訪問介護のメリットとデメリットとは?仕事内容や転職のポイント
訪問介護は、高齢者や障害者の方が自宅で安心して自立した生活を続けられるようサポートするサービスです。訪問介護は、身体介護や生活援助、通院等乗降介助など多岐にわたる支援を提供し、利用者の生活の質を向上させます。
当記事では、訪問介護とはどのような仕事なのかという点や主な仕事内容、メリット・デメリット、転職のポイントについて詳しく解説します。訪問介護に興味がある方や転職を考えている方は、ぜひご一読ください。
目次
1. 訪問介護とは?
訪問介護は、利用者さんが自宅で自立した生活を続けられるように支援するサービスです。訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者さんの自宅を訪問し、身体介護と生活援助を行います。対象者は基本的に要介護1~5の認定を受けて介護保険を利用する方で、ケアマネジャーの作成したケアプランに応じてサービスを提供します。
訪問介護で提供されるのは、主に身体介護・生活援助・通院等乗降介助のサービスです。身体介護では食事・排泄・入浴の介助など、生活援助では掃除・洗濯・買い物・調理など日常生活を支える活動を行います。また、通院を支援するための乗車・移送・降車の介助を提供するケースも少なくありません。
訪問介護は利用者さん本人の援助が中心であり、家族のための家事や草むしり、ペットの世話などは対象外です。訪問介護を通じて、利用者さんが安心して暮らせる環境を整え、自立した生活を支援することが目的です。
このように、訪問介護は介護が必要な方の在宅生活をサポートする重要な役割を果たしています。
(出典:厚生労働省「どんなサービスがあるの? ・訪問介護(ホームヘルプ)」
/
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group2.html)
(出典:厚生労働省「訪問介護」
/
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001123917.pdf)
(出典:厚生労働省「各介護サービスについて」
/
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000608309.pdf)
2. 訪問介護で働くメリット
訪問介護で働くことには、さまざまなメリットがあります。柔軟な働き方ができる点や、やりがい・成長を感じられる点など、その魅力は尽きません。訪問介護員は利用者さんの自宅を訪問してケアを提供するため、個別のニーズに応じたケアを実現できるのも特徴です。以下では、訪問介護で働くメリットを詳しく解説します。
2-1. やりがいと成長を感じられる
訪問介護は、高齢者や障害者の生活をサポートする仕事です。利用者さんが日常生活を続ける手助けをすることで、利用者さんの生活の質(QOL)向上に直接貢献できます。利用者さんの笑顔が見られたり感謝の言葉を直接かけてもらったりしたときは、大きなやりがいや達成感を得られるでしょう。
利用者さんごとに異なるニーズに応じて介護を提供する訪問介護は、常に新しい知識やスキルが求められます。そのため、介護スキルの幅の広がりと成長を実感する機会も多い仕事です。また、イレギュラーな状況にも対応する必要があり、臨機応変な判断力や問題解決能力も自然に養われます。
2-2. 柔軟な働き方ができる
訪問介護の仕事は、時間の融通が利きやすいのも特徴です。訪問介護員は基本的に利用者さんの自宅を訪問するため、勤務時間や業務量を自分で調整しやすい傾向にあります。特に登録ヘルパーや派遣ヘルパーの場合、自分が希望する時間帯や日数で働ける職場が多いのが魅力です。子育て中の方やプライベートを重視したい方にとっては、大きなメリットといえるでしょう。
また、訪問介護員は平日の日中に勤務するのが一般的です。事業所によっては副業やダブルワークが可能な場合もあり、短時間勤務を希望する場合や、ほかの仕事と両立させたい場合でも、自分に合った働き方を実現しやすい環境です。
2-3. 需要が高く長期的に働ける
日本の高齢化社会において、訪問介護の需要はますます高まっています。特に「2025年問題」として知られる団塊の世代が75歳以上になる時期には、介護の需要がさらに増加すると予想されています。
(出典:厚生労働省「今後の高齢化の進展~2025年の超高齢社会像~」
/
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/09/dl/s0927-8e.pdf)
そのため、訪問介護員としての仕事は安定しており、長期的に働きやすい職種といえるでしょう。また、介護業界の人手不足も相まって、訪問介護の経験があれば多少のブランクがあっても再就職しやすい傾向にあります。訪問介護員は年齢に関係なくキャリアアップの道が開かれているため、どの年代でも経験を積めば新たなキャリアを築ける点も魅力です。
2-4. 資格やスキルを活かせる
訪問介護員として働くためには、生活援助従事者研修や介護職員初任者研修、介護福祉士実務者研修といった資格が必要です。資格の取得により訪問介護の現場で活躍できるのはもちろん、キャリアアップのチャンスも広がります。
訪問介護員に一定の裁量権のある訪問介護では、自分の判断とやり方で幅広いスキルを活かす機会が多いのも特徴です。利用者さんごとに異なる環境へ対応するため、さまざまな介護スキルを実践できるでしょう。利用者さんのニーズに応じたケアを提供することで、効率的かつ適切な介助方法を考える力も養われます。
3. 訪問介護で働くデメリット
訪問介護での仕事には多くのメリットがある一方、デメリットも存在します。どのようなデメリットがあるかを理解しておくのは、訪問介護でのキャリアを考える際に重要です。訪問介護で生じる可能性のあるデメリットは、以下の通りです。
・体力的負担がかかる
・精神的ストレスが生じる
・収入が不安定になる
・責任が大きい
身体介護や生活援助を行う訪問介護では、重いものを持ち上げたり長時間の立ち仕事が必要になったりするため、体力的な負担が大きくなる場合があります。また、利用者さんやその家族とのコミュニケーションにおいて、精神的なストレスを感じる方もいるでしょう。
また、訪問介護は、働き方によって賃金が異なる事業所が少なくありません。特に、月によって勤務日数が異なりやすい登録ヘルパーや派遣ヘルパーの場合、収入が不安定になることがあります。
訪問介護のスタッフは複数人体制で動くことはほぼなく、利用者さんとマンツーマンで行う仕事です。分からないことがあったときや利用者さんの急変などの緊急時には、自分が判断して動く必要があります。裁量が大きい分、責任も重くなるため、プレッシャーを感じる方も少なくありません。
4. 訪問介護の仕事内容
訪問介護の仕事は、利用者さんが自宅で自立した生活を送れるように支援することです。以下の3つの主要なサービスに分類されます。
1. 身体介護
2. 生活援助
3. 通院等乗降介助
(出典::厚生労働省「訪問介護」
/
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001123917.pdf)
身体介護は、利用者さんの身体に直接接触して行う介助サービスです。食事・排泄・入浴など、日常生活に必要な動作をサポートします。たとえば、トイレの介助やおむつ交換、ベッドでの体位変換、外出時の介助などです。また、健康状態の確認や清拭、服薬の補助なども行います。
生活援助は、利用者さんの日常生活におけるサポートです。掃除・洗濯・調理・買い物など、家庭内の家事全般を手伝います。特に高齢者や障害者が自力で行うのが難しい作業をサポートし、安心して生活できる環境を整えるのが目的です。また、必要に応じて衣類の整理や被服の補修なども行います。
通院等乗降介助は、利用者さんが安全に通院や外出するためのサポートです。車いすの操作や車両への乗降を手助けし、病院や施設までの移動を支援します。特に、移動が困難な利用者さんにとっては重要なサービスです。
また、利用者さんやその家族とのコミュニケーションを大切にし、信頼関係を築くことも重要です。
5. 訪問介護への転職ポイント
訪問介護に転職する際には、必要な資格と求められるスキルを理解することが重要です。また、転職活動を成功させるためのコツも知っておきましょう。
訪問介護には、以下いずれかの資格が必須です。
・生活援助従事者研修
・介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)
・介護福祉士実務者研修(旧ホームヘルパー1級)
・介護福祉士
生活援助従事者研修は比較的短期間で取得でき、利用者さんの生活援助に携われます。ただし、身体介護は行えません。介護職員初任者研修は、介護の基本的な知識と技術を学ぶ入門資格です。介護職員初任者研修を修了することで、身体介護を単独で行えるようになります。介護福祉士実務者研修は、より専門的な知識を学べる中級資格です。介護福祉士は国家資格で、もっとも高度な介護スキルを証明します。
(出典:jobtag「訪問介護員/ホームヘルパー」
/
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/133)
(出典:静岡県「生活援助従事者研修について」
/
https://www.pref.shizuoka.jp/kenkofukushi/koreifukushi/kaigohoken/1040743/1002934/1022937.html)
また、訪問介護員には、以下のスキルが求められます。
・体力と持久力
・状況に応じた臨機応変な対応力
・コミュニケーション能力
・問題解決能力
転職活動では、事業所の理念や方針、提供するサービス内容をよく理解し、自分が希望する働き方に合っているかを確認しましょう。面接では自分の強みをアピールし、訪問介護への熱意を伝えることが大切です。
まとめ
訪問介護は、高齢者や障害者の方々が自宅で安心して生活を続けられるように支援する重要なサービスです。やりがいや成長を感じられる点や、柔軟な働き方ができる点など、多くのメリットがあります。
一方で、体力的・精神的な負担や収入の不安定さといったデメリットも存在します。転職を考える際には、自分に合った働き方や事業所の理念を理解することが大切です。訪問介護の世界で充実したキャリアを築くために、しっかりと準備を進めましょう。
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※当記事は2024年7月時点の情報をもとに作成しています
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