デイサービスは無資格でも働ける?仕事内容と取得したい資格

送迎、食事、入浴などのサービスを提供する「デイサービス」では、無資格でも働くことが可能です。しかし、無資格の介護職員ではできない業務もあるため、デイサービスの仕事内容や現場で役立つ資格を把握しておくことは大切です。
当記事では、無資格の介護職員がデイサービスで働く上で知っておきたい仕事内容やメリット・デメリットを解説します。給与アップやスキル向上に役立つ資格も紹介するため、無資格でもデイサービスで働きたいという方や、介護分野での転職を考えている方はぜひご一読ください。
目次
1. デイサービスは無資格でも働ける?
デイサービスは、送迎、食事、入浴などのサービスを提供する施設です。基本的に、介護度の低い利用者さんが多いのが特徴でもあるため、無資格でも働くことが可能です。デイサービスでは、生活相談員、看護職員、介護職員、機能訓練指導員などのさまざまな職種の介護スタッフが働いており、それぞれに資格要件が定められています。その中で、介護職員は、無資格・未経験でも就業が可能となっています。
一方、厚生労働省が2021年度の介護報酬改定において下記のように明記したことで無資格者への研修が義務化されました。(2021年1月13日諮問・答申済み)
介護に関わる全ての者の認知症対応力を向上させていくため、介護に直接携わる職員が認知症介護基礎研修を受講するための措置を義務づける。
(引用:厚生労働省「令和3年度介護報酬改定の主な事項について」
/
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000727135.pdf/引用日2022/10/03)
しかし、無資格者がすぐに働けなくなるわけではありません。3年間の経過措置期間が設けられているため、2024年度までに認知症介護基礎研修(認知症介護の基本的な知識・技術を習得する研修)を受講すればよいということになります。
1-1. 無資格の介護職員ができないこと
デイサービスは無資格でも働ける一方、無資格の介護職員ではできないこともあります。
・訪問介護
訪問介護は、介護資格がないとできないことの1つです。訪問介護は利用者さんの自宅を訪問し、食事や入浴介助などの身体介護や、掃除、買い物といった生活の援助を行います。訪問ヘルパーの仕事は、基本的に1人で判断を行います。そのため、訪問ヘルパーとして働くには、介護職員初任者研修以上の資格が必須であると定められています。
・身体介護
施設に就職した場合でも、無資格者に身体介護を行わせることは違法です。そのため、生活援助のみを任されるか、職場によっては「介護助手」という職種を設けて、有資格者のサポートを行います。
(出典:厚生労働省「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度について」
/
https://www.mhlw.go.jp/content/000464962.pdf)
2. 【無資格OK】デイサービスの仕事内容
無資格の方がデイサービスで働く場合、介護助手や介護補助として資格を所持する方のサポートに回るのが一般的です。基本的には、生活援助を中心とした利用者さんの身体に直接触れない業務を任されます。生活援助は、利用者さんの身体に触れない日常生活のサポート業務のことです。業務内容は、食事の準備や片付け、掃除、洗濯、買い物、ベッドメイキングなどが中心なので、無資格でもできることばかりです。
ここでは、デイサービスの仕事内容をそれぞれ詳しく紹介します。
2-1. 身体介護
身体介護は、利用者さんの身体に直接触れて行われる介護サービスです。その中でも、食事介助、入浴介助、排泄介助は「三大介護(三大介助)」と呼ばれています。
他にも、着脱介助、移乗介助などがあります。
無資格者は単独では身体介護を行えず、基本的に日常生活のサポートを行うことが大半です。しかし、施設内介護であれば、無資格者でも介護福祉士などの有資格者の指導を受けながら、身体介護を行うことが可能です。
2-2. 送迎
デイサービスでは、自宅とデイサービスの間の送迎を行うサービス業務もあります。送迎を担当する専門の送迎ドライバーを雇う場合もあれば、介護職員や生活相談員などが送迎を兼務する場合もあります。業務内容は、安全運転はもちろん、送迎のスケジュールやルートの把握、利用者さん家族との連絡や乗車中の利用者さんとのコミュニケーションなども行います。
送迎業務を終えた後は、清掃業務や備品の買い出しなどの業務を行う場合もあり、施設や契約内容によって業務はさまざまです。また、介護職員が送迎ドライバーを兼務する場合は、必要に応じて乗車・降車に伴った介助を行うのも業務の一環です。
2-3. レクリエーション
デイサービスでは、身体機能を上げる目的としてレクリエーションが行われます。体操やゲーム、創作活動など内容はさまざまで、季節や記念日に応じたイベントを企画することもあり、娯楽の一環としての目的もあります。
基本的には大人数で参加する形で行われ、レクリエーションを行うことで「脳機能の活性化」や「身体機能の維持・回復」への効果が期待できます。それだけでなく、体を動かすことで運動不足が解消され、心身ともにリフレッシュできるため、気分転換にも役立つでしょう。
2-4. 事務
介護事務も、デイサービスに欠かせない業務の1つです。施設によっては、管理者や介護職員が兼務するケースもありますが、高い専門性を要する業務のために不可欠な存在と言えます。
事務作業でメインとなるのが、受付業務と介護報酬請求業務です。介護報酬請求業務は無資格でも仕事をすることが可能である一方、介護保険についての専門知識が求められます。介護事務関連の資格を取得していれば知識が身についていると判断されるため、就職などでも有利となるでしょう。
3. 無資格からデイサービスで働くメリット・デメリット
無資格からデイサービスで働くことには、メリットとデメリットがそれぞれ存在します。
主なメリットは以下の3点です。
働きながら資格取得を目指せる |
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介護施設の中には資格取得支援制度を設けている職場もあります。 そのため、介護求人にそのようなことが書かれていれば、仕事を覚えながら制度を利用して介護資格取得を目指すことが可能です。 |
少しずつ介護の仕事内容を理解できる |
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無資格の人を採用している職場では、介護経験のない人を育成するための研修制度が整えられていると考えられます。最初から資格持ちで雇われたのであれば、即戦力を期待される場合がありますが、無資格の方は掃除や洗濯などの簡単な仕事から介護業務のことを勉強することができます。 |
パート・アルバイトで働きやすい環境である |
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無資格の場合だと、子育て中の方やダブルワークから始めたいという方も、パートやアルバイトから働きやすい環境です。「まずは週に2〜3日」や「1日数時間だけ」といった、自分の都合に合った勤務方法で実務経験を積むことができます。 |
一方で、主なデメリットは以下の2点です。
有資格者よりも給与が低いことがある |
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無資格の場合、有資格者より給与が低く、年齢を問わずに最低賃金からスタートする場合がほとんどです。資格手当が付く場合もあり有資格者とは年収で大きく差がつくため、転職で高い収入を目指す場合は最初から資格があったほうがよいでしょう。 |
(出典:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」
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https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/21/dl/r03gaiyou.pdf)
働きながら学ぶのが大変なことがある |
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働きながら資格を取得する場合、勉強時間の確保や体力面で大変なこともあります。また、業務によっては利用者さんの身体に影響を及ぼす可能性があるものもあり、最低限の介護スキルを持って現場に入らなければ、迷惑をかけてしまうリスクも高まります。 |
4. 無資格者がデイサービスで働く場合に取得したい資格
介護業界は無資格で働く場合は給与が低くなりやすいため、資格の取得が推奨されます。また、介護未経験者の方がデイサービスで働くときに役立つ資格として、以下のものがあります。
・介護職員初任者研修
介護職員初任者研修は、介護に関する基本的な知識と技術、考え方を有していることの証明を目的とした資格です。介護職の入門的な資格であり、修得すれば有資格者の監督のもとでなくても身体介護に携わることができるため、介護の仕事の幅が広がります。
(出典:厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について」
/
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/kaigoinnyouseikennsyuu.pdf)
無資格の状態からデイサービスの仕事に就きつつ、資格を取得すればキャリアアップにもつながります。受講時間は最短14日間~3、4か月程度と、挑戦しやすい難易度のため、就職前に受講する人も多い傾向です。
・介護福祉士実務者研修
介護福祉士実務者研修は、介護の実践的な知識と技術を身につけることを目的とした資格で、介護福祉士国家試験の受験要件の1つでもあります。実務者研修を取得するためには、450時間の講義・演習を受講した上で、修了試験を受けることが必要です。
(出典:近畿厚生局「介護福祉士実務者研修に関するよくあるご質問Q&A」
/
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kinki/faq/yousei.html)
しかし、介護職員初任者研修を取得している場合は、一部の受講科目が免除となり、取得までの期間を短縮できるメリットがあります。また、別で「喀痰吸引等研修」を修得すれば、喀痰吸引などの医療的ケアも行えるようになります。
まとめ
デイサービスは、送迎、食事、入浴などのサービスを提供する施設です。訪問介護や身体介護などは有資格者の仕事である一方、無資格でも生活援助のみを任されるか、有資格者のサポートを行うことはできます。
無資格からデイサービスで働くことには「働きながら資格取得を目指せる」というメリットや「有資格者よりも給与が低いことがある」といったデメリットもあります。介護職員初任者研修などの資格を取得することで、介護の仕事の幅を広げることが可能です。
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※当記事は2022年10月時点の情報をもとに作成しています
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