サービス管理責任者に向いている人の特徴は?仕事内容を交えて解説
サービス管理責任者とは、障害福祉サービスにおいて、施設の管理や提供するサービスの質を保つ役割を担う重要な職種です。福祉領域でのキャリアアップを目指す方や、現職で資格取得を求められた方は、自分に向いているか疑問に思う場合もあるでしょう。
この記事では、サービス管理責任者の基本情報に加え、職務に求められる要件や、向いている人の特徴を詳しく解説します。自身のキャリアや適性をしっかり考慮した上で、目指す方向性を決めましょう。
目次
1. サービス管理責任者とは?
サービス管理者とは、障害福祉サービスで利用者さんが快適に過ごせるように、施設の管理やサービスの質を保つ役割を担う職種です。つまりサービス管理責任者はサービス提供に関する責任者であり、障害福祉サービス全体に関わる業務を行います。
サービス管理者の役割や働く職場については厚生労働省が詳しく定義しており、下記の通りです。
○ 障害者総合支援法においては、サービスの質の向上を図る観点から、新たにサービス事業所ごとに、サービス管理責任者の配置を義務付け。
※ 旧体系サービスは、サービス管理責任者の配置は義務付けられていない。
○ サービス管理責任者は、以下の役割を担う。
① 個々のサービス利用者のアセスメントや個別支援計画の作成、定期的な評価などの一連のサービス提供プロセス全般に関する責任
② 他のサービス提供職員に対する指導的役割
(引用:厚生労働省「障害福祉サービスにおけるサービス管理責任者について」
/
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000106771_1.pdf/引用日:2023/2/21)
障害者総合福祉法によって、新規にオープンした障害福祉サービスやグループホームにはサービス管理責任者の配置が義務付けられています。
そのため、古い福祉施設によってはサービス管理責任者がいない場所もあるため、利用前にサービス管理責任者がいるかどうか確認することが大事です。
1-1. サービス管理責任者の仕事内容
厚生労働省が定めるサービス管理責任者の役割を下記に紹介します。
○ サービス管理責任者は、以下の役割を担う。
① 個々のサービス利用者のアセスメントや個別支援計画の作成、定期的な評価などの一連のサービス提供プロセス全般に関する責任
② 他のサービス提供職員に対する指導的役割
(引用:厚生労働省「障害福祉サービスにおけるサービス管理責任者について」
/
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000106771_1.pdf/引用日:2023/2/21)
サービス管理者の仕事内容は非常に多岐にわたり、概要は以下の通りです。
サービス管理者の仕事内容
●福祉施設の管理
●利用者さんと面接・アセスメント
●個別支援計画の原案の作成
●個別支援計画が適切かどうかのモニタリング
●利用者さんのご家族への支援プロセスの説明
●他の職員との会議や連絡の管理
●福祉施設の職員の教育や技術的な指導
サービス管理者はすべての利用者さんの悩みに寄り添いながら、肉体面、精神面のケアを管理する必要があります。 また、利用者さんだけでなく、その家族も安心できるように支援サービスについての詳細な説明も、サービス管理責任者には要求されます。
2. サービス管理責任者に求められるもの
サービス管理責任者になるには、福祉関連の実務経験やいくつかの研修を受ける必要があります。要件は下記の通りです。
【サービス管理責任者の要件】
実務経験
障害者の保健、医療福祉、就労、教育の分野における支援業務 | |
①相談支援業務 | 5年以上 |
②直接支援業務 | 8年以上 |
➂有資格者等 | 5年以上または3年以上 |
(引用:兵庫県「実務経験一覧表(サービス管理責任者)」
/
https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf08/documents/sabikan_ichiran.pdf/引用日:2023/2/20)
研修修了
・相談支援従事者初任者研修 講義部分の一部を受講(11h)
・基礎研修 サービス管理責任者研修(統一)研修講義・演習を受講(17.5h)
・OJT 一部業務可能
・サービス管理責任者等実践研修(16.5h)
※実践研修の要件:過去5年間に2年以上の相談支援又は直接支援業務の実務経験がある
・サービス管理責任者等更新研修(6h程度)※5年毎に受講
※更新研修の要件:①過去5年間に2年以上のサービス管理責任者等の実務経験がある又は②現にサービス管理責任者等として従事している
(引用:厚生労働省「相談支援専門員及びサービス管理責任者等の研修制度の見直しについて」
/
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000195407.pdf/引用日:2023/2/20)
福祉についての教養や知識は当然ですが、サービス管理責任者はサポート全体を管理するため、現場に関する知識や実務経験が必須になります。資格がない場合、最低でも5年の実務経験を経て、中堅レベルの支援員やヘルパーとして働くことが求められます。
福祉領域での活躍を目指していて、早期にサービス管理者になりたい場合は、3年半で要件を満たせる、社会福祉士などの資格取得を目指すこともおすすめです。
3. サービス管理責任者に向いている人の特徴
サービス管理責任者を目指すにあたって、自身の性格や能力などを踏まえて適性があるかどうか不安に思う方もいるでしょう。実際にどのような方が活躍できるかを知ることで、目指す方向を検討する際の参考となります。
ここでは、サービス管理責任者に向いている人の特徴を紹介します。
3-1. 責任感が強い
サービス管理責任者は、個別支援計画を成功させるために、他機関との連携を図りながら全体の管理を行う必要があります。また、個別支援計画の内容は会議を経て決められますが、基本方針はサービス管理責任者が定めます。
さらに、職員への教育や指導も大事な業務の1つです。教育を疎かにすると、職員が成長せず、サービス全体の質の低下につながり、利用者さんに悪影響を及ぼします。そのため、他の介護職の職員への教育や技術的指導も徹底して行うことが大事です。
すべての業務が施設の運営を左右する重要なものであるため、サービス管理責任者には責任感の強い方が向いていると言えます。
3-2. コミュニケーション能力が高い
サービス管理責任者は、職員との連携を取るために、高いコミュニケーション能力が求められます。
サービス管理責任者は全体をまとめる立場であり、利用者さん達により良い介護を提供するために、スタッフ達をマネジメント・指導します。 コミュニケーション能力が高ければ、スタッフの統率を取りやすいでしょう。
また、スタッフと会話を重ねると、良好な人間関係の構築や、サービス全体の向上にもつながります。
3-3. 向上心がある
サービスの質を高めるために、サービス管理責任者には向上心が求められます。
他のスタッフと違い、サービス管理責任者には個別支援計画の方針を決める役割があります。そのため、利用者さん1人ひとりのことを考えながら、ヒアリングやモニタリングを通して、適切な個別支援計画に修正、改善することが重要です。
自分の決定が利用者さんに大きな影響を与えるという認識を持って、より良いサービスを追求していく心構えを持ちましょう。
3-4. スムーズに調整ができる
日程や計画などをスムーズに調整できる能力がある方は、サービス管理責任者に向いています。
介護は数多くの関係機関や関係者の上に成り立っており、連携がうまく取れないと、業務に支障をきたします。関係機関との連携をうまく連絡調整し、利用者さんに質の高いサービスを提供することがサービス管理責任者の役割です。
4. サービス管理責任者に向いていない人の特徴
最後に、サービス管理責任者に向いていない人の特徴を紹介します。
人に指示を出すのが苦手である |
---|
サービス管理責任者は、数多くの人と関わる仕事のため、人に指示を出すのが苦手だとスムーズに業務を行えない恐れがあります。また、スタッフへの教育や指導を担当する際に、負担を感じるでしょう。 |
現場のスキルを向上させたい |
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サービス管理責任者は全体の管理をすることが役割のため、利用者さんへの直接の介護は基本的に行いません。そのため、現場でのスキルを向上させたいと思っている方は物足りないと感じる可能性があります。 |
細かい点が気になる |
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サービス管理責任者は、個別支援計画の方針を決めることや、スタッフのスケジュール管理など全体を俯瞰して最適な決断を下す必要があります。影響の少ない細かい点に気を取られると、仕事が進まず、業務に支障をきたす可能性があります。 |
なお、以上の特徴に当てはまる方が必ずしもサービス管理責任者にはなれないということはありません。現時点で不安がある方も、目指している過程で欠点を克服し、適性が身につく可能性は十分にあります。
まとめ
サービス管理責任者になるためには、実務経験や研修などの一定の要件を満たす必要があります。まず自身のキャリアを確認し、どのようなルートで要件を満たせるか考えましょう。
サービス管理責任者は、障害福祉サービスにおいて他の機関と連携を取りながら、個別支援計画の基本方針を決めるなど責任を伴う仕事を行います。性格やスキルによって向き不向きがあるものの、目指す中で適性を身に付けられる可能性があるため、前向きな気持ちで検討しましょう。
マイナビ介護職では、介護職専任のキャリアアドバイザーが、キャリアプランや適性を踏まえた転職のアドバイスを行っております。サービス管理責任者として働きたい方や今後目指したい方も、ぜひご相談ください。
※当記事は2023年3月時点の情報をもとに作成しています
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