デイサービスの看護師が辞めたい理由とは|辛いときの対処法も解説
デイサービス(通所介護)は利用者さんができるだけ自宅で自立した生活を送れるよう、日帰りで介護やリハビリなどを提供するサービスです。サービス提供にあたっては単位ごとに専従で1人以上の看護師を配置する基準があり、看護師さんのニーズがある職場の1つです。
(出典:厚生労働省「通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護」
/
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000650016.pdf)
ただし、デイサービスで働く中で職場が自分に向いていない、辞めたい、辛いと思う看護師さんはゼロではありません。この記事では、デイサービスで働く看護師さんが辞めたいと感じる理由や、働くのが辛いときの対処法について解説します。
目次
- 1. デイサービス(通所介護)で働く看護師が辞めたい理由
- 1-1. 職場の人間関係がうまくいかない
- 1-2. 看護以外の業務を行わなければならない
- 1-3. 医師の常駐義務がなく責任が重い
- 1-4. 給料など待遇面で不満がある
- 1-5. レクリエーションを辛いと感じる
- 2. デイサービス(通所介護)が向いていないと感じたときの対処法
- 2-1. 自分が辛いと感じる理由を具体化する
- 2-2. 人間関係が原因なら距離感を考える
- 2-3. 給料や待遇が合わないなら上司と相談する
- 2-4. 環境を変えるのが難しいなら転職する
1. デイサービス(通所介護)で働く看護師が辞めたい理由
デイサービスは通所介護とも呼ばれ、利用者さんがデイサービスセンターなどに通い、入浴や食事の介護、健康チェックや機能訓練などを日帰りで利用する介護サービスです。
デイサービスの看護師さんは、利用者さんの健康管理や医療行為の補助、家族への健康指導や介護のサポートなどの重要な役割 を担っています。しかし、デイサービスで働く看護師さんの中には、辞めたいと思う方もいるのが事実です。
ここでは、デイサービスの看護師さんが辞めたいと感じる理由を5つ紹介します。
1-1. 職場の人間関係がうまくいかない
看護師さんがデイサービスを辞めたくなる代表的な理由は、人間関係の悩みです。デイサービスの運営には、介護士の方やケアマネジャーなどさまざまな職種が関わっています。看護師さんも、介護職の方をはじめとする多職種との連携が求められます。
異なる職種の方と協力できるのは、看護と介護の両面から利用者を支えるデイサービスならではの特徴です。看護の知識を高齢者の生活に役立てたい方には、やりがいの大きい働き方でしょう。
一方で、業務内容や専門スキルの違いから、職種同士の衝突が起きるケースもあります。 職場の空気が悪くなり、ギスギスした雰囲気に耐えられずに退職を考える看護師さんがいるのも事実です。
1-2. 看護以外の業務を行わなければならない
看護以外の業務を行う必要があるのも退職理由の1つです。デイサービスの看護師さんは、看護師業務だけではなく介護職の方のサポートも行います。デイサービスは日常生活の世話や機能訓練の提供を通して、利用者さんの生活機能の維持・向上を目指す介護サービスのためです。
具体的には、以下の業務をサポートします。
・食事介助、入浴介助、排泄介助
・送迎業務
・リハビリの補助
・レクリエーションの進行や補助
介護職の方のサポートでは、食事や入浴、排泄など、日常生活に必要な行為の介護のほか、利用者さんの自宅までの送迎、レクリエーションなどを補助する場合もあります。
介護の業務を行うためには、介護に関する専門知識と技術が必要です。介護のサポートを通じて介護分野の知識と技術を習得できるのは、看護師さんがデイサービスで働くメリットと言えるでしょう。介護や高齢者の専門知識を身につけて、老人看護専門看護師を目指す道もあります。
しかし、看護技術を磨きたい方や、介護業務に関わりたくない方にとっては、介護職の方のサポートを辛く感じる場合もあります。
1-3. 医師の常駐義務がなく責任が重い
デイサービスの人員基準に医師の定めはなく、医師の常駐義務もありません。そのため、医師が常駐するデイサービスは少数です。
来所中の方の体調変化や怪我などには、医師ではなく看護師さんが初期対応をする必要があります。利用者さんに急変が起こる場合もあり、責任の重さで精神的な負担を感じるのが辞めたくなる理由です。医師がいない現場で医療判断を下すことにプレッシャーを感じる方には、辛い仕事と言えます。
一方で、病院勤務に比べると緊急対応は少なく、看取りの対応や手術もありません。利用者の自立支援が目的のデイサービスでは高度な医療行為を行う機会がないため、精神的負担が少ない点をメリットと感じる方もいます。
1-4. 給料など待遇面で不満がある
デイサービスで働く看護師さんの給料は病院看護師さんや他の介護施設の看護師さんよりも低い傾向にあるため、待遇面で不満を感じ、辞めたいと感じる方もいます。
厚生労働省の調査によると、2021年9月時点でのデイサービスで働く職員の平均月給は27万5,670円で、介護施設全体の平均月給29万3,800円より低い結果でした。
(出典:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」
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https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/21/dl/r03gaiyou.pdf#page=15)
介護施設全体で働く看護職員の平均給与は36万9,760円ですが、デイサービスの平均給与が低いため、ほかの介護施設で働く看護師さんよりも待遇が悪い可能性があります。
(出典:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」
/
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/21/dl/r03gaiyou.pdf#page=20)
また、役職者を除く看護師全体の平均賃金は、2021年時点では月収換算で約39万9,000円です。介護業界で働く看護師さんの給与は看護師全体の平均給与に比べて低いと言えます。
(出典:厚生労働省「図表1-2-24 看護師の平均賃金(役職者除く)(月収換算)」
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https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/21/backdata/01-01-02-24.html)
デイサービスの看護師さんの給与がほかの職場に比べて低くなっているのは、夜勤がないのが主な理由です。デイサービスは基本的に日中のみの営業になるため、早朝・夜間の時間帯や夜勤の出勤がありません。夜勤のある事業所では、早朝・夜間や深夜帯の勤務は手当が支給され、平均給与も高くなります。夜勤がないことは決まった休みの取りやすさや体への負担の軽さにもつながるため、収入が低くなるデメリット以上にメリットと感じる方もいるでしょう。
1-5. レクリエーションを辛いと感じる
レクリエーションが辛いと感じるのも、退職を考える要因です。デイサービスの業務には、レクリエーションの企画や司会・進行が含まれます。司会・進行をする際は利用者さんの前に立って話をするため、大勢の注目を浴びて話すのが苦手な方には辛い業務となります。
また、レクリエーションの内容を企画するのも業務の1つです。デイサービスでは毎日のようにレクリエーションが行われ、スタッフの中で順番に当番を担当するのが一般的です。ネタ切れやマンネリになることも多く、利用者さんから「つまらない」などの声が上がるケースはゼロではありません。
レクリエーションの主な目的は、身体機能の向上や脳の活性化、コミュニケーションの促進などです。一見看護とはかけ離れた業務に見えても、利用者さんの自立支援につながる取り組みだと考えれば自身の学びや経験にもなるでしょう。企画や司会・進行の経験は、看護師さんにとってもコミュニケーション能力のスキルアップになるメリットもあります。
2. デイサービス(通所介護)が向いていないと感じたときの対処法
デイサービスで働く看護師さんの中には、今の働き方に向いていないと感じている方もいるでしょう。ここでは、デイサービスを退職するか迷っている看護師さん向けに、対処方法を4つ解説します。悩みの解消にぜひ役立ててください。
2-1. 自分が辛いと感じる理由を具体化する
退職を考えるほど悩んでいる場合は、辛く感じる原因をノートなどに書き出してみてください。どのようなときに辛く感じるのか、どのようなことに辛く感じるのかをできるだけ具体的に書きます。原因を洗い出すことで、言葉で表せなかったもやもやを客観視でき、解決すべき点も明確になります。
もやもやを書き出すときには、以下のポイントに分けて書きだしましょう。該当する悩みがなければ、なしのまま次の質問に進んでください。
・プライベートの悩みはあるか
・仕事内容に悩みはあるか
・職場の人間関係や労働環境に悩みはあるか
・仕事の条件や社内評価に悩みはあるか
もやもやを言語化するゴールは、悩みに対して自分が取るべき行動が明確になった状態です。書き出した悩み・辛さを、自分で解決できるもの・自分では解消できないものに分け、自分で解決できる悩みに取り組んでください。
2-2. 人間関係が原因なら距離感を考える
人間関係の悩みが原因の場合は、相手との距離感を見直しましょう。どのような職場でも、常に完璧な人間関係を保つのは困難です。しかし、自分の見方や行動次第でストレスを減らして関わることは可能です。
人間は誰でも自分が大切にしている考えを持っています。周囲との完璧な関係を期待するのではなく、相手の立場に立って考えてみると違った捉え方ができる場合があります。相手の職種や業務について理解し、お互い協力できるよう自分から歩み寄るのも有効です。
2-3. 給料や待遇が合わないなら上司と相談する
給料や待遇面でもやもやを感じているなら、まず直属の上司に相談してください。希望を伝えれば、応じてもらえる可能性があります。定期面談や定時昇給のタイミングで切り出すのも良い方法です。
ただし、給料アップや待遇を改善してもらうには、日頃からデイサービスの業務や利用者さんの健康管理に貢献している必要があります。お互いが納得できる形で待遇改善されるよう、自分の取り組みや成果を伝えてください。
2-4. 環境を変えるのが難しいなら転職する
職場環境を変えるのが難しい場合や、待遇改善に応じてもらえなかった場合は、転職するのもおすすめです。転職活動をする際は、どのような職場で働きたいのか希望の条件を明確にしておくことが重要です。
厚生労働省の調査によると、転職先を選んだ理由で最も多いものは、「仕事の内容・職種に満足がいくから」となっています。
転職者が現在の勤め先を選んだ理由(3つまでの複数回答)をみると、「仕事の内容・職種に満足がいくから」が41.0%で最も高く、次いで「自分の技能・能力が活かせるから」が36.0%、「労働条件(賃金以外)がよいから」が26.0%となっている(表21-1)。選んだ理由のうち一番の理由をみると、「仕事の内容・職種に満足がいくから」が、18.8%で最も高くなっている(表21-2)。
(引用:厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」
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https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/6-18c-r02-2-03.pdf 引用日2023/11/02)
看護師さんが転職するときも、仕事の内容や看護スキルの生かし方、労働条件が合う勤務先を考えると選びやすいでしょう。
また、理想の仕事や職場に出会うためには、看護師・介護職向けの転職サイトや転職エージェントを活用する方法もあります。
エージェントサイトでは、看護師転職のプロや介護職専門のアドバイザーが転職理由や理想の働き方をヒアリングし、希望に合った職場探しをサポートします。看護師資格や看護師経験を活かしてキャリアアップしたい方、おすすめ転職先の求人を効率よく探したい方に便利なサービスです。
まとめ
看護師さんがデイサービスを辞めたいと感じる代表的な理由は、職場の人間関係がうまくいかないというものです。また、看護業務以外もしなければならない、医師の常駐義務がなくプレッシャーがある、レクリエーションを考えるのが辛いなどは、デイサービス特有の悩みと言えます。ほかにも、夜勤がないため給料が物足りないと感じる方もいるでしょう。
デイサービスが向いていないと感じる場合は、自分が辛いと感じる理由を書き出して具体化し、自分で解決できるものと自分では解消できないものに分けましょう。自分が解決できる悩みにだけ取り組むことで、前向きな解決策が思い浮かびやすくなります。
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※当記事は2023年11月時点の情報をもとに作成しています
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