社会福祉士の資格を生かせる就職先とは?仕事内容や年収を詳しく紹介

公開日:2026.08.31 更新日:2026.08.31
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社会福祉士の資格を取得後、実際にどのような職場で働けるのか気になるかたは多いかもしれません。

社会福祉士は、高齢者から児童まで幅広い年代をサポートする専門職として、さまざまな施設や機関から求められる存在です。高齢者・障害者・児童福祉の分野で働くイメージが強いかもしれませんが、地域福祉や医療、行政の現場で、暮らしやすい環境づくりを主導する場合もあります。

本記事では、社会福祉士の主な就職先や仕事内容、職場選びのポイントなどについて詳しく解説します。これから社会福祉士としてキャリアを積みたい人は、最後まで読んでみてください。

1. 社会福祉士とは?

社会福祉士は名称独占の国家資格で、心身に障害がある人や生活が困窮している人の相談に乗り、状況に応じた支援を提供します。福祉に関する高度な知識を駆使して、相談者のより良い暮らしのために尽力する、「相談援助(ソーシャルワーク)の専門家」といってもよいでしょう。

具体的には、相談者の困りごとや背景を詳しく聞き取り、問題の解決に向けた支援方法を検討し、関係各所と連携・調整を行うのが主な役割です。以下は、相談されることの多い困りごとの例になります。

【相談される困りごとの例】
・退院後の生活が不安
・持病があって就労が難しい
・制度の申請方法がわからない
・家族との関係がこじれて支援してもらえない

このように、本人だけでは解決できない課題に対して、支援の道筋をつくっていくのが社会福祉士の仕事です。就職先の分野によって支援方法は変わりますが、根底には「誰もが生きやすい環境を整える」という考えがあります。

参考:厚生労働省「社会福祉士・介護福祉士等

2. 社会福祉士の主な就職先と仕事内容

ここからは、社会福祉士の主な就職先と、それぞれの仕事内容について見ていきましょう。

【社会福祉士の就職先】
・高齢者福祉関連
・障害者福祉関連
・児童・母子福祉関連
・地域福祉関連
・医療機関
・行政機関
・学校

一つずつ解説します。

2-1. 高齢者福祉関連

高齢者福祉関連の施設では、主に介護を必要とする高齢者やその家族を支援します。代表的な職場は以下のとおりです。

・デイサービス
・介護老人保健施設
・特別養護老人ホーム
・地域包括支援センター

施設では、生活相談員として入所手続きや退所後の生活調整を担当します。一方、地域包括支援センターでは、地域で暮らす高齢者・家族の相談窓口となり、介護保険の申請代行や、虐待防止などの業務を行います。

高齢者福祉関連は、高齢化社会において最もニーズが多い分野で、社会福祉士はケアマネジャーや医師、看護師と連携しながら、高齢者が安心して暮らせる環境を整えます。

私はこれまで、デイサービスと介護老人保健施設で相談員を経験しました。通所と入所の違いはありますが、利用者さんの生活の質を保つために働くという点に変わりはありません。そのため、どちらの施設でも、心身の状況に合わせてサービス内容を調整したり、ケア方法について他職種と連携したりして、自分らしく暮らしてもらえるように努めていました。

2-2. 障害者福祉関連

障害者福祉分野では、以下が主な就職先となります。

・相談支援事業所
・障害者支援施設
・就労支援事業所
・基幹相談支援センター

社会福祉士は、本人の希望や特性を踏まえ、生活面・就労面などから課題を洗い出して支援計画を立てます。本人の強みを見つけて伸ばす関わりが重要なので、伴走型の支援をしたい人向きの職場といえるでしょう。

2-3. 児童・母子福祉関連

児童・母子福祉関連の職場では、子どもたちの健やかな成長や家庭環境の改善をサポートします。主な就職先は以下のとおりです。

・児童相談所
・児童養護施設
・母子生活支援施設
・児童家庭支援センター

この分野では、虐待や貧困などの課題を抱える家庭に対し、生活の再建を支える役割を担います。子どもの安全確保や保護者の困りごとに目を向け、支援の糸口を探るのが主な役割で、学校・医療機関・行政機関・警察など、多くの機関との連携が必要となります。そのため、情報収集能力や調整力を求められる場面も少なくありません。

支援が長期化するケースもあるので、根気強く関わりたい人に向いている分野といえるでしょう。

2-4. 地域福祉関連

地域福祉関連は、高齢者・障害者・子育て家庭・生活困窮など、相談内容が幅広い点が特徴です。社会福祉士の代表的な職場は、福祉事務所や社会福祉協議会で、次のような困りごとに対応します。

・仕事が続かず家賃が払えない
・家族と疎遠で孤立しており生活に不安がある
・支援制度を使いたいが具体的な内容や手続き方法がわからない

具体的には、制度の狭間にいる人たちのサポートを中心に、ボランティア活動の推進や、近隣住民による見守り活動の仕組みづくりなどを行います。また、地域の課題を見える化し、当事者ネットワークを構築したり、資源開発を行ったりするのも役割の一つです。自ら地域に出向いて住民の声を吸い上げる機会が多く、フットワークの軽さも重要となります。

2-5. 医療機関

医療機関では、医療ソーシャルワーカー(MSW)として活躍します。病気やけがによって生じる患者さんの経済的・社会的な不安を解消するのが主な役割で、以下のような業務を担います。

・入院費の支払いに関する相談
・退院後の在宅復帰や施設入所の調整
・介護保険や障害福祉サービスに関する相談
・その他経済的な課題に対する相談援助

医師や看護師などの医療職とは異なる「福祉の視点」から、患者さんの生活を支える存在と考えてもらえばわかりやすいかもしれません。退院後の生活が成立しないと再入院につながる可能性もあるため、患者さん本人だけでなく、家族の状況や住環境も含めて調整します。

この分野では、医師・看護師・リハビリ職など多職種と連携する機会が多く、スピーディな調整力が必要です。

2-6. 行政機関

社会福祉士は、都道府県庁や市役所など行政機関に就職するケースもあります。主な仕事内容は、生活保護の受給相談や高齢者・障害者福祉の窓口業務です。

行政では、制度に基づいた支援が基本となるため、制度に対する正しい理解と事務処理能力が必要です。相談者の背景が複雑で、窓口対応だけでは終わらないケースもあり、その場合は支援機関との連携やケース会議を通じて、制度と相談者をつなぐ調整役を務めます。

公務員試験に合格する必要がありますが、安定した環境に身を置きながら、福祉の最前線に携われるのがこの分野の特徴です。地域の福祉計画を策定するなど、広い視点で社会をよくしたい人に向いている職場といえるでしょう。

2-7. 学校

学校で働く社会福祉士は、スクールソーシャルワーカー(SSW)と呼ばれます。子どもが抱える問題に対して福祉的な観点からアプローチする仕事で、主に以下のような相談ごとに対応します。

・虐待
・不登校
・いじめ
・家庭内不和
・ヤングケアラー

学校の先生だけでは解決が難しい問題について、外部機関とつなげる役割を担うため、教育委員会や医療機関、児童相談所など、さまざまな機関と連携・調整する力が欠かせません。子どもの健全な成長に寄り添い、保護者を含めて包括的に支援したい人に向いている分野です。

3. 社会福祉士の就職先ランキング

ここでは、公益財団法人社会福祉振興・試験センターが公開している令和2年度の「社会福祉士就労状況調査実施結果」を基に、社会福祉士の就職先ランキングを紹介します。社会福祉士の就労者数が多い順にランキングを作成すると、トップ5は以下のようになります。

順位 就職先の種類 主な就職先
1位 高齢者福祉関連 介護老人福祉施設
居宅介護支援事業所
地域包括支援センター
2位 障害者福祉関連 障害者支援施設
相談支援事業所
就労支援事業所
3位 医療機関 病院
診療所
4位 地域福祉関連 市区町村社会福祉協議会
福祉事務所
5位 児童・母子福祉関連 障害児施設
児童相談所
児童養護施設

参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター「社会福祉士就労状況調査実施結果報告書

高齢者福祉関係が最も多く、ニーズの高さが見て取れます。病院などの医療機関や、障害者支援の現場でも多くの社会福祉士が活躍しており、資格を生かせるフィールドが多種多様であることが、理解できるのではないでしょうか。

こうしたデータも、今後のキャリアを考える際の参考にしてみてください。

4. 社会福祉士の就職先ごとの給料・年収

就職先を選ぶ上では、給料・年収も大切なポイントです。社会福祉士全体の年収は400万円程度とされていますが、就職先によっても多少の差があります。就職先の種類ごとの平均年収は、以下のとおりです。

就職先の種類 平均年収
高齢者福祉関連 392万円
障害者福祉関連 401万円
医療機関 399万円
地域福祉関連 444万円
児童・母子福祉関連 414万円

参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター「社会福祉士就労状況調査実施結果報告書

地域福祉分野の年収が高い傾向にありますが、地域や事業所によって給与や賞与の相場は変動します。平均年収の数値はあくまでも参考と考えてください。

なお、社会福祉士の資格手当が支給される職場も多いため、求人票を確認する際は、基本給に加えて手当の内容も細かくチェックするのがおすすめです。

5. 社会福祉士の就職先選びにおける三つのポイント

社会福祉士は、就職先として選べる職場が多いため、「どこを選べば良いのか迷ってしまう」という人もいるでしょう。ここでは、就職先選びで失敗しないためのポイントを解説します。主なポイントは次の三つです。

【就職先選びのポイント】
・教育制度があるかを確認する
・どの分野で支援したいかで選ぶ
・面接や見学で職場の雰囲気を確認する

順番に見ていきましょう。

5-1. 教育制度があるかを確認する

社会福祉士の資格を取得後、新卒や未経験で就職する場合は、教育体制の充実度が重要になります。

社会福祉士の仕事である相談援助は、正解がひとつではないケースが少なくありません。そして、経験が浅いと判断に悩んだり、課題解決の糸口が見つけられなかったりと、迷いが生じがちです。

そうした状況を乗り越えるためにも、先輩職員による指導や、定期的な勉強会を設けている職場がおすすめです。研修制度が充実している職場であれば、専門職としてのスキルアップもスムーズに進むでしょう。面接の際には、必ず入職後の教育体制について質問してみてください。

5-2. どの分野で支援したいかで選ぶ

社会福祉士が活躍できるフィールドは、高齢者、子ども、障害者などさまざまです。「困っている人の力になりたい」という思いを大切にしつつ、自分が支援したい対象を決めておくと、職場選びのミスマッチを防げるでしょう。

そのためには、関心がある分野を深く掘り下げてみることが大切です。例えば、じっくりと個別の対話を重視したいなら相談援助中心の現場、地域全体の福祉に関わりたいなら行政機関が適しています。

自分の興味関心と職場の役割が一致している職場が見つかれば、より働きやすくなるはずです。自己分析や他己分析を基に、優先順位を付けてから求人を探してみましょう。

私は介護職から相談職に転向しましたが、介護職時代から関わりが深い高齢者分野を選びました。現場の困りごとについて、身を持って知っていることが多かったため、相談員として利用者さんと介護職員、双方の意見を聞き取りながら、より良い環境づくりに貢献できたと感じています。

また、周りには「家族が入院したときにお世話になり、自分も支援する側に立ちたい」と医療ソーシャルワーカーになった人もいました。自分の経験を振り返った上で就職先を選ぶと、より意欲的に仕事に取り組めるのではないでしょうか。

5-3. 面接や見学で職場の雰囲気を確認する

福祉の現場はチームプレーが基本です。そのため、職場の雰囲気や連携の文化が合わないと働きにくさにつながってしまいます。できれば職場の様子を直接見て、職場の人間関係や雰囲気が自分に合うかどうかを確かめましょう。

職場の様子を確認したいときは、応募前や面接時に職場見学をさせてもらうのがおすすめです。事前に職員同士のあいさつの様子や、相談者への接し方を観察しておくと、入職後にギャップが生じるのを防ぎやすくなるでしょう。

まとめ:社会福祉士の就職先を理解して自分に合う職場を選ぼう

社会福祉士の就職先は、高齢者福祉や医療、行政など多岐にわたり、幅広いフィールドで活躍することが可能です。

就職先を選ぶ際は、「どのような状況にある人を支えたいか」を明らかにした上で、就職先の分野を決めましょう。調整力やコミュニケーション力など、自分の強みとあわせて考えると、働きやすい就職先選びにつながるはずです。

就職先の候補について、支援する人の属性や仕事内容を理解し、ぜひ自分らしく働ける場所を見つけてください。

これから社会福祉士としてのキャリアをスタートする方は、教育制度が整備されているかどうかを判断基準に加えるのがおすすめです。社会福祉士が対峙する相談者の困りごとは、一人で解決できるものではないため、困ったときに相談できる体制があれば、安心して仕事に取り組めます。

本記事で紹介した内容を参考に、理想とするキャリアプランを実現しましょう。

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プロフィール

佐藤恵美(Emi Sato)

介護福祉士・社会福祉士

高校卒業後は販売や営業事務などさまざまな職種を経験するも、ハラスメントによる退職をきっかけに「心や体が弱っている人の力になりたい」と一念発起。40代目前で大学に入学し、病棟のナースエイドとして働きながら、介護福祉士・社会福祉士などの資格を取得する。約10年にわたり、病院やデイサービスで介護職員・相談員として勤務。現場を知る専業Webライターとして、介護福祉関連の記事を多く執筆している。

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