚥に配慮した食事サポートや、安全を確保した入浴介助は重要な役割です。

また、日中を楽しく過ごしてもらうため、工作・体操・ゲーム・季節行事などの多彩なレクリエーションを企画・実施します。利用者さんの介護度や個性に応じたきめ細やかな対応が求められ、施設内のチーム連携や家族への情報共有も業務の一環です。心身機能の維持や社会的なつながりの促進を目的に、日々多様な支援が行われています。

3. デイケア・デイサービスで働く介護職員の1日の流れ

デイケアとデイサービスでは、介護職員の1日のスケジュールにも違いがあります。ここでは、各現場での1日の流れをタイムスケジュール形式で紹介します。

3-1. デイケアで働く介護職員の場合

デイケアでは、リハビリ支援を中心に、日常生活の介助やレクリエーションを行うため、多職種と連携しながらの対応が求められます。以下は、デイケアで働く介護職員の1日の業務例です。

【1日の仕事の流れ】

8:00 出勤後、当日の利用者さんの情報を確認し、リハビリや体調に関する注意点をチームで共有します。
8:30 利用者さんを自宅まで迎えに行き、施設へ送迎します。
9:00 施設に到着後、医師や看護師の指示のもと体温や血圧などのバイタルチェックを実施します。
10:00 入浴や排泄の介助、個別リハビリの補助も行います。
12:00 昼食の準備・配膳・食事介助を行い、食後は口腔ケアをサポートします。
13:00 午後のリハビリ支援やレクリエーション活動を実施します。
15:00 おやつの提供後、トイレ誘導や帰宅準備を行います。
16:00 利用者さんを自宅へ順次送迎します。
16:30 ミーティングや記録業務を行い、1日の対応を振り返ります。

デイケアでは、医師やリハビリ職との連携のもと、心身の自立支援を重視したケアが行われるため、介護職員にも観察力や柔軟な対応力が求められます。また、土日祝休みの施設も多いため、働きやすい職場環境と言えるでしょう。

3-2. デイサービスで働く介護職員の場合

デイサービスでは、利用者さんが日中を安心して快適に過ごせるよう、身体介助やレクリエーション、送迎などを担当します。以下は、デイサービスにおける介護職員の一般的な1日の流れです。

【1日の仕事の流れ】

8:00 出勤後、当日の利用者さんの情報を確認し、送迎準備や施設内の環境整備を行います。
8:30 送迎車で利用者さんの自宅を訪問し、施設へ向かいます。
9:00 到着後、医師や看護師の指示のもとバイタルチェックを実施し、体調の確認を行います。
10:00 入浴介助では、利用者さんの身体状態に応じて、衣類の着脱や洗身をサポートします。
12:00 昼食の配膳・介助・見守り、食後の口腔ケアと服薬サポートを行います。
13:30 レクリエーションや個別活動を実施し、季節行事やボランティアとの交流なども行います。
15:00 おやつの提供とコミュニケーションの時間を設け、リラックスできるひとときを提供します。
16:00 利用者さんを自宅へ送迎し、家族に当日の様子を伝える場合もあります。
16:45 スタッフ間でミーティングを行い、気づいた点や改善事項を共有します。

デイサービスでは、日々のルーティンの中にも細やかな配慮や柔軟な対応が求められます。レクリエーションや個別ケアを通じて、利用者さんの笑顔を引き出せるやりがいのある仕事です。

4. デイケア・デイサービスの仕事に向いている方

デイケアとデイサービスでは、利用者さんのサービス利用目的が異なるので、仕事に向いている方の特徴も異なる部分があります。ここでは、デイケアとデイサービスの仕事に向いている方の特徴をそれぞれ紹介します。

4-1. デイケアに向いている方

デイケアの仕事に向いている方には、以下のような特徴があります。

・人の役に立ちたいと思える方
デイケア利用者さんの主な目的はリハビリテーションです。リハビリテーションは、利用者さん本人にとって精神的または身体的に辛いこともあります。利用者さんの気持ちに寄り添って、サポートができる方に向いています。

・チームで協力して動ける方
介護職員以外の方や医療専門職の方と連携を取りながら動く場面が多く、チームで協力し合うことが重要です。

・夜勤がない働き方を希望する方
デイケアは日帰り施設なので、夜勤がありません。

・介護業務だけでなく、幅広く医療に携わりたい方
医師や理学療法士、作業療法士、看護師、ケアマネジャーなどのさまざまな医療系専門職とともに仕事をします。そのため、介護業務をしながら幅広く医療の知識を吸収しやすいというメリットがあります。

4-2. デイサービスに向いている方

デイサービスの仕事には、以下のような特徴の方が向いています。

・人と積極的にコミュニケーションを取れる方
利用者さんはレクリエーションや他者との交流を楽しみにしている方が多いです。そのため、自分から積極的にコミュニケーションが取れる方やコミュニケーションが苦にならない方に向いています。

・にぎやかな職場で働きたい方
対応する利用者さんは介護度が低く元気な方が多いので、施設自体の雰囲気が明るくにぎやかな傾向にあります。

・未経験から介護業界を目指している方
自立度の高い利用者さんが多いので、未経験の方も徐々に介護の仕事に慣れていけます。

・体力に自信がない方
基本的に日曜・祝日が休みで夜勤のない施設が多いので、他の介護施設と比較して生活リズムが崩れにくく、身体的な負担が少ないです。

5. デイケア・デイサービスの仕事に役立つ資格4選

デイケアとデイサービスの仕事には、以下の4つの資格が役立ちます。介護の仕事を目指している場合やスキルアップを目指す場合は、取得を検討しましょう。

(1)介護職員初任者研修
介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)は、介護職としてのキャリアの入門資格です。受講に関しては実務経験などの定めがなく、合計で130時間の研修を受講して修了試験に合格すれば、初任者研修を修了できます。そのため、介護の資格・研修の中で比較的修了しやすいと言われています。初任者研修を修了することで、食事や入浴の介助など介護業務の基本的な知識を学べます。

(2)実務者研修
実務者研修(旧ホームヘルパー1級)は、介護職員初任者研修の上位資格です。介護職員初任者研修を修了していない場合でも受講が可能ですが、修了している場合は一部の研修内容を免除できます。

(3)介護福祉士
介護福祉士は、「社会福祉士及び介護福祉士法」で定められた介護職の国家資格です。介護職員初任者研修や実務者研修とは異なり、実務経験などの受験資格が設けられています。また、介護に関する資格の中では、比較的難しい資格です。介護福祉士の資格取得ルートは、大きく分けて「養成施設ルート」「実務経験ルート」「福祉系高校ルート」の3種類があります。なお「経済連携協定(EPA)ルート」は日本人を対象としたものではありません。

(出典:社会福祉振興・試験センター「[介護福祉士国家試験]受験資格」
/ https://www.sssc.or.jp/kaigo/shikaku/route.html

(4)看護師
看護師は、「保健師助産師看護師法」で規定された国家資格です。看護師になるには、看護大学や看護師養成所で3年以上の教育を受けて、看護師国家試験に合格することが必要です。

まとめ

デイケアとデイサービスは、目的・人員基準・サービスの点で異なっています。デイケアは医療的なケアが中心である一方で、デイサービスは利用者さんの社会的な孤立を防ぎ、心身の健康を維持向上することが中心的な目的です。このような違いは、デイケアでは医師の配置が求められる一方で、デイサービスでは医師の配置が求められていないことに影響を与えています。

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