介護職員基礎研修とは?ヘルパー2級との違いやキャリアアップの道を解説

介護士の仕事に興味のある方の中には「介護職員基礎研修とはどのような資格?」と疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。介護職員基礎研修は、介護サービスの質を高める目的で導入された上級レベルの研修でしたが、現在は廃止されています。しかし、その背景を知らないと現在の資格体系との関係が分かりづらく、「介護関連の学習をどこから始めればよいのか」「自分のキャリアに何が必要か」と迷ってしまうこともあるでしょう。
当記事では、介護職員基礎研修が作られた経緯や廃止の理由、ホームヘルパー研修との違い、キャリアアップにつながる資格について解説します。資格制度の変遷を理解することで、効率的にキャリアを積むためのルートを描けるでしょう。
目次
1. 介護職員基礎研修とは?
介護職員基礎研修とは、介護職として働くために必要な基礎的な知識・技術を身につけることを目的とした研修です。介護サービスの質を高めるため、対人援助の理念や専門職としての基本姿勢を体系的に学べる内容となっていました。
実施主体は都道府県で、受講者の対象は介護福祉士資格を持たない介護職の方や、これから介護職を目指す方です。現在、この研修は廃止されています。
(出典:厚生労働省「介護職員基礎研修について」
/
https://www.mhlw.go.jp/topics/2008/02/dl/tp0228-1a.pdf)
1-1. 制度が作られた背景
介護職員基礎研修は、介護職員の専門性を高め、介護サービスの質を向上させることを目的として2006年に創設されました。少子高齢化の進行により、認知症高齢者や一人暮らしの高齢者が増加する中、安定した介護人材の確保と質の高い支援体制が求められたことが背景にあります。
介護職員基礎研修では、講義・演習360時間と実習140時間の計500時間を通じて、生活支援の理念、疾病や障害の理解、コミュニケーション技術などを体系的に学習できる内容が整備されました。修了者は訪問介護員やサービス提供責任者として専門性を発揮することが期待されていましたが、制度改正により介護職員基礎研修は2013年に廃止されました。
(出典:厚生労働省「介護職員基礎研修について」
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https://www.mhlw.go.jp/topics/2008/02/dl/tp0228-1a.pdf)
1-2. 介護職員基礎研修は実務者研修に一本化
介護職員基礎研修は制度改正により廃止され、現在は「介護福祉士実務者研修」に一本化されています。旧ホームヘルパー2級は介護職員初任者研修として位置付けられ、在宅・施設のどちらでも基本となる知識・技術を習得できる研修に再編されました。
実務者研修は450時間に見直され、介護福祉士を目指す方に必須の内容として、働きながら受講しやすいよう通信教育や既受講研修の読み替え制度も整備されています。
(出典:厚生労働省「今後の介護人材養成の在り方について」
/
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/care/dl/care_16.pdf)
2. 介護職員基礎研修が廃止された理由と経緯
介護職員基礎研修が廃止された主な理由は、介護業界のキャリアパスを分かりやすく整理するためです。「介護職員初任者研修→介護福祉士実務者研修→介護福祉士」という明確な成長ルートを示し、研修体系の複雑さを解消することが主な目的です。この方針に基づき、介護職員基礎研修とホームヘルパー1級は廃止され、より包括的な学習内容を備えた介護福祉士実務者研修へ統合されました。
また、実務者研修は介護職員初任者研修で学ぶ内容を含むため、訪問介護の業務にも従事できるよう整理されました。こうした制度改正により、資格取得の流れが一本化され、介護職として段階的にステップアップしやすい仕組みへと再編されています。
(出典:厚生労働省「1 福祉・介護人材確保対策について」
/
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/tannokyuuin/dl/tannokyuuin_20130311_1.pdf)
(出典:厚生労働省「今後の介護人材養成の在り方について」
/
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/care/dl/care_16.pdf)
3. ホームヘルパー2級との違いを分かりやすく整理
介護職員基礎研修とホームヘルパー2級は、いずれも介護の基礎を学ぶ研修ですが、目的や位置付け、学習内容には大きな違いがあります。ここでは、両者の特徴を整理します。
■資格体系の違い
介護職員基礎研修は単独で設置され、介護職として幅広い知識を身につけるための専門的な研修として位置付けられていました。一方、ホームヘルパー制度は3級・2級・1級の段階に分かれており、1級を受講するには2級の修了が必要でした。このように段階的にスキルを積み上げる仕組みで、訪問介護における成長ルートが明確でした。
■目的の違い
介護職員基礎研修は介護業務全般を深く理解し、施設・在宅のどちらでも対応できる介護職員を育成することが目的でした。対してホームヘルパー2級は、訪問介護員として必要な基本スキルを身につけることに特化しており、在宅介護における支援の基礎を学ぶ研修でした。
■時間数・学習範囲の違い
介護職員基礎研修は合計500時間と長時間のカリキュラムで、認知症ケアや医療・看護との連携など高度な内容を含む上級レベルでした。一方、ホームヘルパー2級は130時間で修了できる初級レベルの研修で、介護従事者に必要な基本的知識と技術を短期間で習得する内容でした。
(出典:厚生労働省「介護職員基礎研修について」
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https://www.mhlw.go.jp/topics/2008/02/dl/tp0228-1a.pdf)
(出典:厚生労働省「訪問介護員養成研修2級課程(130時間)と介護職員基礎研修(500時間)のカリキュラム比較」
/
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/03/dl/s0329-7e_0003.pdf)
4. 介護職員基礎研修修了者は実務者研修が一部免除に
介護職員基礎研修を修了している場合、実務者研修の一部科目が免除される可能性があります。これは、実務者研修が過去に実施されてきた研修内容を科目単位で読み替える仕組みを設けており、一定の内容・質・時間数が担保された研修を終了していれば、実務者研修の実施者が修了認定を行えるためです。
実務者研修では「人間の尊厳と自立」「介護の基本」「生活支援技術」「介護過程」「認知症の理解」など多くの科目が設定されており、介護職員基礎研修はこれらの複数科目に相当する内容を含んでいます。そのため、介護職員基礎研修修了者は、該当科目について実務者研修の受講時間が短縮され、最大400時間分の講座が免除になる仕組みが設けられています。
(出典:厚生労働省「実務者研修に係る修了認定について」
/
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/care/dl/care_16.pdf)
5. 介護職でキャリアアップに役立つ研修・資格
介護分野で長く働きたい場合は、段階的にスキルを高められる研修や資格を活用することが大切です。ここでは、キャリアアップの道筋を整理し、それぞれの特徴や役立つポイントを説明します。
5-1. 介護職員初任者研修
介護職員初任者研修は、介護業務の入り口となる基礎資格であり、介護の仕事に必要な最低限の知識・技術を身につけることが目的です。研修は都道府県または都道府県知事が指定する事業者が実施し、訪問介護や施設介護に従事したい方が対象となります。
カリキュラムは「職務の理解」「自立支援」「コミュニケーション技術」「老化や認知症の理解」「生活支援技術」など、多岐にわたる計130時間の構成です。講義と演習を一体的に行い、筆記試験で修了評価を行うことで、基礎的な介護業務を行える力を身につけられる研修となっています。
(出典:厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について」
/
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/kaigoinnyouseikennsyuu.pdf)
| 1.職務の理解 | 6時間 |
| 2.介護における尊厳の保持・自立支援 | 9時間 |
| 3.介護の基本 | 6時間 |
| 4.介護・福祉サービスの理解と医療との連携 | 9時間 |
| 5.介護におけるコミュニケーション技術 | 6時間 |
| 6.老化の理解 | 6時間 |
| 7.認知症の理解 | 6時間 |
| 8.障害の理解 | 3時間 |
| 9.こころとからだのしくみと生活支援技術 | 75時間 |
| 10.振り返り | 4時間 |
| 合計 | 130時間 |
(引用:厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について」
/
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/kaigoinnyouseikennsyuu.pdf#page=2 引用日2025/12/2)
5-2. 介護福祉士実務者研修
介護福祉士実務者研修は、基礎から実践まで高度な知識・介護技術を体系的に身につけることを目的とした研修です。介護職員初任者研修をすでに修了している場合は、450時間のうち130時間が免除され、320時間を追加で受講することで修了が可能です。内容は生活支援技術、介護過程、医療的ケアなど専門性の高い科目で構成され、介護現場で求められる能力を幅広く養えます。
また、介護職員初任者研修とは異なり、実務者研修は最初から介護福祉士を見据えて学習を進められる点がメリットです。介護職員初任者研修修了者となってから実務者研修に進む場合は2段階の受講が必要ですが、最初から実務者研修に挑戦すればワンステップで介護福祉士受験に向けた必要要件を満たせるため、時間的・費用的な効率が高まります。
(出典:厚生労働省「介護に関する資格等について」
/
https://jsite.mhlw.go.jp/ishikawa-roudoukyoku/content/contents/001790771.pdf)
(出典:厚生労働省「実務者研修の受講のための負担軽減策」
/
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/001416219.pdf)
| 教育内容 | 時間数 | 訪問介護員研修 | 介護職員基礎研修 | その他全国研修 | ||
| 1級 | 2級 | 3級 | ||||
| 人間の尊厳と自立 | 5 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
| 社会の理解Ⅰ | 5 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
| 社会の理解Ⅱ | 30 | ○ | ○ | |||
| 介護の基本Ⅰ | 10 | ○ | ○ | ○ | ||
| 介護の基本Ⅱ | 20 | ○ | ○ | ○ | ||
| コミュニケーション技術 | 20 | ○ | ○ | |||
| 生活支援技術Ⅰ | 20 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
| 生活支援技術Ⅱ | 30 | ○ | ○ | ○ | ||
| 介護過程Ⅰ | 20 | ○ | ○ | ○ | ||
| 介護過程Ⅱ | 25 | ○ | ○ | |||
| 介護過程Ⅲ(スクーリング) | 45 | ○ | ||||
| 発達と老化の理解Ⅰ | 10 | ○ | ○ | |||
| 発達と老化の理解Ⅱ | 20 | ○ | ○ | |||
| 認知症の理解Ⅰ | 10 | ○ | 認知症実践者研修 | |||
| 認知症の理解Ⅱ | 20 | ○ | 認知症実践者研修 | |||
| 障害の理解Ⅰ | 10 | ○ | ○ | |||
| 障害の理解Ⅱ | 20 | ○ | ○ | |||
| こころとからだのしくみⅠ | 20 | ○ | ○ | ○ | ||
| こころとからだのしくみⅡ | 60 | ○ | ○ | |||
| 医療的ケア | 50(※) | 喀痰吸引等研修 | ||||
| 実務者研修受講時間数 | 450 | 95 | 320 | 420 | 50 | |
※「医療的ケア」には50時間とは別に演習を修了する必要があります。
(引用:厚生労働省「介護福祉士の資格取得方法の見直しの延期について(p.8)」
/
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/care/dl/care_16.pdf#page=8 引用日2025/12/2)
5-3. 介護福祉士
介護福祉士は、高度な技術を持って利用者さんの心身の状況に応じた介護を行い、介護者への指導も担う国家資格です。資格取得のルートは主に「養成施設ルート」「実務経験ルート」「福祉系高校ルート」の3つがあり、いずれも最終的には国家試験に合格する必要があります。国家試験は年1回、筆記試験として実施され、専門知識が幅広く問われます。
このうち、社会人が働きながら取得を目指す場合は、3年以上の実務経験と実務者研修の修了を経て受験資格を得る「実務経験ルート」が最も一般的です。介護職員基礎研修取得者の場合、実務経験が3年以上に加え、喀痰吸引等研修も修了すれば、介護福祉士国家試験の受験資格を得られます。
(出典:厚生労働省「ページ4:介護福祉士の概要について」
/
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/shakai-kaigo-fukushi1/shakai-kaigo-fukushi4.html)
(出典:公益財団法人社会福祉振興・試験センター「実務経験+実務者研修」
/
https://www.sssc.or.jp/kaigo/shikaku/k_08.html)
| パート | 試験科目 | 領域 |
|---|---|---|
| A | 人間の尊厳と自立 | 人間と社会 |
| 介護の基本 | 介護 | |
| 社会の理解 | 人間と社会 | |
| 人間関係とコミュニケーション | 人間と社会 | |
| コミュニケーション技術 | 介護 | |
| 生活支援技術 | 介護 | |
| B | こころとからだのしくみ | こころとからだのしくみ |
| 発達と老化の理解 | こころとからだのしくみ | |
| 認知症の理解 | こころとからだのしくみ | |
| 障害の理解 | こころとからだのしくみ | |
| 医療的ケア | 医療的ケア | |
| C | 介護過程 | 介護 |
| 総合問題 | 全領域の知識及び技術を横断的に問う問題を、事例形式で出題 |
(引用:厚生労働省「第38回介護福祉士国家試験の施行について」
/
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59060.html 引用日2025/12/2)
5-4. 介護支援専門員(ケアマネジャー)
介護支援専門員(ケアマネジャー)は、要介護者の方や要支援者の方が適切な介護サービスを利用できるよう支援する専門職です。心身の状況に応じたケアプランの作成や、サービス事業者・市町村・施設などとの連絡調整を担います。自立した生活を支えるための専門的知識と技術を有し、介護支援専門員証の交付を受けた者のみが従事できます。
介護支援専門員の業務は大きく「居宅系」と「施設系」に分かれます。居宅系では、相談対応や居宅サービス計画の作成、事業者との調整、施設紹介などを行います。一方、施設系では利用者さんの課題を把握した上で、施設サービス計画を作成し、日常生活の自立を支援します。
資格取得には、医師・看護師・介護福祉士など保健医療福祉分野での5年以上の実務経験をもとに「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格し、実務研修を修了する必要があります。東京都介護支援専門員実務研修受講試験では、五肢複択方式・60問を120分で解答する形式が採用されています。
(出典:厚生労働省「介護支援専門員(ケアマネジャー)」
/
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000114687.pdf
)
(出典:公益財団法人 東京都福祉保健財団「令和7年度 東京都介護支援専門員実務研修受講試験」
/
https://www.keamane.tokyo.jp/shiken/
)
まとめ
介護職員基礎研修とは、介護職として働くための基礎知識と技術を幅広く学ぶ上級レベルの研修です。制度見直しにより現在は廃止され、実務者研修へ一本化されています。初任者研修・実務者研修・介護福祉士と段階的にステップアップする仕組みが整い、目的に応じて必要な知識や技能を身につけやすくなっています。自身の将来像に合わせて適切な研修を選択することで、安定したキャリアを形成できるでしょう。
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※当記事は2025年12月時点の情報をもとに作成しています
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