【項目別】デイケアとデイサービスの違い|働く際に役立つ資格も紹介
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デイケアとデイサービスはどちらも「日帰りで通所して介護サービスを受けられる施設・サービス」のことを言いますが、サービス内容をはじめ人員体制や利用料金には違いがあります。
当記事では、デイケアとデイサービスの違いを4つの項目に分けて解説し、働く上で向いている人の特徴や役立つ資格を紹介します。「介護職に関心はあるけど自分に合っているか分からない」という方や「転職に役立つ情報がほしい」と考えている方はぜひお役立てください。
目次
1. デイケアとデイサービスの概要
「デイケア」と「デイサービス」は、いずれも利用者さんが日帰りで通所し、一人ひとりに合った介護サービスを受けられる施設・サービスのことを指します。まずは、デイケアとデイサービスの概要を確認しましょう。
◆デイケアとデイサービスの概要
デイケア (通所リハビリテーション) |
デイサービス (通所介護) |
|
---|---|---|
利用対象者 | 要支援1~2、要介護1~5の認定を受けている方 | |
サービスの 目的 |
【医療ケアが主目的】 ・退院後のリハビリ継続 ・医師がいる環境でのリハビリ利用 ・利用者さんの家族の精神的・身体的負担の軽減 |
【介護ケアが主目的】 ・利用者さんの孤立感解消 ・心身機能の維持 ・自立した日常生活へのサポート ・利用者さんの家族の精神的・身体的負担の軽減 |
定義 | 介護施設や医療機関(病院・診療所)などで心身の機能の維持・回復を図り、理学療法や作業療法、リハビリテーションなどを受けるための施設・サービス | 日常生活のケアや機能訓練を受けるための施設・サービス |
(出典:厚生労働省「通所リハビリテーション(参考資料)」
/
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000168706.pdf)
(出典:厚生労働省「通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護」
/
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000650016.pdf)
2. デイケアとデイサービスの違いとは?
デイケアとデイサービスは、施設・サービスの目的や定義が異なるだけでなく、さまざまな面で異なるポイントがあります。
◆デイケアとデイサービスで異なるポイント
・サービス内容
・提供されるサービスが
「機能訓練」か「リハビリテーション(リハビリ)」か
・人員体制
・利用料金
ここでは、デイケアとデイサービスで異なる上記の4つのポイントについて、それぞれ詳しく解説します。
2-1. サービス内容
デイケアとデイサービスで異なるポイントとして、「提供されるサービスの詳細内容」が挙げられます。
・デイケアの仕事内容、1日のスケジュール
デイケアで働く介護職の役割は、歩行訓練や入浴・排泄介助、食事介助などの利用者さんの生活機能向上のための訓練・ケアとなります。また、医師による診察・アドバイスや看護師によるバイタルチェックなどの健康管理、リハビリ職によるリハビリも行われています。
デイケアの1日のスケジュール(例) | |
---|---|
9:00 | 送迎車などでお迎え |
9:30 | 看護師によるバイタルチェック |
10:00 | ・専門職によるリハビリ ・入浴介助 |
12:00 | 昼食(食事介助) |
13:00 | レクリエーションの実施 |
15:00 | おやつ(食事介助) |
16:00 | 送迎車などでお送り |
17:00 | 活動記録の作成・情報共有 |
・デイサービスの仕事内容、1日のスケジュール
デイサービスで働く介護職は、入浴・排泄介助、食事介助などの日常生活のケアや、機能訓練の実施、レクリエーションの企画・提供といった業務を行います。
デイサービスの1日のスケジュール(例) | |
---|---|
9:00 | 送迎車などで自宅などにお迎え |
9:30 | バイタルチェック |
10:00 | ・入浴介助 ・機能訓練 |
12:00 | 昼食(食事介助) |
13:00 | レクリエーションの実施 |
15:00 | おやつ(食事介助) |
16:00 | 送迎車などでお送り |
17:00 | 活動記録の作成・情報共有 |
2-2. 「リハビリ」と「機能訓練」
「リハビリ」と「機能訓練」はどちらも利用者さん本人が行う運動や作業を指しますが、定義が異なるものであることに注意が必要です。
◆リハビリと機能訓練の違い
リハビリ | 機能訓練 | |
---|---|---|
提供する施設 | デイケア | デイサービス |
担当する職種 | リハビリ職 ・理学療法士 ・作業療法士 ・言語聴覚士 |
リハビリに関する資格がない職種 ・看護師 ・介護職 |
医師の指示の 有無 |
医師の診察・指示のもと、計画的に実施・評価を行う | 医師の診察・指示は基本的に不要 |
主な内容 | 【理学療法】 ・運動療法 ・物理療法 ・基本動作の練習 【作業療法】 ・生活動作の練習 ・社会への適応に向けた作業 【言語聴覚療法】 ・コミュニケーションの練習 ・摂食・嚥下機能の維持・改善 |
・軽度な運動・体操 ・認知機能の維持・向上を目的としたレクリエーション ・指先を動かす個別レク(折り紙、塗り絵など) ・嚥下体操 |
2-3. 人員体制
デイケアとデイサービスでは、スタッフの人員体制(人員配置)にも違いが見られます。
◆デイケアの人員基準
職種 | 配置基準 |
---|---|
医師 | 1名以上(専任かつ常勤) |
従事者 ・理学療法士 ・作業療法士 ・言語聴覚士 ・看護師 ・准看護師 ・介護職 |
単位ごとに利用者10名あたり1名以上 ※理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は単位ごとに利用者100名あたり1名以上 |
◆デイサービスの人員基準
職種 | 配置基準 |
---|---|
生活相談員 | 事業所ごとに1名以上(専従) |
看護職員 | 単位ごとに1名以上(専従) |
介護職 | ・利用者さんの数が15名以内...1名以上 ・利用者さんの数が16名以上...(1+利用者数×0.2)名以上 |
機能訓練指導員 | 1名以上 |
医療ケアを主な目的とするデイケアでは、医師や看護師、リハビリ職などの人員基準が厳密に定められています。一方、デイサービスは介護ケア寄りであり、介護職に関する人員基準が細かく設定されている点が特徴的です。
(出典:厚生労働省「通所リハビリテーション(参考資料)」
/
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000168706.pdf)
(出典:厚生労働省「通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護」
/
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000650016.pdf)
2-4. 利用料金
デイケアは専門的な医療ケアが手厚いことから、要介護度が同じ場合、デイサービスの利用料金(加算される介護報酬)よりも高額となります。7時間利用した場合を例に、それぞれの費用について確認しましょう。
◆デイケア・デイサービスの利用料金(利用時間7時間・自己負担1割の場合)
介護保険の等級 | デイケア | デイサービス |
---|---|---|
要介護1 | 710円 | 581円 |
要介護2 | 844円 | 686円 |
要介護3 | 974円 | 792円 |
要介護4 | 1,129円 | 897円 |
要介護5 | 1,281円 | 1,003円 |
(出典:厚生労働省「介護報酬の算定構造」
/
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000728262.pdf)
3. デイケアとデイサービスには「働くことに向いている人」も違いがある
デイケアとデイサービスは、いずれもサービス提供時間が日中であることから、日勤のみの働き方を希望している方におすすめです。しかし、デイケアとデイサービスでは提供するサービス内容も異なるため、「働くことに向いている人」も異なる点に留意しましょう。
◆デイケアで働くことに向いている人
・医療ケアやリハビリに関する知識を学びたい方
・介護スキルの応用力を磨きたい方
・多職種とのコミュニケーションがとれる方
医療ケアやリハビリを提供しているデイケアでは、医師や看護師、リハビリ職と連携して仕事をする必要があります。他の職種とコミュニケーションをとる中で、介護業界を中心とした専門的な知識やスキルを身につけたい方におすすめです。
◆デイサービスで働くことに向いている人
・さまざまな介護度に対応できる介護知識・スキルを身につけたい方
・利用者さんとの交流が好きな方
デイサービスでは幅広い介護度の利用者さんに対応します。多様な利用者さん・ケースを担当できるため、幅広い介護知識・スキルを身につけたい方におすすめです。また、介護職が利用者さんと接する機会も多いため、利用者さんと積極的にコミュニケーションをとりたい方は楽しく仕事をこなせるでしょう。
4. デイケアまたはデイサービスで働く際に役立つ資格
デイケアやデイサービスで介護職として働くために必須の資格はありません。しかし、資格を取得することで介護に関する知識やスキルを学ぶことができ、就職・転職や昇進、手当などで有利に働く場合があるというメリットがあります。介護職として働く上で役に立つ資格をチェックし、資格取得に向けてチャレンジしてみましょう。
◆介護職に役立つ資格
介護職員初任者研修 |
---|
介護職の入門的な資格であり、介護に関する基本的な知識やスキルを学べます。誰でも受講可能な研修を受け、修了試験に合格すれば取得できます。 |
(出典:厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について」
/
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/kaigoinnyouseikennsyuu.pdf)
介護福祉士実務者研修 |
---|
介護職員初任者研修の次のステップとして位置付けられている資格であり、より専門的な知識・スキルを学べます。無資格・未経験の方でも受講可能ですが、初任者研修を修了した方は一部科目が免除されるというメリットがあります。また、介護福祉士の資格取得を目指す上で重要な資格であるため、計画的な受講を心がけましょう。 |
(出典:近畿厚生局「介護福祉士実務者研修に関するよくあるご質問Q&A」
/
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kinki/faq/yousei.html)
介護福祉士 |
---|
介護関連資格で唯一の国家資格です。実務経験ルートでは「3年以上の実務経験」「実務者研修修了」の要件を満たした上で、国家試験に合格する必要があります。 |
(出典:厚生労働省「ページ4:介護福祉士の概要について」
/
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/shakai-kaigo-fukushi1/shakai-kaigo-fukushi4.html)
まとめ
デイケアとデイサービスはどちらも、利用者さんが日帰りで通所し、一人ひとりに合った介護サービスを受けられる施設・サービスを指します。デイケアは医師がいる環境でのリハビリといった医療ケアが主な目的で、デイサービスは自立した日常生活へのサポートなど介護ケアが主目的です。
利用料金はデイサービスよりデイケアの方が専門的な医療ケアが手厚いため高い傾向があり、働く上で役立つ資格には「介護職員初任者研修」「介護福祉士」などがあります。
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※当記事は2022年9月時点の情報をもとに作成しています
介護・福祉業界の転職事情|仕事の種類・平均給与・おすすめの資格
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