社会福祉士の月収や年収はいくら?
社会福祉士は、おもに福祉に関わる相談業務を行います。多くは、病院や施設などで生活相談員や支援相談員として働いています。平成28年度介護従事者処遇状況等調査によると、生活相談員・支援相談員の月収は約21万円、年間賞与や特別手当を含んだ年収は約380万円となります。同じ国家資格の介護福祉士に比べると、やや高いと言えるでしょう。
社会福祉士は、高齢者福祉の分野だけでなく、障害者施設や児童分野など、福祉に関わる現場で幅広く活躍しています。社会福祉協議会や福祉事務所などの公務員としての採用もあり、安定した給料を得ることもできます。ほとんどの職場で資格手当がつきます。
以下は、厚生労働省が発表した「平成29年賃金構造基本統計調査」から抜き出した、福祉施設介護員の年齢別、性別の平均給与です(事業所規模10人以上例)。勤務年数を問わず、全体の平均で、年間賞与やその他の特別手当は含みません。また、社会福祉士としての資格手当が加味されていないため、実際にはもう少し高い給与となるでしょう。
20~29歳 | 30~39歳 | 40~49歳 | 50~59 | |
男性 | 211,300円 | 245,100円 | 246,700円 | 240,400円 |
女性 | 206,200円 | 217,100円 | 219,800円 | 215,700円 |
社会福祉士の初任給はどれくらい?
社会福祉士の初任給は、職場や地域による差は大きくありません。介護業界大手の求人例を見てみると、ツクイの場合、大卒の初任給は20万5千円、専門・短大卒で20万円となっています。また、セコムの場合は19万5千円と、20万円前後が平均と言えるでしょう(2018年8月現在、該当企業の新卒採用サイト参照)。社会福祉士の資格がなくても相談員の仕事はできるため、社会福祉士1年目でもそれまで相談員の仕事を行っている場合には、これまでの給料に資格手当がつく場合がほとんどです。
社会福祉士が公務員として働く場合は、福祉職俸給表による給料が支給されます。福祉職俸給表の最低額は約15万5千円と決して高くはありません。ただし、社会福祉士は大卒者がほとんどですので、実際の給料はもう少し高くなるでしょう。
社会福祉士が昇給する可能性はどれくらい?
公務員の社会福祉士の場合は、毎年昇給するため在籍期間が長くなるほど給料は高くなっていきます。転職しない限りは、長く安定した収入を得ることができるでしょう。
また、民間の介護施設や病院なども、経験を重ねることで少しずつ昇給します。病院では社会福祉士の資格取得者を相談員として採用することが多い傾向にあります。しかし、介護施設や障害者施設などでは社会福祉士の資格を持っていなくても相談員に採用しているケースもあり、介護職からのキャリアアップと位置づけられていることもあります。職場によっては他の福祉関連資格も取得して資格手当をもらい、昇給する可能性も考えられるでしょう。
独立型社会福祉士という働き方もできる
社会福祉士の働き方は、会社に所属するだけではありません。実は、社会福祉士は独立して事務所を構えることができる資格です。日本社会福祉士会でも養成研修を行うなど、独立型の社会福祉士を後押ししています。とはいえ、独立型社会福祉士として開業し活躍している人の数は少なく、正確なデータはまだ存在していないのが現状です。
独立した場合の主な業務は、成年後見人制度における支援と相談になります。成年後見人制度を活用する人は年々増えてきているものの、身内でも後見人になりたくないという人もいるため、後見人の数は足りていません。今後、成年後見人制度を利用する人はますます増えることが予想できることから、独立型社会福祉士も増加していくことでしょう。独立型の報酬は、初回の相談料は無料、2回目から料金が発生するケースが多く、収入は年間の相談件数や1件当たりの料金設定によって左右されます。
まとめ
社会福祉士の給料は、資格取得までの難易度の高さに比べると、決して高いとは言えません。しかし、公務員として採用されれば、安定した給料を得ることが可能です。また、現在はまだ少数派の独立型社会福祉士も今後は増えていくことが予想され、将来的には年収が高くなる可能性もありそうです。