有料老人ホームで働くケアマネの仕事内容|1日の仕事の流れも紹介
ケアマネジャー(ケアマネ)の就職先には、居宅介護支援事業や各種介護施設など、さまざまな選択肢があります。有料老人ホームは民間介護施設の1つであり、利用者さんのよりよい暮らしの実現に向けて、多くのケアマネジャーが活躍している職場です。
この記事では、有料老人ホームの概要や他の施設との違いに加え、有料老人ホームで働くケアマネジャーの役割や1日の流れについて解説します。有料老人ホームで働くメリット・デメリットも紹介するため、ケアマネジャーとして働いている方はぜひご一読ください。
目次
1. ケアマネが活躍する「有料老人ホーム」とは?
有料老人ホームとは、入居する利用者さんに対し、入浴・排泄の介助や生活に必要な家事などのサービスを提供する施設を指します。
有料老人ホームは株式会社や社会福祉法人などの民間事業者によって運営されており、入居の際には利用者さんと施設とで直接契約を結びます。有料老人ホームの種類は、以下の3つです。
【有料老人ホームの種類】
介護付有料老人ホーム | 介護サービス付きの有料老人ホームです。入居後に介護が必要な状態になった場合、有料老人ホームでの生活を続けながら介護サービスを受けられます。介護業務は有料老人ホームのスタッフが担う場合もあれば、外部の事業者に委託するケースもあります。 |
---|---|
住宅型有料老人ホーム | 生活支援サービス付きの有料老人ホームです。入居後に介護が必要な状態になった場合、訪問介護などの地域の介護サービスを利用しながら施設での生活を続けられます。 |
健康型有料老人ホーム | 食事提供などのサービス付きの有料老人ホームです。入居後に介護が必要な状態になった場合、施設との契約を解除して退去しなければなりません。 |
(出典:厚生労働省「①介護を受けながら暮らす高齢者向け住まいについて」/ https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000038009_1.pdf)
(出典:福祉医療機構「有料老人ホーム」/ https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/fukushiworkguide/jobguideworkplace/jobguide_wkpl04.html)
1-1. 有料老人ホームと特別養護老人ホームなどとの違い
高齢者向けの介護施設には、有料老人ホームをはじめとするさまざまな種類があります。施設の種類によって、提供されるサービスや対象となる方に大きな違いがあるため、介護施設での勤務を考える場合には、これらを理解することが大切です。
有料老人ホーム | 民間事業者が運営する施設であり、日常生活のサポートや身体介護サービスを提供します。有料老人ホームの特徴は、施設ごとに対象となる方やサービス内容が異なることです。また、施設の多くはマンションのような個室タイプです。 |
---|---|
特別養護老人ホーム (介護老人福祉施設) |
主に社会福祉法人によって運営されている施設であり、要介護3以上の利用者さんを対象としています。サービス内容は、身体介護や日常生活支援、リハビリなどです。これまでは多床室が基本でしたが、現在はユニット型へと整備が進められています。 |
介護老人保健施設 | 主に医療法人や社会福祉法人、自治体により運営されている施設であり、病院での治療を経て在宅復帰を目指す利用者さんを対象としています。身体介護に加え、機能訓練や医療の提供が行われている点が特徴です。 |
(出典:福祉医療機構「有料老人ホーム」/ https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/fukushiworkguide/jobguideworkplace/jobguide_wkpl04.html)
(出典:福祉医療機構「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」/ https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/fukushiworkguide/jobguideworkplace/jobguide_wkpl01.html)
(出典:福祉医療機構「介護老人保健施設」/ https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/fukushiworkguide/jobguideworkplace/jobguide_wkpl06.html)
2. 有料老人ホームで働くケアマネの役割・仕事内容
有料老人ホームで働くケアマネジャーは、利用者さんのQOLの向上や暮らしやすさを追求し、ニーズを細かく把握することが重要です。また、よりよい生活を支援するため、一人ひとりに最適なサービスを見極めなければなりません。
ここでは、有料老人ホームで働くケアマネジャーの役割や仕事内容について詳しく解説します。
2-1. 基本的な仕事内容
ケアマネジャーの主な仕事は、利用者さんとの面談やケアプランの作成・提案です。
自分でできること・できないことの内容や、理想とする暮らしがどのようなものであるかは、利用者さん一人ひとりで大きく異なります。ケアマネジャーは、利用者さんの現状とニーズを正しく把握して、最適なケアプランを提案する必要があります。
有料老人ホームで勤務するケアマネジャーの仕事内容の詳細は、以下の通りです。
【有料老人ホームで働くケアマネジャーの主な仕事内容】
相談・面談の実施 | 利用者さんと最初に行う相談・面談を「インテーク」と呼びます。インテークを行う経緯は、利用者さん本人や家族からの電話・来訪などさまざまです。日常生活を送る上での困り事やニーズを把握し、サポートの準備を整えます。 |
---|---|
アセスメントの実施 | 通常、利用者さんの自宅へ訪問し、相談の背景や家族状況などをヒアリングします。アセスメントは利用者さんの家族も同席するのが一般的です。利用者さんとの信頼関係を築くため、訪問時のマナーやコミュニケーション能力を身につけることも重要となります。 |
ケアプランの作成 | アセスメントの結果をもとに、必要な介護サービスの内容を検討します。ケアプランは利用者さんへの説明の際にも使用するため、分かりやすく具体的な内容を心がけることが必要です。 |
サービス担当者会議の開催 | 利用者さんやその家族、サービスにかかわる関係者などが同席し、ケアプラン原案の検証を行います。参加者からの意見をもとに、必要があれば修正を行いながら、最終的なケアプランを決定します。 |
モニタリングの実施 | 施設の利用開始後は、定期的なケアプランの見直しが必要です。モニタリングを通して利用者さんの現状と新たなニーズを把握し、ケアプランに反映させます。 |
(出典:福祉医療機構「ケアマネジャーのしごとガイド」/ https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/kaigo/caremanager/caremanagerworkguide/)
ケアマネジャーの仕事というとケアプラン作成のイメージが強いですが、その後のモニタリングも非常に重要な業務の1つです。利用者さんの状況は日々変化します。また、施設に入居してみて初めて発生する困り事やニーズなどもあるでしょう。
利用者さんの充実した生活を支えるためには、定期的なモニタリングが不可欠となります。
2-2. 1日の仕事の流れ・スケジュール
有料老人ホームで勤務するケアマネジャーの多くは、9:00〜18:00ごろまでの日勤帯で働いています。1日のスケジュール例は、以下の通りです。
【有料老人ホームで働くケアマネジャーの1日の流れ・スケジュール】
時刻 | 仕事内容 |
---|---|
9:00 | 出勤、スタッフ間の情報共有、事務作業 |
10:00 | 利用者さんの受付手続き、関係機関への連絡調整 |
13:00 | 昼食 |
14:00 | サービス担当者会議 |
15:00 | アセスメント・モニタリングなどの面談、ケアプラン作成 |
17:00 | スタッフ間の情報共有、事務作業 |
18:00 | 退勤 |
3. ケアマネが有料老人ホームで働くメリット・デメリット
ケアマネジャーが有料老人ホームで働くメリットは、施設長や管理者へのキャリアアップを目指せることです。施設長・管理者に向いている方とは、事業についての十分な理解と管理能力がある人材を指します。ケアマネジャーは施設が提供するサービスの中核を担う立場であるため、日々の業務を通して自然と施設長・管理者に必要なスキルを習得できます。
ただし、有料老人ホームで働くケアマネジャーは、現場の業務を兼任するケースも少なくありません。主任介護⽀援専⾨員を目指す場合、兼任期間は資格取得の要件である「専任の介護⽀援専⾨員として従事した期間」に認められない可能性もあります。この点は、有料老人ホームで働くことのデメリットであると言えるでしょう。
(出典:内閣府「主任介護支援専門員の概要」/ https://www.cao.go.jp/bunken-suishin/kaigi/doc/teianbukai95shiryou04_2.pdf)
4. ケアマネが有料老人ホームで働く方法
有料老人ホームでケアマネジャーとして働くには、まずは介護支援専門員の資格を取得しなければなりません。介護福祉士などの資格を取得して5年以上の実務経験を積むことにより、資格試験の受験資格を得られます。試験合格後は、実務研修を修了することでケアマネジャーとしての登録が可能となります。
詳しくは、下記のページを参照してください。
(出典:福祉医療機構「介護支援専門員(ケアマネジャー)」/ https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/fukushiworkguide/jobguidejobtype/jobguide_job07.html)
介護支援専門員の資格を取得したら、有料老人ホームのケアマネジャー求人を探しましょう。
基本的には正社員での採用となるため待遇もよく、安定した収入が見込めます。勤務時間は9:00〜18:00の日勤帯がほとんどであり、休暇も十分に確保できるため、プライベートとの両立もしやすいでしょう。
まとめ
有料老人ホームとは、利用者さんの生活に必要なサポートを提供する入居型の民間介護施設を指します。有料老人ホームで働くケアマネジャーの役割は、利用者さんの状況や希望に合わせたケアプランの提案・見直しです。また、ケアマネジャーとして有料老人ホームに勤務することで、施設長や管理者となるためのスキルを習得できます。
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※当記事は2022年8月時点の情報をもとに作成しています
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