介護事務の仕事はつらい?つらい理由ややりがい・転職のポイントを紹介
介護事務とは、「レセプト作成」と呼ばれる介護報酬請求業務をはじめとした、介護施設の事務業務を全般的に担当する職種です。介護施設の利用者さんの介護を担当する機会は少ないものの、縁の下の力持ちとして介護施設の経営を支える重要な存在となっています。
介護施設の経営を幅広くサポートすることによって、利用者さんの健康を守りたいという方に向いている仕事ですが、仕事につらさを覚えるケースも珍しくありません。
そこで今回は、介護事務の仕事がつらいと言われる理由や、つらいと感じたときに思い返したい介護事務のやりがいを解説します。介護事務として就職・転職するときのポイントも紹介するため、ぜひご一読ください。
目次
1. 介護事務の仕事がつらい理由は?
介護事務とは、介護施設の事務業務を全般的に担当する介護職のことです。主な仕事内容としては、介護報酬請求業務(レセプト作成)や窓口対応、職員の勤怠管理・給与管理、備品管理などが挙げられます。ときには介護実務も兼任しながら、介護施設の経営をサポートしています。
(出典:job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))「介護事務」
/
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/436)
幅広い業務に携わることから得られるやりがいも多い一方で、介護事務の仕事にもつらいと思う瞬間は少なからずあります。そこでまずは、介護事務の仕事がつらいと言われる理由をいくつか紹介します。
1-1. 業務量が多いため
介護事務のメイン業務は、介護報酬請求です。介護報酬請求とは、介護事業者が何らかのサービスを利用者さんに提供したときに発生する「介護報酬」を、国民健康保険団体連合会に請求するために行う業務を指します。
月末から月初にかけての期間は介護報酬請求業務にウェイトが置かれる一方で、窓口業務や給与計算などその他の仕事も担当しなければなりません。こうした業務量の多さは、介護事務の仕事につらさを感じる大きな理由と言えます。
また、規模の小さい事務所では現場の手伝いを任されるケースもあります。繁忙期にイレギュラー対応が少し発生するだけでも、疲労感やストレスが増してしまうでしょう。
1-2. 介護についての知識が必要なため
介護事務で働く際は、一般的な介護知識はもちろん、介護報酬請求や介護保険制度についての専門的な知識も必要です。
介護報酬請求をするときには、レセプトと呼ばれる介護給付費明細書や請求書といった書類を毎月決まった期間内に提出しなければならず、知識・正確さ・スピードが求められます。これらのスキルは経験を重ねていくうちに身につきますが、「介護についての知識がさほどなく、計算や時間管理が苦手」という未経験者の場合は非常に大変な作業となるでしょう。
なかには、知識を証明して就職や転職を有利にするため、さらにスキルアップによる昇給を目指すために、介護事務管理士や介護事務認定実務者(R)、ケアクラーク(R)などの資格を取得する方もいます。
また、介護保険制度は3年に一度のペースで見直されるため、一度資格を取得したら終わりではなく、介護保険制度改正にともなう知識のアップデートも欠かせません。
1-3. 責任が大きい仕事のため
責任が大きくプレッシャーを感じやすい点も、介護事務の仕事がつらいと言われる1つの理由です。
介護事務の主な業務である介護報酬の請求時、万が一提出したレセプトに不備があれば受理してもらえず、翌月以降に再請求することになります。結果として、事業者への介護報酬の給付が1か月以上滞ってしまいます。
こうした「ミスのできない状況」は、大きな責任・プレッシャーを感じる要因となり、「つらい」と感じるきっかけにもなるでしょう。
1-4. 給与水準がそれほど高くないため
介護事務職員の平均給与は、下記の通りとなっています。
雇用 | 平均給与 |
---|---|
常勤で働く介護事務職員 (正社員など) |
約30万8,430円(月給) ※前年度より「12,710円」アップ |
非常勤で働く介護事務職員 (パート・アルバイトなど) |
約1,030円(時給) ※前年度より「30円」アップ |
(出典:厚生労働省「介護事業実態調査(介護従事者処遇状況等調査) / 令和4年度介護従事者処遇状況等調査」
/
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/22/dl/r04kekka.pdf)
介護業界における人手不足を解消する取り組みとして介護職員の給与引き上げが進む近年、介護事務職員の給与水準は常勤・非常勤ともに前年度から上がっています。ただし、「必要な知識量や責任の重さに比べると、給与が低くてつらい」 と感じる方も依然として多くいます。
2. つらいと感じたときに思い返したい介護事務のやりがい
介護事務の仕事はつらいと感じることもあるものの、それを上回る大きなやりがいもいくつか存在します。仕事につらさを感じたときは、介護事務職員だからこそ得られるやりがいを思い返すとよいでしょう。
ここからは、介護事務の3つのやりがいを詳しく説明します。
2-1. 介護業界についての知識が身につく
介護事務職員は、介護に関する専門知識を習得する必要があるものの、裏を返せば「介護事務に携わることでしか得られない幅広い知識や能力が身につく」とも言えます。実務を通じて身につくこれらの知識は、介護業界だけでなく、医療分野・福祉分野でも活かせ、キャリアの幅がより広がるでしょう。
また、介護事務職員は施設の窓口として利用者さんや利用者さんの家族などと関わる機会の多い職種です。たくさんの方々と接するうちに、自ずと対応力や臨機応変さが身につく点も、1つの魅力と言えるでしょう。
2-2. 利用者さんから直接感謝される
介護事務職員は、同じ職場で働く同僚はもちろん、利用者さんや利用者さんの家族、さらに外部の方と接する機会が多くあります。
自分の対応や取り組みによって相手の好感を得られた際は、喜んでもらえるだけでなく、「ありがとう」「あなたがいてくれてよかった」と感謝の気持ちを直接伝えてもらえます。
どのような職種においても、自分と関わった相手から感謝されたり必要とされたりするのは非常にうれしく、仕事へのモチベーションに大きくつながるでしょう。
2-3. 長く活躍できる
高齢化が進む近年では介護施設や介護事業者の需要が高く、介護保険制度や介護報酬請求に関する専門知識が身についた介護事務職員は貴重な人材として今後も必要とされるでしょう。
介護事務職員は雇用形態がさまざまで、基本的に体力仕事もありません。そのため、30代や40代からでもチャレンジしやすいほか、長く活躍できる点も魅力です。また、「社会貢献度の高い分野で専門的かつ重要な役割を担っている」という認識は、大きなやりがいとなるでしょう。
3. 介護事務として就職・転職するときのポイント
「多くのやりがいがあると分かっていても、介護事務の仕事に対するつらさを払拭できない」という場合は、思い切って転職するのも1つの手段です。
介護事務職員として別の介護施設に転職する際は、下記のポイントをおさえて求人を探しましょう。
●業務内容を確認する
●福利厚生を確認する
●残業の有無を確認する
また、「業務内容がシンプル」「福利厚生が充実している」「残業がない」という職場が必ずしもベストであるとは限りません。重要なのは、各ポイントにおいて自分が求める基準や条件を満たしているかどうかです。こうした基準や条件を明確にするためには、求人を探す前に「理想とする働き方」をイメージしておくとよいでしょう。
まとめ
介護施設の円滑な経営をサポートする介護事務は、担当する業務の幅が広く、責任も大きいことから「きつい」と感じる方も一定数います。しかし、介護事務の仕事はつらいことばかりではありません。利用者さんから感謝の気持ちを伝えてもらえたり、必要とされながら長く活躍できたりと、介護事務ならではのやりがいも多くあります。
つらさがやりがいを大きく上回ったときは、転職して別の職場で働くのもよいでしょう。「マイナビ介護職」では、介護業界に精通したキャリアアドバイザーによる転職サポートも提供しております。介護事務職員としての転職に少しでも不安のある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
※当記事は2024年4月時点の情報をもとに作成しています
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