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介護福祉士の平均年収|介護職の待遇改善に向けた制度も紹介

公開日:2022.08.16 更新日:2022.08.16
介護福祉士の平均年収|介護職の待遇改善に向けた制度も紹介

介護福祉士は初任者研修・実務者研修よりも上位の国家資格であり、介護職にとって1つの目標となる資格です。介護福祉士は比較的高収入を期待できて、勤務先や働き方によってはさらなる年収アップも期待できます。

介護職として働いていて、介護福祉士の年収は具体的にどのくらいかが気になる方は多いのではないでしょうか。当記事では介護福祉士の平均年収や初任給を解説し、介護福祉士が年収アップを期待できる制度や働き方も紹介します。

1.介護福祉士を含む介護職の平均年収

最初に、介護福祉士を含む介護職の平均年収を紹介します。

下記の表は、介護職の職種を3つに分けて、全体・男性・女性のそれぞれで平均年収を出したデータです。

介護職員
(医療・福祉施設等)
ホームヘルパー
(訪問介護員)
ケアマネジャー
(介護支援専門員)
全体 約360万円 約356万円 約398万円
男性 約392万円 約383万円 約434万円
女性 約343万円 約350万円 約386万円

(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査 結果の概況」

平均年収の傾向を見てみると、介護職員とホームヘルパーは約360万円前後、キャリア職のケアマネジャーは約400万円前後です。重労働が多い介護職の年収水準は高いとは言えません。

しかし、夜勤のある病院や介護施設といった入居系の施設では、夜勤手当がつき在宅サービスで働く方に比べると給料が上がります。また、資格手当がつくことが多く、経験を積み、役職がつくようになると基本給も上がっていくでしょう。さらに、国から介護職員処遇改善加算も給付されており、年ベースの給料は増えてきています。

ただし、仕事内容に対して満足できる給料とは言い難い場合も多く、介護職を退職した方の多くが収入の少なさを理由に挙げています。そのため保険外サービスを組み入れた混合介護をしやすくするなど、事業者が利益を上げられるように国が対策を始めています。

介護福祉士の資格を取得した場合の年収

次に、介護職で働く方が介護福祉士などの介護資格を取得すると、年収がどのように変わるかを紹介します。

下記の表は、保有資格の状況を「介護福祉士」「実務者研修」「初任者研修」「保有資格なし」の4つに分けて、それぞれの平均月収・平均年収を示したデータです。

介護福祉士 実務者研修 初任者研修 保有資格なし
平均月収 約33万円 約30万円 約30万円 約28万円
平均年収 約395万円 約364万円 約361万円 約331万円

(出典:厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」

保有資格なしで働く場合に比べて、初任者研修・実務者研修を取得して働く場合は平均年収が約30万円高くなっています。

また、介護福祉士として働く場合は、初任者研修・実務者研修と比べて約30万円、保有資格なしと比べると約60万円も平均年収が高いことがうかがえます。介護職の年収を考える上で、介護資格の取得によって加算される資格手当がいかに大きく影響するかが分かるデータです。

なお、表の年収には賞与は含まれていません。賞与の金額は一般的に月収をベースとするため、給与額に賞与を含めると介護福祉士の年収はさらに高くなる可能性があります。

介護福祉士の年収を考えるときは、就職先の施設形態による違いも押さえることが重要です。下記の表は、介護施設別に介護福祉士の平均年収を出したデータであり、金額は約354万〜434万円と幅があります。

介護施設のサービス種類 介護福祉士の平均年収
介護老人福祉施設 約434万円
介護老人保健施設 約420万円
介護療養型医療施設 約396万円
介護医療院 約389万円
訪問介護事業所 約377万円
通所介護事業所 約354万円
通所リハビリテーション事業所 約378万円
特定施設入居者生活介護事業所 約407万円
小規模多機能型居宅介護事業所 約365万円
認知症対応型共同生活介護事業所 約365万円

(出典:厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」

表中で平均年収がもっとも高い介護老人福祉施設は、原則として要介護度3以上の方が利用する入居施設です。利用者さんの要介護度が高く、施設への入居サービスがある介護施設において、介護福祉士の平均年収は高い傾向にあります。

介護福祉士の初任給はどれくらい?

介護福祉士の職場には、入居施設や訪問サービスがあり、それぞれの勤務地によって初任給の設定が異なります。介護福祉士の初任給についての資料がないため、明確な初任給の平均金額は分かりません。しかし目安として、勤続年数1年〜1年11か月の介護職員の平均給与額は28万円です。

(出典:厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」

介護福祉士の採用では、他業種から転職した方の中途採用も多く、新卒での採用は少ない傾向にあります。実際に入社する方の年齢層も幅広いので、初任給は年齢によって差が出ることはあまりないでしょう。

2.介護福祉士はさらに年収アップを期待できる!

高齢化社会が進んでいる日本では、介護現場における介護人材の確保が重要な課題となっています。介護職の人手不足は、介護サービスの質が低下したり、介護職の労働環境が悪化したりなどの社会問題につながる要因です。

介護職の人手不足を解消するために、政府は介護職の待遇改善・年収アップにつながる制度を打ち出しています。代表的な制度が「介護職員処遇改善加算」と「特定処遇改善加算」の2つです。

2つの制度について、それぞれの内容や加算の条件・金額などを解説します。

介護職員処遇改善加算

介護職員処遇改善加算は、介護職員の安定的な処遇改善を図るために創設された加算制度です。介護職員のキャリア形成や賃金改善につながる仕組みを設けた介護施設・事業所を対象に、介護職員の給与に上乗せして支給するための介護報酬が加算されます。

介護職員処遇改善加算は加算1・加算2・加算3の3区分が設定されています。それぞれの取得要件と加算額は下記の表の通りです。

介護職員処遇改善加算の取得要因と加算額
加算1 加算2 加算3
取得要件 キャリアパス要件の1・2・3すべてと、職場環境等要件を満たす キャリアパス要件の1・2と、職場環境等要件を満たす キャリアパス要件の1もしくは2と、職場環境等要件を満たす
加算額(介護職員1人あたり) 月額3.7万円相当 月額2.7万円相当 月額1.5万円相当

(出典:厚生労働省「福祉・介護職員の処遇改善」
(出典:厚生労働省「「介護職員処遇改善加算」のご案内」

介護職員処遇改善加算は、介護福祉士を含めた介護職員全体の給与引き上げにつながる制度です。加算額が大きい職場で働くことで、処遇改善手当による年収アップを期待できます。

特定処遇改善加算

特定処遇改善加算は、経験・技能のある介護職員に重点を置き、介護職員の処遇改善をさらに進めるために作られた制度です。取得要件を満たした介護施設・事業所は、サービス種類ごとの加算率に応じて、処遇改善加算に上乗せする形で介護報酬の加算額が支払われます。

特定処遇改善加算の取得要件は下記の通りです。

算定要件:以下の要件を全て満たすこと
※介護福祉士の配置割合等に応じて、加算率を二段階に設定。
・処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ)のいずれかを取得していること
・処遇改善加算の職場環境等要件に関し、複数の取組を行っていること
・処遇改善加算に基づく取組について、ホームページ掲載等を通じた見える化を行っていること

(引用:厚生労働省「令和4年度介護報酬改定について」

特定処遇改善加算は、施設で働く職員を「経験・技能のある介護職員」「その他の介護職員」「介護職員以外の職員」に分けた上で、加算額を配分することが特徴です。重点が置かれる「経験・技能のある介護職員」の判断基準は勤続年数10年以上の介護福祉士がベースとなるため、勤続年数の長い介護福祉士は年収アップが期待できます。

(出典:厚生労働省「福祉・介護職員の処遇改善」
(出典:厚生労働省「処遇改善に関する加算の全体イメージ」

3.介護福祉士は多様な働き方が可能

介護業界における有効求人倍率を見てみると、地域によって差はあるものの、他の職種に比べ、人材が不足していることが分かります。資格を持つ介護福祉士は年齢問わず求人先は多く、自分に合った働き方が可能です。

また、女性が多く活躍する職種であり、事業所によっては託児所を併設したり、子育て支援制度を整えたりするところも増えています。今後ますます結婚や出産を経ても働き続けられるような環境整備が進むことでしょう。正社員だけでなく非常勤の募集も多く、日中フルタイムに限らず、夜勤専門での勤務など、条件も幅広いもの。ライフスタイルに合わせた働き方ができるのも、介護福祉士ならではと言えるでしょう。

4.介護福祉士が昇給する可能性はある?

介護福祉士は、基本的に経験(年数)に応じて基本給が上がります。また、介護主任などの役職につくと、役職手当がもらえるため、さらに給料は増えるでしょう。介護福祉士はもともとの基本給が低い傾向にあったことから、条件を満たした事業者に対しては国からの介護職員処遇改善加算が給付されるようになりました。

また特定処遇改善加算により、勤続10年以上の介護福祉士の賃上げをする施設もあります。国をあげて給料アップに取り組んでいることから、今後さらなる給料の底上げが期待できるでしょう。

(出典:厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」

5.介護業界大手の給与動向

では、実際に介護業界大手が公開している月給例を見てみましょう。

業界最大手のニチイ学館は、入居系施設から在宅サービスまで全国各地に事業所を約1800か所保有しており、多彩なサービスを提供している会社です。2023年の新卒採用では、コースにより給与が異なります。また、無資格入社であっても入社後、資格取得支援制度が設けられているため、働きながら介護の資格取得を目指せます。

【ニチイ学館】2023年新卒採用 募集要項
コース 介護マネジメントコース 介護スペシャリストコース
給与 22~23.1万円 15.3~19.7万円

(出典:ニチイの介護 新卒採用 2023 2023 NICHII RECRUIT「募集要項」

ツクイも全国展開している介護事業者の1つです。さまざまな施設を展開していますが、その中でもデイサービスの事業所数は500か所を超え、業界でもトップクラスです(2022年6月現在)。2023年の新卒採用では学歴や取得している資格、また希望の介護職で給与は異なります。介護福祉士であれば会社内では比較的高い給与水準となるものの、介護福祉士の平均月収33万円と比べると少ないです。

(出典:厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」

【ツクイ】2023年新卒採用 募集要項 ケアクルー(介護職員)
介護福祉士 介護職員初任者研修
学歴 大学院・四大卒 短大・専門卒 大学院・四大卒 短大・専門卒
給与 20.1万 19.6万 19.6万 19.1万

【ツクイ】2023年新卒採用 募集要項 ケアクルー(訪問介護)
介護福祉士 介護職員初任者研修
学歴 大学院・四大卒 短大・専門卒 大学院・四大卒 短大・専門卒
給与 21.1万 20.6万 20.6万 20.1万

(出典:株式会社ツクイ新卒採用サイト「募集要項」

ベネッセスタイルケアは、全国330施設以上の有料老人ホームやサービス付きの高齢者向け住宅運営などを行っています。2023年新卒採用の給与は、資格や学歴、勤務地により異なります。介護福祉士の資格を取得していて、大学院・大学卒、また東京都勤務を希望する場合、給与は高い傾向にあります。

【ベネッセスタイルケア】2023年新卒採用 募集要項(東京勤務の場合)
介護福祉士の資格あり 介護福祉士の資格なし
学歴 大学院・四大卒 短大・専門卒 大学院・四大卒 短大・専門卒
給与 32~27.1万 31.5~26.6万 30~24万 29.5~23.6万

(出典:株式会社ベネッセスタイルケア「2023年度 新卒採用 募集要項」

SOMPOグループの一員であるSOMPOケアは、介護付きホームやサービス付き高齢者向け住宅、また住宅介護サービスを展開する会社です。2023年新卒採用の給与は、資格や学歴、勤務地や取得している資格により異なります。東京勤務の場合、資格取得をしている方としていない方の差は約8万になることから、介護福祉士資格の重要度が分かります。

【SOMPOケア】2023年新卒採用 募集要項(施設ケア/東京勤務の場合)
介護福祉士の資格あり 介護福祉士の資格なし
学歴 大学院・四大卒 短大・専門卒 大学院・四大卒 短大・専門卒
給与 最大32.8万 最大32.8万円 最大24.5万 最大24万円

【SOMPOケア】2023年新卒採用 募集要項(在宅ケア/東京勤務の場合)
介護福祉士の資格あり 介護福祉士の資格なし
学歴 大学院・四大卒 短大・専門卒 大学院・四大卒 短大・専門卒
給与 最大27.8万 最大27.8万 最大21.6万 最大21.5万円

(出典:SOMPOケア 新卒採用サイト「JOBS 募集要項」

入社する会社により、給与に大きく差があるものの、介護福祉士の資格を持っている場合、資格手当として給与が高くなります。

6.介護福祉士の資格を取得する年収アップ以外のメリット

介護福祉士の資格を取得するメリットは年収アップだけではありません。最後に、年収アップ以外のメリットを2つ紹介します。

●キャリアアップに役立てることが可能
介護福祉士は介護のスペシャリストと言える資格であり、就職先から他介護スタッフへの技術指導や助言を行える人材として期待されます。サービス提供責任者や介護主任といった管理職へのキャリアアップに役立てられるでしょう。

●転職時に就職先の選択肢を広げられる資格
介護福祉士の資格取得には介護業務の実務経験3年以上が要件となるため、介護福祉士は即戦力の経験者として高い需要があります。介護福祉士の資格指定や資格者優遇で求人募集するケースは多く、介護福祉士の資格を取得していると、転職で就職先の選択肢を広げられます。

介護職として働き続ける意思がある方は、メリットの多い介護福祉士の資格取得を目指すことがおすすめです。

まとめ

介護福祉士の平均年収は約395万円であり、賞与を含めると年収はさらに高くなる可能性があります。また、介護職の処遇改善を目的とした制度も存在しており、制度を利用する施設で働く場合は年収アップが期待できます。また、介護福祉士は年収アップだけでなく、今後のキャリアアップや転職の際に、就職先の選択肢を広げられるといったメリットのある資格です。

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※当記事は2022年6月時点の情報をもとに作成しています

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