訪問介護の給料相場は?福利厚生の特徴や給料アップを目指す方法も
訪問介護とは、訪問介護員が利用者さんの居宅を訪問し、生活援助や身体介護などを行うサービスです。訪問介護の給料相場は、常勤の場合、月給31万円程度となっています。ただし、雇用形態・役職の有無・就職先によって異なることも把握しておきましょう。
この記事では、訪問介護の給料相場を4つの観点で紹介し、福利厚生や給料アップを目指す方法にも触れます。これから訪問介護業界で働きたいと考える介護職の方は、ぜひご一読ください。
目次
1. 訪問介護とは?
訪問介護とは、ホームヘルパーなどの訪問介護員が利用者さんの居宅を訪問して、入浴や排泄などの介護や、調理や掃除などの家事を提供するサービスです。介護施設とは異なり、在宅介護をされている方にもおすすめの介護サービスとなります。訪問介護のサービス内容は、以下の通りです。
訪問介護のサービス内容
●生活援助
●身体介護
●通院時の乗車と降車などの介助
生活援助では、利用者さんの日常生活の援助や、洗濯や買い物などを本人に代わってさまざまなお世話をします。身体介護では、利用者さんの身体に直接触れて行う介助です。身体介護には食事や排泄などの援助がありますが、自立目的や重度化を防止する意味もあります。また、通院時の乗車や降車などの介助では、乗車前や降車後の移動の介助です。通院先の受診にも付き添い、手続きも行います。
2. 訪問介護の給料相場
訪問介護で働く方や、訪問介護への転職を検討している方は、あらかじめ給料相場を知っておくのが大切です。訪問介護の給料相場は、雇用形態や給与形態によって変わります。また、相場を知ることで、職場の現状や今後の転職先を判断する目安になります。
ここからは、雇用形態や給与形態に分けて、給料相場を紹介します。
2-1. 月給の場合
月給の場合は、雇用形態つまり、正社員とされる常勤か、パートなどの非常勤かで給料が異なります。詳しい金額は、以下の通りです。
訪問介護事業所の平均月給(月給の場合)
常勤 | 314,590円 |
---|---|
非常勤 | 201,120円 |
(引用:厚生労働省「和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」
/
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/21/index.html)
常勤は非常勤と比べて、労働時間が長かったり、責任のある仕事を任されたりなど、業務内容にも違いがあります。また、当調査による平均月給は、基本給にボーナスなどの各種手当などを含めた額面金額です。実際の手取り金額は、保険料や税金を差し引いた金額になります。
2-2. 時給・日給の場合
日給の場合、平均給料は以下の通りです。
訪問介護事業所の平均月給(時給の場合)
常勤 | 236,910円 |
---|---|
非常勤 | 93,960円 |
(引用:厚生労働省「和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」
/
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/21/index.html)
常勤と非常勤を比較すると、勤務時間が異なるため、給料にも差が生じます。一般的には常勤のほうが月に10日程、勤務日数が多い傾向です。また、手取り金額では、月給と同様に保険料などを差し引いた後の金額になります。
時給の場合の平均月給は次の通りです。
訪問介護事業所の平均月給(日給の場合)
常勤 | 262,650円 |
---|---|
非常勤 | 111,820円 |
(引用:厚生労働省「和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」
/
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/21/index.html)
給料の差には、勤務時間が直結しています。常勤の勤務時間は、平均約169時間に対して、非常勤の勤務時間は、平均約56時間です。勤務時間の差によって、給料の金額が大きく異なります。
2-3. サービス提供責任者の場合
サービス提供責任者とは、訪問介護サービスを提供するにあたって、ケアマネジャーや訪問介護員との連絡や調整をするコーディネーターの役職を指します。仕事内容は、ケアマネジャーが作成したケアプランをもとに、訪問介護の計画立案や訪問介護員への指示・指導をすることが中心です。
コーディネーター業務を行うサービス提供責任者の月給は、責任者であるか否かによって違いがあります。
訪問介護事業所の平均月給(月給の場合)
サービス提供責任者 | 327,020円 |
---|---|
サービス提供責任者でない | 296,770円 |
(引用:厚生労働省「和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」
/
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/21/index.html)
サービス提供責任者は、いわゆる「管理職」の立場です。サービス提供責任者として就職したり、昇格したりした場合に給料がアップするかどうかは、押さえておきたいポイントと言えます。
2-4. 法人種別ごとの給料相場
訪問介護事業は、法人のもとで運営されます。以下では、法人の種類ごとの給料相場を解説します。
訪問介護事業所の法人種別ごとの平均月給(月給の場合)
社会福祉協議会 | 310,970円 |
---|---|
社会福祉法人 | 315,380円 |
医療法人 | 329,160円 |
営利法人 | 315,860円 |
その他 | 296,190円 |
(引用:厚生労働省「和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」
/
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/21/index.html)
上記の中では、医療法人の訪問介護サービスで働く場合、平均月給が比較的高いと読み取れます。なお、平均月給は、基本給に手当や一時金などを含めた額面金額です。実際の手取り金額は、税金などを差し引いた金額になります。年収も同様に額面金額の7.5〜8.5割の金額が、おおよそ手取りでもらえる給料と把握しておきましょう。
3. 訪問介護の福利厚生
福利厚生とは、従業員や家族の生活を支える目的で、雇用側が用意した制度などを指します。正社員からパートまでが、福利厚生の対象になります。長期的に働きたい場合や、働きやすい環境に身を置きたい場合は、福利厚生をあらかじめチェックしておくことが大切です。
訪問介護の福利厚生には、以下のような内容があります。
●福利厚生の例
●社会保険
●通勤手当
●育児休暇制度
●介護休職制度
●退職金
●資格研修サポート
●慶弔見舞金制度
●予防接種還付金
●短時間正社員制度
訪問介護の福利厚生には、法律で決められた社会保険などの法定福利厚生と、企業独自の法定外福利厚生の2種類があります。法定外福利厚生には、通勤手当や住宅手当などが該当します。
4. 訪問介護で給料アップを目指すには?
訪問介護の給料は、職場や働き方、自身の経歴や保有資格によって異なります。入職してすぐは、満足のいく給料が得られなくても、経験を積むことにより給料アップを目指せます。
より高い給料を得たいと考える方は、給料アップにつながる働き方や行動を心がけましょう。
ここでは、給料の上げ方をいくつか紹介します。
4-1. 資格を取得する
介護業界では、保有する資格に応じて手当がつくことが少なくありません。訪問介護に従事する方の資格には、以下のようなものが挙げられます。
●介護職員初任者研修
●介護福祉士実務者研修
●介護福祉士
他には、過去に取得したヘルパー2級・1級などの資格も役に立ちます。資格の難易度に応じて手当の内容が変わることもあるため、今持っている資格の上位資格の取得を目指すこともおすすめです。
4-2. 管理職を目指す
管理職を目指すことで、管理職手当などによる給料アップを目指せます。訪問介護事業では「常勤の管理者」「サービス提供責任者」「訪問介護員」という3つの職種の配置が定められています。管理職には、常勤の管理者とサービス提供責任者が該当します。
●常勤の管理者
●訪問介護事業所に1人配置
●サービス提供責任者やケアマネジャーなどと兼任が可能
●資格要件なし
●サービス提供責任者
●訪問介護事業所で利用者さん40人ごとに1人配置
●介護福祉士、介護福祉士実務研修どちらかの資格必要
常勤の管理者には、資格要件はありませんが、介護福祉士やケアマネジャーなどの資格があるとキャリアアップにつながるでしょう。
4-3. 早朝・深夜シフトを選ぶ
訪問介護では日勤が中心ですが、早朝や夜遅い時間帯にサービスを提供している施設や、24時間体制の施設もあります。早朝や夜間に勤務すると、時間外手当や夜勤手当がもらえるため、給料がアップする可能性が高いと言えます。
4-4. 待遇の良い職場に転職する
一般企業と同じく訪問介護においても、事業所が変われば給料や福利厚生などの待遇が異なります。もし、現在の事業所が業務内容に対して、待遇が見合わないのであれば、転職も検討してみましょう。ただし、給料や福利厚生だけで転職先を決めるのではなく、以下の内容を把握するのもポイントです。
●就業時間
●法人規模
●通勤距離と時間
●法人理念
また、現在パートなどの非常勤で働いている方は、正社員を目指すのもおすすめです。
まとめ
訪問介護の給料は、給与形態や雇用形態によって変わります。また、サービス提供責任者になると、給料が上がるのも特徴です。訪問介護で給料を上げるには、上位資格を取得したり、正社員や管理職を目指したりなど、長期的な目標を持つことが大切です。
また、事業所の選び方も重要となります。転職をする際に応募先選びに悩んだ場合は、プロの力を借りると安心です。「マイナビ介護職」では、介護業界に精通したキャリアアドバイザーによる転職サポートや、非公開求人の紹介などを実施しておりますので、ぜひご活用ください。
※当記事は2022年11月時点の情報をもとに作成しています
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