老健で働く介護職員の給料は高い?給料の上げ方も5つ紹介
老健(介護老人保健施設)とは、要介護認定を受けた高齢者の在宅復帰・自立を支援するため、さまざまな介護・医療ケアや機能訓練(リハビリテーション)を実施する介護施設です。介護度の高い利用者さんが多くいるため、介護職員のほか医療職・リハビリ職も常駐しています。
老健は幅広い利用者さんと関わるため、スキルアップに大きくつながる一方で、介護スタッフの負担が決して少なくないことも特徴です。しかし、その分高い収入を得られる点は魅力と言えるでしょう。
そこで今回は、老健で働く介護職員の給料事情について解説します。給料アップを目指す方法や求人探しのポイントも紹介するため、よりよい給料を得たい方・よりよい条件で働くために転職を検討している方は、ぜひご一読ください。
目次
1. 老健で働く介護職員の給料は?他施設との比較も
厚生労働省が毎年公表する「介護従事者処遇状況等調査」の結果データによると、老健で働く介護職員の2021年9月時点における平均月給は323,770円でした。なお、前年度(2020年9月)と比較した平均月給データは、下記の通りとなっています。
(1)2020年9月時点の月給 | (2)2021年9月時点の月給 | (3)差額 ※(3)=(2)-(1) |
---|---|---|
301,650円 | 323,770円 | 22,120円 |
比較データを見ると、老健で働く介護職員の月給水準は、1年間で約20,000円ほど上昇したことが分かりました。この差額は、他の介護施設と比較しても群を抜いています。
超高齢化社会に突入したにもかかわらず、少子高齢化は今後も進むと言われている近年、介護需要の高まりはとどまるところを知りません。老健で働く介護職員の給与は、今後も上昇傾向を見せると言えるでしょう。
(出典:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」
/
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/21/dl/r03gaiyou.pdf)
1-1. 実際の給料額は老健ごとで異なる
厚生労働省の公表資料からも分かるように、老健で働く介護職員の給料は、他の介護施設と比較して高い傾向にあります。しかし、実際の給料額は職場によって細かに異なることが実情です。
給料額を左右する要素には、下記が挙げられます。
●施設が置かれている地域
●施設で働く職員数
●施設が定める手当・賞与
●施設が提供する介護サービス・医療サービス
●自身の役職・役割 など
場合によっては、平均よりも上回ったり、反対に下回ったりすることを覚えておきましょう。
2. 老健で働く介護職員が給料を上げる方法
老健で働く介護職員が「給料アップを目指したい」と考えた際、実際に行える方法は多くあります。下記は、昇給を目指す介護職員に特におすすめの方法です。
●資格を取得する
●夜勤に入る
●管理職や施設長を目指す
●ダブルワークで働く
●給料が高い職場に転職する
ここからは、各方法について詳細を説明します。
2-1. 資格を取得する
介護職員が給料を上げるための最も代表的な方法が、関連資格の取得です。業務に役立つ資格を取得することで行える仕事内容の幅が広がり、結果として基本給のアップ・手当の支給が期待できます。
業務に関連する介護系資格にはさまざまなものがありますが、特におすすめなのが「介護支援専門員(ケアマネジャー)」や「社会福祉士」です。職場によって異なるものの、これらの資格取得者は給料がより高くなる傾向にあります。
平均月給 | |
---|---|
無資格 | 271,260円 |
介護支援専門員 | 362,290円 |
社会福祉士 | 363,480円 |
(出典:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」
/
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/21/dl/r03gaiyou.pdf)
上記のデータを見ると、介護支援専門員・社会福祉士は、資格を保有していない介護職員の平均月給と比較して90,000円ほど差があることが分かります。介護技術やスキルの向上だけでなく、大幅な給料アップも実現できるという点は、大きな魅力となるでしょう。
2-2. 夜勤に入る
資格取得は大幅な給料アップの実現が期待できますが、「今すぐできる方法」ではありません。最も効率よく給料を上げたい場合は、夜勤に入ることがおすすめです。
介護職員は、夜勤をすることで基本的に夜勤手当が支給されます。夜勤手当額は介護施設の種別や職場、さらに夜勤形態によって異なります。老健における夜勤手当の平均額は、下記の通りです。
2交替夜勤 | 7,203円 |
---|---|
3交替夜勤(準夜勤) | 3,700円 |
3交替夜勤(深夜勤) | 4,367円 |
(出典:医労連「2021年介護施設夜勤実態調査結果概要」
/
http://irouren.or.jp/news/f524cbf5956c60b5e34efaf02bb440985c9996eb.pdf)
また、老健には「日勤+夜勤」だけでなく、「夜勤専従」という働き方もあります。夜勤専従であれば勤務時間のすべてに手当がつくため、同様の勤務時間で働く日勤のみの介護職員よりも給料は高くなります。
2-3. 管理職や施設長を目指す
さらなる給料アップを実現させたいなら、管理職や施設長を目指すことがおすすめです。管理職や施設長とは、いわゆる「介護施設を取りまとめる責任者」の立ち位置となり、職員のマネジメントや施設経営に関する計画策定・コスト管理なども行います。
厚生労働省が公表する資料によると、管理職や施設長として老健で働く場合の平均月給は、401,010円でした。管理職ではない一般的な介護職員の平均月給と比較して、70,000〜80,000円程度の差があります。
(出典:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」
/
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/21/dl/r03kekka.pdf)
管理職や施設長を目指すにあたって、取得必須な資格はありません。ただし、ほとんどの職場では経験豊富な資格者を採用する傾向にあります。そのため、業務に関連するさまざまな資格を取得し、経験を積み重ねた上でのキャリアアップ先と捉えておきましょう。
2-4. ダブルワークで働く
時間と体力の許す限り、たくさん働いて着実に給料アップを目指したいという場合は、ダブルワークで働くことがおすすめです。
老健では、日勤だけでなく夜勤もあり、夜勤専従という働き方もできます。夜勤明けの日は原則として休日となるため、このような日を利用してダブルワークをする介護職員も珍しくありません。
副業先は幅広くありますが、自身のスキルを活かしながら空いた時間に働ける「デイサービス」などが人気です。副業先では、柔軟にシフトを決められる非常勤職員として働くことが一般的となっています。
また、職場によってはダブルワークを認めていないケースもあります。そのため、事前に就業規則を確認したり、職場に直接許可を得たりすることが必要なことも覚えておきましょう。
2-5. 給料が高い職場に転職する
前述の通り、老健で働く介護職員の実際の給料額は、職場によって細かに異なります。現在働いている職場の給料が平均を下回っている場合、より高い給料が期待できる職場に転職することも一案です。
また、老健で働く介護職員が転職する際は、転職先の施設を老健に限定しないこともポイントと言えるでしょう。老健は要介護1~5の入居者さんが多くいるため、他の介護施設と比較して平均給料はやや高いことが特徴です。しかし、入居対象者が原則要介護3以上の「特養(特別養護老人ホーム・介護老人福祉施設)」では、より高いレベルの介護を行うことから、働く介護職員の給料水準がさらに高くなっています。
平均月給 | |
---|---|
老健 | 323,770円 |
特養 | 328,120円 |
(出典:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」
/
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/21/dl/r03gaiyou.pdf)
単純に給料アップのみを目的とせず、さらなるスキルを身につけたいという方は、特養を転職先の選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
3. 老健の求人を探すときのポイント3つ
老健の求人を探す場合は、施設の理念や方針といった内容の他にも、確認しておくべきポイントがいくつかあります。その中でも、特に注目しておくべきポイントが下記の3つです。
●手当や賞与の有無
●待遇面以外の内容
●介護職専門のエージェント活用
最後に、それぞれのポイントを紹介します。
3-1. 手当や賞与の有無を確認する
収入にこだわって転職をする場合、基本給だけでなく手当や賞与の有無も必ず確認しておきましょう。基本給は勤続年数によって比較的上がりやすい項目ですが、手当や賞与がそもそもないという職場の場合、大幅な昇給は見込めません。
老健を含む介護施設において代表的な手当の種類は、下記の通りです。
資格手当 | 保有資格や新たに取得する資格に応じて支給される手当 |
---|---|
夜勤手当 | 夜勤1回あたりに支給される手当 |
役職手当 | 役職に応じて支給される手当 |
処遇改善手当 | 処遇改善加算制度によって還元・支給される手当 |
手当の種類にはその他にもさまざまあります。特に処遇改善手当を支給する職場は「介護職員の処遇改善に向けた取り組み」を図っている施設でもあるため、より注目しておくとよいでしょう。
3-2. 待遇面以外の内容も確認する
転職において、給与面や待遇面は特に重視するポイントです。しかし、たとえ高い給料が期待できる施設であっても、職場環境が悪ければ長続きするとは考えられません。そのため、給与面・待遇面以外の項目もしっかり確認しておきましょう。
●納得のいく昇給基準となっているか
●深刻な人手不足に陥っていないか
●教育体制が整っているか
●離職率は高くないか
●アクセスしやすい立地にあるか など
しかし、すべての条件をクリアする求人はないと言っても過言ではありません。自分の中での譲れない条件を明らかにし、優先順位をつけた上でチェックすることがおすすめです。
3-3. 介護職専門のエージェントを活用する
転職時は、給与面・待遇面の他、細かな部分もチェックする必要があると説明しました。しかし、ただ求人サイトや企業サイトを見るだけでは確認しきれない内部情報も多くあるでしょう。
転職を成功させたいという方は、介護職専門の転職エージェントを活用することがおすすめです。介護職専門の転職エージェントを活用することには、下記のようなメリットがあります。
●求人先の内部情報を把握できる
●条件に合った求人を紹介してくれる
●サイトには掲載されていない非公開求人をチェックできる
●キャリア相談ができる
●面接対策を受けられる など
転職エージェントの活用に、料金は基本的に発生しません。給与面・待遇面はもちろん、職場環境も譲れないという方は、ぜひ一度相談してみてはいかがでしょうか。
まとめ
老健とは、要介護認定を受けた高齢者の在宅復帰や自立を支援すべく、医療ケアや機能訓練を含む各介護サービスを提供する介護施設です。正式名称は、「介護老人保健施設」となります。
老健で働く介護職員の平均月給は323,770円であり、他の介護施設よりもやや高い水準となっています。しかし、実際の給料額は職場によって細かに異なる上、給料アップを目指す適切な方法も人それぞれ異なるため、いかに自分に合った職場を選ぶかが重要となるでしょう。
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※当記事は2022年9月時点の情報をもとに作成しています
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