病院で働く介護士の仕事内容・給料|メリット・デメリットも紹介
介護士が活躍する職場の1つに、病院があります。病院は、未経験者や特別な資格を持っていない方でも介護士として働ける職場のため、介護業界に初めてチャレンジする方にもおすすめです。その一方で、病院で働く介護士には、介護施設で働く場合とは違った特徴もあります。
当記事では、病院で働く介護士の仕事内容や1日のスケジュール、給料などについて解説します。介護士が病院で働く場合のメリットやデメリットも紹介するため、介護士としてどこで働くべきか悩んでいる方はぜひお読みください。
目次
1.病院で働く介護士の仕事内容
病院では、医師や看護師の他に、介護士が入院患者さんの生活をサポートする仕事をしています。病院で働く介護士は、看護師の指示のもとで看護師を補助する仕事をおこなうため、「看護助手」とも呼ばれています。
まずは、病院で働く介護士の仕事内容の紹介です。
●介助業務
介護施設で働く介護士と同じく、病院で働く介護士も介助業務全般を担当します。具体的には、入院患者さんの食事や排泄、入浴、着替えなどの介助です。入院患者さんの状態に合わせて、おむつの交換や、入院患者さんが移動する際の付き添いもします。また、入院患者さんによっては車いすの手配や操作をしたり、床ずれを防止したりするために、看護師とともに体位を変更します。
ただし、入院患者さんの体に直接触れる介護は、介護職員初任者研修などの有資格者でなければおこなえません。介護士としてのスキルアップを目指す方は、ぜひ介護職員初任者研修などの資格取得を目指しましょう。
●清掃・シーツ交換業務
入院患者さんの身の回りの世話の一環として、清掃やベッドシーツの交換、ベッドメイキングなどの業務も介護士が担います。介護士の清掃業務はただきれいにすればいいというわけではなく、入院患者さんとコミュニケーションを取りながら清掃する点がポイントです。入院患者さんと会話しながら環境整備をする中で、入院患者さんをサポートしつつ、信頼関係を築いていきます。
●看護師の補助業務
病院で働く介護士ならではの仕事として、看護師の補助業務があります。病院内で看護師の指示のもと、看護師の業務サポートや補助をする仕事です。看護師が担う事務作業の補助や、伝票類の整備・補充、医療機器のチェック・消毒などを担当する場合もあります。
また、入院患者さんの診察や検査のための移動に付き添い、医師や看護師がスムーズに業務を進められるようサポートするのも介護士の役割になります。
(出典:職業情報提供サイト「看護助手」)
1日のスケジュール
ここからは、病院で働く一般的な介護士の1日のスケジュールを紹介します。始業時間や休憩時間などは勤務先の病院によって異なりますが、1日の大まかな流れは次の通りです。
8:00 | 出勤後に朝礼があります。夜勤職員からの申し送りを受けて、入院患者さんの情報を共有するのも仕事です。また、入院患者さんの食事介助や口腔ケアも担います。 |
---|---|
9:00 | 入院患者さんの体の清拭や入浴介助、トイレ介助やおむつ交換などをおこないます。 |
10:00 | ベッドシーツ交換や清掃などの環境整備をする時間です。診察や検査がある入院患者さんの移動に付き添う場合もあります。 |
12:00 | 入院患者さんの食事の準備や介助、口腔ケアをおこないます。 |
13:00 | 休憩時間です。 |
14:00 | 午後に入浴する入院患者さんの介助や、ベッドシーツ交換などの環境整備をします。 |
15:00 | 介護記録の作成や書類対応などをする時間です。 |
16:00 | 夕食の準備をします。 |
17:00 | 夜勤職員への申し送りをして勤務終了です。 |
2.病院で働く介護士の給料
一般的に、病院で働く介護士の給料は次の通りです。
全体 |
---|
月収:約22万円 賞与:約45万円 年収:約304万円(賞与を含む) |
男性 |
---|
月収:約23万円 賞与:約50万円 年収:約327万円(賞与を含む) |
女性 |
---|
月収:約21万円 賞与:約44万円 年収:約301万円(賞与を含む) |
(出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況」)
なお、介護士全体の年収は、一般的に次のようになっています。
全体:約353万円(賞与を含む)
男性:約379万円(賞与を含む)
女性:約338万円(賞与を含む)
(出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況」)
このように、介護士全体の平均値と比較すると、病院で働く介護士の給料は少し低い傾向にあります。ただし、介護士全体に含まれる職業の中には、専門的な資格や実務経験を必要とし、その分給料の支給額も高いケアマネジャーなども含まれているため注意しましょう。
また、ここで紹介した給料はあくまで一般的な数字であり、実際の給料や待遇は勤務先の病院によって異なります。病院で働く介護士の給料は、勤続年数が長くなるにしたがって増える傾向があるため、1年目の給料だけで考えず、長い目で見ることがおすすめです。
3.介護士が病院で働くメリット・デメリット
病院で働く介護士の仕事は、介護施設で働く場合とは違った特徴があります。そのため、介護士が病院で働くことには、さまざまなメリットやデメリットがあります。病院で働くべきか、あるいは介護施設などで働くべきか悩んでいる方は、まずは病院で働く場合のメリットとデメリットを整理してみましょう。その上で、自分に向いている方を選ぶのがおすすめです。
ここでは、介護士が病院で働くメリットとデメリットについて、代表的なものを4つ紹介します。
【メリット1】介護施設よりも身体的な負担が少なく済む
病院で働く介護士にも食事介助や排泄介助といった業務はありますが、介護施設とは違い、要介護度が高い人は少ない傾向があります。また、入院患者さんの介助や支援だけではなく、看護師の補助など力仕事以外の仕事もあるため、介護施設勤務よりも身体的な負担が少なく済む場合が多いです。仕事中に怪我をするリスクが下がる点も大きなメリットになっています。
【メリット2】働きながら医療の知識を得られる
介護士自身は、医療行為をおこなえません。しかし、医療現場で働き、医師や看護師のサポートをする中で、医療関係の知識を得られるというメリットがあります。また、仕事をする上で自然と触れることになる、医療用語や医療機器などへの理解を深めることもできます。
病院で働く介護士は、多くの医師や看護師と連携して業務にあたるため、医療の分野から見た介護というものを学べる点も大きなメリットです。
【デメリット1】看護師との連携でストレスを感じる人もいる
看護師との連携は、病院で働く介護士ならではの要素です。病院で働く介護士は、看護師の仕事を補助したり、看護師と連携したりしながら日々の仕事を進めます。しかし、忙しく働いている看護師とはコミュニケーションを取りにくい場合もあり、看護師との連携に関してストレスを感じる介護士もいます。
病院で働く介護士にとって、看護師と良好な関係を築くことは大切です。看護師とスムーズに連携を取り、入院患者さんの介助やケアを適切におこなうためにも、介護士と看護師は日頃からしっかりとコミュニケーションを取る必要があります。
【デメリット2】介護士としてのスキルアップが難しい場合がある
病院で働く介護士は、配属先の診療科目によっては入院患者さんを直接介護する機会が少なくなります。そのため、介護士としてのスキルアップが難しい場合がある点が大きなデメリットとなっています。
また、病院で働く介護士は「看護助手」という別名の通り、看護師の補助やサポートの役割を担うことが多いです。仕事を進める上では、看護師から指示がなければ動けないという場面もあります。介護施設で働く場合は、自発的に行動したり、介護現場で利用者さんを直接介護したりする機会が多いため、そういった働き方をしたい方にとっては理想とのギャップに悩むケースもあるでしょう。
あくまで介護スキルを上げたいと考えている方は、病院で働く期間を定め、次の職場へのステップアップにつなげるのがおすすめです。
まとめ
病院で働く介護士は、入院患者さんの介助や環境整備の他に、看護師の補助業務も担うことになります。医師や看護師と連携を取りながら仕事を進めるため、ストレスを感じる可能性もありますが、働きながら医療知識を身につけられるというメリットもあります。
また、病院では介助業務以外の仕事に携わる機会も多いため、介護施設で働くよりも身体的な負担が少なく済む点も大きなメリットです。介護士が病院で働く場合のメリットやデメリットをしっかり整理して、自分に向いているかを見極めましょう。
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※当記事は2022年6月時点の情報をもとに作成しています
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