生活相談員の転職でカギとなる志望動機のまとめ方と面接での伝え方

公開日:2019.09.18 更新日:2025.04.15

施設の顔として、利用者さんとその家族に接し、ケアマネージャーや介護士、医療関係者、行政の福祉担当者との連絡・調整も担う生活相談員は、介護施設にとって欠かせない存在です。さまざまな人々と関わる分、やりがいも大きく、介護福祉士からのキャリアアップ先として目指す方も少なくありません。

この記事では、生活相談員として希望の職場に転職するときに重要となる、志望動機のまとめ方と面接での伝え方を例文を交えて紹介します。生活相談員に求められるスキルも紹介しているため、現在転職を考えている方はぜひ参考にしてください。

1. 生活相談員はどのような人材が求められているのか

生活相談員は、利用者さんや家族の相談にのり、ケアマネージャーや介護スタッフ、ときには施設や医療機関、行政とも連携しながら、必要な支援を実現していくことが仕事となります。その性質上、次のような人材が求められる傾向があります。

1-1. コミュニケーション能力が高い

生活相談員の仕事は、施設の利用者さんや家族の相談を聞くことから始まります。話を聞き、相手がどうしても伝えたい、「これだけは譲れない」点は何かを掴むという聞く力は、生活相談員にはなくてはならない能力です。

また、連絡調整役として第三者に依頼したり説得したりする場面も多いことから、話す力も含めた総合的なコミュニケーション能力がとても大切になります。

1-2. 相手の立場から考えられる

生活相談員は、利用者さんからの相談を聞き、できる限り本人が希望する介護を受けられるようにサポートをすることが求められます。そのため、相手の立場に立って考え、親身になれる人物が歓迎されます。

1-3. チームで働く調整力がある

利用者さんが望む介護サービスの提供は、1人でできるものではなく、実現するにはケアマネージャーをはじめ介護に関わるさまざまなスタッフの協力が必要になります。生活相談員は連携の要となるポジションなので、チームワークや調整力は必須です。

1-4. 責任感がある

生活相談員は利用者さんやその家族に直接接する場面が多く、対応次第で利用者さんの介護サービスへの満足度が変わることも少なくありません。責任感を持って仕事に向き合える方が向いているでしょう。

なお、これらの資質があるかに加えて、同じ施設で長く働けるかどうかという点も、転職の際の大きなポイントになります。

2. 生活相談員に必要なスキル

生活相談員は、利用者さんやそのご家族、施設スタッフ、外部機関など多くの人と関わりながら業務を行う職種です。これらの業務を円滑に進めるためには、さまざまなスキルが必要です。以下では、生活相談員の方に求められる3つの重要なスキルについて解説します。

2-1. 傾聴力

傾聴力は、生活相談員にとって不可欠なスキルです。傾聴力とは、単に話を聞くことではなく、相手の話の背景や感情を深く理解する能力を指します。傾聴力が重要な理由は、生活相談員が利用者さんやそのご家族の話を聞き取り、必要な支援を提供するためです。利用者さんが抱える問題や希望を正確に把握できると、より適切なサポートが可能になります。

傾聴の目的は、相手を理解することです。積極的に話を聞く姿勢を持ち、相手の言葉だけでなく、表情や態度からも情報を読み取らなければなりません。傾聴力がある人は、相手の話を簡潔に要約し、共感を示すことが得意です。利用者さんやそのご家族と良好な人間関係を築きやすい上、施設内外の関係者とのコミュニケーションや連携もスムーズに行えるようになります。

2-2. 柔軟性

柔軟性もまた、生活相談員にとって重要なスキルです。柔軟性とは、意見や立場の違いを理解した上で、自分の考えに固執せずに他者の意見を受け入れ、必要なら自分の考えを修正する力です。生活相談員は、利用者さんやそのご家族、施設のスタッフなど、さまざまな人々と関わります。各々の立場や意見を尊重しながら、最適な解決策を見付けるためには柔軟性が不可欠です。

介護の現場では、利用者さんの状況に応じて介護プランを変更したり、予期しない事態に迅速に対応したりする場面が少なくありません。柔軟な対応は、利用者さんのニーズに応じたサービス提供や、チーム内のスムーズな協力関係を築く上で重要です。 また、新しい考え方や方法を取り入れられる柔軟性があれば、業務の効率化や改善も図れます。

2-3. マニュアル作成力

生活相談員にはマニュアル作成力も必要です。生活相談員の担当する業務は多岐にわたる上、それぞれの利用者さんが求めている内容も異なります。マニュアルは、業務の手順や注意点を標準化し、常に一定の品質で業務を遂行できるようにするためのものです。

それぞれの利用者さんの特徴や求めている内容をまとめた、自分なりのマニュアルがあれば、担当になってもスムーズに業務を遂行でき、ミスの防止にもつながります。新人が配属された際も業務内容を迅速に理解しやすくなるため、教育の効率も向上するでしょう。業務手順やルールに変更があった場合は即座にマニュアルを更新し、常に最新の情報を把握することが重要です。マニュアルにより業務の効率化と質の向上が図られれば、利用者さんに対するサービスの質も高まります。

3. 志望動機のまとめ方

生活相談員に求められる資質が備わっており、長く働く意欲があることを、企業側にきちんと理解してもらうには、履歴書や面接で自分の思いをしっかりと伝えられるような志望動機にまとめておくとよいでしょう。

志望動機をまとめるときには、次のようなポイントを押さえておくのが重要です。

3-1. なぜ生活相談員を希望するのかを考える

志望動機を考える上で出発点となるのは、生活相談員になりたいと思った理由です。「困っている人の力になりたい」「人の役に立つ仕事がしたい」など、自分の気持ちに沿った回答を考えることが大切です。

3-2. 生活相談員を選ぶ理由を掘り下げる

なぜ生活相談員を希望するのかという質問に対する答えには、「支援を必要としている人の力になりたい」など、一般の介護職やケアマネージャーといった介護職全般に通じるものであることが少なくありません。もう1歩掘り下げて、他の介護職種ではなく、生活相談員を選ぶ理由まで考えてみましょう。

生活相談員は、利用者さんと施設の介護スタッフ、地域の介護サービスのあいだの橋渡し役、連絡・調整役であるという特徴を踏まえて、積極的に役割を果たしていくための思いをまとめていきます。

3-3. 自身の強みやキャリアを整理する

過去のキャリアを振り返り、生活相談員に求められる人物像に、該当するような経験があるかを考えてみましょう。たとえば、「5年間介護福祉士として、一人ひとりの利用者さんに寄り添った介護を行ってきた」のであれば、責任感やコミュニケーション能力といった強みをアピールできます。

3-4. なぜこの施設を選んだのかを考える

生活相談員になりたいという熱意を伝えるだけでは、採用担当者に「うちでなくてもいいのでは?」と思われてしまいがちです。志望動機では、なぜ応募先の企業を選んだのかにも触れておきましょう。

採用後どのようにキャリアアップしたいのかという、自身の未来像まで具体的に話せれば、長く企業で働きたいという思いを伝えることにつながります。

3-5. 具体的なエピソードを交えて分かりやすく伝える

志望動機をまとめる際には、抽象的な表現ではなく、できる限り具体的なエピソードを入れることがコツです。たとえば「コミュニケーション力には自信があります」というだけでは自称にすぎず、なかなか採用側には響きません。

しかし、「レクリエーションの際に歌や劇などの出し物を考え、メンバーと協力して利用者さんが楽しい時間を過ごせるよう努めてきました」といったエピソードがあれば、コミュニケーション能力の高さをアピールできます。

また、現場リーダーを務めるなど、コーディネーターとしての経験があれば、さらに大きな強みになります。

4. 【例文付き】生活相談員の転職に合った志望動機

生活相談員の転職において、志望動機の書き方は特に重要です。志望動機は、自分の経験やスキルを具体的にアピールし、採用担当者に自分がどのような人物かを理解してもらうためのものです。

以下では、生活相談員の転職に使える志望動機を、4つのパターン別に解説します。各例文を参考に自分の状況に合わせて適宜調整し、活用してください。

4-1. 自分の過去の経験を生かした志望動機

過去の経験を生かした志望動機を書く際には、自分のこれまでの経歴を振り返り、その中で生活相談員として生かせるスキルや経験を具体的に示すことが重要です。 具体的なエピソードを交えて、自分の強みをアピールしましょう。

【自分の過去の経験を生かした志望動機の例文】

私はこれまで特別養護老人ホームで10年間、介護職として働いてきました。利用者さんの生活を支える中で、特にやりがいを感じたのが相談業務です。利用者さんやそのご家族の不安を解消することに喜びを感じていました。

この経験を通じて特に重要性を痛感したのが、利用者さんやそのご家族とのコミュニケーションです。利用者さんの不安や悩みを解消するために、じっくりと話を聞き、適切な支援を提供することが大切だと考えています。生活相談員として、私の強みである傾聴力と問題解決能力を発揮し、利用者さんの生活をよりよくするために尽力したいと思います。

4-2. 異業種から転職するときの志望動機

異業種からの転職では、これまでの経験がどのように生活相談員の業務に役立つかを明確に示すことがポイントです。 前職で培ったスキルを具体的に述べ、それが新しい職場でどのように生かせるかを説明しましょう。

【異業種から転職するときの志望動機の例文】

私はこれまで10年間、営業職として働いていました。営業職で求められたのは、顧客のニーズを正確に把握し、最適な提案をすることです。私は、お客様とのコミュニケーションを大切にし、信頼関係を築くことに注力してきました。この経験を通じて、相手の話をしっかりと聞き、問題解決に向けて協力するスキルを身に付けられたと考えています。

介護職に興味を持ったのは、去年他界した祖母がお世話になった施設の方の印象が非常によかったためです。介護業界は未経験ですが、営業職で培った傾聴力と提案力を生かし、利用者さんやそのご家族に寄り添った支援を提供できる生活相談員として活躍したいと考えています。

4-3. 自分の将来やキャリアと関係した志望動機

将来のキャリアプランに基づく志望動機では、自分の目標やビジョンを明確にし、それに向かってどのように努力していくかを具体的に述べることが重要です。 自分がその職場でどのように成長し、貢献していきたいかを示しましょう。

【自分の将来やキャリアと関係した志望動機の例文】

私はこれまで介護職員として5年間勤務し、介護福祉士の資格も取得しました。利用者さん一人ひとりに寄り添い、その方々の生活を支える中で、より広い視野で支援を行える生活相談員としての仕事内容に魅力を感じるようになりました。

将来的には、介護施設や事業所の運営にも関わりたいと考えており、生活相談員としての経験を積みたいと思っています。生活相談員は、利用者さんやそのご家族の窓口となり、施設全体の調整役を担う重要なポジションです。これまでの介護職経験で培ったコミュニケーション能力を生かし、利用者さんに信頼される生活相談員として、施設の運営に貢献したいと考え、志望いたしました。

4-4. 自分の資格を強調した志望動機

資格を持っていることを強調する志望動機では、資格取得の背景やそれに伴う経験を具体的に述べ、それがどのように生活相談員の業務に役立つかを説明します。 資格と経験をアピールし、現場で活躍する未来をイメージしてもらいましょう。

【自分の資格を強調した志望動機の例文】

私は大学時代に社会福祉士の資格を取得し、その後、放課後等デイサービスで児童指導員として5年間働いてきました。子どもたちの問題に真摯に向き合い、解決に導く経験を通じて、傾聴力と問題解決能力を磨けたと自負しています。

これらの経験と資格を生かし、今度は高齢者の方々を支える生活相談員として貢献したいと考え、貴社に応募いたしました。資格に裏付けされた知識と実務経験をもって、利用者さん一人ひとりに寄り添い、最適な支援を提供していきたいと思います。

5. 生活相談員が転職に成功するポイント

生活相談員の方が転職に成功するためには、いくつかのポイントを押さえることが重要です。まず、仕事の目的やキャリアビジョンを明確にし、転職先でどのような働き方をしたいのかをはっきりさせましょう。また、事前に職場見学や説明会に参加して、実際の職場の雰囲気や職員の働き方を確認することも大切です。現在の仕事と並行して転職活動を行えば、生活費の心配や空白期間が発生しません。

転職エージェントを利用すると、多くの求人情報から自分に合った職場を見付けやすくなります。転職エージェントなら、キャリアアドバイザーが面接対策や条件交渉をサポートしてくれるため、効率的に転職活動を進めることが可能です。転職エージェントをうまく活用し、理想の職場を探しましょう。

生活相談員が「辞めたい」と思ったときに考えたい今後のこと

6. 面接では何をアピールするべきか?

「志望動機」「将来のビジョン」、そして「前職の退職理由」の3つは、面接で聞かれることの多い質問です。大切なのは、3つが矛盾なく、一貫性があることです。志望動機に合わせて、将来のビジョンと退職理由を伝える際のポイントについて紹介します。

6-1. 将来のビジョン

採用後のキャリアプランについて述べることで、やる気や長く勤める意思をアピールできます。生活相談員の仕事内容に沿って、どのように成長していきたいかを具体的に話しましょう。

たとえば、管理者としてキャリアアップしていきたい、ケアマネジャー資格の取得を目指している、などの具体的なビジョンを伝えるのがおすすめです。この際には、自分の志望動機と方向性を合わせてください。「相談業務にやりがいを感じる」と伝えたにもかかわらず、直接的な相談が業務に含まれないキャリアを目指していると、違和感をおぼえてしまいます。

6-2. 前職の退職理由

転職の場合、基本的には素直に退職理由を答えればOKです。しかし、前職への恨み言や不満を話したり、「人間関係に疲れたから」など、後ろ向きなものを答えたりするのはおすすめできません。 好印象を与えない上に、企業側にも「採用後にも同じように不平を言う人間なのでは?」と思われます。

一般の介護職から生活相談員への転職であれば、「キャリアアップのため」「一般職の職分では利用者さんをサポートしきれない点に歯がゆい思いがあった」など、志望動機とリンクするものにしぼることがおすすめです。

なお、面接の最後に「何か聞いておきたいことはありますか?」と逆質問の機会をもらえる場合があります。このとき、給与や休みなどの条件面について率直に質問したり、「特にありません」とせっかくの機会をふいにしたりすることもおすすめできません。職場の様子や教育体制などについて質問し、意欲をアピールしておきましょう。

7. 面接対策にマイナビ介護職をご活用ください

生活相談員を目指すときに、重要となるのが志望動機です。しかし、志望動機の掘り下げや面接での受け答えの練習を、1人で行うのは容易ではありません。

マイナビ介護職では、専門のキャリアアドバイザーがキャリアプランの相談から志望動機のブラッシュアップ、面談のセッティング、面接対策までをサポートしております。自分の希望条件に沿った転職先を探している方や転職を迷われている方は、ぜひマイナビ介護職をご活用ください。

※当記事は2024年7月時点の情報をもとに作成しています

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