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実務者研修で学ぶ内容は?カリキュラムについても詳しく解説

公開日:2023.10.18 更新日:2023.10.18
実務者研修で学ぶ内容は?カリキュラムについても詳しく解説

介護職の資格として、介護福祉士の前段階とも言えるのが「実務者研修」です。実務者研修は介護についてより実践的な内容を学ぶものの、実際どのような知識や技術を身につけることができるのか、気になっている方もいるでしょう。

当記事では実務者研修の基本的な情報とともに、学ぶカリキュラムの内容について詳しく解説します。介護職としてよりステップアップを目指したい方はぜひ当記事を参考にして、実務者研修の受講をご検討ください。

1. 実務者研修とは?

実務者研修とは、介護のより実践的な知識を学ぶ研修 です。下記の通り、介護福祉士国家試験の受験資格の1つとしても認められています。

Q1 介護福祉士実務者研修とは、どのような研修ですか。

A1 3年以上の実務の経験がある実務経験者が、介護福祉士国家試験(平成28年度国家試験から適用)を受験するために必要な研修です。期間は6ヶ月以上、授業は450時間以上で設定されており、様々な種類(昼間・夜間・通信(一部面接授業有り))で開講されています。

(引用:近畿厚生局「介護福祉士実務者研修に関するよくあるご質問Q&A」
/ https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kinki/faq/yousei.html 引用日2023/5/2)

3年以上の実務経験がある実務者研修修了者は、介護福祉士国家試験の実技試験が免除され、筆記試験のみで受験できます。研修を受けることで、昇給や転職に役立ち、介護職員としていっそうの活躍が期待できます。

なお、実務者研修は無資格者でも受講可能です。介護を学ぶのが初めての方は、初任者研修を受けてから実務者研修に進む方法もあります。

(出典:厚生労働省「実務者研修の指定基準について」
/ https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/care/dl/care_16.pdf

(出典:厚生労働省近畿厚生局「介護福祉士実務者研修に関するよくあるご質問Q&A」
/ https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kinki/faq/yousei.html

1-1. 実務者研修の内容は?

実務者研修は、厚生労働省によって教育課程が定められており、20科目と医療ケア演習から介護の知識・技術を学びます。 内容詳細は下記の通り、450時間の座学と演習が必要です。

実務者研修(450時間)

<研修内容>

・社会福祉制度(介護保険等)
・認知症の理解
・医療の知識
・障害の理解
・介護技術
・介護過程
・たんの吸引、経管栄養 等

(引用:厚生労働省「介護福祉士の資格取得方法の見直しの延期について」
/ https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/care/dl/care_16.pdf 引用日2023/5/2)

実務者研修は、他の介護資格を持っている場合、受講科目が免除されます。例えば、介護職員初任者研修を受けていると、320時間の講義と演習で実務者研修を修了できます。また、介護職員基礎研修の修了者が実務者研修を受ける場合、受講するのは医療的ケアの講義と演習のみです。

実務者研修の標準的な学習期間は、無資格者が約6か月、初任者研修とホームヘルパー2級修了者が約4か月と言われています。レベルの高い資格を修得している場合、実務者研修の研修期間は短く、ホームヘルパー1級修了者が約2か月、介護職員基礎研修修了者は約1か月で研修修了を目指せます。

なお、介護職員基礎研修とホームヘルパー1〜3級は廃止されているため、新たにこれらの研修は受けられないことに注意しましょう。現在も実施されているのは初任者研修です。初任者研修を実務者研修の前に受講しておくと、より内容の理解が深まる上、受講科目も免除されるなどメリットも多くあります。

1-2. 初任者研修との違い

実務者研修と初任者研修の大きな違いは、介護福祉士試験の受験資格になるかどうかです。実務者研修は介護福祉士としての知識と技術を身に付ける研修であり、実務経験者が介護福祉士国家試験を受けるときの受験資格の1つです。一方、初任者研修は介護の基礎を学ぶ研修であり、実務者研修とは内容や期間、修得までにかかる費用が異なります。

実務者研修の受講科目は20科目で、受講に450時間かかるのに対し、初任者研修の受講科目は9科目、130時間で修了します。 無資格から研修を受ける場合の受講期間は、実務者研修が約6か月、初任者研修は約2か月です。なお、初任者研修で学ぶ内容は実務者研修の内容と重複するものがあるため、初任者研修修了者は実務者研修の科目を免除されます。

受講にかかる費用はスクールによっても異なるものの、実務者研修が約15万〜20万円、初任者研修で7万〜8万円と言われています。

2. 実務者研修で学ぶカリキュラムの内容

実務研修のカリキュラムは、下記の通り、20科目プラス演習です。ほとんどの科目は通信講座により自宅学習が可能ですが、一部の科目は通学して介護スキルを身に付けます。

教育内容 時間数
人間の尊厳と自立 5
社会の理解Ⅰ 5
社会の理解Ⅱ 30
介護の基本Ⅰ 10
介護の基本Ⅱ 20
コミュニケーション技術 20
生活支援技術Ⅰ 20
生活支援技術Ⅱ 30
介護過程Ⅰ 20
介護過程Ⅱ 25
介護過程Ⅲ(スクーリング) 45
発達と老化の理解Ⅰ 10
発達と老化の理解Ⅱ 20
認知症の理解Ⅰ 10
認知症の理解Ⅱ 20
障害の理解Ⅰ 10
障害の理解Ⅱ 20
こころとからだのしくみⅠ 20
医療的ケア 50(※)
実務者研修 受講時間数 450

※「医療的ケア」には50時間とは別に演習を修了する必要があります。

(引用:厚生労働省「介護福祉士の資格取得方法の見直しの延期について」
/ https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/care/dl/care_16.pdf 引用日2023/5/2)

ここからは、実務者研修で学ぶ各科目について、詳しく解説します。

2-1. 人間と社会

人間と社会で学ぶのは、人間の尊厳を守り自立を支援するために介護が担う役割や、社会における介護の意義 です。研修科目名は、「人間の尊厳と自立」「社会の理解」にあたり、時間数は40時間です。

「人間の尊厳と自立」では、介護職として高齢者や障害者を支援するために必要な考え方や、ノーマライゼーションの概念を習います。講義の目的は、人権の歴史的経緯やプライバシー保護の重要性を理解し、介護職の基本的な理念や倫理観を身に付けることです。

「社会の理解」では、介護保険制度・障害者自立支援制度・社会保障制度といった、介護と福祉を取り巻く諸制度の理解を深めます。学習の目的は、生活保護や成年後見制度、介護実践に関わるその他の制度について知り、利用者に関係するサービスの知識や利用方法を習得することです。

2-2. 介護

介護の科目では、介護士として実際に利用者と関わるために必要な知識と技術を学び、実技演習を実施します。 具体的な科目名は「介護の基本」「コミュニケーション技術」「生活支援技術」「介護過程」、時間数は190時間です。

「介護の基本」「コミュニケーション技術」「生活支援技術」では、介護の考え方を理解し、実践していく技術を学びます。介護とは、利用者のニーズを把握して支援目標を立て、利用者を取り巻く人々と連携しながらケアを進めるチームアプローチです。利用者を支援する技術として、食事・入浴・排泄・移動といった身体介護、コミュニケーション方法、環境整備の基礎、福祉用具の知識などを身に付けます。

「介護過程」は、学んできた知識と技術を活用し、介護計画を立案・実施する科目です。利用者一人ひとりに合った介護計画を立て、介護サービスを実践し、計画の見直しを行うプロセスを習得します。なお、「介護過程Ⅲ」は実技演習であり、スクールの講師が介護技術を評価します。

2-3. こころとからだのしくみ

こころとからだのしくみは、質の高い介護のために利用者の身体機能や心理状態を理解する科目 です。科目内容は「発達と老化の理解」「認知症の理解」「障害の理解」「こころとからだのしくみ」、時間数は170時間です。

利用者の身体構造・精神状態は、生まれつきの障害を持っているケースもあれば、老化にともなう疾病により介護が必要になった場合など、それぞれ異なります。発達や老化の過程における心理状態や留意点、認知症の症状、障害者福祉制度を知ることで、ケアを必要とする人の理解につながります。

利用者の身体構造・精神状態を理解する理由は、利用者や家族の負担軽減のみならず、介護者自身の負担を減らすためです。例えば、ボディメカニクスを活用した介護は、最小限の力でケアが可能になり、利用者も介護者も楽に動けます。こころとからだのしくみは、質の高い介護実践に大切な科目です。

2-4. 医療的ケア

医療的ケアは、介護者が安全で衛生的な医療の提供のために必要な科目 です。介護者が関わる機会の多い喀痰吸引・経管栄養・救急蘇生法について学び、スクールで実技演習を行います。テキストを読むだけでは習得できない実用的な講義によって、介護職の立場で医療に携われる人材を育てることが目的です。

医療的ケアのカリキュラムには、介護者自身の感染予防や衛生管理方法、利用者が急変した際の対応方法などもあり、50時間のうちで介護に必要な医療の知識・技術を学びます。

まとめ

実務者研修とは、介護についてより実践的な知識と技術を身につけるための研修であり、実務経験がある方が最短ルートで介護福祉士を目指すときの受験資格にもなっています。20科目・450時間の研修で幅広い内容を学びます。

学ぶ内容は「人間と社会」「介護」「こころとからだのしくみ」「医療的ケア」などで、座学だけでなく演習も含まれます。介護に関する他の研修を受講していたり、資格を取得していたりすると免除となる科目もあるため、受講前には確認するとよいでしょう。

実務者研修を修了することで、介護業界でさらに活躍できます。実務者研修を応募資格としている求人も紹介できるため、受講済みの方はぜひ一度マイナビコメディカルにご相談ください。

※当記事は2023年5月時点の情報をもとに作成しています

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