未経験でも訪問介護で働ける?仕事内容・必要な資格を解説

訪問介護は高齢者や障害のある方の生活をサポートする重要な仕事です。未経験でも訪問介護の仕事に挑戦できるかどうか、不安に思う方も多いのではないでしょうか。必要な資格や具体的な仕事内容をあらかじめ理解することで、安心して一歩を踏み出すことができます。
この記事では、訪問介護の仕事内容をはじめ、必要な資格や未経験でも始められる理由について解説します。訪問介護に関心のある方や、新しいキャリアを模索している方にとって役立つ情報をお届けしますので、ぜひご覧ください。
目次
1. 未経験でも訪問介護の仕事で働ける?
介護に関する仕事が未経験であっても、訪問介護の仕事で働くことは可能です。訪問介護の仕事に就く際には、介護職の経験者かどうかよりも資格の有無が重視されます。そのため、介護未経験の状態で資格を取得し、ほかの職種から訪問介護に転職する方も少なくありません。反対に、訪問介護に必要な資格を持っていなければ、介護経験があっても訪問介護員として働くことはできないため注意してください。
訪問介護では高齢者や障害がある方の身体介護や支援を行うため、未経験だと不安に感じる方もいるでしょう。しかし、最初のうちは先輩職員に同行し、一緒に働きながら訪問介護業務を覚えられるため、未経験の方も過度に心配する必要はありません。ある程度経験を積んだら独り立ちすることになりますが、独り立ちのタイミングでも不安が残る場合は先輩職員やサービス提供責任者に相談してください。
2. 訪問介護員(ホームヘルパー)の仕事内容
訪問介護員の仕事内容は、大きく分けて「身体介護」「生活援助」「通院時の乗車・降車等介助」の3つになります。それぞれの仕事内容について詳しく解説するので、一度目を通しておくとよいでしょう。
(出典:健康長寿ネット「訪問介護とは」
/
https://www.tyojyu.or.jp/net/kaigo-seido/kaigo-service/houmon-kaigo.html)
(出典:厚生労働省「どんなサービスがあるの? - 訪問介護(ホームヘルプ)」
/
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group2.html)
2-1. 身体介護
身体介護とは、利用者さんの体に直接触れて行う介護のことです。具体的な身体介護としては、以下のような内容が挙げられます。
・食事介助
・入浴介助
・歩行介助
・更衣介助
・清拭
・排泄介助
・オムツ交換
・体位交換
・服薬介助
身体介護は、利用者さんの日常生活や身体機能の維持・向上のために欠かせない仕事です。利用者さんの状態や希望は一人ひとり異なるため、訪問介護員は利用者さんの身体機能や自力でできる範囲を見極めながら介護・支援を提供する必要があります。
身体介護では利用者さんの体を支えたり移動させたりすることが多く、訪問介護員にとっては体力が必要な仕事です。また、排泄介助やオムツ交換といった身体介護に精神的なストレスを感じる利用者さんは少なくありません。訪問介護員は、利用者さんの気持ちや尊厳に配慮しながら身体介護を行うことが重要です。
2-2. 生活援助
生活援助とは、利用者さんが日常生活を送る上で必要な行為を援助・代行する仕事を指します。簡単に言えば身体介護以外の業務のことであり、具体的な仕事内容は以下の通りです。
・調理、食事の準備
・掃除
・洗濯
・日用品の買い出し
・薬の受け取り
特に利用者さんが独居の場合、日常生活を送るのに不可欠な上記の行為を1人で行うのが難しいケースも少なくありません。そのような場合には、訪問介護員が生活援助を行い、利用者さんをサポートします。
生活援助の仕事内容は家事代行に間違われるケースもありますが、生活援助の目的はあくまで利用者さん本人の手助けです。日常的な家事に含まれない行為や、利用者さんの家族の分の家事などは生活援助には含まれません。
2-3. 通院時の乗車・降車等介助
通院時の乗車・降車等介助とは、1人で通院するのが難しい利用者さんの手助けをする仕事で、「介護タクシー」と呼ばれることもあります。具体的な仕事内容は以下の通りです。
・行き
通院前の着替えや持ち物の準備、乗車介助、自動車を使った病院への移動、降車介助、受診手続き、移動介助などを行います。
・帰り
移動介助、医療費の支払いや薬の受け取り、乗車介助、自動車を使った自宅への移動、降車介助、帰宅後の介助などを行います。
通院時の乗車・降車等介助の際は、訪問介護員自身が車を運転するのが一般的です。また、通院は行きで1回、帰りで1回と換算され、移送にかかる費用は利用者さんの自己負担となります。加えて、訪問介護員は病院内での待ち時間や診療室内への付き添いをしないなどの制約があるため、通院に関してはほかの自費サービスを選ぶ利用者さんもいます。
3. 訪問介護員(ホームヘルパー)の仕事で必要な資格
訪問介護員として利用者さんに身体介護を行うためには、初任者研修以上の介護資格が必要です。以下で訪問介護員に必要な資格を紹介するので、訪問介護員として働きたい方はいずれかを必ず取得しておきましょう。
3-1. 介護職員初任者研修
初任者研修(介護職員初任者研修)は、介護に関する基本的な知識やスキルを身に付けられる資格です。介護の仕事の入門資格であり、訪問介護の仕事や一部の介護施設では初任者研修の取得が必須となります。
初任者研修は在宅・施設を問わず介護の仕事をしたい方を対象とした資格で、年齢や学歴、必須資格といった条件はありません。介護の経験がない方でも取得が可能な資格となっています。
初任者研修の資格を取得するためには、スクールで130時間のカリキュラムを修了し、筆記の修了試験で合格することが必要です。初任者研修の資格を取得した方は、介護の現場で身体介護ができるようになります。
(出典:厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について(介護職員初任者研修・生活援助従事者研修関係)」
/
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000331389.pdf#page=2)
3-2. 介護福祉士実務者研修
実務者研修(介護福祉士実務者研修)は、初任者研修よりも専門的な介護の知識・スキルを身に付けられる資格です。スクールで450時間分のカリキュラムを修了することにより取得できますが、初任者研修をすでに取得している場合は一部の科目の受講が免除になります。また、修了試験が必須な初任者研修とは異なり、実務者研修は修了試験の有無がスクールによって異なるのが特徴です。
(出典:厚生労働省「介護福祉士の資格取得方法の見直しの延期について」
/
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/care/dl/care_16.pdf)
実務者研修も初任者研修と同じく誰でも挑戦できる資格ですが、介護について基礎からしっかりと学びたい方は初任者研修から受講するとよいでしょう。また、実務者研修の資格を取得しておけば介護福祉士の受験資格を一部満たすことができます。介護職としてのステップアップを目指す方は実務者研修を取得しておくのがおすすめです。
3-3. 介護福祉士
介護福祉士は、介護に関する資格の中で唯一の国家資格です。介護の専門的な知識・スキルを習得し、適切な介護の提供や、利用者さんとその家族などに対して介護に関する指導を行うための資格となっています。
介護福祉士の資格を取得するためには、まず以下のいずれかのルートを進み、国家試験の受験資格を満たすことが必要です。
・福祉系の高校を卒業する
・養成施設を卒業する
・実務者研修修了および一定の実務経験を積む
上記の受験資格を満たし、国家試験に合格することにより介護福祉士の資格を取得できます。ルートごとに条件や必要になる時間などが異なるため、介護福祉士の資格取得を検討している方は自分が目指すべきルートを前もって確認しておくとよいでしょう。
(出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「[介護福祉士国家試験]受験資格:福祉系大学等」
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https://www.sssc.or.jp/kaigo/shikaku/route.html)
3-4. 生活援助従事者研修
生活援助従事者研修は、訪問介護の仕事の中でも、生活援助に必要な知識・スキルを習得するための資格です。59時間分のカリキュラムを受講し、筆記試験に合格すれば資格を取得できます。
(出典:宮城県「生活援助従事者研修 - の実施に関するガイドブック」
/
https://www.pref.miyagi.jp/documents/8807/01-1_guidebook.pdf)
生活援助従事者研修は、訪問介護の現場ではもちろん、介護施設でも役立つ資格です。少子高齢化に伴う介護需要の増加と介護人材の不足が問題になっている今、生活援助の仕事の担い手も需要が伸びています。ただし、生活援助従事者研修の資格のみを取得した場合、生活援助の仕事はできるものの、身体介護の提供はできないため注意してください。
まとめ
未経験でも訪問介護の仕事を始めることは可能です。仕事内容には身体介護や生活援助などがあり、それぞれが利用者さんの生活を支える重要な役割を果たしています。また、訪問介護を行うには、介護職員初任者研修や実務者研修、介護福祉士の資格が求められる場合があります。まずは自分に合った資格取得からスタートし、段階的にスキルを磨くことが大切です。
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※当記事は2024年12月時点の情報をもとに作成しています
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