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特養におけるケアプランの作成方法|様式ごとの記入例も

公開日:2023.02.21 更新日:2023.06.01
特養におけるケアプランの作成方法|様式ごとの記入例も

ケアプランとは、利用者さんや家族の希望をヒアリングした上で作成する、介護サービスを提供する際の計画書のことです。ケアプランは、ケアマネジャーが中心となって考案・作成し、特養でも施設サービス計画として作成されます。

この記事では、ケアプランに関する基礎知識を踏まえ、特養におけるケアプランの作成方法を記入例を交えながら解説します。これから特養で働くケアマネジャーの方や、ケアマネジャーを目指す方は、ぜひお役立てください。

1. そもそもケアプランとは?

ケアプランとは、利用者さんやその家族の希望をもとに、最適な介護サービスを受けるための計画を記した書類のことです。利用者さんが生活上で抱える課題を解決できるよう、提供する介護サービスのプラン内容や目標などをケアマネジャー(介護支援専門員)を中心に考案します。介護保険サービスの場合、ケアプラン作成は必ず必要となります。

ケアプランは介護サービス計画とも呼ばれ、下記の3種類に分かれます。

居宅サービス計画 要介護1〜5に認定された方が訪問介護やデイサービスなどを利用するために必要です。
施設サービス計画 要介護1〜5に認定された方が介護サービスを提供する施設へ入所するために必要です。
介護予防サービス計画 要支援1や2に認定された方が介護予防サービスを受けるために必要です。

なお、特養(特別養護老人ホーム・介護老人福祉施設)では「施設サービス計画」が作成されます。

1-1. 特養などの施設において重要なケアマネジメント

特養をはじめとする介護施設でのケアマネジメントは、利用者さんが自分らしく自立した生活を実現するために重要な役割を果たします。ケアマネジメントを通して利用者さんに過不足のない介護サービスを提供することで、利用者さんの生活の質の向上に貢献できます。また、地域との関わりや在宅復帰の可能性を模索するなど「生活の継続性」という視点でケアマネジメントすることは「その人らしい生活」を実現するために欠かせません。

利用者さんに対して継続したサービスを提供するためにもケアマネジメントは重要です。ケアマネジメントの一環であるケアプランの作成によって、介護スタッフの間で一貫した情報が共有され、連携の取れた業務につながります。さらに、起こりうるリスクについても関係者で共有でき、組織全体で課題を解決する一助となります。

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2. 特養におけるケアプランの作り方と記入例

特養で作成される施設ケアプランには、3つの様式が含まれています。利用者さんの生活状況や病歴などをまとめた「基本情報」と「アセスメント」、これらの情報をもとに作成される「施設サービス計画」と呼ばれる様式です。

ここでは、それぞれの様式ごとに記入例や作り方のポイントを解説します。

2-1. 基本情報・アセスメント

基本情報には以下のような内容を記載します。

基本情報の内容

・主訴(相談内容、利用者さんと家族の要望)
・生活歴
・病歴
・日常生活自立度
・介護度や認定期間など
・課題分析理由
・被保険者情報
・家屋、居室状況
・現在利用しているサービス

基本情報では、利用者さんやその家族の主訴を明確にすることが大切です。また、今後行うケアマネジメントの目的や内容についても相互に確認します。

アセスメントには課題分析標準項目と呼ばれる以下のような内容を記載します。

アセスメントの内容

・健康状態
・ADL(寝返り、起きあがり、移乗、歩行、更衣、入浴、排泄など)
・IADL(調埋、掃除、買物、金銭管埋、服薬状況など)
・認知
・コミュニケーション能力
・社会との関わり
・排尿、排便
・じょく瘡・皮膚の問題
など

アセスメントでは、利用者さんが生活全般で抱えている課題を明らかにします。利用者さんや家族と十分にコミュニケーションを取りながらアセスメントを進めることが大切です。

2-2. 第1表 施設サービス計画書(1)

ケアプラン全体の方向性を記すもので、アセスメントで明確になった利用者さんの課題を解決できるよう策定します。

統合的な援助の方針
ホームの生活は、自宅で生活をされていたのとは違い、ご不便を感じていることがあると思いますが、ご本人のご意見を伺いながら、ご家族にもご協力いただき、ホームで楽しみを見つけ、安心して暮らしていただけるように職員全員で支援していきます。

(引用:東京都福祉保健局「ケアマネジメントと介護支援専門員業務の手引」
/ https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kourei/hoken/kaigo_lib/care/shisetutebiki25.files/shisetu_2_04.pdf

上記の「統合的な援助の方針」の欄では、利用者さんや家族の意向を反映させた内容にします。ただし、施設でのサービス提供には限りがあるので、実現可能な方針になるように注意を払いましょう。

2-3. 第2表 施設サービス計画書(2)

ケアプランの中核に位置づけられる計画書です。アセスメントをもとに解決すべき課題を書き出しましょう。ニーズに対する長期目標や短期目標、必要になる援助内容も優先順位の高い順番で記します。

長期目標 短期目標 サービス内容
100 歳のお祝いの時には椅子に座り写真に写る。 椅子に座っているための筋肉を鍛える。 ・座っているには、どこの筋肉をどうやって鍛えたらよいか、リハビリの先生が計画を作る。 (個別リハビリテーション計画)
・足がなまらないように歩く。

(引用:東京都福祉保健局「ケアマネジメントと介護支援専門員業務の手引」
/ https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kourei/hoken/kaigo_lib/care/shisetutebiki25.files/shisetu_2_04.pdf

利用者さんが意欲的に取り組める目標設定を心がけましょう。具体的に分かりやすく記載することがポイントです。課題と目標、サービス内容にずれがないか整合性も確認しましょう。

2-4. 第3表 週間サービス計画表

第3表の週間サービス計画表は、第2表の施設サービス計画書(2)で記載したサービス内容をいつ提供するか週単位で計画します。介護保険外サービスや利用者家族からの支援、利用者さんの日常的な生活の様子も週間サービス計画表に記入します。

なお、週間サービス計画表と第4表の日課計画表は、どちらかを作成すればよいことになっています。

週単位以外のサービス
診察(月に1回)、家族との外出(不定期)、誕生会や慰問の時にはお祝い・お礼の言葉を述べる。

(引用:東京都福祉保健局「ケアマネジメントと介護支援専門員業務の手引」
/ https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kourei/hoken/kaigo_lib/care/shisetutebiki25.files/shisetu_2_04.pdf

上記のような月単位や不定期のサービス利用についても、忘れずに記載しましょう。

2-5. 第4表  日課計画表

利用者さんの1日のスケジュールやサービス日課を記載する書類です。食事や入浴介助などほかの入居者さんとの共通サービスのほか、個別に実施されるサービスも記入します。

その他のサービス
診察(月に1回)、家族との外出(不定期)、誕生日や慰問の訪問日にお祝い・感謝の言葉を述べ、100歳の記念日に備える。

(引用:東京都福祉保健局「ケアマネジメントと介護支援専門員業務の手引」
/ https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kourei/hoken/kaigo_lib/care/shisetutebiki25.files/shisetu_2_04.pdf

「その他のサービス」欄には、上記のほかにボランティア活動といった社会資源を利用する場合も記載しましょう。

2-6. 第5表 サービス担当者会議の要点

サービス担当者会議の要点をまとめた書類です。主に次の5つの項目を記載します。

会議出席者 検討項目に合わせてメンバーを選出します。欠席者がいる場合は、氏名や欠席理由も書きましょう。
検討項目 検討するテーマを明確にしましょう。利用者さんや家族の満足度を確認することも重要です。
検討内容 テーマに沿った内容を、専門家の意見を交えながら出席者で検討します。要旨を分かりやすく記載しましょう。
結論 サービスを提供するケアチーム全体で共有できる内容にします。
残された課題
(次回の開催時期)
未達成の課題や結論に至らなかった点を記載します。次回の開催時期も調整しましょう。

欠席者への共有や、後から確認する際に、どのような内容が話し合われたか明確に伝わる内容を心がけましょう。

2-7. 第6表 施設介護支援経過

利用者さんやその家族との面接の様子や、サービス提供者からの報告内容を支援経過として記載します。定期的にモニタリングの結果も記しましょう。

<朝の申し送り>
入居して 2 週間になるため、Aさんのサービス担当者会議の開催を提案、家族に同席をしてもらい、今後の支援について話し合う機会を設けることにする。家族には生活相談員が連絡し、同意を得る。
<来館>長男
長男はお酒を持参して来館。生活相談員が長男を案内、ラウンジで長男と2人で、晩酌をしていた。日本酒を1合飲んだ後、テレビを見ながら横になられている。飲酒後の足元のふらつきが心配だったが、ふらつかずに歩いている。

(引用:東京都福祉保健局「ケアマネジメントと介護支援専門員業務の手引」
/ https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kourei/hoken/kaigo_lib/care/shisetutebiki25.files/shisetu_2_04.pdf

注意点は、施設の公的な記録になることに留意して客観的事実に基づき記載することです。目標の達成度や利用者さんの満足度などを、サービス提供者と協働しながら確認しましょう。ケアプランを変更した場合は、変更した根拠も明記することが大切です。

まとめ

ケアプランは介護サービス計画とも呼ばれ、特養では「施設サービス計画」が作成されます。特養においても、利用者さんが自分らしく生活するためにケアプランは重要です。またケアプランがあることによって、スタッフ間での情報共有がスムーズになります。

ケアプランは基本情報・アセスメント・施設サービス計画の3つの様式に分かれており、都道府県などが後悔する記入例を参考に作成しましょう。

ケアプランの作成はケアマネジャーの重要な役割です。今後、特養を含む未経験の施設で働きたいと考えているものの、業務内容や働き方に不安を感じる方はぜひ一度「マイナビ介護職」にご相談ください。マイナビ介護職では業界に精通したキャリアアドバイザーが、これまでの経歴やスキルなどを考慮し、応募先選定や書類作成のお手伝いをいたします。

※当記事は2022年11月時点の情報をもとに作成しています

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